最新の体験料金は料金ページ、最新のスケジュールは体験予約ページでご確認ください。体験レッスンは、ヨガ・ピラティスが1,980円(税込/税抜1,800円)、キックボクササイズが4,980円(新規の方限定)です。
午前3時。授乳クッションの上で、赤ちゃんがようやく口を離し、腕の中でずしりと重くなります。部屋の明かりは足元の小さなライトだけ。起こさないように息をひそめたまま、片手でスマートフォンを開き、親指で打ち込みます。「産後 ホットヨガ いつから」。
画面をぼんやり眺めているうちに、思い出すのは妊娠前の自分です。仕事帰りに暑い部屋へ入り、床の熱を背中に受けて、汗だくで帰った夜。家に着いてシャワーを浴びたあとの、体が軽くなったようなあの感じ。もう一度、あの汗をかきたい。この体を、自分のものに取り戻したい。
そう思うのと同じくらい、腰に残る鈍い重さや、くしゃみをした瞬間のひやりとした感覚が、「まだ早い」と言っている気もする。
この記事は、その迷いに答えるために書きます。先に結論を書いておきます。室温35〜40℃、湿度60〜70%の部屋へ戻るのは、いちばん最後でかまいません。最初の一歩はマットの上ではなく、診察室です。次が呼吸、その次が常温の小さな動き。暑い部屋は、その先にあります。
JR立川駅北口から徒歩1分、溶岩プレートの床の上でヨガをしているオンザショアは、汗をかく部屋を売っているスタジオです。その店が「うちに来るのは最後でいい」と書くのは、商売としては下手かもしれません。でも、産後の体で順番を飛ばして、半年後に「あのとき行かなければよかった」と思われるくらいなら、半年待って来てもらうほうがずっといい。そう考えて、順番の話をします。

要点(結論から)
- 産後の体では、悪露(子宮の回復)、ホルモンの急な入れ替わり、関節のゆるみ、細切れの睡眠、授乳が同時に起きている。
- 運動再開の時期は週数で決まるものではない。一般に、健診で問題がないと確かめてから軽いものから、と言われることが多い。「室温35〜40℃・湿度60〜70%で60分」と具体的に伝えて、医師に聞く。
- 帝王切開だった人は、もう一段ゆっくり。起き上がるときは横向きを経由する。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
産後の体で、いま起きていること
見た目にはもう母親として毎日を回していても、体の中では、まだ大きな工事が続いています。まず、その工事の中身をざっと見ておきます。
悪露 ― 子宮がもとの大きさに戻っていく途中
妊娠中に赤ちゃんを包んでいた子宮は、出産のあと、時間をかけて縮んでいきます。そのあいだに子宮から出てくる血液や分泌物を、悪露(おろ)と呼びます。一般に、はじめは赤く量も多く、日がたつにつれて茶色っぽく、やがて黄色や白っぽく変わりながら、数週間かけて減っていくと言われます。
出産から体がもとの状態に戻っていくまでの期間は産褥期(さんじょくき)と呼ばれ、一般に6〜8週間ほどとされることが多いようです。ただ、これは目安の言葉です。「その日を過ぎたら運動していい」という意味ではありません。
悪露が続いているうちは、子宮の内側はまだ治っていく途中だと考えてください。産後しばらくは湯船につからずシャワーで済ませるように言われることが多いのも、感染を防ぐためと説明されます。汗をかいて体を熱くする部屋は、少なくとも悪露が落ち着き、健診で医師に確かめてからの話になります。
ホルモンの急な入れ替わり
妊娠中に高い値を保っていた女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)は、出産を境に急に下がると言われます。授乳をしている人では、母乳をつくるホルモン(プロラクチン)が高い状態が続き、エストロゲンは低めのまま、という時期がしばらく続くと考えられています。
