プランクの効果は腹筋の厚さで分かる?超音波を当てる圧と比較条件の読み方

プランクの前後で腹筋が厚く映ったら、鍛えられた証拠なのか。健康な成人の腹部運動を調べた研究から、その場の力の入れ方と筋肉の成長を分けて読む。超音波の筋厚と筋活動の違い、測った姿勢や課題を確認する意味、女性がビフォーアフターの画像を見るときの注意点を整理する。

プランクを続けたあとに見せられた、お腹の超音波画像。以前より厚く映る筋肉に線が引かれていたら、努力が形になったように感じるだろう。ただ、画像の厚さを読むには、撮影中にどんな力の入れ方をしていたのかも確かめたい。腹部の運動方法を比較した研究では、同じ参加者でも方法によって筋厚が異なった。[9]

したがって、「厚く映った」だけで筋肉が育ったと判定するのは早い。この研究で比べたのは、お腹を固める方法と引き込む方法であり、プランクを続けた人の筋肥大ではない。プランクのビフォーアフターに使うなら、まず別の問いを調べた研究だと区別する必要がある。[9]

超音波を当てる圧への疑問と、運動方法による筋厚の差は分けて考えたい。腹部を固めた場合と引き込んだ場合の比較から、当てる圧の影響を計算することはできない。まず画像の説明にある運動方法と測定対象を読む。画像を保存するときは、測定条件の説明も一緒に残したい。[9]

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厚さの数字より先に、何を比較したかを見る

健康な成人18人、男性9人と女性9人が参加したランダム化クロスオーバー研究では、腹部を固めるブレーシングと、お腹を引き込むホローイングを比較した。クロスオーバーとは、同じ参加者が異なる条件を経験して比べる設計である。実施順序をランダムにし、条件の間には1週間を置いた。男女を含む成人の結果であり、女性のプランクにそのまま当てはめるには、対象と運動課題が異なる点を考える必要がある。[9]

測った筋肉は、腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋である。超音波画像でそれぞれの厚さを評価し、腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋については表面筋電図も使った。表面筋電図は筋活動を電気的に評価する測定であり、筋厚とは別の指標である。[9]

ここで読者が知りたいのは、自分のプランクにどれだけ効果があったかだろう。しかし研究が直接答えたのは、腹部の力の入れ方を変えると、筋厚や筋活動の測定結果がどう異なるかという問いである。筋肉名が共通していても、調べた問いは異なる。[9]

既存記事「プランクの効果は見た目で分かる?腹筋の厚さと息、その場の変化と成長を読む」に広い前後比較の話を譲り、ここでは画像を評価するときの比較条件に焦点を絞る。画像の横にある数値だけでなく、その画像を撮ったときの課題の名前を読むための記事である。

腹部を固めることと引き込むことは、説明を聞くと同じ「お腹に力を入れる」にまとまりやすい。だが研究では別の条件として扱われている。自分がどちらをしているかを省いたまま画像だけを並べると、比較したいものが途中で変わる。運動の説明で使われた言葉も、数値と同じくらい大切な情報なのだ。[9]

同じ参加者が両方を行った点にも意味がある。別の人の腹筋を見比べた結果ではなく、参加者が異なる方法を経験した比較だからである。評価したのは方法間の違いであり、日々の練習による成長とは区別する。研究の設計は、答えられる問いを具体的にするものであり、あらゆる効果を保証する札ではない。[9]

たとえば、説明画面の左に「以前」、右に「現在」とだけ書かれていたとする。見る人は自然に、間に行った練習の成果だと読みたくなる。そこで確かめたいのは、撮影日の違いだけでなく、両側が同じ力の入れ方をしているのかという点だ。方法間で筋厚が異なった研究は、この確認を省けない理由になる。[9]

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同じ腹筋でも、厚くなる条件はそろわなかった

腹直筋はブレーシングのほうが厚く、平均値は10.07±1.55 mm、ホローイングでは9.22±1.46 mmだった。対して内腹斜筋はホローイングで8.65±3.18 mm、ブレーシングで6.63±2.14 mmだった。筋肉によって、厚く測られた方法が逆になっている。[9]

腹横筋もホローイングで厚く、4.08±1.23 mmに対し、ブレーシングでは2.41±0.80 mmだった。腹直筋の数字を見ればブレーシングが上に見え、腹横筋の数字を見ればホローイングが上に見える。どの筋肉を取り上げたかで、画像から受ける印象は変わる。[9]

