
筋肉の厚さが変わることと、育つことを分ける
健康で腰痛のない120人が体幹運動を行った横断研究では、超音波画像で腹横筋と内腹斜筋の厚さを測っている。収縮中の厚さを安静時の厚さで割り、運動によってどれほど違うかを比較する方法だ。対象者は18〜30歳、31〜40歳、41〜50歳の各群40人で、運動と年齢による違いを調べた。中年層も含む集団での比較なので、18〜39歳の女性だけに同じ平均値が当てはまるかは、この集団全体の値からは判断できない。[9]
四つばいから対角の手脚を上げる運動では、腹横筋の厚さの比は平均1.59、標準偏差0.49、内腹斜筋は平均1.25、標準偏差0.36だった。標準偏差は値の散らばりを表す。腹横筋の厚さの変化に対して、内腹斜筋の変化が比較的小さい運動として位置付けられている。[9]
この1.59という値は、収縮している瞬間と安静時の比較である。「練習を続けて筋肉が1.59倍に育った」と読む数値ではない。同じ画像の厚さという言葉でも、測る時点が変われば答える問いが変わる。練習直後の写真で長期の成果を判定する前に、研究が比べたものを確かめたい。[9]
また、この研究では筋肉の厚さの変化に運動種目の違いが見られた一方、年齢群による有意な違いはなかった。ただし、対象は健康で腰痛のない人である。この年齢範囲で得られた結果を、年齢や健康状態を問わず同じだという保証には使えない。日常の自分と研究の参加者に、どんな共通点があるかまで読む必要がある。[9]
筋電図で記録する活動、超音波で見る厚さ、超音波で評価する硬さは、それぞれ違う測定の窓である。四つばいの研究を並べる際には、この違いを残しておきたい。活動が高かったという報告と、収縮中に厚くなったという報告を同じ数値の物差しで並べると、運動の強さの順位を見誤る。[2][3][9]
たとえば、筋電図の最大努力に対する割合が大きい運動と、安静時に対する厚さの比が大きい運動を、その数字だけで比較することはできない。前者の基準は最大努力、後者の基準は安静時だからだ。数字の横に付いた単位だけでなく、何を分母にしたかを見ると、細かな研究結果を過剰な種目ランキングに変えずに済む。[5][9]
厚さの比が大きい運動だけを探すと、目的による選び分けも見えにくくなる。この横断研究では、横向きで体を支える運動や腹部を丸める運動で、腹横筋と内腹斜筋の両方の厚さが大きく変化した。一方、腹部を引き込む操作と四つばいの対角の手脚上げは、内腹斜筋の変化を比較的小さくしたまま腹横筋の厚さが変わる課題として挙げられている。[9]
つまり、「全体として厚さがよく変わる運動を知りたい」のか、「内腹斜筋と腹横筋の反応を分けて見たい」のかで、注目する結果が異なる。自分の練習を相談するときも、ただ最も効く種目を求めるより、手脚を動かしながら腹部の操作を確かめたいと伝えるほうが、確かめる課題を絞りやすい。数字は目的と組み合わせて初めて選択の材料になる。[9]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
四つばいが難しい日は、課題をほどいて考える
健康な32人、平均年齢21.3歳を対象にした研究では、腹部をへこませる動作を、膝を曲げた仰向け、うつ伏せ、四つばい、壁を支えにした立位で比較した。いずれの開始姿勢でも、腹横筋と内腹斜筋を合わせて捉えた筋電図の活動が高く、腹直筋の活動は低かった。腹横筋だけを切り分けた測定ではない点も押さえておきたい。健康な若い参加者の結果だが、18〜39歳の女性全体にも同じ活動の分担が当てはまるかは、年齢の近さだけでは判断できない。[6]
この結果は、腹部への操作を四つばいだけの専売特許にしない見方につながる。手で支えながら手脚を上げる課題と、腹部をへこませる操作を確かめる課題を、練習の中でいったん分けることはできる。四つばいを難しくしていくことだけが、腹部の活動を考える道ではない。[5][6]
ただし、姿勢を変えればすべての筋肉が同じように活動するわけでもない。腰を安定させる運動に不慣れな健康な25人を調べた研究では、腹横筋と内腹斜筋を合わせた活動が最も高かったのは、膝を曲げた仰向けから右脚を上げた条件だった。多裂筋の活動が最も高かったのは、四つばいで右脚を水平に伸ばして上げた条件である。運動に不慣れな人の比較なので、18〜39歳の女性にもそのまま当てはめるには、運動経験の違いを考える必要がある。[4]
腹部を中心に確かめたい日と、背中の筋肉の分担も考えたい日で、比べる課題は変わる。これは「四つばいは劣る」という話でも、仰向けなら何でもよいという話でもない。対象者が不慣れな人だったこと、調べた開始姿勢の中での比較だったことを含めて、運動を選ぶ材料にする。[4]
立川駅北口から帰宅してマットを開いた夜、手脚を同時に上げる姿だけを再現しようとすると、腹部への指示まで思い出せないこともあるだろう。そんなときの練習メモは、「四つばいができなかった」より、「腕上げは行ったが、腹部の操作は別に確かめたい」のほうが具体的だ。研究が分けた条件を、自分の振り返りにも残すのである。[2][5]

よくある誤解
「床を強く押せば、腹横筋もその分だけ働く」は、このテーマで飛び越えやすい推論だ。腕上げと脚上げの比較、腹部への指示を変えた比較から読み取れるのは、課題や指示によって筋活動が変わることである。そこから押す力と腹横筋の活動の比例関係まで決めることはできない。練習で使う短い合図と、筋活動の測定結果を分けたい。[2][3][5]
