ダイエット中のノンアルコールビールは、飲むだけで体重が減る飲料なのか。大学生の飲酒調査と糖尿病患者の比較試験を手がかりに、お酒への追加と置き換え、味を求める場面と気分を変えたい場面の違いを読む。表示の確認と晩酌の記録から、自分に合う使い方を考える。
冷蔵庫には、お酒とノンアルコールビールが並んでいる。夕食でそれを開け、食後にはいつものお酒も開ける。飲料の選択肢は変わったが、お酒の出番は変わっていない。この違いが、置き換えを考える出発点になる。
ノンアルコールビールは、お酒を飲んでいた場面の代わりとして使える可能性がある。ただし、買うことと飲酒量が減ることは別である。オランダの大学生の調査では、アルコールを含まない飲料をお酒に追加していた人が多く、代わりにしていた人は少数だった。[4] ダイエットのために選ぶ場合も、まず確認したいのは商品名より、晩酌のどの部分が入れ替わったかである。
体重については、特殊な糖質配合のビールを調べた試験を、そのまま市販のノンアル全般の減量効果に広げられない。[9] 体重を減らすことを全員の目標にする必要もない。既存記事「お酒とダイエット、アルコールが体重に関わる3つの経路と晩酌の見直し方」に体重との広い関係を譲り、ここでは「代わりにしたつもりなのに、なぜ習慣が残るのか」を追う。

ノンアルを足すことと、お酒を替えることは違う
飲み物の置き換えとは、もともとお酒を飲んでいた機会に別の飲料を選ぶことである。食卓にノンアルを加えながら、以前と同じようにお酒も飲むなら、飲料の追加になる。この区別を正面から調べたのが、オランダの大学生4,318人を対象とする調査だ。女性が70.2%、平均年齢が22.6歳の集団で、飲む頻度や量、アルコールを含まない飲料をどう使っているかを尋ねている。[4]
回答者の54.9%はアルコールを含まない飲料をお酒への追加として飲み、17.4%は代わりとして使っていた。多くの学生は、そうした飲料を飲み始めても、お酒の杯数を変えていなかった。[4] ノンアルが冷蔵庫にあるだけで、飲酒量が自動的に減るという期待には、この調査は支持を与えない。
一方、飲む日の平均杯数は、アルコールを含まない飲料を飲んだことがない人で3.98杯、過去に飲んでいた人で3.44杯、最近飲んだ人で3.59杯だった。[4] この並びだけを見ると、ノンアルの利用が飲酒量を減らしたように感じる。しかし調査は、同じ人に置き換えを割り当てて変化を測った比較試験ではない。もともとの飲み方や生活環境が違う人を比べた結果であり、原因と結果の順序は決められない。[4]
実際、代わりとして使う学生は、追加する学生より年齢が高く、ひとり暮らしやパートナーとの同居が多く、実家暮らしは少なかった。安定した交際関係にある人も多かった。[4] 暮らし方を成功の条件とは決められないが、飲料の選択は味だけで完結せず、食卓を誰と囲むかにも関係していたのである。
ここから日常に引き寄せるなら、買った本数だけを成果にしないことだ。たとえば「帰宅して最初に飲むものを替えた」と「帰宅後の飲み物が増えた」は、買い物の内容が同じでも異なる行動になる。食後のお酒がそのまま残っていたなら、失敗と決めつけず、まだ入れ替わっていない場面を見つける。研究が数えていたのは、ノンアルへの好感ではなく、お酒とどう並んでいたかだった。[4]
飲まない日のお供として選ぶ場合と、飲む日の途中に挟む場合も区別して記録したい。どちらが自分に使いやすいかは、夕食の内容、同席者、帰宅時の気分を添えると考えやすい。ここでの記録は研究から導いた観察の提案であり、記録すれば一定量の飲酒が減ると約束する方法ではない。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
味、付き合い、気分で、置き換えの意味が変わる
同じ缶を手に取っても、欲しいものは人によって違う。食事に合う味が欲しい人、乾杯に参加したい人、気分を変えるためにお酒を飲む人では、代わりの飲料に求める役割が異なる。英国の成人を対象にした横断研究、つまりある時点の回答を比べる調査は、この動機の違いを検討している。[2]
対象は過去1年に飲酒した16〜93歳の2,555人で、女性は49.0%だった。18〜39歳の女性だけの結果ではなく、この年代の女性に同じ関連が成り立つかは別に確かめる必要がある。[2]周囲に合わせるために飲む動機が強いことは、月に少なくとも一度、アルコールを含まない、または低アルコールの飲料を飲むことと関連していた。調整後のオッズ比は1.10、95%信頼区間は1.00〜1.21である。[2] オッズ比は回答の起こりやすさの比較であり、飲酒量が10%減ったという数字ではない。
