ヨガのトカゲのポーズは後ろの膝をつく?支える点と股関節の負担を読み分ける

ヨガのトカゲのポーズで後ろの膝を浮かせるとつらいとき、膝をつく形をどう選ぶか。ヨガの筋活動、ランジと膝立ちの動作、足首の動きを調べた研究から、姿勢の深さと負担を分けて考える。体が硬い初心者が写真の完成形を追う前に、支える場所と指導者に伝える感覚を整理する。

肘が床に届くより先に、後ろの脚が震えてくる。前の足の内側に手を置き、後ろの膝を浮かせた途端、股関節を伸ばすつもりが、全身で床を押し返す時間になる。トカゲのポーズで迷うのは、肘が床につくかより、後ろの膝を下ろしてよいのか、ということかもしれない。

膝をつく形は、指導者と相談する選択肢にしてよい。ただし「つけば股関節の負担が必ず小さくなる」とまでは決めない。ヨガの筋活動は姿勢と筋肉によって異なり、膝を曲げる動作も活動ごとに違う。形の名前だけで負担の順位を決めるのは早い。[6][3]

ここで考えたいのは、膝を浮かせることを合格条件にせず、どこで体を支え、どこを動かそうとしているかを整理することだ。骨盤の反り方は既存記事「ヨガのローランジは腰を反るほど伸びる?骨盤の傾きと股関節の伸びを読む」に譲り、この記事では床に触れる場所と負担の読み分けに焦点を置く。

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後ろの膝を下ろすかより、何を確かめたいか

トカゲのポーズを練習する場面で、「脚のつけ根の伸びを確かめたい」のか、「姿勢を支える練習をしたい」のかを、まず言葉にしてみたい。これは効果を保証する分類ではなく、指導者へ相談するときの整理である。写真と同じ形に近づくことだけを目的にすると、膝を下ろす相談さえしにくくなる。

ヨガの姿勢を筋活動から比べた研究では、体の前側、背中、股関節まわりで、強く働く姿勢が同じではなかった。健康でヨガ経験のある成人22人、平均年齢24.4歳を対象に、立位、膝立ち、あおむけ、うつぶせを含む16の姿勢を測った研究である。女性16人、男性6人で、姿勢に入る局面と保持する局面を調べている。男女を含む経験者の測定なので、18〜39歳の女性初心者へ同じ筋活動の値をそのまま当てはめることはできない。[6]

測定に使われたのは表面筋電図、皮膚の上から筋肉の電気的な活動を記録する方法だ。各筋肉が最大限に力を出したときの値を基準にして、姿勢ごとの活動を比べている。したがって、この数字は関節にかかる力そのものでも、痛みの強さでもない。腹筋の活動が高いという結果を、そのまま股関節がよく伸びるという意味に置き換えないことが大切だ。[6]

仕事帰りにマットへ来た日、今日はどの感覚を確かめたいのか。前の脚のつけ根なのか、後ろの脚なのか、それとも姿勢を保つこと自体なのか。自分の答えが曖昧でも、「膝を浮かせると腕と脚で踏ん張ることばかり考える」と伝えればよい。指導者と形を選ぶための材料になる。

「できた」を膝の高さで採点しないことにしたい。動作研究は、姿勢や測定項目を区別して体を見ている。[3][6] 日々の練習でも、肘が床に届いたかという見た目と、支える場所を説明できたかという観察を分けてみる。床は到着を急かしてこない。

研究の対象者にも目を向けたい。この筋活動研究は、健康でヨガ経験のある人を測っている。腰痛に用いられる姿勢を調べた研究であっても、測定対象は健康な経験者だった。経験者の筋活動の値を、そのまま初心者の到達目標や腰痛への処方にすることはできない。[6]

また、姿勢に入る途中と、入ってから保つ時間を分けて測定した点も参考になる。[6] レッスンで相談するときも、「この姿勢が苦手」だけで終えず、脚を後ろへ運ぶ途中で迷うのか、膝を浮かせて止まるところで困るのかを話してみたい。完成した写真には写らない過程を、言葉で補うのである。

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支えの数と、股関節の負担は同じ数字ではない

後ろの膝が床に触れれば、触れていない形とは接触の条件が変わる。ただ、その変化を「股関節の負担が何割減る」と言い表すには、実際にどこへどれだけ力がかかるかを測る必要がある。接触している場所を数えることと、関節の負担を測定することは別の作業である。

この違いを考える手がかりが、慢性的に足首が不安定な人のスクワット研究だ。足首に不安定性のある15人と対応する対照群を比べ、足首の動きや体幹の安定性の検査と、両脚・片脚スクワットの動作を調べた。不安定性のある側では、片脚スクワットは両脚より動きが少ない一方、力学的な要求は高かった。慢性的な足首の不安定性を持つ人の結果を、18〜39歳の女性一般へそのまま当てはめることはできない。[1]