「バードドッグは、腹筋も背筋もいつでも最大に働く」も正確ではない。健康な女性の比較では多くの測定筋で腕上げより高い活動を示したが、左の多裂筋は左脚上げのほうが高かった。どの筋肉を見ているかを外すと、同じ実験の中にある違いすら見えなくなる。[3]
「深い筋肉だけを使えないと意味がない」という考え方にも、立ち止まる余地がある。腹横筋と腹直筋の活動を分けて増やせた実験がある一方、四つばいで腹部をへこませても、内腹斜筋と外腹斜筋の同時活動は観察されている。表面側の筋肉が全く働かないことを、練習の合格条件にする根拠にはならない。[5][8]
「お腹がへこんだから、筋力が付いた」も、その場の操作と後の変化を混ぜている。体幹運動中の腹横筋の活動量や筋厚の変化は、運動している最中の反応を捉えた値だ。今回の問いへの答えは支え方と筋活動の分担にあり、長く続けた後の成果を数値で約束するものではない。[5][9]
今日からできること
- 練習の課題名を具体的に残す。女性30人の比較にならい、片腕上げ、片脚上げ、対角の手脚上げを一括りの「四つばい」にしない。回数を増やす前に、どの課題で体幹の形が変わったかを言葉にする。[3]
- 手脚の動きとは別に、お腹をへこませる指示を受けたかも振り返る。女性9人の実験では、この指示によって腹横筋の活動が変わった。[5]
- 手脚を遠くへ伸ばす見た目だけでなく、腰の形が変わる場面を観察する。男性15人の実験は、腹部への指示と背骨の角度を分けて評価している。[2]
- ほかの腹筋の働きを失敗扱いしない。四つばいで内腹斜筋と外腹斜筋が同時に活動した人は45%であり、完全な孤立だけを目標にしない。[8]
- 腹部の操作と手で支える課題を整理したいときは、開始姿勢を指導者と確認する。健康な32人の研究では、異なる姿勢でも腹横筋と内腹斜筋の活動を促せた。[6]

オンザショア立川店で、腹部の操作を確かめる時間を作る
手で支える課題と腹部をへこませる操作を分けて振り返るには、練習する時間を予定に置くところから始められる。オンザショア立川店はJR立川駅北口から徒歩1分、営業時間は8:00〜23:30で、年中無休である。所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F。生活の中に運動の時間を置く場所として、営業時間と通う経路を合わせて確認できる。全曜日で営業時間が同じなので、平日と休日のどちらに通うかも、予定と照らして考えられる。
溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガに加え、常温のヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニングがある。女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIITもあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンを用意している。利用案内は店のトップと料金ページで確認できる。
参加条件も先に確認しておきたい。妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。ヨガの体験レッスンは税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。体験の予約から、練習の時間を選べる。
参考文献
[2] Effects of abdominal hollowing and bracing on each intervertebral angle during quadruped upper and lower extremity lift: Three-dimensional motion analysis of the spine — Motomura Y, Tateuchi H, Ota M, Miyakoshi K, Asayama A, Nojiri S, Nakao S, Yagi M, 2024, Journal of biomechanics. DOI: 10.1016/j.jbiomech.2024.112128
[3] Is Abdominal Muscle Activity Different from Lumbar Muscle Activity during Four-Point Kneeling? — Pirouzi S, Emami F, Taghizadeh S, Ghanbari A., 2013, Iranian journal of medical sciences. DOI: なし
[4] Muscle Activity of Abdominal and Back Muscles during Six Starting Positions in Untrained Individuals — Sakulsriprasert P, Eak-udchariya P, Jalayondeja W., 2015, Journal of the Medical Association of Thailand = Chotmaihet thangphaet. DOI: なし