涙もろくなる。気持ちが揺れる。肌や髪の調子が変わる。産後しばらくしてから、髪が抜けやすくなる人もいます。こうした変化の一部は、このホルモンの入れ替わりと関係していると言われます。気持ちの揺れが長引く場合の目安は、後の「運動を休んで連絡したい変化」にまとめます。
関節のゆるみ ― 「よく伸びる」が褒め言葉にならない時期
妊娠中は、出産に向けて骨盤まわりの靱帯(じんたい)をゆるめるホルモン(リラキシン)が出ると言われます。その影響がいつまで、どのくらい残るのかには個人差があり、はっきりしたことは言いにくいのですが、産後しばらくは関節がぐらつくように感じる人がいます。恥骨のあたりや腰、骨盤の後ろ側が痛む人もいます。
ここは、暑い部屋にいちばん関係のある点です。温まった体は、ふだんより伸びるように感じます。溶岩の床の上で前屈をすると、指先が思ったより遠くまで届く。気持ちがいい。けれど、関節がゆるみやすい時期に「伸びるから」とその先まで入っていくと、筋肉ではなく関節や靱帯のほうに負担がかかるかもしれません。
産後の暑い部屋では、柔らかさは目標ではなく、注意書きです。
細切れの睡眠
新生児の時期は、2〜3時間おきの授乳やミルクになることが多いと言われます。そこに夜泣きが重なる。まとまって眠れる時間がない日が、何週間も続きます。
寝不足は、熱中症の起こりやすい条件の一つとしてよく挙げられます。ふらつく、集中が続かない、ちょっとしたことで気持ちが崩れる。それは気合の問題ではありません。体の燃料が足りていない、というだけです。運動を再開するときは、筋肉より先に、この睡眠不足を計算に入れておく必要があります。
授乳 ― 体の水分と、張った胸
母乳は、体の水分からつくられます。授乳中にのどが渇きやすい、という人が多いのはそのためです。
そこへ、汗をかく運動が重なります。汗も母乳も、どちらも体の水を使う。だから授乳中の人が暑い部屋に入るときは、水分のことをふだん以上に考える必要があります。これについては、後で一つ見出しを立てて書きます。
胸の張りも、運動の邪魔をします。うつ伏せのポーズがつらい。腕を大きく回すと胸が痛い。授乳の間隔があくと、張りが強くなることもあります。

最初の一歩は、マットではなく診察室で
産後の運動の再開で、いちばん先に来るのは、医師の許可です。
多くの場合、出産した病院などで、産後1か月ごろに健診があります(産後2週間ごろにも健診を行うところがあります)。この健診が、運動について相談するいちばんいい機会です。
いつから運動を再開していいか。ネットで調べると「産後〇週から」という数字をよく見かけます。けれど一般には、健診で体の回復に問題がないと確かめてから、軽いものから始める、と言われることが多いようです。出産の経過、出血の量、傷の具合、貧血の有無、もともとの体力。条件は人によってまったく違います。週数より、あなたの体を診た医師の判断が先です。
健診で聞くときは、「運動してもいいですか」だけで終わらせないのがコツです。「運動」と聞いて医師が思い浮かべるのは、散歩かもしれません。具体的に伝えてください。
- 室温35〜40℃、湿度60〜70%の部屋で、60分のヨガをしたいと考えている
- 汗をたくさんかく。途中で休むことはできる
- 授乳中である(あるいは、ミルクに切り替えた)
- 尿もれがある/ない。お腹の真ん中の割れが気になる/ならない
- 腰や恥骨のあたりに痛みがある/ない
温度と湿度の数字まで伝えれば、医師も判断しやすくなります。「散歩ならいいけれど、暑い部屋はもう少し待って」と言われるかもしれません。それも大事な答えです。健診で聞きそびれたことは、メモに残しておくと次に聞くときに役立ちます。
帝王切開だった人は、もう一段ゆっくり
帝王切開は、お腹を切って赤ちゃんを取り出す手術です。見えている皮膚の傷だけでなく、その下の何層もの組織と、子宮にも傷があります。一般に、経腟分娩よりも回復に時間がかかることが多いと言われます。
