太もも痩せの科学 第4回 走ると脚は太くなるのか、女性の筋肥大と運動の選び方

走ると脚が太くなるのが心配で、有酸素運動をためらっていないか。女性の筋肥大、自転車と筋トレの違い、脂肪と筋肉を分けた運動の選び方を論文から読む。高齢女性の自転車試験とメタ分析を照らし合わせ、研究で測った筋肉の変化を見た目の太さと混同せず、続ける方法を考える。

自転車をこいだあと、太ももの前側を意識すると「このまま続けたら脚が太くなるのか」と気になる。運動を選ぶとき、筋肉が育つことと、服の上から見える脚の輪郭が変わることを同じ意味で考えていないだろうか。

脂肪を減らす目的には有酸素運動、筋肉を増やす目的には筋トレという使い分けが、閉経後の女性を対象としたメタ分析で支持されている。一方、自転車による有酸素運動でも高齢女性の太ももの筋肉が増えた小規模試験はある。「有酸素なら筋肉は増えない」も「脚を使えばすぐ太くなる」も、運動を選ぶ説明としては粗い。[6][3]

先に決めたいのは、減らしたいものが脂肪なのか、増やしたいものが筋力なのか、気にしているものが見た目なのかである。本稿では自転車、有酸素運動、筋トレの研究を比べ、筋肉を育てる刺激を避けるべきかという疑問に答える。

この記事は連載『太もも痩せの科学』全5回の第4回。前の回:太もも痩せの科学 第3回 夕方の脚のむくみは運動で減るのか次の回:太もも痩せの科学 第5回 セルライトは運動で消えるのか

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脂肪が気になるなら、有酸素運動を選ぶ理由がある

脚の輪郭が気になるなら、脂肪量と筋力を分けて目標を立てると運動を選びやすい。閉経後の女性を対象に、運動と対照条件を比較したランダム化比較試験をまとめた研究では、有酸素運動は脂肪量の指標に、筋トレは筋肉量の指標に、より有益な傾向があった。両方を組み合わせる方法も体組成を改善する選択肢として示されている。[6]

体組成とは、ここでは体の脂肪量や筋肉量などの構成である。この分析は101研究、5,697人を含み、運動による脂肪量、体脂肪率、腹囲、内臓脂肪の減少と、筋肉量や除脂肪量の増加を報告した。除脂肪量は脂肪以外の組織の量を指す。ここでは体組成の指標として読もう。[6]

大切なのは、筋肉の増加と脂肪の減少が同じ運動計画の中で扱えることである。筋肉が増える可能性だけを理由に、有酸素運動を候補から外すと、脂肪量の改善を目指す選択肢まで狭めてしまう。研究の結論に沿うなら、脂肪を主に考える日は有酸素運動、筋力を育てたい日は筋トレ、両方を目指すなら組合せという整理が出発点になる。[6]

この大きな分析では、閉経後女性の全身の体組成が評価された。脂肪量と筋肉量を別々に集計し、運動の種類ごとの特徴を比べた点が、目的に合わせた選択に役立つ。[6]

実際の選び方としては、まず自分が取り組む運動を名前で記録する。「脚痩せ運動」とだけ書くと、自転車なのか、脚を押す筋トレなのかが分からなくなる。同じ脚を使う活動でも、有酸素だけを行った研究と、筋トレを加えた研究では比較する問いが違うからだ。[2][10]

運動を続けるかやめるかの判断を、筋肉が増えるという言葉だけに任せない。脂肪量を主な目的に置くなら、研究で有酸素運動がどの指標を改善したかを見る。筋力が目的なら、重さに対抗して動く筋トレの結果を参照する。この目的の分け方が、必要以上に運動を怖がらずに選ぶ土台となる。[6][14]

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有酸素運動の筋肥大は、筋トレと同じではない

筋肥大とは筋肉の大きさが増すことであり、今回の論文では筋肉全体の体積や断面積、筋肉を構成する筋線維の断面積で評価されている。脚の写真を見て太くなったかを判定する研究とは、測っているものが違う。[2][3]

有酸素運動だけを行う場合と筋トレを行う場合を比べた系統的レビュー・メタ分析には、21研究が含まれた。主な対象部位は膝を伸ばす筋肉である。筋肉全体の大きさの増加は筋トレに有利で、筋線維の大きさを見た分析でも同じ方向の結果だった。筋肉を育てる刺激の強さには、運動の種類による違いが見られた。[2]

筋肉全体の分析で、両運動の差を表す効果量は筋トレに有利な0.66だった。効果量は異なる研究の結果を共通の尺度で比較する数値である。ここでは筋トレと有酸素運動の筋肥大の差を示している。[2]

筋線維には研究でタイプI、タイプIIと分けられる種類がある。このレビューでは、そのどちらの断面積の比較も筋トレに有利だった。筋肉全体と筋線維という異なる単位で、筋トレに有利な結果がそろった。[2]

