最新の体験料金は料金ページ、最新のスケジュールは体験予約ページでご確認ください。体験レッスンは、ヨガ・ピラティスが1,980円(税込/税抜1,800円)、キックボクササイズが4,980円(新規の方限定)です。
秋の終わりの朝、立川駅の北口。改札を抜けてデッキに出ると、乾いた冷たい風が正面から吹きつけてきます。鼻の奥がむずむずする。来る、と分かった瞬間、体が勝手に動きます。片方の脚をもう片方の前に交差させ、膝を軽く曲げ、内ももをぎゅっと寄せる。肩をすくめて、くしゃみを一つ。何ごともなかったように、また歩き出す。
すれ違った人は、誰も気づいていません。でも本人は知っています。この小さな構えを、もう何年も続けていることを。
咳をするとき。くしゃみをするとき。大笑いしたとき。子どもとトランポリンで跳ねたとき。重い荷物を持ち上げたとき。下着が少しだけ濡れる。量はほんの少し。だから「ちょい漏れ」と軽く呼ばれます。けれど、軽く呼ばれるわりに、誰にも言えない。家族にも、友だちにも、かかりつけの医師にさえ、言いそびれている人が少なくありません。
この記事は、その話を書きます。立川駅北口から徒歩1分、溶岩の床の上でヨガやピラティスをしている小さなスタジオが、なぜこの話を書くのか。理由は単純です。レッスンの中には、咳もくしゃみも、笑いも、息を止めて踏ん張る瞬間も、跳ぶ動きもあるからです。ちょい漏れが気になって運動から足が遠のいている人がいるなら、その人のための段取りを、先に書いておきたいと思いました。
先にお断りしておきます。この記事に「ヨガで尿もれが治る」とは書きません。書けるのは、骨盤の底で何が起きているかの見取り図と、レッスンの場での工夫と、症状を放っておかないための目印です。

要点(結論から)
- 咳・くしゃみ・笑い・ジャンプで少しもれる「ちょい漏れ」は、医学の言葉で腹圧性尿失禁。出産を経験した人、更年期以降の人、跳ぶ運動をする若い人にもあり、珍しい悩みではない。
- 骨盤底は、骨盤の底にハンモックのように張られた筋肉の層。臓器を支え、尿道や肛門を閉じ、腹圧が上がった瞬間に下から押し返す。
- 息を止めて踏ん張る、息を止めたままの強い腹筋運動、ジャンプの着地は、骨盤の底を上から押し下げる方向に働くことがある。力を入れるときは吐く。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
「ちょい漏れ」は、珍しい悩みではない
咳、くしゃみ、笑い、ジャンプ、重いものを持ち上げる。どれも、お腹の中の圧(腹圧)がぐっと高まる瞬間です。そのときに、自分の意思とは関係なく尿がもれてしまうことを、医学の言葉で「腹圧性尿失禁」と呼びます。
尿もれには、ほかの形もあります。急に強い尿意がやってきて、トイレまで我慢できずにもれてしまうもの。こちらは「切迫性尿失禁」と呼ばれ、膀胱が勝手に縮もうとする「過活動膀胱」と関係することが多いと言われます。腹圧性と切迫性の両方が混ざっている人もいます。この記事が主に扱うのは前者、腹圧がかかったときのちょい漏れです。切迫性のほうは原因も対処も違うので、後半の「症状と相談先」で改めて触れます。
腹圧性のちょい漏れは、女性に多いと言われます。そして、思い浮かべられがちな姿より、ずっと幅広い人にあります。
- 出産を経験した人。お産のときに、骨盤の底の筋肉や組織が大きく引き伸ばされるためと考えられています。産後しばらくして落ち着く人もいれば、何年もたってから気になり始める人もいます
- 更年期以降の人。女性ホルモン(エストロゲン)が減ると、尿道やその周りの組織にも変化が出ると考えられています。年齢とともに、筋肉そのものも衰えていきます
- 出産の経験がない、若い、運動好きの人。跳んだり着地したりを繰り返す運動をしている人に、ちょい漏れがあることが知られています。「若いのに」「鍛えているのに」と思うぶん、かえって誰にも言えなくなることがあります
ほかにも、骨盤の底に負担をかける要因として挙げられるものがあります。便秘で強くいきむ習慣。長く続く咳。体重の増加。仕事や介護で重いものを持つことが多い暮らし。
