連載「減量の科学」全10回の第6回です。

第4回では「何を食べるか」を比べても体重の差は小さいことを見ました。では「いつ食べるか」はどうか。食べる時間帯を1日のうち8時間程度に絞る時間制限食(TRE: time-restricted eating)は、ここ10年で最も研究が増えた介入のひとつです。動物実験では、総摂取量を揃えても食べる時間帯を制限した群のほうが代謝指標が良くなるという報告が繰り返されてきました。

この回では、その結果がヒトでどこまで再現されたかを追います。何時に食べるべきかという指示は書きません。扱うのは、試験の設計と、そこから何が言えて何が言えないかです。

結論を先に書きます。総エネルギー摂取量を揃えて比べると、食べる時間帯を絞ることによる体重の上乗せは小さく、多くの試験で統計的に有意になりません。時間制限食で体重が減った試験の減量幅は、摂取エネルギーが減ったことでおおむね説明がつきます。一方で、食事誘発性熱産生に日内変動があること自体は繰り返し観察されており、機序の話と転帰の話は分けて読む必要があります。

減量の科学 第6回 食べる時間時間制限食と体内時計|オンザショア立川店 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

エネルギーを揃えて比べると

この分野の研究を読むときに、まず確かめるべき点があります。比較の相手が何かです。時間制限食を「何も制限しない状態」と比べれば、差が出るのは当然です。食べられる時間が短くなれば、多くの人は食べる量が減るからです。問いはそこではなく、「同じだけ摂取量を減らしたとき、時間帯を絞ることに上乗せの効果があるか」です。この二つを混同した報道が、この領域では特に多く見られます。

この問いに正面から答えた試験が、12か月という長さで行われています。

Liu D, Huang Y, Huang C, et al. Calorie Restriction with or without Time-Restricted Eating in Weight Loss. The New England Journal of Medicine. 2022;386(16):1495-1504.

肥満の139名が、エネルギー制限に時間制限食を加える群(午前8時から午後4時の間だけ食べる)と、エネルギー制限だけの群に無作為に割り付けられました。両群ともエネルギー制限の内容は同一です。12か月の追跡を完了したのは118名(84.9%)でした。体重減少は時間制限群で -8.0 kg(95%信頼区間 -9.6〜-6.4)、エネルギー制限のみの群で -6.3 kg(-7.8〜-4.7)。群間差は -1.8 kg(-4.0〜0.4、P = 0.11)で有意ではありません。腹囲、体格指数、体脂肪量、除脂肪量、血圧、代謝指標のいずれも、同じ結論でした。

カロリー計算を伴わない形での比較もあります。

Lin S, Cienfuegos S, Ezpeleta M, et al. Time-Restricted Eating Without Calorie Counting for Weight Loss in a Racially Diverse Population. Annals of Internal Medicine. 2023;176(7):885-895.

肥満の成人90名を、8時間の時間制限食(正午から午後8時、カロリー計算なし)、エネルギー制限、対照(1日10時間以上かけて食べる)の3群に割り付けた12か月の試験です。平均年齢40歳、33%が黒人、46%がヒスパニックという構成でした。ここで重要なのが摂取量の実測です。摂取エネルギーの減少は、時間制限群で1日あたり -425 kcal、エネルギー制限群で -405 kcal と、ほぼ同じでした。対照群と比べた12か月時点の体重減少は、時間制限群 -4.61 kg(-7.37〜-1.85、P ≤ 0.01)、エネルギー制限群 -5.42 kg(-9.13〜-1.71、P ≤ 0.01)。両群の差は0.81 kg(-3.07〜4.69、P = 0.68)で有意ではありませんでした。

この試験の含意は明快です。時間制限食は、対照と比べれば体重を減らします。しかしそれは食べる時間帯が狭まった結果として摂取量が減ったからであり、エネルギー制限そのものと比べると上乗せはない、ということです。

早い時間帯に寄せた場合

時間帯の位置を変えるとどうか。食事を1日の前半に寄せた試験があります。

Jamshed H, Steger FL, Bryan DR, et al. Effectiveness of Early Time-Restricted Eating for Weight Loss, Fat Loss, and Cardiometabolic Health in Adults With Obesity: A Randomized Clinical Trial. JAMA Internal Medicine. 2022;182(9):953-962.