帝王切開だった人は、次のことを医師に確かめてから進めてください。
- お腹に力を入れる運動を、いつごろから始めてよいか
- 起き上がる、ねじる、うつ伏せになる、といった動きを、どのくらいしてよいか
- 汗をかいて、傷のまわりが蒸れても問題ないか
傷の表面が治ったように見えても、お腹の奥の回復はもっとゆっくり進んでいる、と考えておくのが安全です。起き上がるときは、仰向けからいきなり上体を起こすのではなく、一度横向きになって、腕で床を押して起きる方法がよくすすめられます。ヨガのクラスでも、この起き上がり方をしばらく続けてください。
経腟分娩でも、会陰(えいん)の傷がまだ痛む人は、同じように医師に確かめてからにしましょう。
骨盤底と、お腹の真ん中の「割れ」を一度確かめる
暑い部屋に戻る前に、自分の体で確かめておきたい場所が二つあります。体の底と、お腹の真ん中です。
骨盤底 ― 体の底にあるハンモック
骨盤の底には、膀胱・子宮・直腸を下から支える筋肉の層があり、骨盤底筋(こつばんていきん)と呼ばれます。骨盤の中に張られたハンモックのようなもの、とよくたとえられます。
妊娠中は大きくなった子宮の重さを支え続け、経腟分娩では赤ちゃんが通るときに大きく引き伸ばされます。そのため産後は、このハンモックがゆるんだり、傷ついたりしていることがあると言われます。帝王切開でも、妊娠中の十か月分の負担はかかっています。
次のようなことがあれば、骨盤底がまだ回復の途中にあるサインかもしれません。
- 咳、くしゃみ、笑ったとき、小走りしたときに尿がもれる
- トイレが近い。間に合わないことがある
- 腟のあたりに、何かが下がってくる、はさまっているような感じがある
- 夕方になると、下腹部や股のあたりが重い
- ガスや便をがまんしにくい
産後の尿もれは珍しいことではないと言われます。でも、「よくあること」と「放っておいていいこと」は別です。続く場合の連絡先と目安は、後の「運動を休んで連絡したい変化」で確認できます。
ヨガには、お腹に力を入れて踏ん張るポーズや、脚を大きく開いて腰を落とすポーズがあります。骨盤底が弱っているうちに、こうしたポーズで息を止めて強くいきむと、体の底を下へ押す力がかかります。もれそうになる、下がる感じがする。そういうポーズは、いまの体にはまだ早いポーズです。
腹直筋離開 ― 指で確かめる方法
お腹の前側には、縦に走る左右一対の筋肉(腹直筋)があり、そのあいだを白線と呼ばれる筋(すじ)がつないでいます。妊娠中は大きくなる子宮に押されて白線が引き伸ばされ、左右の腹直筋のあいだが開きます。これが腹直筋離開(ふくちょくきんりかい)、お腹の真ん中の「割れ」です。
妊娠の後期には多くの人に起きると言われ、産後、時間とともに自然に狭まっていくことも多いそうです。ただ、開いたまま残る人もいます。
自分で目安を確かめる方法として、よく紹介されているのは次のやり方です。
- 仰向けになり、膝を立てて、足の裏を床につける
- 片手の指先をそろえ、おへその少し上で、お腹の真ん中の縦の線(白線)に対して直角(横向き)に指先を立てて当てる
- 息を吐きながら、頭と肩をほんの少しだけ床から浮かせる
- 指の下で、左右の筋肉の縁が近づいてくるのを感じる。そのあいだに指が何本分入るか、指がどのくらい深く沈むかを見る
- おへその高さ、おへその少し下でも、同じように確かめる
見るのは幅だけではありません。指が抵抗なくずぶずぶ沈む。頭を上げたときに、お腹の真ん中が縦に盛り上がる(テントのようにとがる)。そういう様子も手がかりになると言われます。よく紹介される目安では、指2本分より広く開いている、あるいは深く沈むときは、一度相談してみる価値があります。
