有酸素運動と筋トレの組み合わせ方 順番より先に決めたい体脂肪と筋力の目標

有酸素運動と筋トレを組み合わせると、体脂肪、筋肉、持久力はどう変わるのか。同じ日に行う順序を比べた試験から、閉経後女性や高齢者の研究まで確認する。体重が増えても体脂肪率が下がる例、瞬発力では注意したい結果も踏まえ、目的に合わせて続け方を選ぶ視点を紹介する。

重りを持つ場所と、歩いたり自転車をこいだりする場所。その間を移動するとき、「先にどちらを済ませれば、今日の運動を無駄にしないのか」と迷うことがある。運動そのものより、正解探しに疲れてしまう。

ところが、順番を変えても筋力や除脂肪量の増加に差が見られなかった試験がある。一方で、跳ぶ力の一部には順序による違いが出ている。同じ「効果」という言葉でも、何を測ったかで答えが違う。[8][19]

ここでは有酸素と筋トレの勝敗より、両方を組み合わせたときの変化を追う。体脂肪、筋力、持久力を別々に見ることが、組み合わせを考える出発点になる。[4][8]

併用の価値は、体重以外にもある

有酸素運動と筋力運動を組み合わせる方法は、コンカレントトレーニングと呼ばれる。研究では同じ運動時間の中で続けて行う場合も、同じ日に間隔を空けて行う場合もある。「一緒に」という言葉だけで、同一の方法を想像しないほうがよい。[8][19]

例えば、健康で日頃から体を動かしている若い男性を対象とした研究では、有酸素を先にする群が16人、筋トレを先にする群が18人だった。週2〜3回、24週間の併用で、両群とも持久的な運動成績と最大筋力が改善した。総除脂肪量はどちらも3%増えたが、体脂肪には有意な変化が見られなかった。[8]

除脂肪量とは体の脂肪を除いた部分の量で、筋肉だけを指す数字とは区別する。この研究では太ももの筋肉の断面積も測り、有酸素が先の群で14%、筋トレが先の群で16%増えた。群間の差は認められず、筋力や体の中身の変化と、脂肪の変化は別の結果になっている。[8]

この24週間の試験では、体組成を二重エネルギーX線吸収測定法で、太ももの外側にある筋肉の断面積を超音波で調べた。前者で体全体の内訳を、後者で特定の筋肉の大きさを追ったことになる。また、採血による血中脂質の評価も行われたが、両群とも有意な変化はなかった。筋力や除脂肪量の改善と、血液で測る指標の変化も一致していなかった。[8]

運動の評価を体重だけに任せると、こうした違いが見えにくい。階段で動き続けられることと、重い物を持てることを同じ点数に押し込めず、脂肪を減らしたい希望とも分けておく。研究で持久力や筋力が上がった事実を、脂肪も必ず減ったと読み替えない姿勢が大切だ。[8]

別の例として、軍の新規採用者を対象にした12週間の比較介入研究がある。高強度のインターバルと筋力運動を取り入れた78人と、通常の訓練をした69人を、全体の実施回数と時間をそろえて比較した。実験群ではスクワットなどの成績がより改善したが、体組成に差はなかった。体力の成績表と脂肪の成績表は、別々に返ってきたのである。[1]

軍の新規採用者の研究では、12週時点のスクワットの最大筋力は実験群で通常訓練群より38.9kg高く、荷物を運ぶ課題の所要時間は49.9秒短かった。筋骨格系のけがの件数も実験群6件、通常訓練群17件と報告されている。ただし無作為化比較試験として記載された研究ではなく、けがの少なさはこの訓練との関連として読む結果である。[1]

この対象を立川で働く大人にそのまま当てはめることはできない。ただ、併用の価値を「何kg減ったか」だけで決めると取り落とす結果があることは分かる。運動を増やしたのに体重計が静かなときも、評価する項目を先に整理したい。[1][8]

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脂肪が減った女性の試験は、何を比べたか

過体重または肥満の閉経後女性17人を無作為に分けた試験では、高強度インターバルトレーニングと筋トレを組み合わせた群と、運動を行わない対照群を比較した。高強度インターバルトレーニングとは、強い運動を間欠的に組み込む方法で、この試験では週3回、12週間実施している。[4]

減量の食事制限はせず、食事をそろえた条件で、運動群は対照群に比べ、身体能力が向上し、腹部全体と内臓の脂肪量が減り、部位別の筋肉量が増えた。体の脂肪と脂肪以外の量は、画像を使う方法で評価されている。おなかの変化を気にする女性にとって関心のある結果だが、参加者は少ない。[4]

ここで比較相手を見失わないようにしたい。この試験が比べたのは、併用と運動なしである。有酸素だけ、筋トレだけの群との直接比較は行っていない。従って「両方すると、片方だけより腹部脂肪が必ず大きく減る」とまでは、この試験から導けない。[4]

先ほどの若い男性の試験では脂肪の有意な変化がなく、閉経後女性の試験では腹部脂肪が減っていた。年齢や性別、開始時の体格、運動の内容、比較相手が異なるので、結果の違いを順序だけの問題にすることはできない。誰にどんな条件で実施したかを、結論と一緒に読む必要がある。[4][8]