つまり、ちょい漏れは「だらしない」からでも、「年だから仕方ない」ものでもありません。骨盤の底に何が乗っていて、そこにどんな力がかかっているか。その仕組みの話です。

骨盤の底にある、筋肉のハンモック
骨盤を、底の抜けた器だと思ってください。その底を下から支えているのが「骨盤底」です。
骨盤底は、一枚の板ではありません。前は恥骨、後ろは尾骨、左右は坐骨のあたりに付いた筋肉や膜が何層にも重なって、ハンモックのように張られています。その上に乗っているのが、膀胱、子宮、直腸。そしてハンモックの真ん中を、尿道、膣、肛門の三つの出口が通り抜けています。
骨盤底の筋肉には、大きく二つの仕事があると説明されます。
ひとつは、支えること。立っているあいだも、座っているあいだも、上に乗った臓器が下がってこないように、いつも少しだけ張っています。
もうひとつは、閉じること。尿道や肛門の周りを締めて、出したくないときに出さない。そして、咳やくしゃみで腹圧が急に高まった瞬間には、負けないように、間に合うようにきゅっと締まって、下から押し返す。
ちょい漏れは、この二つ目の仕事が腹圧の勢いに追いつかなかったときに起きると考えられています。筋肉が弱くなっている。締まるのが一瞬遅れる。ハンモックを吊っている組織そのものがゆるんでいる。お産、加齢、ホルモンの変化、長年のいきみ。理由は人によって違い、いくつかが重なっていることも多いと言われます。
ハンモックの上で、毎日、腹圧の波を受け止め続けている筋肉がある。ふだんは意識しない体の奥に、まずそういう絵を一枚置いてみてください。
息を止めて踏ん張ると、圧は下へ向かう
お腹の中を、上下にふたのある筒だと考えてみます。上のふたは横隔膜、下のふたは骨盤底。周りはお腹と背中の筋肉です。お腹の奥の筋肉全体の話は別の記事で書いたので、ここでは下のふた、骨盤底のことだけを見ていきます。
この筒の中の圧が、腹圧です。腹圧が急に上がると、その力は筒の中で逃げ場を探します。上のふたの横隔膜は、息を止めていると動けません。前のお腹は、力を入れて固めている。すると、いちばん下の、出口のあるふたに力がかかります。
腹圧がぐっと上がる場面は、暮らしの中にも運動の中にもたくさんあります。
- 咳、くしゃみ、大笑い
- 息を止めて、重いものを持ち上げる
- 便秘でいきむ
- 頭と肩を床から起こす腹筋運動を、息を止めたまま何回も繰り返す
- ジャンプの着地。強い衝撃が、一瞬で体の下へ向かいます
「腹筋を鍛えれば尿もれも良くなるはず」と、息を止めて上体起こしを頑張っている人がいます。腹筋が強くなること自体は悪くありません。ただ、息を止めたまま強く踏ん張る動きは、骨盤の底を上から押し下げる方向に働くことがある、と言われます。下のふたの準備が追いつかないまま、上から押す力だけが強くなる。ちょい漏れが気になる人にとっては、少し分の悪い組み合わせかもしれません。
ここで大事なのは、「腹圧をかけてはいけない」という話ではない、ということです。腹圧は、くしゃみをするにも、ものを持ち上げるにも、排便にも要ります。問題は、圧の上がり方と、下のふたの準備が噛み合っているかどうか。そして、その噛み合わせには、呼吸が深く関わっています。

吸うと下がり、吐くと上がる ― 呼吸と骨盤底
息を吸うと、横隔膜は下に下がります。肺を下へ広げて、空気を入れるためです。すると筒の中の臓器が少し下へ押され、下のふたの骨盤底も、それに合わせて少し下がり、ゆるみます。
息を吐くと、横隔膜は上に戻ります。それにつられるように、骨盤底も少し上へ戻り、引き締まる方向に動く。
骨盤底は、呼吸に合わせて、横隔膜と同じ向きに上下している。ヨガやピラティス、産前産後の運動の指導で、よく使われる説明です。実際の体の中の動きはもう少し複雑だと思いますが、感覚をつかむための地図としては、とても使いやすいものです。
この地図があると、いくつかのことが見えてきます。
息を止めて踏ん張ると、上のふたが固まったまま、圧だけが下に向かいます。だから、力を入れるときは吐く。ピラティスで「動くときに吐く」、キックで「打つ瞬間に吐く」という合図は、体幹を安定させ、動作に力を伝えるためにも使います。ここでは圧の逃げ道を決めつけず、息を止めて強く踏ん張り続けないための合図として使ってください。
