減らした体重が戻るたびに、代謝まで悪くなったのではと感じる。23研究をまとめたレビューでは、体重・脂肪量・除脂肪量・安静時代謝への悪影響を認めない研究が多数だった。ただし高齢者や糖尿病リスクの高い人では異なる結果もある。研究の対象と測定項目を分け、リバウンド後の再挑戦と維持の考え方を読む。[1][10][20]
衣替えで出した服が、去年の減量後には入ったのに今朝はきつい。体重計の数字より先に、「また戻った」「次はもっと落ちにくいはずだ」という言葉が浮かぶ。過去の減量歴が、次の挑戦を始める前から重荷になる場面だ。
しかし、体重が戻った事実と、代謝が回復不能になったという判断は別である。一般に健康な成人を対象とする23研究をまとめたレビューでは、繰り返す減量と再増加が体組成や代謝に悪影響を与えるという結果は、多数派ではなかった。[1] 体重計には履歴を表示する機能があっても、次の減量の可否を判定する機能はない。
一方で、「何度戻っても気にしなくてよい」と言い切るのも早い。糖尿病リスクの高い成人や高齢者の研究には、体重が戻っても体の中身は同じに戻らない可能性を示すものがある。[10][20] 問うべきは、失敗の回数で体を裁くことではなく、誰に、何が、どのように起きたかである。

リバウンドの履歴と、今の体の状態を分ける
ウェイトサイクリングとは、体重を減らした後に再び増える周期を繰り返すことを指す。ヨーヨーダイエットとも呼ばれ、ここでは減量と再増加の往復として扱う。[1] 今日の体重が昨日より多いという場面を、そのまま研究で扱う周期と同一視しない。研究の問いは減量と回復を経た体にどのような変化が残るかであり、時間を追って調べている。[1][10]
「痩せにくい」には、少なくとも別々の問いが入っている。以前より体重が増えやすいのか、脂肪の割合が増えるのか、脂肪以外の組織が減るのか、安静にしているときのエネルギー消費が下がるのか。23研究のレビューは、これらを体重と体格指数、脂肪量、除脂肪量、安静時代謝に分けて検討している。[1] ひとつの言葉に詰め込むと、脂肪の研究を代謝の証拠として読んでしまう。
除脂肪量とは、体重のうち脂肪を除いた部分であり、筋肉量だけを表す数字ではない。安静時代謝は、安静にしているときのエネルギー消費を指す。レビューが扱うのは、減量歴の有無で比較した研究や、減量と再増加を実際に追った研究の結果である。[1] 「除脂肪量が少ない」と「筋力が低い」も同じ測定ではなく、筋肉の問題を考えるレビューでは、体組成とともに筋力を評価することの意味が論じられている。[12]
研究でいう往復の定義も統一されていない。糖尿病リスクの高い成人の研究は5%以上の減少や増加で経過を分類し、高齢者の研究は3%以上の減少後、開始時の体重の±3%以内に戻ることを周期とした。[10][20] どちらも体重が戻る経過を扱いながら、対象と変化の幅には違いがある。自分の体重手帳に研究の数字を重ねるなら、まず「戻った」の意味を確かめたい。
また、減量を意図したのか、病気などで意図せず減ったのかという違いも重要だ。人と動物の証拠を批判的に検討した論考は、加齢、意図しない体重減少、肥満の期間の長さなどが、体重変動と健康問題の関連に入り込む可能性を指摘している。[9] 自分の意図に反して体重が減る場合は、ダイエットの成果として扱わず医師に相談する。この区別を飛ばして「往復そのものが原因」と決めると、見ている問題が変わってしまう。
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23研究は「代謝が壊れる」を支持したか
中心となるレビューがまとめたのは、さまざまな年齢、性別、人種の、一般に健康な成人の研究である。正常体重、過体重、肥満の人を含み、横断研究、追跡するコホート研究、介入研究を合わせて23研究が採用された。[1] つまり、すべてが同じ減量法を割り付けて比較した試験ではない。人をある時点で比べた結果と、時間を追って観察した結果が含まれている。
体重または体格指数を調べた18研究のうち、13研究ではウェイトサイクリングとの有意な関連がなかった。脂肪量を調べた20研究のうち15研究も、増加を認めなかった。[1] 「戻るたびに前より脂肪が増える」という説明は、この全体像と合わない。ただし、関連がなかった研究の数は、全員の脂肪が増えなかったという意味ではなく、研究ごとの結果を数えたものだ。