「有酸素の筋肥大が筋トレより小さい」という比較と、「有酸素では筋肥大が起こらない」という断定は別である。比較の結論として採用できるのは前者である。小さな試験で筋肉が増えた事実も残してこそ、自転車を適切に評価できる。[2][3]

筋肉の体積が増えた、という結果を、脚の外周が増えた、と読み替えてはいけない。 高齢女性の自転車試験で測ったのは画像による大腿四頭筋の体積であり、太もも全体の周径や服のサイズではない。見た目を気にする読者にとっても、まず測定対象を確かめることが大切だ。[3]

ここでいう大腿四頭筋は太ももの前側にある筋群で、試験では膝を伸ばす動きの能力とともに調べられた。脚の運動を考えるときには、どの筋肉を測った結果なのかを確かめたい。膝を伸ばす筋肉の結果を、内ももやふくらはぎを含む脚全体の結果として扱わないことが、研究を日常に使うための基本になる。[2][3][4]

自転車で筋肉が増えた女性の研究を読む

自転車による変化を具体的に示すのが、高齢女性7人を運動の前後で比較した小規模な非ランダム化試験である。若年女性の日常的な自転車利用への一般化には限界があることを、最初に押さえておこう。平均年齢は71歳で、12週間の自転車エルゴメーター、すなわち負荷をかけてこぐ運動機器によるトレーニングを行った。磁気共鳴画像法で測った大腿四頭筋の体積は12%増え、膝を伸ばす動きのパワーは55%増えた。[3]

この結果の面白さは、筋肉の大きさだけを見ていないことにある。有酸素能力も30%増えており、自転車で持久的な能力と筋肉の機能の両方に変化が見られた。筋肉が増えたことは、この対象では年齢とともに失われる筋肉への対策という文脈で評価されている。[3]

さらに筋肉の一部を採取して調べた筋線維の測定では、タイプIの大きさが16%増えた一方、タイプIIaの大きさは変わらなかった。タイプIのピークパワーも増えたが、両タイプの最大の力は変わらなかった。筋肉の中のすべてが同じ方向、同じ大きさで変化したわけではない。[3]

これを日常の目標に下ろすなら、「太ももが大きくなるか」だけでなく「動くための能力に何が起きたか」も見るということになる。大きさと機能を両方測る研究だからこそ、筋肉が育つことを単純に望ましくない変化として扱えない。この研究で得られた成果は、画像で測った筋肉と、動く能力の改善である。[3]

一方、76〜78歳の女性に18週間の筋力または持久力トレーニングを行った別の比較試験では、持久力トレーニングによる筋肉への効果はごく小さいと報告された。筋トレ群では、大腿四頭筋の断面積が4.5%、その筋肉の除脂肪組織の断面積が5.8%増えた変化が対照群との比較で示されている。[5]

こちらの試験は筋肉の中の脂肪の割合も調べ、筋トレによるその割合の減少を持久力トレーニング群との比較で報告した。筋肉の断面積が増えることと、筋肉内の脂肪の割合が減ることは両立する。筋肉を大きさだけで判断すると、この構成の変化を見落としてしまう。[5]

自転車で明確な筋肥大を認めた研究と、持久力トレーニングの効果が小さかった研究には、対象や運動条件の違いがある。両方を並べると、有酸素運動への筋肉の反応にも幅があると分かる。高齢女性の運動でも、筋肥大の大きさは研究によって異なった。[3][5]

この高齢女性の自転車試験では、タイプI筋線維の最大収縮速度が増え、最大の力が増えない中でもピークパワーが上がったと説明されている。また、断面積当たりに換算した力は両タイプで約10%低下した。著者はこの低下が筋原線維のたんぱく質濃度の減少に関連した可能性を述べている。すべての機能が一律に上がったという紹介では、要旨の情報を落としてしまう。[3]

細かな結果を読む意味は、大きさ、力、動きの速さという別々の測定を知ることにある。筋肉の体積が増えたという一文に、あらゆる能力の向上や外見の変化を詰め込まない。自転車試験の成果を理解するには、測定した項目ごとに結果を追うと、改善の中身が見えてくる。[3]

数字で読む筋肉と運動の違い

  • 21研究:有酸素運動と筋トレの比較。膝を伸ばす筋肉の筋肥大は筋トレに有利だった。[2]
  • 7人・12週間:平均71歳の女性の自転車試験。大腿四頭筋の体積は12%増加した。[3]
  • 18週間:76〜78歳女性の比較試験。筋トレ群の大腿四頭筋断面積は対照群との比較で4.5%増加した。[5]
  • 101研究・5,697人:閉経後女性の運動と体組成のメタ分析。有酸素と筋トレで得意な指標が異なった。[6]
  • 29研究:男女の同じ筋トレを比べた分析。筋肉の相対的な増加は男女で同程度だった。[12]

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