吐きながら、骨盤の底を軽く引き上げる。吸いながら、それをふわっと手放す。呼吸と骨盤底の動きの向きをそろえると、締める練習も、ゆるめる練習も、ずいぶんやりやすくなります。
ヨガには「ムーラ・バンダ」という言葉があります。骨盤の底のあたりを軽く引き上げる意識のことだと説明されることが多いものです。古いヨガの言葉と、いまの骨盤底の説明が、ぴったり同じものを指しているかは分かりません。ただ、昔からヨガをする人たちが、体の底の感覚に注意を向けてきたことは確かです。
溶岩の床の上で仰向けになり、膝を立てて、背中に床の熱を感じながら長く吐く。吐き終わりに、お腹の底が少し上へ吸い上げられるような感覚が出てくる人がいます。出てこなくても、かまいません。まずは、呼吸と体の底がつながっているらしい、と思うところからで十分です。
締めるだけでは足りない。ゆるめるという仕事
ちょい漏れの話になると、たいてい「骨盤底を締めましょう」「鍛えましょう」で終わります。でも、ここで一つ付け加えておきたいことがあります。
骨盤底は、締めるのと同じくらい、ゆるめることも大事だと言われています。
筋肉は、縮むことと伸びることの両方ができて、はじめてよく働きます。一日中ずっと力こぶを作っていたら、腕はいざというときに強く曲がらないし、そのうち痛くなるでしょう。骨盤底も同じで、いつも締めっぱなしで固くなっていると、腹圧が上がった瞬間に「もう一段締める」余地がなく、かえってうまく働かないことがあると考えられています。
ちょい漏れが怖い人ほど、無意識に、一日中お尻や体の底に力を入れていることがあります。電車で立っているとき。人と話しているとき。デスクに座っているとき。気がつくと、お尻の穴をきゅっと閉じている。それはよくある守りの構えです。でも、守りの構えも、ずっと続けると疲れます。
骨盤の底が固くなりすぎていることと関係して、次のようなことが起きる場合もあると言われます。
- 骨盤のあたりや、お尻の奥、下腹部に、はっきりしない痛みや重さがある
- 性交のときに痛みがある
- 尿が出始めるまでに時間がかかる、勢いが弱い、出し切れない感じがある
- 便が出にくい
こうした症状がある人は、自己流で「締める練習」の回数を増やさず、後半の「症状と相談先」を先に読んでください。締める方向の練習が合わない状態の人もいるからです。
ヨガのレッスンには、骨盤の底をふわっと広げる方向の時間がたくさんあります。たとえば、仰向けで両膝を胸に引き寄せ、足の裏を天井に向けて、膝を脇の方へ開いていくポーズ(ハッピーベイビーと呼ばれることがあります)。足を開いて深くしゃがむポーズ。正座から上体を前に倒し、額を床につける子どものポーズ。吸う息で、お尻の下がふくらむように、骨盤の底が床に向かって広がっていく。そういう感覚を探すのに向いた姿勢だと、よく言われます。
締めて、ゆるめる。引き上げて、手放す。どちらも自分の意思でできるようになることが、骨盤底の練習の芯だと考えておいてください。
ヨガ・ピラティス・キックの部屋で、どう扱うか
ここからは、レッスンの場での具体的な話です。大きな声では言いにくいことなので、できるだけ具体的に書きます。
来る前に
- レッスンの直前に、トイレを済ませておく。スタジオに着いて着替えたあとに、もう一度行ってもかまいません
- 下は、黒や紺などの濃い色のウェアを選ぶ。股の部分の生地がしっかりしたものだと、なお安心です
- 気になる人は、尿用の薄いライナーやパッドを使う。生理用のナプキンとは作りが違い、尿用のものは水分を素早く吸うように作られていると言われます。暑い部屋で長く動くので、薄手で蒸れにくいものが向いています
- 替えの下着と、濡れたものを入れる袋を、バッグに一つ
- 前の晩のお酒や、直前のコーヒーなど、尿が増えやすい飲み物は、量とタイミングを少し考える。ただし、水そのものは控えすぎない。これは次の章で書きます
部屋の中で
- マットは、出入り口に近い場所に敷く。途中で部屋を出るのが気楽になります
- 息を止めない。ポーズを深めようとして、気づくと息が止まっている。それに気づいたら、長く吐き直す。それだけで十分な練習です