肥満の成人90名(80%が女性、平均体格指数39.6)を、エネルギー制限に加えて午前7時から午後3時の8時間だけ食べる群と、12時間以上の時間帯で食べる群に割り付けた14週間の試験です。早い時間帯に寄せた群は、体重減少が2.3 kg大きく(95%信頼区間 -3.7〜-0.9、P = .002)、拡張期血圧も4 mmHg低下しました(-8〜0、P = .04)。

ただし副次的な指標では話が変わります。体脂肪量の減少には有意差がなく(-1.4 kg、-2.9〜0.2、P = .09)、失った体重に占める脂肪の割合にも差はありませんでした(-4.2%、-14.9〜6.5、P = .43)。著者ら自身が、早い時間帯への集中の効果は1日あたり214 kcalの追加的なエネルギー制限に相当すると表現しています。ここでも、効いているのは摂取量の側です。

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統合するとどうなるか

Ezzati A, McLaren C, Bohlman C, et al. Does time-restricted eating add benefits to calorie restriction? A systematic review. Obesity (Silver Spring). 2024;32(4):640-654.

エネルギー量を揃えた条件で、エネルギー制限に時間制限食を加えた群と加えない群を比べた、8週間以上の無作為化比較試験7件・579名を集めた系統的レビューです。体重減少と拡張期血圧の低下が大きかったと報告したのは2件。中性脂肪と耐糖能の改善が大きかったとする報告が1件(週3回の時間制限食を26週間)。逆にインスリン抵抗性の指標が有意に上がったとする報告も1件ありました。それ以外の指標では、両群に統計的な差はありません。著者らの結論は「一部の研究では上乗せが見られたが、大半の研究では追加的な利益は見つからなかった」というものです。

より広く集めたメタアナリシスも、同じ方向を指しています。チャン(Chang)らの解析では、時間制限食は体重・腹囲・摂取エネルギーを減らし、複数の代謝指標を改善しました。ただし部分集団の解析で、改善が大きかったのは摂取量を指定しなかった条件であり、エネルギー量を指定した条件では差が縮みました。食べる時間帯の利点が見えたのも、時間制限群のほうが摂取エネルギーの減少が大きかった場合に限られています。著者らは、効果の主因はエネルギー不足であり、食べる時間帯の整合はその次だと結論しています。

機序としての日内変動

ここまでの転帰の話とは別に、機序の研究は独立して蓄積しています。同じ食事でも、朝に食べたときと夜に食べたときで、消化・吸収・代謝に使われるエネルギー(食事誘発性熱産生)が違うという報告です。

Richter J, Herzog N, Janka S, Baumann T, Kistenmacher A, Oltmanns KM. Twice as High Diet-Induced Thermogenesis After Breakfast vs Dinner On High-Calorie as Well as Low-Calorie Meals. The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism. 2020;105(3):dgz311.

標準体重の男性16名が、朝に少なく夜に多く食べる条件と、その逆の条件を、盲検下の交差法で経験した研究です。同じエネルギー量を摂っても、食事誘発性熱産生の増加は朝のほうが2.5倍大きいという結果でした(P < .001)。食後の血糖とインスリンの上昇も、朝食後のほうが小さくなっています。朝を少なくした条件では、日中の空腹感(P < .001)と甘いものへの欲求(P = .007)が強まりました。

ところが、この差の解釈には有力な異論があります。

Ruddick-Collins LC, Flanagan A, Johnston JD, Morgan PJ, Johnstone AM. Circadian Rhythms in Resting Metabolic Rate Account for Apparent Daily Rhythms in the Thermic Effect of Food. The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism. 2022;107(2):e708-e715.