これは自分でできる「目安」で、診断ではありません。帝王切開だった人、傷が痛む人は、自分で確かめる前に、まず健診で相談してください。気になる結果は「腹直筋離開が気になる」という言葉と一緒にメモしておけば、健診で伝えやすくなります。
確かめたあと、しばらく控えたい動き
腹直筋離開がある、あるいは骨盤底がまだ弱っていると感じるうちは、一般に次のような動きは控えたほうがいいと言われます。
- 仰向けから勢いで上体を起こす、いわゆる腹筋運動
- 強いねじり、大きく反るポーズ
- 息を止めて、お腹に強く力を込めて踏ん張る動き
- お腹の真ん中がテントのように盛り上がってしまう動き
ヨガのクラスでこうした動きが出てきたら、その回は休むか、浅くする。仰向けからの起き上がりは、横向きを経由する。それだけで、ずいぶん安心して参加できます。

呼吸から、常温、そして暑い部屋へ ― 戻る順番
ここからが、この記事の本題です。産後の運動は、階段を一段ずつ上るように戻していきます。上るのに決まった日数はありません。次の段に進む合図は、カレンダーではなく、体が出します。
一段目 ― 寝たままの呼吸
最初の運動は、呼吸です。地味ですが、ここを飛ばすと、上の段がぐらつきます。
仰向けで膝を立てるか、横向きに寝て、手を肋骨の下の横あたりに当てます。鼻から吸うと、肋骨が横に広がり、お腹がふくらむ。口から細く長く吐くと、肋骨が閉じ、お腹がしぼむ。まずは、この往復を感じるだけで十分です。
慣れてきたら、吐く息に合わせて、骨盤の底をそっと持ち上げる感覚を足します。尿を途中で止めるときのような、腟を上へ引き上げるような、小さな動きです(実際にトイレで尿を止める練習はしないように、と言われます)。吸うときには、ゆるめる。力いっぱい締めるのではなく、「ふわっと持ち上げて、ふわっと下ろす」くらいで足ります。
横隔膜(肺の下にあるドーム型の筋肉)と骨盤底は、呼吸に合わせて一緒に動くと考えられています。吸うと横隔膜が下がり、骨盤底も少し下がる。吐くと、両方が戻っていく。この上下の連動を取り戻すことが、お腹の奥を立て直す最初の足場になる、という見方がよく紹介されます。
赤ちゃんが寝た隙に、5分。それで一段目は十分です。
二段目 ― 小さな動きと、歩くこと
呼吸と骨盤底の動きを合わせられるようになったら、少しずつ動きを足します。
- 仰向けで膝を立て、吐きながらお尻を少しだけ持ち上げて、ゆっくり下ろす
- 四つばいで、背中をゆっくり丸めて、ゆっくり戻す
- ベビーカーを押して、近所を歩く。最初は10分で帰ってくる
歩いたあとは、出血が増えていないか、下腹部が重くなっていないか、尿もれが増えていないかを見ます。何もなければ、次は少し長く。何かあれば、一段戻ります。
三段目 ― 常温の運動
散歩が苦にならなくなり、医師の許可も出ているなら、常温の運動へ進みます。家でのストレッチ、軽いヨガやピラティスの動き、少し長めの散歩。汗はうっすらかく程度で、息が上がりすぎない強さです。
ここで確かめたいのは、筋力より「翌日の体」です。次の日に腰が痛む、出血が増える、体がだるくて授乳がつらい。そういう反応がなく、何度か続けられるようになったら、四段目を考えます。
この三段目は、自宅など常温の場所で過ごす段階です。オンザショアに一般向けの常温ヨガや常温ピラティスがある、という案内ではありません。スタジオへ戻ることは、次の四段目で考えてください。
四段目 ― 暑い部屋へ
いよいよ、室温35〜40℃、湿度60〜70%の部屋です。ドアを開けると、顔に湿った熱気が当たります。床にはイタリア産の天然溶岩石「バサルティーナ」のプレートが敷かれていて、マットを広げて座ると、お尻と太ももの裏からじんわり熱が上がってくる。久しぶりの人は、この最初の熱だけで、少し胸が高鳴るかもしれません。
最初の数回は、次のことを決めてから入ってください。
- マットは出口の近くに敷く。すぐ出られる位置にいるだけで、気持ちが楽になる