- 力を入れるときは、吐きながら。ポーズに入るとき、体を持ち上げるときは、吐く息に乗せる
- ジャンプは控えていい。ヨガの流れの中で、両足で跳んで脚を後ろへ送る動きが入ることがあります。そこは片足ずつ歩いて送れば、同じ形にたどり着けます
- ピラティスで頭と肩を床から起こしているとき、お腹の真ん中が盛り上がってくる感じや、下に押される感じがしたら、頭を床に下ろして、呼吸だけを続ける。回数より、押し下げない形を優先します
- 咳やくしゃみが来そうなら、後半で書く「直前に一回だけ締める」を試してみる
- 途中でトイレに行きたくなったら、部屋を出て行ってかまいません。ポーズの途中でも、です。誰かがトイレに立っても、ほかの人は自分の呼吸と汗のことで忙しく、いちいち目で追ったりはしません
講師に事情を伝えるかどうかは、自由です。言いにくければ、「途中でトイレに出るかもしれません」とだけ言っておけば十分です。「尿もれ」という言葉を使う必要はありません。
キックボクササイズの場合
オンザショアのキックボクササイズは、1対1のパーソナル(女性限定)です。キックも、溶岩の床の暑い部屋で行います。
キックには、軽く跳ねるようなステップや、蹴りのあとの着地、打つ瞬間の強い力みがあります。ちょい漏れが気になる人にとっては、気がかりな動きがいくつも並んでいると言えるかもしれません。
ただ、ここでは1対1であることが利点になります。跳ねるステップを、跳ねないすり足のステップに替える。打つ瞬間に、必ず息を吐く。蹴りの数を減らして、一本ずつ着地を丁寧にする。そういう調整を、その場でトレーナーと決められるからです。大勢のクラスの中で一人だけ違う動きをする気まずさも、ありません。
キックで「打つ瞬間に吐け」と言われるのは、拳や脚に力を通すためでもあります。短く鋭く「シュッ」と吐く。まずは、力むたびに息が止まっていないかを確かめてください。吐けば必ずもれを防げる、という意味ではありません。
汗と、ちょい漏れの見分けがつかない部屋
最後に、大きなスタジオの案内には、たぶん書かれないことを一つ。
室温35〜40℃、湿度60〜70%の部屋で60分動くと、ほとんどの人は全身汗まみれになります。首から胸、背中、膝の裏、太ももの付け根まで。ウェアは、上も下も汗で色が変わります。マットの上に敷いたバスタオルには、自分の体の形をした汗の跡が残ります。
この部屋では、全員が濡れています。
だから、ちょい漏れを気にしなくていい、とまでは言いません。ライナーや濃い色のウェアの工夫は、ここでもちゃんと役に立ちます。でも、「もし少しもれたら、周りに気づかれるかもしれない」という怖さだけで運動から遠ざかっているなら、この部屋は、その怖さがいちばん小さくなる場所の一つかもしれません。汗を売り物にしているスタジオとして、そのことは正直に書いておきます。
暑い部屋で、水を控えすぎない
ちょい漏れが気になる人が、いちばんやりがちなこと。それは、水を飲まないことです。
出かける前から水分を減らす。レッスン中も、ボトルに手を伸ばさない。トイレが近くなるのが怖いからです。その気持ちは、とてもよく分かります。でも、室温35〜40℃の部屋でそれをするのは、危ういことです。
暑い部屋で動けば、汗で多くの水分が失われます。そこで水を控えれば、脱水や熱中症に近づきます。めまい、頭痛、吐き気、足がつる、ぼうっとする。暑い部屋で起きる不調の多くは、水分不足と関係していると言われます。
もう一つ。水を控えると、尿が濃くなります。濃い尿は膀胱を刺激して、かえってトイレが近くなったり、尿意が急に強くなったりすることがあると言われます。水を減らして尿もれを防ぐつもりが、逆の方向に働くことがあるわけです。水分が足りないと便秘にもなりやすく、便秘でいきむことは、骨盤の底の負担になります。
水は控えるのではなく、飲み方を組み立てます。
- 前の晩は、寝る直前にたくさん飲まない。お酒は尿を増やしやすく、翌日の体の水分も足りなくなりやすいと言われます
- 当日は、朝から少しずつ、こまめに飲んでおく。レッスンの直前に一気にたくさん飲むのは避ける
