お腹痩せの科学 第4回 ピラティスでウエストは細くなるか、運動量と測り方

ピラティスでウエストを変えたい人へ。週3回・8週間の試験とメタ分析を読み、周囲径、体脂肪、腹筋の持久力を分けて考える。マットと器具を使う運動、産後の研究、休んだ後の変化を比べ、立川で続ける方法と記録の取り方を示す。お腹だけの脂肪が落ちるという期待と、研究で確かめられた変化を整理する。

ピラティスでウエストが2.7cm減ったという研究がある。初心者の成人がマットの初級・中級の運動を1回60分、週3回、8週間続けた小規模な比較研究の結果だ。同時に腹筋の持久力や柔軟性も改善していた。[15] この数字を見て始めたくなった人に、伝えたいことがある。読むべきなのは減った幅だけでなく、どんな運動を、どれくらい続け、何を測ったかである。

ウエストを変える候補として、研究に近い形で継続するピラティスは選択肢になる。一方、複数の試験をまとめた研究では、ウエスト周囲径の有意な減少は確認されていない。[1][16] そこで本稿は、細さだけを約束せず、周囲径と体脂肪、腹筋を繰り返し使う能力を分けて、始め方を考える。

この記事は連載『お腹痩せの科学』全5回の第4回。前の回:お腹痩せの科学 第3回 HIITはお腹の脂肪に効くのか 短時間の高強度運動を読み解く次の回:お腹痩せの科学 第5回 産後のぽっこりお腹 腹直筋離開は運動で戻るのか

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まずは週3回、8週間のプログラムを参考にする

ウエストと腹筋の働きを一緒に変えたいなら、単発の腹筋運動を探すより、ピラティスのまとまったプログラムを候補にしたい。Rogersらの研究では、ピラティスを初めて行う成人9人が、初級・中級を中心としたマットのクラスに参加した。活動を続ける比較群は13人であり、運動群は1回60分、週3回、8週間取り組んだ。[15]

運動群で報告された変化は、ウエスト周囲径が2.7cm減少、体脂肪率が1.2%減少、腹筋を繰り返す検査で14回増加というものだった。体脂肪率の減少は要旨の表記に従った値で、体脂肪の重さの変化とは別に扱う。前屈の検査も7.5cm改善し、比較群には改善が認められなかった。[15] 細さだけでなく、動ける範囲と運動を繰り返す能力を同時に見た研究なのである。

この方法を日常に下ろすなら、まずマットで行う初級のピラティスを学び、続けられる時間を予定に入れることだ。研究ではクラスに参加した後、腹筋運動の検査で変化を評価した。[15] 練習は初級・中級のプログラム、記録する成果は周囲径や検査成績という組み立てだ。運動を選ぶ際も、習う内容と確かめたい変化を先に決めておくと、クラスへの参加目的を伝えやすい。

予定表には、クラスの時間に加えて移動や着替えも含めたい。週3回は、変化を報告した研究で実施された頻度である。[15] 今の生活で確保できる頻度と、研究で確かめられた頻度を並べて考える。少ない回数から始める場合は、研究との頻度の違いを記録し、自分の参加状況に沿って経過を振り返る。

初回は学びやすい動きから始めたい。この研究のクラスは初級・中級が中心であった。[15] できるだけ強い腹筋運動を選ぶより、説明を聞きながら動作を覚え、無理なく繰り返せるクラスを選ぶ方が、この試験の内容に近い。種目の順序や呼吸の指示は参加先で確認し、初級の説明を受けられるかを選ぶ基準にする。

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ウエスト、体脂肪、腹筋の持久力を別々に見る

ウエストが細くなるという言葉には、違う変化がまとめて入っている。周囲径は腹部のまわりを測る数値、体脂肪率は体組成の指標、腹筋の持久力は運動を繰り返す検査で評価された能力である。ピラティスの研究では、これらを別の項目として測定している。[5][6][15] どれかが良くなったときに、ほかの項目も同じように変わったと推測しないことが大切だ。

過体重・肥満の成人を対象としたRayesらの試験では、ピラティス群と歩行による有酸素運動群が、1回60分、週3回、8週間運動した。ピラティスは床の運動に抵抗を使う器具と1kgのダンベルを組み合わせ、歩行は換気性閾値に対応する心拍数で行った。換気性閾値は、この試験で歩行の強度を設定するために使われた指標である。[6]

ウエストとヒップの周囲径は、両方の運動群で同程度に減少した。一方、腹筋の検査成績はピラティス群の方が大きく改善し、体幹を後ろへ伸ばす筋肉の持久力と柔軟性はピラティス群でのみ改善した。[6] ウエストの変化では似た結果でも、体を動かす能力の変化には違いがあったという読み方になる。ピラティスを選ぶ理由は、周囲径の数字だけで決めなくてよい。

体組成では、ピラティス群で脂肪量と除脂肪量が改善したが、要旨に示された効果量はいずれも0.19であった。除脂肪量は、ここでは脂肪以外の体の量を指す。一方、腹筋検査の効果量はピラティス群1.69、歩行群0.95と報告されている。[6] この値は変化を比較するための指標である。脂肪量は重さ、腹筋の検査は回数という別の単位で記録されるため、結果を読む際は指標と単位をセットで確かめたい。