この結果は、腹筋全体に共通する「厚ければ優秀」という順位をつける材料にはならない。そもそも異なる方法を比較した値だからだ。腹直筋を見たいのか、腹横筋を見たいのか。対象を決めずに、最も大きく変わった画像だけを選ぶと、研究の読み方が変わってしまう。[9]

なお、論文には腹横筋の厚さについて約31%の増加という説明もある。ただし、並記された4.08 mmと2.41 mmから単純に求める変化率とは一致しない。ここでは割合を効果の見出しにせず、各条件の測定値をそのまま示す。どちらもプランク継続による増加率としては扱わない。[9]

また、示された値は参加者全体の平均とばらつきである。画像を見ている本人の変化量ではない。研究の平均値を自分が達成する目標値に置き換える必要もない。ここでの数字の役割は、方法と筋肉の組み合わせによって結果が異なると具体的に示すことにある。[9]

腹直筋の結果には10.07±1.55 mmのように、平均値に別の数値を添えた表記が使われている。読むときに大切なのは、その人が必ず10.07 mmになるという意味には受け取らないことだ。平均値だけを切り出して個人の基準にせず、健康な成人が異なる方法を行ったときの比較結果として理解したい。[9]

腹直筋の比較はp=0.032、内腹斜筋と腹横筋の比較はp<0.05と報告された。これは方法間の差についての統計的な評価である。「差が有意だった」という説明を見ても、その差が見た目の変化としてどれほど重要か、運動をどれほど続けるべきかという問いへの回答には置き換えない。[9]

ここでは、筋肉を増やす方法の優劣より、測る対象を限定することに注目したい。腹横筋の結果を説明する画像に、腹直筋の値を持ってくることはできない。同じ腹部にある筋肉でも結果が逆向きだったため、単に「腹筋が厚い」という説明では、研究が示した違いを取り落としてしまう。[9]

静止している課題と、動く課題を分ける

この研究では、仰向けで膝を曲げた静的な課題と、仰向けで足先を動かす動的な課題を調べた。静的な課題では、腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋の筋活動はホローイングで高かった。一方、動的な課題では、両方法の筋活動に有意差がなかった。[9]

有意差がない結果も、比較を読むための大事な部分である。静止した場面で差が見えたからといって、動いている場面の結果は別に確かめる必要がある。この研究では、課題によって両方法の筋活動の比較結果が異なっていた。[9]

プランクの画像を紹介する文章にこの研究が引用されていたら、実際の課題まで確かめたい。「腹部の研究」という共通点だけでは、仰向けの課題からプランクへの置き換えは成立しない。運動の名前を省略した説明ほど、元の比較を丁寧にたどる必要がある。[9]

さらに、筋厚を測った筋肉と、表面筋電図で測った筋肉の顔ぶれも同じではない。超音波では腹横筋を含む筋肉を調べたが、表面筋電図で評価したのは腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋だった。したがって、腹横筋が厚かったという結果を、腹横筋の表面筋電図も高かったという文章へ変えてはいけない。[9]

腹直筋についても、筋厚はブレーシングで大きかった一方、静的な課題での筋活動はホローイングで高かった。画像の厚さと電気的な活動を同じ成績表として扱うと、ここで読み違える。数値の大小だけを追わず、どの指標で大きかったのかまで言葉にすると、結果を整理しやすい。[9]

仰向けの静的な課題では、体を大きく動かさなくても比較が行われている。動的な課題は仰向けで足先を動かす課題であり、プランクから脚を動かす方法とは区別する。動画で見た姿勢と研究の課題が違う場合には、同じ腹部運動という名前だけで説明をつなげないことが必要だ。[9]

「動的な課題で有意差がなかった」は、方法が完全に同一だと証明されたという意味でもない。少なくとも、この課題の筋活動について、静的な課題と同様の有意な差は認められなかったという結果である。差が出た場面も出なかった場面も残して読むと、万能な力の入れ方を選ぶ話にはならない。[9]

数字で読む腹部運動の比較

参加者18人:男性9人、女性9人の健康な成人を対象にした研究である。[9]

条件間の間隔1週間:異なる方法をランダムな順序で行った。[9]

腹直筋10.07 mmと9.22 mm:ブレーシングとホローイングの平均筋厚である。[9]

内腹斜筋8.65 mmと6.63 mm:ホローイングとブレーシングの平均筋厚である。[9]

腹横筋4.08 mmと2.41 mm:こちらもホローイングとブレーシングの比較であり、運動前後の成長量ではない。[9]

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