コラーゲンペプチドと筋トレの12週間 偽薬の群も脂肪を減らした試験の上乗せ分

コラーゲンペプチドを飲みながら筋トレをした試験では、除脂肪量と脂肪量が偽薬より大きく動いた。ただ偽薬の群も大きく変わっている。高齢男性、中年男性、閉経前の女性の試験と19試験のまとめ、飲むだけの4週間の試験を並べ、上乗せ分の大きさと中身を確かめる。

偽薬を飲みながら12週間の筋トレを続けた高齢の男性たちは、脂肪量を平均3.5kg減らした[4]。同じ試験でコラーゲンペプチドを飲んだ群の減少は5.4kgである[4]。二つを並べると、群の差より先に、偽薬の群の数字の大きさが目に入る。偽薬の粉しか飲んでいなくても、週3回の筋トレだけで体はここまで動いた。

コラーゲンは肌や関節の話題で語られることが多い。体重や体組成を調べた研究には、運動と組み合わせた試験を集めたレビューが2本ある[1][2]。どちらも「飲むだけ」ではなく、「鍛えながら飲む」試験を中心に選んでいる。一方、運動を組み込まずに4週間飲んだ試験では、体の計測値に有意な変化は見られなかった[15]。

では、筋トレに足したときの上乗せはどれほどで、増えた分の中身は何なのか。比べられているのは何と何で、差し引かれているのは何か。その順にほどいていくと、コラーゲンを買うかどうかより先に決めることが見えてくる。たんぱく質全般の満腹感や筋肉の話は「たんぱく質とダイエットの科学 満腹感と筋肉維持は、体重計だけでは見えない」に譲り、ここではコラーゲンという一つの素材に絞る。

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飲むだけの試験と、鍛えながら飲む試験は問いが違う

コラーゲンペプチドと運動の組み合わせを調べた系統的レビューは、3つのデータベースから856件の論文をふるいにかけ、15件のランダム化比較試験を選んだ[1]。ランダム化比較試験は、参加者を偶然で群に分け、条件の違いだけを比べる方法である。15件のうち12件は趣味で運動する人、2件は高齢者、1件は運動習慣のない閉経前の女性を対象にしていた[1]。

このレビューは結果を4つの柱に分けている。関節の痛みとけがからの回復、体組成、運動後の筋肉痛と回復、筋肉とコラーゲンの合成である[1]。最も役立つとされたのは関節の機能と痛みの改善で、体組成や筋力、回復については「一定の改善」が見られたという書き方にとどまる[1]。体を引き締める素材として語られる場面が多いのに、研究者が真っ先に挙げた成果は関節のほうだった。

筋トレと組み合わせた試験では、コラーゲン群も比較群も同じ内容の筋トレを行う。だから2つの群の差は「筋トレの効果」ではなく、「筋トレに足したときの上乗せ」を表す。運動を指定しない試験は、飲むこと自体が体を変えるかを問う[15]。同じ「コラーゲンの試験」でも、答えている問いはまるで違う。この区別が、後の数字を読むときの物差しになる。

広告や記事でコラーゲンの試験の数字を見かけたら、比較群も同じ運動をしていたかを先に確かめる。

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高齢男性53人と中年男性97人、同じ15gを飲んだ2つの試験

よく引かれるのは、筋肉の量と力が落ちるサルコペニアと判定された高齢男性の試験である[4]。平均72.2歳の53人で、判定の段階は1か2だった。全員が指導つきの筋トレを週3回、12週間続けた。運動後に1日15gのコラーゲンペプチドを飲む群と、偽薬としてシリカを飲む群に分け、参加者も評価する側もどちらか分からない二重盲検で比べている[4]。

両群とも、除脂肪量、骨量、太ももの前の筋力、片脚で立つバランスが有意に高まり、脂肪量は減った[4]。その上で、コラーゲン群の変化のほうが大きかった。除脂肪量は+4.2kgと+2.9kg、脚の筋力は+16.5Nmと+7.3Nm、脂肪量は−5.4kgと−3.5kgである[4]。脚の筋力は右脚の太ももの前の筋肉を一定の速さで動かしたときの力として測られた[4]。測定には、X線を使って脂肪と脂肪以外を分ける二重エネルギーX線吸収法が用いられた[4]。

同じ種類のペプチドを、運動習慣のない中年男性で確かめた試験もある[9]。12週間の筋トレを修了した97人が、コラーゲン15g(30人)、偽薬(31人)、乳清たんぱく質のホエイ(36人)のいずれかを毎日とった。除脂肪量の増加はそれぞれ3.42kg、1.83kg、2.27kg、脂肪量の減少は5.28kg、3.39kg、4.08kgだった[9]。

