お腹痩せの科学 第2回 内臓脂肪を減らす運動はどれか、強さと続け方で選ぶ

内臓脂肪を減らすなら、有酸素運動とHIITのどちらを選ぶべきか。過体重・肥満の成人を対象にした研究から、週の回数、時間、続ける期間を読み解く。筋トレの役割、体重とウエストの見方、研究で順位が変わる理由も整理し、無理なく続ける運動の選び方を示す。

内臓脂肪を減らす運動は、強さだけで選べるだろうか。内臓脂肪に狙いを定めるなら、まず有酸素運動を予定に入れる。過体重・肥満の成人を対象とした研究の統合では、中等度以上の有酸素運動とHIITに減少効果が示されている。[1][11]

HIITは短い高強度の運動と休みを繰り返す方法である。総合的な比較で上位になる一方、有酸素運動と直接比べた研究では内臓脂肪の減り方に優劣が出ていない。[1][14] 「強ければ勝ち」と考えるより、続ける時間を確保できるか、強い運動を安全に行えるかで選ぶ。そのために、今回は運動の種類と量を並べて読む。

この記事は連載『お腹痩せの科学』全5回の第2回。前の回:お腹痩せの科学 第1回 腹筋運動でお腹の脂肪は落ちるのか次の回:お腹痩せの科学 第3回 HIITはお腹の脂肪に効くのか 短時間の高強度運動を読み解く

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内臓脂肪には、有酸素運動を軸にする

運動を再開する際の土台は、中等度の有酸素運動である。運動量を検討した系統的レビューとメタ分析では、有酸素運動を1回30〜60分、週3回、12〜16週間行うことが、内臓脂肪を減らす有効な量として報告されている。[11] 中等度から始める選択にも根拠がある。[1] まとまった時間を生活に置ける人には、持続して動く方法が現実的な候補になる。

有酸素運動とは、ここでは一定の運動を続ける方法を指す。自転車のような持続運動と、強弱をつけた自転車運動を比較した試験もある。[13] 日常で歩くことを選ぶなら、研究の「中等度」という条件を抜きにして、歩いた時間だけを数えないことが大切だ。ゆっくりした移動と研究の運動を同じものとして扱うのは避けたい。強度の合わせ方は、体力と体調を踏まえて指導を受けると計画に落とし込みやすい。

根拠の中心は、過体重・肥満の人を対象にした介入研究である。2023年のネットワークメタ分析は、84件の無作為化比較試験、4,836人を統合した。無作為化比較試験とは、参加者を運動などの群へ無作為に分けて比べる試験である。この分析では、中等度以上の有酸素運動、筋トレ、両者の組み合わせ、HIITのいずれも内臓脂肪の減少に有益であった。なかでも強い有酸素運動とHIITが、最もよい介入となる確率の順位で上位に入った。[1]

中等度以上の有酸素運動に効果があるという結果と、強い運動が上位になるという結果は、同じ分析の中にある。[1] 選べる強度に幅があることは、予定を組む際の助けになる。 再開時には、継続できる持続運動を基準にして、必要なら強度を相談する順番でよい。

以前の分析でも、有酸素運動の位置づけは明確である。2012年のメタ分析は、CTまたはMRIという画像検査で内臓脂肪を測定した、少なくとも4週間の無作為化比較試験35件を集めた。有酸素運動は運動しない対照群に比べて有意に改善した一方、筋トレ単独では有意な効果を確認できなかった。[5] お腹を意識して筋トレを増やす前に、有酸素運動の枠があるかを点検する理由がここにある。

筋トレにも組み合わせる理由がある。2021年の研究総括では、減量中の筋トレに、脂肪以外の組織である除脂肪量の減少を抑える効果が報告されている。[4] 内臓脂肪を減らす役割と、体の組織を保つ役割を分けて考えると、運動を組み合わせる意味が見えやすい。内臓脂肪という目的に対しては、有酸素運動を抜いた筋トレだけの予定にしない、というのが本稿の提案である。

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HIITは有力だが、いつも有酸素運動に勝つわけではない

短い運動を選びたい人にとって、HIITは検討に値する。2026年のネットワークメタ分析は、過体重・肥満の成人3,308人を含む60件の無作為化比較試験を統合した。対照群との比較では、有酸素運動、筋トレ、両者の組み合わせ、HIITのすべてで内臓脂肪が有意に減少し、順位はHIIT、組み合わせ、有酸素運動、筋トレの順であった。[3] 種類を広く比較すると、HIITは繰り返し上位に現れる。

一方、HIITと持続する有酸素運動の差を直接問うと、答えは変わる。2023年のメタ分析は、過体重・肥満の成人を対象とした11件の無作為化比較試験を集め、内臓脂肪についてどちらかが優れているという結果を得なかった。[14] また、12件の系統的レビュー、149研究をまとめた2021年の総括では、エネルギー消費が同じであれば、有酸素運動とHIITの間に体重、脂肪、内臓脂肪の減少の差は認められなかった。[4]