- ポーズは、半分の深さで止める。温まった体は伸びる。でも、伸びるところまで行かない
- お腹の真ん中が盛り上がる、尿がもれそう、下に下がる感じがする、というポーズは、その場で休む
- 仰向けからの起き上がりは、横向きを経由する
- 休むたびに水を飲む。レッスン中に何度休んでもいい
- 「今日は前半だけ」でもいい。途中で部屋を出ることを、失敗にしない
湿度の高い部屋では、汗は蒸発しにくく、肌の上を流れていきます。汗が乾くときに体の熱を奪う仕組みがふだんほど働かないので、体に熱がこもりやすい。寝不足の体なら、なおさらです。めまい、頭痛、吐き気がある、どきどきがおさまらない。そう感じたらすぐに休み、それでも戻らなければ部屋を出て、涼しい場所で休んでください。
レッスンのあとは、その日の夜と翌日の体を見ます。出血が増えた。尿もれが増えた。腰や恥骨が痛む。そういう反応があったら、暑い部屋はいったん休んで、三段目に戻ります。
階段は、下りてもいいのです。下りたら、また上ればいい。
授乳中に、汗をかく部屋へ入るということ
授乳中の人がいちばん気になるのは、「汗をかいたら母乳が減るのではないか」ということかもしれません。
正直に書きます。暑い部屋で汗をかくことが、母乳の量や質にどう影響するのか、私たちにははっきりしたことは言えません。「減る」とも、「影響しない」とも断定しません。ただ、汗も母乳も体の水からつくられる以上、授乳中の体がもともと多くの水分を必要としている、ということは言えます。そこへたくさんの汗が加われば、水分が足りなくなりやすい。だから、水は「多めに、こまめに」を基本にしてください。
- スタジオに着く前から、少しずつ水を飲んでおく
- レッスン中は、休むたびに一口
- 終わったあとも、のどの渇きがおさまるまで少しずつ
- 尿の色がいつもより濃い、量が少ない、口が渇く、頭が痛い、というときは、水分が足りていないサインかもしれない
母乳の出方がいつもと違う日は、暑い部屋を休む日です。授乳についての連絡先は、後の「運動を休んで連絡したい変化」にまとめています。
授乳まわりの段取りも、いくつかあります。
- 来る前に授乳か搾乳を済ませておくと、胸の張りが軽くなり、うつ伏せや腕を回すポーズが楽になる
- ウェアは、胸を強く締めつけないものを選ぶ
- 母乳パッドと、替えのインナーを一枚持ってくる
- 家に帰ったら、抱っこする前にシャワーで汗を流しておくと、赤ちゃんも自分も気持ちがいい
参加条件は末尾にまとめています。産後だからといって、その確認を飛ばさないでください。
赤ちゃんを預けて、60分だけ外に出る
ここまで、体の話ばかり書いてきました。でも、産後に「ヨガに行きたい」と思う気持ちの何割かは、たぶん体の話ではありません。
赤ちゃんが生まれてから、一人で外に出た時間は、どのくらいあったでしょうか。抱っこ、授乳、おむつ、寝かしつけ。自分の名前で呼ばれるより、「ママ」「お母さん」と呼ばれることのほうが多い毎日。それは幸せな毎日でもあり、同時に、自分の輪郭が少しずつぼやけていく毎日でもあります。
赤ちゃんを誰かに預けて、60分だけ外に出る。わがままに聞こえるかもしれません。罪悪感を覚える人も多いと思います。けれど、汗をかいて、長く息を吐いて、最後に仰向けで静かに横になる数分間は、誰にも呼ばれない時間です。その数分のあいだ、あなたは誰の母親でもなく、ただ床の熱を背中で受けている一人の人です。
そういう時間を少しだけ持てた人のほうが、帰り道で「早く会いたい」と素直に思えることもあるのではないでしょうか。離れる時間は、たぶん、戻るための時間でもあります。
外に出るための段取りを、いくつか書いておきます。
- 預け先(パートナー、家族など)と、ミルクの量、泣いたときの対処、連絡の方法を決めておく
