朝型と夜型では体重や食べ方にどのような違いがあるのか。クロノタイプと肥満の系統的レビュー、本人の傾向に合わせた食事や生活の比較試験を手がかりに、夜型だから痩せないと決めつけず、自分の起床・就寝と食事の関係から続けられる減量の工夫を考える。立川で暮らす大人に向けた科学の読み物。
家族と同じ時刻に目覚ましが鳴っても、こちらの頭だけがまだ開店していない。夕方になると仕事が進み、食事も活動も後ろへ寄っていく。「朝型の生活に変えれば痩せる」と聞くたび、減量より先に生活そのものの引っ越しを求められた気になる。
朝型・夜型の傾向をクロノタイプと呼ぶ。睡眠だけでなく、食事や活動を好む時刻にも関わる特性である。研究では夜型と体重の多さの関連が報告されている一方、食べ方との関連ほど、肥満との関連が一様に見つかっているわけではない。[2]
そこで問いたいのは、夜型の人が朝型の人に勝てるかではなく、自分の傾向を知ると減量の組み立て方が変わるか、である。食事の配分を本人に合わせた比較試験は、その問いに具体的な手がかりを与えている。[7]

朝型と夜型は、生活のどこを見る言葉なのか
クロノタイプは、日々の睡眠、食事、活動のタイミングに対する個人の好みを表す。朝型、夜型のほか、その中間の傾向も扱われる。生活行動がどの時間帯に向きやすいかを見るための概念である。[2]
「夜型」と「毎日ばらばらに寝る」は分けて考えたい。クロノタイプの研究が捉えようとするのは本人の時間的な傾向であり、睡眠の規則性を調べる研究とは焦点が違う。また、長く眠るか短く眠るかだけでも捉えられない。中年の男女を調べた研究では、睡眠時間や交代勤務などを統計的に考慮しても、夜型と肥満の関連が残った。[15]
ただし、自分が夜型かどうかを、残業した日の就寝時刻だけで決めるのは早い。研究では質問票による判定が使われる一方、食事時刻やクロノタイプを測る道具は研究間でそろっていない。成人の食事の時間的なパターンを扱ったレビューは、測定方法の違いが結果の直接比較を難しくしていると指摘している。[16]
日常ではまず、予定に合わせて遅くなった日と、予定がなくても遅い時間が心地よい日を区別してみる。この区別は診断ではなく、生活を振り返るための問いである。「夜更かしをした」という出来事を、そのまま「自分の体質は夜型だ」という固定した自己評価にしないためにも役立つ。
体重の話になると、朝型が正解で夜型が失敗という並べ方になりやすい。しかし、クロノタイプに合わせて食事を調整した試験が調べたのは、全員を同じ朝型生活に置き換える方法ではなく、個人の傾向に応じて日内のエネルギー配分を変える方法だった。本人の違いを消すより、違いを扱うという発想が研究の出発点にある。[7]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
夜型と体重の関連は、食べ方ほど一枚岩ではない
食事と肥満を扱った系統的レビューは、関連研究を決めた手順で探し、結果を整理する研究である。Teixeiraらは43研究を採用し、その約95%で夜型と少なくとも何らかの不健康な食習慣との関連があったと報告した。一方、夜型と肥満との関連を示した研究は約47%だった。[2]
この数字は、夜型の人の95%が不健康な食生活を送るという意味ではない。分母は採用された研究である。同じように、47%という数字から「夜型の人が肥満になる確率」を計算することもできない。食べ方の違いは多くの研究で見えても、それが体重の違いとしてどこでも同じように表れるわけではない、という整理になる。[2]
この43研究を集める過程では、2004〜2020年を対象に3つのデータベースを検索し、12,060件の抄録を評価している。採用の判断は2人が独立して行い、意見が分かれた場合は3人目が判断した。採用研究の内訳は、肥満を扱う21本、食品摂取・食事時刻・食事パターンを扱う13本、両方を扱う9本だった。食習慣の結果と肥満の結果は、扱った研究の構成にも違いがある。[2]
そのレビューでは、夜型は夜遅く食べる、朝食を抜くことが多い、加工度の高い食品を食べるといった習慣と関連した。朝型は新鮮な食品や加工の少ない食品の定期的な摂取と関連し、中間型の食事や健康のパターンは夜型より朝型に近い傾向だった。食事を好む時刻と、実際に何を用意して食べるかが重なっている。[2]
別の系統的なスコーピングレビューは、健康な成人を対象とする24研究を整理した。そこでは夜型に過体重・肥満や好ましくない代謝指標が多い一方、朝型と夜型の総エネルギー摂取量や主要栄養素の摂取量は同程度とされた。差が見られたのは、夜型では摂取が夜へ偏りやすいことや、食行動、食品の選び方だった。[1]