運動しない対照群との比較は効果の有無を、運動群同士の比較は方法の優劣を問う。ネットワークメタ分析は複数の比較をつないで順位を推定するため、直接比較とは情報の集め方が異なる。[1][14] ランキングで候補を絞り、時間と強度の組み合わせが自分に合うかを考えたい。

具体的な試験を読むと、その違いが分かる。肥満の若い女性43人を対象にした12週間の試験では、HIIT群15人、持続する中等度運動群15人、運動しない群13人を比較した。運動群の1回あたりの仕事量は300kJにそろえられていた。CTで測定した内臓脂肪の面積は、HIITで9.1cm²、中等度の持続運動で9.2cm²減少し、減少量は同程度であった。[9]

この試験では、皮下脂肪の面積もそれぞれ35cm²と28.3cm²減少した。全身の脂肪量は両運動群とも2.8kg減り、体幹など各部位の脂肪の減少にも群間差はなかった。運動しない群では変化がなかった。[9] お腹の深い部分と皮下の部分を別々に測り、それでも運動群同士には差が出なかった点が重要だ。長く持続する方法も、内臓脂肪を減らす選択肢として残る。

対照的に、肥満の若い女性59人を無作為に分けた12週間の自転車運動の試験では、インターバル運動群の内臓脂肪面積の減少は15cm²を超え、中等度の持続運動群は3.5cm²未満であった。[13] この試験は高強度運動に有利な結果である。この試験では、全力の短い運動、最大酸素摂取量を超える強度の運動、HIIT、中等度の持続運動を比べている。全力の群を除く運動群の仕事量は1回200kJで、全力の群は意図的に少なく設定された。全身の脂肪減少は運動群で同程度でも、内臓脂肪には差が出た。[13]

強い運動だけを集めても、持続運動だけを集めても、読者は選びにくくなる。有酸素運動を確保できるなら、その予定を続ける価値がある。短時間で取り組みたいなら、HIITの強度を安全に設定できる環境を探す。この選択に、特定の方法を選ばなかった罪悪感は要らない。どちらにも改善を示した根拠があり、両者の優劣は研究条件で変わるのである。[1][4][9][14]

量の目安は、週の回数と続ける期間をセットにする

1回だけ頑張る予定より、週の中で繰り返す予定を作る。2021年の運動量のメタ分析は、32研究、1,900人を統合し、中等度以上の有酸素運動とHIITに内臓脂肪の減少効果を認めた。有効な量として示されたのは、週3回、12〜16週間である。有酸素運動では1回30〜60分、HIITでは30分未満または30〜60分の枠が報告されている。[11] HIITの枠には異なる設定が含まれるため、短い時間だけを抜き出して全力運動の連続に置き換えない。

予定表では、まず持続運動を置ける日を選び、次にその日に確保できる時間を確かめる。これは研究の平均を自分の生活に翻訳する作業だ。週3回に加え、強度と継続期間も合わせて計画する。[11] 再開直後に研究の枠をすべて満たせない場合は、完成した計画のつもりで数字を埋めるより、どこまで実行できたかを記録して調整する方がよい。

中等度の持続運動を選ぶ具体的な根拠もある。肥満のある40〜64歳の地域住民116人を対象とした2025年の無作為化試験では、30分の中等度持続運動と20分のHIITを、それぞれ週3回行った。最初の8週間では、中等度の持続運動がHIITより内臓脂肪の減少に有効であった。[18] HIITが全体の順位で上位でも、具体的な人と具体的な期間では持続運動がよい結果を出している。

この試験は、その後の運動も調べた。最初の運動で反応が得られた人は同じ方法を続け、反応が乏しい人は別の方法へ無作為に振り分けられた。中等度運動で反応が乏しかった人には、HIITへの変更が、筋トレを追加する方法より有効であった。一方、HIITで反応が乏しかった人では、中等度運動への変更と筋トレを加えた中等度運動の間に有意差はなかった。[18] 反応を見て方法を考える設計が、この研究の特徴である。

この試験の反応判定には、内臓脂肪が3%以上減ったかという基準が使われた。[18] ここから日常へ持ち帰るのは、始めた運動を短期間の印象だけで替え続けない、という計画の考え方だ。この試験では、同じ方法を両段階で続けた参加者の方が、途中で変更した参加者より大きな内臓脂肪の減少を示した。ただし、変更の対象は反応が乏しかった人なので、「変更そのものが悪い」と因果を決めることはできない。[18] 体調と実行状況を確かめ、評価する機会を設ける使い方が適切である。

数字で読む内臓脂肪の運動研究

  • 84試験・4,836人:過体重・肥満の人で運動の種類を比較した総合分析である。[1]
  • 週3回・12〜16週間:運動量の分析では、この頻度と期間が有効な量として報告された。[11]
  • 1回30〜60分:同じ分析で報告された有酸素運動の時間である。[11]
  • 9.1cm²と9.2cm²:肥満の若い女性の試験で、HIITと持続運動による内臓脂肪面積の減少は同程度であった。[9]
  • 平均3.2cm:成人の有酸素運動研究で、対照群よりウエストが減少した量である。[15]

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