- レッスンの60分は、スマートフォンをすぐには見られないと考えておく。「終わったらすぐ連絡する」と伝えておけば、連絡のつかない60分を、預ける側も預かる側も落ち着いて過ごせる
- 移動の時間も入れて計算する。オンザショアはJR立川駅北口から徒歩1分なので、駅から先の時間はほとんどかからない
- 年中無休で8:00〜23:30まで開いているので、預け先の都合に合わせて日を選びやすい。レッスンの時間はWebの予約ページで確かめてください
男性もヨガのクラスに通えるので、パートナーと交代で通う、という使い方もできます。今週はあなたが行き、来週は相手が行く。交代で預け合えば、「預ける」ことの気まずさも少し薄れます。汗をかいて帰ってきた相手の顔を見るのも、なかなか悪くないものです。
「戻らない体」を責めない
鏡の前で、お腹をつまんでため息をつく。妊娠前のジーンズが入らない。抜け毛が増えた。くしゃみが怖い。SNSを開けば、産後すぐに体型を戻したという誰かの写真が流れてくる。
産後の体について、ひとつだけ書いておきたいことがあります。体は、戻らなくてもいい、ということです。
十か月かけて変わった体が、数週間や数か月で元どおりになるとは限りません。お腹の皮膚がゆるんだまま。骨盤まわりの感じが前と違う。体重の落ち方が以前と違う。それは努力が足りないからではなく、大きな仕事を終えた体の、自然な姿です。
だから、暑い部屋に戻る目的を「元の体に戻すため」にしないでください。汗をかけば痩せる、というものでもありません。目的は、いまの体を知ることです。今日はどこが固いか。どこまでなら気持ちよく伸びるか。呼吸はどこまで深く入るか。前の体と比べる物差しを置いて、いまの体を観察する物差しに持ち替える。そうすると、ポーズが浅くても、途中で休んでも、それはただの「今日の記録」になります。
比べる相手がいるとすれば、先週の自分です。先週は10分で疲れた散歩が、今週は20分歩けた。それで十分、前に進んでいます。
運動を休んで連絡したい変化
産後の体の変化には、様子を見ていいものと、早く診てもらったほうがいいものがあります。次のようなときは運動を休んでください。連絡先は出産した病院や婦人科、授乳については助産師です。持病や怪我がある場合の運動の可否も、事前に医師に相談してください。
出血や子宮のこと
- 悪露の量が減ってきていたのに、また増えた。鮮やかな赤い出血が続く、大きなかたまりが出る
- 悪露に嫌なにおいがある、熱がある
- 下腹部の痛みが強い、だんだん強くなる
傷や胸のこと
- 帝王切開や会陰の傷が赤く腫れる、熱を持つ、膿が出る、痛みが増していく
- 胸の一部が赤く腫れて痛い、熱が出る(乳腺炎の可能性があると言われます)
- 母乳の出方がいつもと違う
骨盤底のこと
- 尿もれが続く、またはひどくなる
- 腟のあたりに、何かが下がってくる感じ、はさまっている感じがある
- ガスや便がもれる
気持ちのこと
- 気分の落ち込みや、何をしても楽しめない状態が2週間以上続く
- 眠れる時間があっても眠れない、食欲がない、自分を強く責めてしまう
産後すぐの数日から涙もろくなる「マタニティブルーズ」は、一般に2週間ほどで落ち着くことが多いと言われます。それより長く続くときは、産後うつの可能性も考えて、早めに相談してください。お住まいの自治体の保健センターなどにも連絡できます。
待たずに救急へ連絡したい変化
- 片方のふくらはぎが腫れて痛む、赤くなる(産後は血栓ができやすい時期と言われます)
- 急な息苦しさ、胸の痛み
- 強い頭痛、目がちかちかする、物が見えにくい
- 自分や赤ちゃんを傷つけてしまいそうだと感じる
最後の項目について。そう感じることがあっても、あなたが悪い母親だということではありません。体と心が限界に近い、というサインです。一人で抱えず、すぐに周りの人や医療機関に伝えてください。