この結果は「夜型は単に多く食べる」という説明では捉えきれないことを示す。ただし、同じ量を食べれば夜型だけが太る、とも証明していない。集めた研究から見える全体像であり、同じ献立を同じ量だけ与えて朝型と夜型の体重変化を比べた単独の実験結果とは違う。[1]
中年の男女1,197人を対象にした地域住民の研究では、夜型と肥満の関連のオッズ比は1.67、95%信頼区間は1.08〜2.56だった。肥満はこの研究では体格指数であるBMIが30以上と定義され、年齢、性別、身体活動、睡眠時間などを調整した分析が行われた。[15]
オッズ比は、肥満に該当するかどうかの比較に用いる指標で、将来の体重が何倍になるかを表す数字とは異なる。さらに、この研究で人種別に分けた分析では、関連が確認されたのは白人参加者だった。対象集団によって結果が変わりうるため、立川で暮らす個人に同じ大きさの関連をそのまま当てはめることはできない。[15]
ここまでの結果を実生活に置き換えるなら、「私は夜型だから体重が落ちない」で話を閉じるより、「食べる時間と食品の選び方には何が起きているか」を開いてみる方がよい。研究は夜型というラベルとともに、その周辺の行動を捉えている。本人を責める説明に変えると、調べるべき具体が見えなくなる。[1][2]
時計の時刻に加え、起床と就寝から食事を見る
食事時刻を見るとき、壁の時計だけでは取りこぼす情報がある。Xiaoらは中年から高齢の成人872人について、1年間に6回の食事聞き取りを行い、起床と就寝を基準に食事の時間帯を区切った。朝は起きてから2時間以内、夜は就寝前2時間以内と定義した点が特徴である。[5]
同じ夕食時刻でも、その後すぐ寝る人と、まだ長く起きている人では就寝との距離が違う。この研究は、その違いを扱うために食事を睡眠・覚醒の時刻との関係で整理した。結果を読む際の基準も、一律の夕食の締め切り時刻より、本人の眠りとの位置関係になる。[5]
朝の時間帯に摂るエネルギーの割合が高いことは、過体重・肥満の低いオッズと関連し、オッズ比は0.53、95%信頼区間は0.31〜0.89だった。一方、夜の時間帯に摂る割合が高いことは高いオッズと関連し、オッズ比は1.82、95%信頼区間は1.07〜3.08だった。[5]
さらに、夜の摂取割合と過体重・肥満の関連は、遅いクロノタイプの人で強く、オッズ比は4.94、95%信頼区間は1.61〜15.14だった。信頼区間の幅は大きく、数値だけを抜き出して「夜型は約5倍太る」と言い換えると、対象、比較条件、推定の不確かさがすべて落ちてしまう。[5]
成人の36研究を整理した別のスコーピングレビューでも、夜型では食事を抜くことが多く、食事時刻が遅く、摂取エネルギーが遅い時間帯に配分される傾向があった。ただし、食事の規則性や食べている時間帯の長さについては、さらに調べる課題が残るとされた。遅い食事という言葉の中にも、別々に確かめるべき側面がある。[16]
たとえば、帰宅後に食事をする場面を考える。見るのは夕食が遅いかだけでなく、昼から何も食べずに来たのか、帰宅後の食事にその日の摂取が集中しているのか、食後すぐ就寝するのか、という流れである。これは研究結果から生活を点検するための考え方であり、その場で食事を前倒しすれば体重が減るという保証ではない。[5][16]
栄養素ごとの分析にも違いがあった。起床・就寝を基準にした研究では、食事の時間帯と過体重・肥満の関連は、脂質より炭水化物とたんぱく質の摂取で強かった。だからといって、夜の炭水化物やたんぱく質を一律に避ける方法を試して成功した、という結果にはならない。観察された食品摂取の位置関係と、特定の栄養素を抜く介入は、検証している内容が違う。[5]
献立を考える場面では、夜に何を禁止するかを決める前に、日中に食べる機会が確保されているかを見たい。総量が同程度でも配分や食行動に違いがあったレビューと合わせると、栄養素の名前だけで食卓を分けるより、食事全体の流れを見直す問いが浮かぶ。[1][5]
数字で読むクロノタイプと体重
43研究:食事や肥満との関係を整理した系統的レビューの採用数である。[2]
約47%:上記レビューで夜型と肥満の関連を示した研究の割合で、人の発症確率とは異なる。[2]
872人:起床・就寝との位置関係で食事を調べた成人の観察研究の対象数である。[5]
209人:本人のクロノタイプに合わせた食事配分を検討した無作為化試験の参加者数である。[7]
38人:夜型で肥満のある人に生活のタイミングへ働きかけた無作為化比較試験の規模である。[20]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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