ここでいう力学的な要求は、単にどれだけ大きく動いたかとは異なる。研究では関節の角度と、関節を回そうとする力の働きなどを分けて扱っている。小さく動いているから楽、大きく動いているから重い、という見た目の判断と一致するとは限らない結果である。[1]

もちろん、この比較はトカゲのポーズの膝あり・膝なしの比較ではない。足首の不安定性を持つ人のスクワットの結果であり、ヨガ初心者全体の股関節負荷へ数値を移すことはできない。それでも、動きの量と力の要求を分けて見るという読み方は参考になる。[1]

たとえば指導者へ、「膝を下ろすと姿勢は低くなるが、前の脚の感じは変わる」と伝える場面を考えたい。低くなったことだけを成功とせず、どの部分で違いを感じたかまで話すのである。後ろの膝の接触、手で支える感覚、前の脚の位置を、ひとまとめに「硬いから」と片づけない。

負担という言葉にも注意したい。筋肉を働かせる負担、床に触れる場所の不快感、関節を深く曲げることへの不安は、同じ訴えではない。動作の研究と筋電図の研究が測っているものも異なる。[1][6] 「きつい」を詳しく言い換えることから、調整の相談を始められる。

足首の研究で使われた体幹の検査には、片膝立ちの姿勢が含まれていた。しかし、その検査を通過したかどうかと、ヨガの姿勢を心地よく練習できるかどうかは、同じ評価ではない。研究内での検査の役割と、教室で選ぶ姿勢の役割を区別したい。[1] 検査に似た格好を見つけても、自宅で合否判定を始める必要はない。

「膝をつくと楽だった」という個人の感想は、その日の相談材料として大切にしてよい。それを誰にでも当てはまる負荷の法則へ広げないだけである。逆に、他の人が膝を浮かせて静かに止まっていても、その見た目から自分の股関節の状態を判定することはできない。隣のマットは測定機器ではない。

膝をつく姿勢でも、骨は動いている

膝を床につけたら、膝はただの支柱になる。そう思いやすいが、膝立ちの画像研究では、深く曲げる過程で骨の位置や回転も変化していた。45歳を超える健康な参加者25人、うち男性13人を対象に、膝立ちから深く膝を曲げる動作を調べた前向き観察研究である。18〜39歳の女性とは年齢も異なるため、観測された角度や動きをそのまま当てはめることはできない。[13]

参加者が到達した膝の曲がりは平均142度、標準偏差6度だった。標準偏差は、参加者の値のばらつきを表す。膝が曲がるにつれて、大腿骨がすねの骨に対して後方へ移る動きが観察され、膝の曲がりと骨の回転にも関連があった。横から見た折れ曲がりだけでは、関節の動き全体を言い尽くせない。[13]

この142度は目標角度ではない。研究の参加者が膝立ちから深く曲げたときの観測値であり、トカゲのポーズで後ろの膝をそこまで曲げるよう求める数字ではない。床へ膝を置くことと、膝を最大まで曲げ込むことも区別しておきたい。[13]

健康な膝と変形性膝関節症の膝の動きを比較した系統的レビューでも、動作の種類が大きな論点になった。対象となった23研究には、歩行、段差を上がる動作、膝立ち、スクワット、ランジなどが含まれる。健康な膝と変形性膝関節症の膝を含む比較であり、18〜39歳の女性のヨガで起こる動きへそのまま当てはめることはできない。同じ活動を同じ指標で記録した研究がそろわず、メタ分析による統合はできなかった。[3]

このレビューでは、健康な膝と関節症の膝の違いも観察された一方で、活動と記録方法の違いによる動きのばらつきが、それらの膝の違いによるばらつきより大きかった。つまり「膝の研究」と一括りにしても、何をしているときかを飛ばすことはできない。[3]

トカゲのポーズで膝を置くことを、膝立ち研究の深い屈曲と同じものとして怖がる必要も、膝を置けば関節の問題がすべてなくなると考える必要もない。研究の動作を区別したうえで、自分が不快に感じるのが膝の接触なのか、曲げ方なのかを伝えたい。[3][13] 痛みがある場合の判断は医師に相談する。

この画像研究では、足を自由にした条件で膝立ちの動作を観察し、画像から骨の動きを再構成している。[13] 前の足と手で床に触れ、後ろの脚を引く練習場面とは条件が異なる。研究を読むときに動作の説明を省かないのは、似た姿勢の数値を借りて、自分にも同じことが起きると決めないためだ。

数字で読む支え方と動作の研究

22人:ヨガ経験のある健康な成人の体幹・股関節まわりの筋活動を測定した人数だ。[6]

16姿勢:立位、膝立ち、あおむけ、うつぶせを含むヨガ姿勢を比較した。[6]

15人:足首の不安定性を持つ群の人数で、スクワットの比較である。[1]

25人:健康な成人の深い膝立ち動作を画像で観察した人数である。[13]

23研究:膝の動きを扱う系統的レビューの採用数で、活動や測定方法には違いがあった。[3]

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