- 直前のコーヒーや濃いお茶など、カフェインの多い飲み物は、尿を増やしやすいと言われるので、量を控えめに
- レッスンの直前にトイレを済ませる
- レッスン中は、休むたびに一口ずつ。のどが渇く前に
- 終わったら、汗で出た分を少しずつ補う
「飲んで、行きたくなったらトイレに行けばいい」。暑い部屋では、そう割り切るほうが安全です。前の章で書いたとおり、途中でトイレに出るのは、何も悪いことではありません。
体の水分が足りているかどうかの目安として、尿の色がよく使われます。濃い色が続くときは、飲む量が足りていないサインかもしれません。
家でできる、骨盤底の練習の入口
腹圧性の尿もれでは、医療機関でも骨盤底の筋肉を意識して動かす運動が勧められています。ここでは、筋肉の場所と、締める・ゆるめる感覚を探す入口を紹介します。
ただし、効き方には個人差があり、続けても変化を感じにくい人もいます。また、一度に何十回とやるより、正しいやり方で、毎日、何か月という単位で続けるものだと言われます。ここでは、その入口だけを書きます。
くしゃみの直前に、一回だけ締める
冒頭の、くしゃみの前に脚を交差させる構え。あれは、多くの人が経験から身につけた、理にかなった工夫だと考えられています。脚を寄せて内ももに力を入れると、骨盤の底の周りも一緒に締まりやすくなるからです。
同じことを、脚を組まずに行う練習もあります。咳やくしゃみが来そうだと感じたら、その直前に、骨盤の底をきゅっと締めておく。海外では「ナック(the knack=こつ)」という呼び名で紹介されることがある方法です。来ると分かってから締めるので、締める感覚をつかんでいることが前提になります。まずは、このあと紹介する練習で、締める感覚を探してください。
1 場所を探す
骨盤底は目で見えないので、まず「どこに力を入れるのか」を探すところから始まります。
- おならを我慢するときの、肛門の周りを締める感じ
- 尿を途中で止めようとするときの、前のほうを締める感じ
この二つを同時に、体の中へ、少し上へ引き上げるようなイメージです。膣も一緒に、体の奥へ引き込むような感覚がある人もいます。
なお、実際にトイレで尿を途中で止める練習を繰り返すのは、勧められないと言われます。場所の確認として一度試す程度にとどめ、練習は排尿のとき以外に行ってください。
2 楽な姿勢から始める
最初は、仰向けで膝を立てた姿勢が分かりやすいと言われます。お腹や脚の力が抜けやすく、骨盤の底だけに注意を向けやすいからです。慣れてきたら、椅子に座って、立って、と姿勢を変えていきます。くしゃみは、たいてい立っているときにやってきます。
3 吐きながら締め、吸いながらゆるめる
- 息を吐きながら、骨盤の底をゆっくり締めて、引き上げる
- 数秒、そのまま保つ。息は止めずに、細く続ける
- 息を吸いながら、ふわっと力を抜く。締めた時間と同じか、それより長く休む
ゆっくり締めて保つ練習と、一瞬きゅっと締めてすぐゆるめる速い練習を、両方入れるとよいとも言われます。速いほうは、咳やくしゃみの瞬間に間に合わせるための練習です。
4 ほかの場所に力を入れない
慣れないうちは、つい、お尻の大きな筋肉や、内もも、お腹の表面に力が入ります。息を止めてしまうこともあります。お尻がマットから浮く、顔が赤くなる、というときは、力が入りすぎています。骨盤の底だけが、静かに、少し動く。それくらいの小ささで十分です。
5 分からなくても、自分を責めない
正直に書くと、骨盤底の練習は、自分で正しくできているかが分かりにくいものです。締めているつもりが、実はいきむ方向に力が入っていた、ということもあると言われます。
何週間か続けても感覚がつかめない、正しくできている自信がない。そんなときも、自分を責める必要はありません。回数を増やして解決しようとせず、やり方を一緒に確かめるための相談先を、後半にまとめています。
オンザショアでは、ヨガ・ピラティスのパーソナル(1対1・女性限定)で、自分の体の事情に合わせた進め方を相談できます。「くしゃみのときにもれるのが気になっている」という話も、1対1なら口にしやすいかもしれません。ただし、スタジオは病院ではありません。診断や治療の代わりにはならないので、このあと書く「症状と相談先」にあてはまる人は、そちらを先にしてください。