[5] Deep and superficial abdominal muscle activation during trunk stabilization exercises with and without instruction to hollow — Bjerkefors A, Ekblom MM, Josefsson K, Thorstensson A., 2010, Manual therapy. DOI: 10.1016/j.math.2010.05.006
[6] Abdominal muscle activity during abdominal hollowing in four starting positions — Chanthapetch P, Kanlayanaphotporn R, Gaogasigam C, Chiradejnant A., 2009, Manual therapy. DOI: 10.1016/j.math.2008.12.009
[8] Abdominal muscle activity during the abdominal hollowing manoeuvre in the four point kneeling and prone positions — Beith ID, Synnott RE, Newman SA., 2001, Manual therapy. DOI: 10.1054/math.2000.0376
[9] Changes in deep abdominal muscle thickness during common trunk-strengthening exercises using ultrasound imaging — Teyhen DS, Rieger JL, Westrick RB, Miller AC, Molloy JM, Childs JD., 2008, The Journal of orthopaedic and sports physical therapy. DOI: 10.2519/jospt.2008.2897
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
ヨガとからだの小さな疑問のほかの記事
- インナーマッスルの首トレで何が変わる?うなずき運動の協調と持久力を読む
- インナーマッスルの骨盤底筋は足首で変わる?つま先の上下と収縮の研究を読む
- インナーマッスルの効果は疲れで実感できる?筋活動と手応えのずれを研究で読む
- ウォーキングの階段下りは手すりで負担が減る?脚の力と支える腕を研究で読む
- ウォーキングは左右の歩幅を意識してそろえる?時間の間隔と関節の動きから考える
- ウォーキングで曲がる前に何歩から準備する?方向転換と足の置き方を研究で読む
- ウォーキングの下り坂はゆっくりなら楽?歩幅と速さで変わる膝の負担を読む
- ストレッチのローラーは肌の感覚でも変わる?圧の感じ方と動く範囲を研究で読む
- ストレッチのローラーは凹凸があるほどよい?表面と硬さで違う運動後の回復を読む
- ハムストリングのストレッチは脚を内へ寄せる?横位置と柔軟性の数字を読む
- ヒップアップのケトルベルは片手で振る?両手との骨盤の回転と筋肉の分担を読む
- HIITは寝不足でも同じ本数をこなせる?短い睡眠と翌日の反復する力を読む
- HIIT後の糖は速筋と遅筋へ同じように戻る?燃料の補充と次に動く力を読む
- HIITとウォーキングはどう比べる?心肺負荷と着地衝撃を分けて研究で読む
- HIITを休む週は少しだけ動く?中断と回数を減らす場合の体力を研究で読む
- インナーマッスルは縮んだ位置だけで鍛える?肩の筋肉の長さと出せる力を読む
- インナーマッスルは週にまとめて鍛える?同じ総量でも回数だけで決めない筋力の読み方
- 運動習慣は自由時間が多ければ増える?忙しい実感と使える時間を分けて研究で読む
- 運動習慣は自分への言葉で変わる?「しなければ」と選べる声かけを研究で読む
- ヒップアップのヒップスラストは足を遠くに置く?膝の角度と筋肉の分担を読む
- ヒップアップの横向き脚上げは背中を壁へ?骨盤を支えたときのお尻の働きを読む
- ヒップアップのランジは足を一直線に置く?横の間隔で変わる筋肉の分担を読む
- ヒップアップのヒップリフトはかかとを滑らす?止める脚との筋肉の分担を読む
- プランクは手を外向きに置くと楽?手首の角度と肩・腕の負担を研究で読み解く
- プランクは手のひらを上へ向ける?前腕の回転と肩を支える働きを研究で読む
- プランクの休憩は息が戻れば十分?筋肉の酸素と次に支える時間を研究で読む
- インナーマッスルの肩トレは肘を曲げる?伸ばす動きと外旋する力を研究で読む
- 汗をかく量は同じ体格なら男女で同じ?発汗の始まりと汗腺の働きを研究で読む
- 呼吸法は手先の温度を見ながら練習する?温かさの表示とリラックスを研究で読む
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
2