除脂肪量を扱った18研究では、減少を認めたものはなかった。安静時代謝を扱った14研究のうち12研究も、悪い変化を報告しなかった。[1] この結果から著者らは、過体重や肥満に悩む健康な人が、体重を減らす再挑戦をためらうべきではないと述べている。減量歴だけを理由に、「もう代謝が壊れた」と判断する根拠は弱い。[1]
このレビューは、各測定項目で関連や悪影響を認めなかった研究数を示している。[1] 体重と体格指数、脂肪量、除脂肪量、安静時代謝で検討した研究数はそれぞれ異なり、結果は測定項目ごとに整理されている。
小規模ながら、実際の往復を追った研究もある。肥満の女性11人を18週間調べた試験では、非常に低いエネルギーの食事を2週間、その後は自由に食べる期間を4週間とし、これを3周期繰り返した。各減量期間の体重減少は平均4.44 kg、3.29 kg、2.98 kgであった。[16] 減る量だけを見ると、次第に落ちにくくなったように見える。
だが、同じ試験では、基礎代謝は食事制限に反応して低下したものの、各回の自由に食べる期間の後には正常に戻っていた。終了時の基礎代謝の絶対値と、除脂肪量あたりの値に有意な変化はなく、この女性たちでは進行する基礎代謝低下や体脂肪割合の増加の証拠はなかった。[16] 減量期間の途中に起きる変化と、往復した後に残る変化は、分けて測る必要がある。
この試験の基礎代謝は、全身のガス交換からエネルギー消費を推定する間接熱量測定で調べられた。体組成には複数の測定方法が使われている。開始から18週間までの平均の体重減少は5.93 kgであり、体重が減ったままでも、終了時の基礎代謝には有意な低下が残っていなかった。[16]
筋肉と脂肪の研究は、なぜ結論が揃わないのか
別の系統的な文献検索に基づくレビューでは、人を対象とした31研究が採用された。体脂肪や中心部の脂肪についての19研究のうち11研究は、ウェイトサイクリング歴との関連を報告している。一方、糖尿病リスクについては17研究のうち13研究で悪影響を認めず、著者らは体組成や将来の肥満への影響を決定的とはしていない。[11] 最新のレビューと同じ方向の結果だけを並べると、この揺れが消えてしまう。
体重変動の健康・肥満への影響を広く扱った別のレビューは、中心部への脂肪蓄積、減量期の除脂肪量低下、回復期の脂肪増加、炎症や心血管系への負担を論じている。[2] このレビューは、脂肪組織に入り込む免疫細胞や炎症を促す物質の増加、血糖とインスリンの変動にも着目している。食事のエネルギー制限と身体活動を組み合わせることを、代謝面の問題や慢性炎症を軽減する方向として挙げた。[2]
競技者の系統的レビューとメタ分析では、18〜55歳で体格指数が30未満の選手を対象とする74研究が採用され、32研究が統合解析に使われた。減量後に戻した体重と除脂肪量は、減量前と比べて影響を受けないように見えた。一方、筋力系競技の選手では脂肪量が完全には戻らない結果が示された。[5] 脂肪が必ず過剰に戻るという一方向の説明には、ここでも収まらない。
対象は競技者なので、生活背景が異なる人への適用には注意が必要だ。筋力系の選手は減量と回復の期間も長いという特徴があり、脂肪量の回復についての標準化した効果量は−0.39、95%信頼区間は−0.77〜−0.00だった。[5] 信頼区間は推定値の不確実さを表す範囲である。隣の記事で扱う減量薬の中止後の問題とも、ここでは切り口を分ける。この記事が確かめるのは、減量と再増加の履歴そのものから、次は痩せられないと結論できるかである。
数字で読むウェイトサイクリング
23研究:一般に健康な成人の体重・体組成・安静時代謝を検討したレビューの採用数である。[1]
13/18研究:体重または体格指数との有意な関連がなかった研究数である。[1]
15/20研究:脂肪量の増加を認めなかった研究数であり、人の割合ではない。[1]
0/18研究:除脂肪量の減少を認めた研究数である。[1]
12/14研究:安静時代謝に悪い変化を報告しなかった研究数である。[1]
11人・18週間:減量と再増加を追い、基礎代謝の進行的低下を認めなかった小規模試験の条件である。[16]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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