暮らしの中でできることも、いくつか添えておきます。
- 便秘をためない。いきむ時間が長いほど、骨盤の底に負担がかかります
- 重いものを持つときは、息を止めずに、吐きながら持ち上げる
- 咳が長く続いているなら、咳そのものの原因を診てもらう
産後の人、更年期の人、跳ぶのが好きな人へ
同じちょい漏れでも、置かれている状況によって、気をつけたいことが少しずつ違います。
産後の人
お産のあと、ちょい漏れがあるのは珍しいことではないと言われます。一方で、産後の体は、見た目以上に回復の途中です。運動をいつから、どの程度始めてよいかは、お産の経過によって違います。運動の再開は産後健診で確かめることが前提です。そのときに伝えたい尿もれの場面を、メモに残しておきましょう。
更年期以降の人
女性ホルモンが減る時期には、尿道や膣の周りの組織にも変化が出ると考えられています。ちょい漏れだけでなく、トイレが近くなる、膣が乾きやすくなる、といった変化が一緒に出ることもあります。泌尿器科や婦人科では、骨盤底の練習のほかに、薬などの治療の選択肢があり、状態によっては手術が検討されることもあります。選び方は、症状や検査結果によって変わります。「年だから」で片づけず、いつから何が変わったかを書き留めておいてください。
更年期のほてりと暑い部屋の付き合い方は、同じシリーズの「更年期のほてりと、わざわざ暑い部屋で汗をかくということ」(B05-menopause-hotflash.md)で扱っています。
若い、運動好きの人
跳ぶ競技、走る競技、強い踏み込みのある運動をしている人の中には、出産の経験がなくてもちょい漏れがある人がいることが知られています。鍛えている体だからこそ、着地の衝撃も、全力で力むときの腹圧も大きい。そこに骨盤底の準備が追いついていない、という見方ができます。
恥ずかしいことではありません。鍛える場所の一覧に、骨盤の底が入っていなかった。それだけのことです。着地を柔らかくする、力むときに吐く、ジャンプの量を一時的に減らす。続く症状の目印は、次の節にまとめます。足首や膝のけがと同じように、体の一部の問題として扱ってください。
症状と相談先
ちょい漏れが、命に関わる病気のサインであることは多くありません。でも、だからといって、ずっと我慢しなくていいものです。そして、ちょい漏れに見えて、別の病気が隠れていることもあります。
持病や怪我のある方は運動前に医師に相談し、次の症状がある方は泌尿器科、婦人科、または女性外来へ相談してください。女性の泌尿器の悩みを専門に診る外来を設けている病院もあります。骨盤底の痛みや、締める練習が合っているか分からない場合も、ここが相談先になります。産後は健診で運動再開の可否と程度を確かめ、薬や手術などの選択も診察の中で決めていきます。
- 尿をするときに痛い、しみる、下腹部が痛む
- 尿に血が混じる、尿の色がいつもと違う
- 熱がある、背中や腰の片側が痛む
- 急に強い尿意が来て、トイレまで我慢できない(切迫性の尿もれ。腹圧性とは原因も治療も違うことが多い)
- トイレの回数がとても多い、夜に何度も起きる
- 尿が出にくい、出し切れていない感じがある、気づかないうちにもれている
- 膣のあたりに、何かが下がってくる感じや、ふくらみに触れる感じがある
- 腰の痛みや脚のしびれと一緒に、尿の出方やもれ方が急に変わった
- もれる量が増えてきた、外出や運動を避けるようになった、仕事や家のことに支障が出ている
- 産後しばらくたっても、ちょい漏れが続いている
膣のあたりの違和感は、膀胱や子宮などが下がってくる「骨盤臓器脱」のサインのことがあると言われます。腰の痛みや脚のしびれと一緒の急な変化には、神経の病気が関わっていることもあります。どちらも、自分の判断で様子を見すぎないでください。
診察のときは、メモがあると話がしやすくなります。
- いつ、どんな場面でもれたか(咳、くしゃみ、跳んだとき、急に尿意が来たとき、など)
- どのくらいの量か(下着が少し湿る程度、ライナーを替える程度、など)