同じ女性の研究でも、対象によって意味は変わる。過体重または肥満の乳がん患者と経験者を対象にした系統的レビュー・メタ分析は、17件の無作為化比較試験、女性1,148人をまとめている。平均年齢は54.0歳で、併用により体脂肪や脂肪量、除脂肪量などに好ましい変化が報告された。[3]

ただし、多くの結果の確かさは非常に低い〜低いと評価されている。標準化した効果量が示されていても、それをそのまま自分の体脂肪が何kg減るという予測に使うことはできない。治療を受けている人の研究を、健康な女性全員の減量の約束へ広げないことも大切だ。[3]

閉経後女性の試験には、もうひとつ調べたものがある。腸内細菌の構成だ。運動によって構成への影響が見られ、いくつかの細菌と体組成の変化に相関があった。一方で、細菌の多様性の指標などには変化が見られなかった。腸の中を調べれば、すべてが同じ方向に変わるという結果でもなかった。[4]

ここで相関とは、一方の変化ともう一方の変化に関連が見られることを指す。脂肪減少の原因が特定の細菌だと確定するには、因果関係の検証が要る。開始時の細菌の構成と運動への反応の関係も示されたが、どの人にどの運動を選ぶかを腸内細菌から決められるかは、さらに研究が求められている。[4]

読者が持ち帰る中心は、細菌の名前を覚えることより、この試験が脂肪、筋肉、身体能力を同時に確かめた点にある。体重が変わったという一言で終わらず、腹部の脂肪と動ける能力に目を向けている。ただし少人数の比較なので、腹囲の見た目だけから同じ内部の変化が起きたと断定する使い方は避けたい。[4]

乳がん患者と経験者の統合研究でも、測定した項目は脂肪だけではなかった。疲労、睡眠、生活の質にも好ましい変化が報告されたが、再発や寿命への効果を直接示した結果としては読めない。対象者の暮らしに関わる指標と、長期の病気の経過は区別して考える。運動の研究に多くを期待するときほど、実際に調べた項目を見失わないようにしたい。[3]

また、除脂肪量が増えたという研究と、筋肉の断面積まで測った研究は、得られる情報が異なる。若い男性の試験では両方が調べられているため、単に体重の内訳が変わったという話から、筋肉そのものの測定へ一歩進める。それでも、太ももの断面積の変化を全身の筋肉が同じ割合で増えたと広げることはできない。[8]

順番を入れ替えても、筋肉は育った

「筋トレの前に有酸素をすると台無しになる」という話は、順番を必要以上に重大な分岐点にしてしまう。若い男性の24週間の比較では、有酸素が先でも筋トレが先でも、持久力、最大筋力、除脂肪量、筋肉の断面積が改善し、群間差は見られなかった。[8]

トレーニング施設に置かれた、筋力運動に使うバーベルとダンベルの様子
トレーニング施設に置かれた、筋力運動に使うバーベルとダンベルの様子
写真: Alvinategyeka / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons

最大筋力は大きな力を発揮できる能力で、持久的な運動成績とは別に測られている。この試験では、自転車を使った段階的な運動テストと、脚で重りを押す種目の成績などを評価した。両方を調べたからこそ、持久力と筋力がともに改善したことが分かる。[8]

高齢男性でも、順序を比べた小規模試験がある。筋肉量や機能が低下するサルコペニアの男性30人、平均年齢64.3歳を、有酸素から筋トレ、筋トレから有酸素、対照の各群に分けた。週3回、8週間の併用で、運動した両群に体組成、筋力、有酸素能力の改善が認められた。[18]

興味深いのは、体脂肪率が下がる一方で体重は増えた点だ。有酸素が先の群では体脂肪率が1.5ポイント下がり、体重は2.4kg増え、骨格筋量は0.7kg増えた。筋トレが先の群では体脂肪率が2ポイント下がり、体重は1.1kg、骨格筋量は0.5kg増えた。[18]

体重の増加分をすべて筋肉と説明することはできないが、少なくとも「体重が増えたから体脂肪率も悪化した」という読み方は、この結果と合わない。研究では順序にかかわらず改善が得られており、群ごとの数値の大小だけで、片方の順序が優れていたと順位を付けるのも避けたい。[18]

こうした結果から、一般の人が順序の正解を探すあまり運動を先送りする理由は小さくなる。ただし、筋力、筋肉量、体脂肪のすべてで順序が永遠に無関係だと決着したわけでもない。測る能力が変われば、別の結果が現れる。[8][19]

数字で読む併用トレーニング

24週間:若い男性が有酸素と筋トレの順序を比較した期間。両順序で体力が改善した。[8]

3%:同じ試験の両群で増えた総除脂肪量。体脂肪の有意な変化はなかった。[8]

17人:閉経後女性の腹部脂肪減少が認められた試験の参加者数。小規模な結果である。[4]

2.4kg:高齢男性の有酸素先行群で増えた体重。同時に体脂肪率は下がった。[18]

約3時間:若い男性の別の試験で、同日に行う運動間に空けた間隔。万人への推奨間隔を示す数字ではない。[19]

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