主な解析では、コラーゲン群は偽薬群より除脂肪量が有意に増え、脂肪量が有意に減った[9]。一方、探索的に行ったホエイとの比較では、コラーゲン群とホエイ群の間にも、ホエイ群と偽薬群の間にも統計的な差は出ていない[9]。著者らはコラーゲンのほうが変化がはっきりしていたとも書いているが、差として確かめられたのは偽薬との比較だけだ。「ホエイより優れている」と言い切る材料を、この試験は持っていない。

ここで偽薬群の数字をもう一度見たい。中年男性の偽薬群は、何も足さない筋トレだけで脂肪量を3.39kg減らしている[9]。高齢男性の偽薬群も3.5kgだった[4]。コラーゲンの上乗せを語る前に、土台の筋トレがすでに大きな仕事をしていた。

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閉経前の女性77人と、若い男性57人の試験

女性を対象にした試験は少ない。15件の試験をまとめたレビューも、今後は参加者を増やし、女性や競技者を加え、筋肉の生検や画像のような精密な測り方で確かめるべきだと書いている[1]。数少ない例が、閉経前の女性77人が週3日、12週間の筋トレを行い、1日15gのコラーゲンペプチドか偽薬をとった二重盲検の試験である[10]。体組成は生体電気インピーダンス法で推定し、筋力は関節を動かさずに力を出す等尺性の測定で調べた[10]。

コラーゲン群は除脂肪量の割合が有意に増え、偽薬群も増えたが、増え方はコラーゲン群のほうが大きかった[10]。体脂肪率は両群で下がり、低下幅はコラーゲン群が上回った。握力の伸びもコラーゲン群が大きく、脚の力は両群で伸びてコラーゲン群でより目立った[10]。ただしこの試験の体組成は、高齢男性や中年男性の試験とは違う方法で推定されている[4][9][10]。数字を横に並べるときは、物差しが違うことを頭に置いておきたい。

趣味で運動する若い男性57人の試験は、別の角度から興味深い[5]。1日15gのコラーゲンか偽薬をとりながら、週3回、12週間の筋トレを行った。開始時の体格に差はなく、トレーニングの負荷と食事記録の内容も両群で似ていた[5]。

除脂肪量はコラーゲン群で偽薬群より有意に増えた[5]。体脂肪量はコラーゲン群では変わらず、偽薬群では有意に増えている[5]。脂肪の差の一部は、コラーゲン群が減らしたからではなく、偽薬群が増やしたことで生まれたわけだ。筋力は両群とも全項目で伸び、コラーゲン群にやや大きい傾向があった程度にとどまる[5]。

19試験768人のまとめが示した確かさ

個々の試験を束ねた分析もある。8週間以上、毎日コラーゲンペプチドをとった健康な成人の試験を集めた系統的レビュー・メタ分析は、19試験768人を統合した[2]。対象は17歳を超える標準体重から過体重の人で、運動と組み合わせた試験が中心だった[2]。

効果の大きさは、単位の違う試験をそろえるための標準化平均差で示されている。除脂肪量は0.48、腱の形は0.67、筋肉の構造は0.39、最大筋力は0.19、筋肉を傷める運動の48時間後の回復は0.43で、いずれもコラーゲンをとった側に有利だった[2]。

見落とせないのは、その確かさの評価である。根拠の確かさを等級で示すGRADEという方法で、体組成は「中程度」、腱の形と力学的な性質は「非常に低い」、残りは「低い」と判定された[2]。著者らは筋トレの補助として有望だと結論づけながら、効果の仕組みはまだ十分に分かっていないとも述べている[2]。

この分析で前に出ているのは、除脂肪量の増加だ。脂肪量の減少は、示された数字の中に入っていない[2]。体脂肪が減るという話は、主に個々の試験の結果から来ている[4][9][10]。

数字で読むコラーゲンペプチドと筋トレ

1日15g:高齢男性、中年男性、閉経前の女性、若い男性の筋トレの試験で共通して使われた量[4][9][10][5]。

+4.2kgと+2.9kg:高齢男性53人の12週間の除脂肪量の増加。コラーゲン群と偽薬群の値[4]。

−5.28kg、−3.39kg、−4.08kg:中年男性の脂肪量の変化。コラーゲン、偽薬、ホエイの順で、ホエイとの差は統計的に確かめられていない[9]。

0.48:19試験768人で除脂肪量に見られた標準化平均差。確かさは中程度と判定された[2]。

10g・4週間:運動を指定しない試験では、体の計測値に有意な変化がなかった[15]。

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