この試験は対象を60人としているものの、要旨の割付人数の記載には整合しない部分がある。また、対照群は仕事の時間と運動時間が重なる人から構成されている。[6] 運動群どうしの割付は無作為だが、非運動群との比較には参加可能な時間の違いが含まれる。それでも、プログラムの内容と評価項目が示されているため、運動を選ぶときに何を見比べるかの参考になる。

記録を作るなら、ウエストの欄、運動を続けた欄、動作の変化の欄を分けたい。周囲径が変わらない期間にも、以前より動きを覚えたか、クラスの中で休む場面がどうだったかを振り返る。これは自分が何を目標にしているかを確認するための生活上の工夫だ。周囲径の減少と持久力の改善が別々に報告された研究を、自分の評価も分ける理由にする。[6][15]

マットか器具かより、実際の内容を確かめる

マットのピラティスにするか、器具を使うピラティスにするか。ウエストが目的なら、まず知りたいのは名前よりもプログラムの中身である。初心者のマットの比較研究では周囲径が減少し、床と抵抗器具などを組み合わせた臨床試験でも周囲径の減少が報告されている。[6][15] それぞれの研究は参加者も対照条件も違う。まず自分に近い対象の研究を選び、そのプログラムの時間と頻度を確認する順で読むと、選択の材料が具体的になる。

体組成に関するPereiraらの系統的レビューは、研究を集めて結果の方向を整理したもので、33本の論文を対象とした。体重、体脂肪率、ウエストなどに改善傾向があるとした一方、対象の多くは女性であり、方法がより頑健な研究を求めている。[2] 改善を示す報告が複数あるという背景は、運動の候補として考える支えになる。器具の選択より、対象と実施内容を照合するための資料として使いたい。

Batrakoulisのトピカルレビューは、過体重・肥満の人に関する14本の論文、計582人を整理し、参加者の83%が女性であった。身体計測や体組成などに好ましい変化が報告されたが、専用器具を使う介入の研究は少なかった。[3] 器具があるから脂肪がよく減るという説明を受けたときには、どの対象の、どんな比較からそう言っているのかを確認したい。

実際にクラスを探す場面では、マット中心か、抵抗を使う運動が含まれるか、初めてでも動作を学べるかを確かめる。研究で使われた内容と、参加しようとしているクラスの内容を対応させるためである。[6][15] 「体幹」という看板だけでは、運動の時間も強さも分からない。今回の資料で体組成や周囲径を調べたのは、構成されたピラティスのプログラムである。

参加経験も、プログラム選びの手掛かりになる。Zarasらは、ピラティス経験のある女性20人に8週間のマット運動と、その後3週間の中断期間を設けた非無作為の実験研究を行った。[4] 初めてクラスへ行く人が、経験者の変化をそのまま目標にするのは条件が違う。自分がどこから始めるのかを確認するだけでも、期待の置き方が具体的になる。

腹部の見え方や姿勢全体の変化は別の問いである。背骨の並びを測った研究は姿勢の科学 第3回へ譲り、ここでは周囲径と体組成、腹筋の働きを扱う。上半身の運動選びは二の腕痩せの科学 第5回が受け持つ。ピラティスという同じ運動名でも、確かめたい結果を決めて読むことが、記事の使い分けになる。

Rayesらの試験では、椅子や階段を使う機能検査も行い、ピラティス群は歩行群より大きな改善を示した。[6] ウエストの話に戻ると、これは周囲径の減少幅の比較とは別の結果だ。参加する目的を相談する際に、腹部のサイズを測りたいのか、階段などの動作も振り返りたいのかを伝えると、何を記録するかが整理しやすい。研究が示した変化の種類を、目標を選ぶ材料として使うのである。

初心者のマット研究では、腹筋の検査だけでなく、背中を伸ばす検査の回数も7回増えていた。[15] お腹のために始めた運動でも、評価は腹部の周囲径だけに閉じなくてよい。運動の説明を覚え、次の参加日を決め、開始時の記録と照らし合わせる。そのうえで、研究が測った項目と自分が実感したことを混ぜずに残したい。見た目の印象は、自宅で測る周囲径とも、研究の機能検査とも違う記録として扱える。

数字で読むピラティスとウエスト

  • 初心者のマット運動は1回60分、週3回、8週間。運動群9人のウエスト周囲径は2.7cm減少した小規模な比較研究である。[15]
  • 過体重・肥満のメタ分析は11件の無作為化比較試験、393人。ウエストの平均差は−2.65cmで、有意な減少は認められなかった。[1]
  • 同じメタ分析の体重の平均差は−2.40kg、体脂肪率の平均差は−4.22ポイントであり、集団の比較結果を示す。[1]
  • 初めて出産した女性の試験は35人、1回50分、週5日、4週間。周囲径と腹筋持久力に対照群より改善が認められた。[5]
  • 経験者の女性20人の研究では8週間運動後、3週間中断。周囲径と体脂肪率では、中断後の変化の残り方が違った。[4]

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