運動は、こうしたことの治療の代わりにはなりません。治療や相談が先。運動は、その後ろからついてくれば十分です。
まとめ
- 産後の体では、悪露(子宮の回復)、ホルモンの急な入れ替わり、関節のゆるみ、細切れの睡眠、授乳が同時に起きている。
- 運動再開の時期は週数で決まるものではない。一般に、健診で問題がないと確かめてから軽いものから、と言われることが多い。「室温35〜40℃・湿度60〜70%で60分」と具体的に伝えて、医師に聞く。
- 帝王切開だった人は、もう一段ゆっくり。起き上がるときは横向きを経由する。
- 暑い部屋に戻る前に、骨盤底(尿もれ・下がる感じ)と腹直筋離開(お腹の真ん中の割れ)を一度確かめる。自分での確認は目安で、気になれば健診で相談する。
- 戻る順番は、寝たままの呼吸 → 小さな動きと散歩 → 常温の運動 → 暑い部屋。次の段への合図は体が出す。反応があれば一段戻っていい。
- 温まった体はよく伸びる。関節がゆるみやすい時期は、柔らかさを目標にしない。ポーズは半分の深さで。
- 授乳中は水を多めに、こまめに。汗が母乳にどう影響するかは断定できない。母乳の出方が変わったら休んで相談する。
- 赤ちゃんを預けて外に出る60分は、わがままではなく、戻るための時間にもなる。
- 体は戻らなくてもいい。比べる相手は先週の自分。
- 休む判断と緊急時の連絡は「運動を休んで連絡したい変化」にまとめた。迷う日は運動を進めない。
体験の案内
四段目まで進める状態になったら、オンザショア立川店の体験を検討してください。スタジオはJR立川駅北口から徒歩1分のエトロワビル3F(東京都立川市曙町2-14-10)です。年中無休、営業時間は8:00〜23:30。イタリア産の天然溶岩石「バサルティーナ」のプレートの床に、室温35〜40℃・湿度60〜70%の環境です。ヨガのクラスは男性も通えます。
ヨガ・ピラティスの期間限定体験は、税抜1,800円(税込1,980円)、事前決済です。レッスンは60分で、レンタルのヨガマットに加えて、バスタオル2枚とフェイスタオル1枚も含まれます。預け先と予定を合わせるときには、レッスン以外の着替えや移動の時間も見込んでください。
人の目を気にせず体の状態を伝えながら進めたい人には、女性限定の1対1のヨガ・ピラティスもあります。こちらは体験料金の案内とは別で、通常料金が60分1回・税抜9,082円(税込9,990円)です。
予約はWebで24時間受け付けています。公式LINEからも、予約と質問ができます。レッスン中は電話に出られないことが多いので、質問はLINEが確実です。産後の方は、たとえば次のようなことを、来る前にLINEで伝えたり聞いたりしておくと安心です。
- 「産後〇か月で、健診で運動の許可は出ている。暑い部屋は久しぶり」ということ
- 帝王切開だったこと、尿もれやお腹の真ん中の割れが気になること
- 途中で部屋を出るかもしれないこと
- どのレッスンがどんな環境で行われるか、最初はどれから始めるのがよいか
授乳中や月経が戻る前にも妊娠することがあり、妊娠中に利用できるのは常温のマタニティヨガのみで、溶岩ホットヨガには参加できません。医師に運動を止められている間も利用できません。
来る日は、健診で医師の許可が出たあとにしてください。そのうえで、悪露が落ち着いている日。前の晩がいつも以上の寝不足ではない日。授乳を済ませてから出られて、預け先の都合もつく日を選んでください。最初の一回は、出口近くのマットで、ポーズは半分の深さで。暑い部屋は、いちばん最後でいい。その最後の段まで、ゆっくり上ってきてください。
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初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。