信頼区間は、推定値の不確かさを示す幅だ。この結果は周囲に合わせる動機と利用の弱い関連を示すが、ノンアルを出せば誰もが飲酒を減らすという意味ではない。研究者は、飲酒のある環境に参加するための代替として役立つ可能性を述べる一方、実際の置き換えをさらに調べる必要を指摘している。[2] 乾杯用のグラスを持つことと、その晩に飲むお酒の総量は別の問いなのである。
中年期の女性497人、年齢40〜65歳を対象とした別の横断調査では、味を求める動機がノンアル・低アルコール飲料の利用と強く正に関連した。一方、楽しさや気分の高まりを求めて飲む動機は、利用と負に関連していた。[5] 味の代役として受け入れられる場合と、お酒に求める体験の代役になりにくい場合がある、という読み方ができる。18〜39歳の女性とは年齢層が異なり、同じ動機の関連が当てはまるかは、この調査だけでは判断できない。[5]
この調査では約75%が、ノンアルなどへの置き換えを飲酒量の低減に役立つと評価している。[5] ただし、役に立ちそうだと答えた割合は、実際に減らせた割合ではない。また、味を求める動機は利用と関連したものの、置き換えを役立つと感じる評価とは明確な関連を示さなかった。[5] 「好きで飲む」「代わりになると考える」「お酒が減る」は、それぞれ違う段階として扱いたい。
夜、仕事の連絡を読み終えたあとに飲む場合、欲しかったのは食事に合う苦味か、仕事が終わった合図か、気分を切り替える時間か。これは自分を責めるための質問ではない。味が主な理由なら味の選択を考え、付き合いなら注文や乾杯の場面を考える。気分の問題なら、飲料を買い直すだけで十分かを見直す。動機と利用が異なるという研究結果を、生活のどこを調整するかという問いに変えるのである。[2][5]
体重が減った試験でも、ノンアルの減量効果とは言えない
飲酒調査とは別に、アルコールを含まないビールの配合を変えた無作為化比較試験がある。参加者を偶然によって異なる順序に振り分け、同じ人が通常のビールと特殊な配合のビールを飲む交差試験である。対象は糖尿病があり、過体重または肥満の41人だった。[9] 18〜39歳の健康な女性にそのまま当てはめることはできず、お酒を市販のノンアルに替える場合とは対象も比較内容も異なる。
通常品と実験品をそれぞれ10週間、毎日66cL飲み、間には6〜8週間の期間を置いた。実験品は麦芽糖をほぼ取り除き、イソマルツロース16.5gと難消化性のマルトデキストリン5.28gを一日分として加えたものだった。参加者には心血管の健康を意識した食事と、身体活動を増やす助言も行われている。[9] 試験の飲料量は研究条件であり、日常で飲む量の推奨ではない。
体重の変化は実験品の期間で−1.69±3.21%、通常品の期間で−1.77±3.70%で、両者の差は有意ではなかった。差の検定の値は0.881だった。[9] どちらの期間にも体重減少はあったが、食事や活動への助言を受けながらの変化である。お酒から替えた人と替えなかった人の比較でもなく、ビールを飲まない条件との比較でもない。この設計から、飲料だけによる減量を取り出すことはできない。[9]
実験品では、インスリン濃度と、インスリンの働きにくさを評価する指標であるHOMA-IRが有意に低下した。一方、血糖値と糖化ヘモグロビンは、どちらの期間でも有意には変わらなかった。[9] 体重、血糖、インスリン抵抗性をひとつの「体によい」で括れば、何が変わったかを見失う。結果の見出しに減量という言葉があっても、比較している飲料の配合と測定項目まで確かめる必要がある。
数字で読むノンアルへの置き換え
4,318人:オランダの大学生を対象とした飲料利用の調査規模。[4]
54.9%と17.4%:お酒への追加と、お酒の代わりとして使った学生の割合。[4]
2,555人:飲酒の動機とノンアル・低アルコール飲料の利用を調べた英国の成人の人数。[2]
約75%:置き換えを役立つと評価した中年期女性の割合。実際の飲酒減少率ではない。[5]
41人・各10週間:通常品と特殊配合品を比較した糖尿病患者の試験条件。[9]
−1.69%と−1.77%:実験品と通常品の期間の平均体重変化。両者の差は有意ではない。[9]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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