- 一日にトイレに行く回数と、夜に起きる回数
- 一日にどのくらい、何を飲んでいるか
何日か、トイレの時刻と量、飲んだものを書き留める「排尿日誌」と呼ばれる記録をつけるよう、病院で言われることもあります。スマートフォンのメモに、時刻と一言を書くだけでも、診察の役に立ちます。
運動は、治療の代わりにはなりません。必要な治療を受けながら、体を動かす時間も持つ。その順番を守ってください。
まとめ
- 咳・くしゃみ・笑い・ジャンプで少しもれる「ちょい漏れ」は、医学の言葉で腹圧性尿失禁。出産を経験した人、更年期以降の人、跳ぶ運動をする若い人にもあり、珍しい悩みではない。
- 骨盤底は、骨盤の底にハンモックのように張られた筋肉の層。臓器を支え、尿道や肛門を閉じ、腹圧が上がった瞬間に下から押し返す。
- 息を止めて踏ん張る、息を止めたままの強い腹筋運動、ジャンプの着地は、骨盤の底を上から押し下げる方向に働くことがある。力を入れるときは吐く。
- 吸うと骨盤底が下がり、吐くと上がる、という説明がよく使われる。呼吸と向きをそろえると、締める練習もゆるめる練習もしやすい。
- 骨盤底は、締めるだけでなく、ゆるめることも大事。締めっぱなしで固くなっている人もいる。
- レッスンでは、直前のトイレ、濃い色のウェア、尿用のライナー、出口に近いマット、息を止めない、ジャンプは歩きに替える、途中でトイレに出てよい。キックは1対1なので、ステップや着地をその場で調整できる。
- 暑い部屋で水を控えすぎない。濃い尿や便秘はかえって負担になり、脱水や熱中症にも近づく。朝からこまめに飲み、直前にトイレ。
- 骨盤底の練習は、締める感覚とゆるめる感覚を探すところから。正しくできているか分からないときは、一人で抱えない。
- 痛み、血尿、熱、急に我慢できない尿意、出にくさ、膣のあたりの違和感、暮らしへの支障があれば、泌尿器科・婦人科・女性外来へ。
体験の案内
ちょい漏れのことを言葉にしにくい人にも、体を動かす時間を持ってほしい。オンザショア立川店は、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F、JR立川駅北口から徒歩1分の場所でお待ちしています。床はイタリア産の天然溶岩石「バサルティーナ」のプレート。室温35〜40℃・湿度60〜70%のスタジオで、その床の上でレッスンを行います。営業は全曜日8:00〜23:30、年中無休です。ヨガのクラスは男性も参加できます。
最初の一回には、期間限定のヨガ・ピラティス体験を用意しています。料金は税抜1,800円(税込1,980円)で事前決済。60分のレッスンと、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、レンタルのヨガマットが体験に含まれています。
1対1でじっくり相談したい人には、ヨガ・ピラティスのパーソナル(女性限定)があり、60分1回9,082円(税抜・税込9,990円)です。キックボクササイズも1対1のパーソナル(女性限定)で、新規の方の体験は1回4,980円(税抜・税込5,478円)、こちらも事前決済です。
予約はWebで24時間受け付けています。公式LINEからも、予約と質問ができます。レッスン中は電話に出られないことが多いので、質問はLINEが確実です。「途中でトイレに出ても大丈夫か」「跳ぶ動きの少ないレッスンはどれか」「パーソナルではどんなことを相談できるか」。顔を合わせては聞きにくいことほど、文字のほうが聞きやすいと思います。
妊娠中の方は、溶岩ホットヨガには参加できません(常温のマタニティヨガがあります)。医師から運動を止められている方はご利用いただけません。
体験の日は、咳が出ている日や、お腹の調子が良くない日を避けて、体に少し余裕のある日を選んでください。当日は朝から少しずつ水を飲み、濃い色のウェアと替えの下着を持って、着いたらまずトイレへ。マットは出口の近くに。準備が済んだら、あとは自分の呼吸と動きへ。周りの目より、今日の一呼吸に時間を使ってください。
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