過体重・肥満の14名を15.5時間にわたって測定した研究です。従来の方法、つまり食事の直前の安静時代謝量を基準として差を取る計算では、朝食での食事誘発性熱産生は60.8 ± 5.6 kcal、昼食36.3 ± 8.4 kcal、夕食25.2 ± 9.6 kcal と、朝が昼の1.6倍、夕の2.4倍になりました(P = .022)。しかし、安静時代謝量そのものにも日内リズムがあることを考慮して連続的に変化する基準を当てはめ直すと、朝54.1、昼49.5、夕49.1 kcal となり、差は消えました(P = .680)。著者らの結論は、朝と夜の見かけの差は、食事への急性の反応ではなく、その下にある安静時エネルギー消費の日内リズムで説明できる、というものです。

機序の研究が割れている以上、「朝に多く食べると熱として多く逃げる」という説明を、転帰の根拠として使うことはできません。

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朝食の観察研究をどう読むか

食べる時間の話題で最も古く、最も誤解されてきたのが朝食です。朝食を抜く人は太っているという観察研究は無数にあります。しかし無作為化比較試験を集めると、様相が変わります。

Sievert K, Hussain SM, Page MJ, et al. Effect of breakfast on weight and energy intake: systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials. BMJ. 2019;364:l42.

高所得国の成人を対象に、朝食を摂る条件と摂らない条件を比べた13件が対象です。体重については、朝食を抜いた側がわずかに軽いという結果でした(平均差 0.44 kg、95%信頼区間 0.07〜0.82、I2 = 43%)。1日の総摂取エネルギーも、朝食を摂った側のほうが259.79 kcal多くなっています(78.87〜440.71、I2 = 80%)。ただし著者らは、含まれた試験がすべて少なくとも一つの領域で高いかまたは不明確なバイアスのリスクを持ち、追跡が短い(体重で平均7週、摂取量で2週)ことを強調し、結果を慎重に解釈するよう求めています。

なぜ観察研究と試験がここまで食い違うのか。この問い自体を検証した論文があります。ブラウン(Brown)らは、朝食欠食が体重増加を引き起こすという命題をめぐる文献を調べ、観察研究は関連を示したにとどまるのに、引用の過程で因果を示す言葉に置き換えられていくという現象を定量的に示しました。自分の結果の偏った解釈、因果を含意する言葉づかい、他者の結果の誤解を招く引用、引用時の因果的表現——四つの型が挙げられています。朝食を抜く人には、夜型の生活、喫煙、運動習慣の少なさなど、体重に影響する別の特徴が伴いがちです。そして体重を気にしている人ほど朝食を抜く、という逆向きの因果もありえます。

比較結果
時間制限食 対 対照(制限なし)体重は減る。ただし摂取量も減っている
時間制限食 対 同じエネルギー制限12か月で群間差 -1.8 kg、有意でない
早い時間帯 対 12時間以上体重で2.3 kgの差。体脂肪量では有意差なし
朝食あり 対 朝食なし(試験)抜いた側が0.44 kg軽い。質は低い

何が残るか

整理します。食べる時間帯を絞ることは、多くの人にとって摂取量を減らす実際的な手段になりえます。それ自体は小さくない価値です。ただし「同じ量を食べても時間帯を変えれば結果が変わる」という主張は、エネルギーを揃えた試験では支持されていません。

もうひとつ、言葉の整理をしておきます。「体内時計に合わせる」という表現は魅力的ですが、研究が測っているのは、特定の条件下での熱産生や血糖の動きであり、体内時計そのものではありません。時計遺伝子の発現や深部体温のリズムを直接測ったうえで体重の転帰まで追った研究は、ヒトではまだ数が限られています。機序の言葉を転帰の保証として使わないことが、この領域では特に重要です。

限界も挙げておきます。ここで見た試験は参加者が90名から139名規模で、追跡は最長でも12か月です。遵守の測定は自己申告に頼っており、第1回で見た過少申告の問題をそのまま引き継いでいます。夜勤や交代勤務のように生活時間そのものがずれている人については、別の研究が必要です。そして、食事の時刻を極端に制限することが、食行動や生活の質にどう影響するかを測った研究はほとんどありません。朝食の習慣と体組成の関係については別の記事も参考になります。

次回予告

第7回は「運動で痩せるのか——エネルギー代償という壁」を扱います。運動で増やしたはずの消費が、なぜ体重の減少にそのまま反映されないのか。総エネルギー消費量には天井があるという制約モデルと、それを否定する新しいデータの両方を並べ、運動が減量以外の面で果たす役割と混同しないように整理します。

この連載の全10回

  1. 第1回|エネルギー収支——「カロリー計算」はどこまで正しいか
  2. 第2回|体重が落ちない時期——代謝適応という現象
  3. 第3回|食欲のホルモン——レプチン・グレリン・GLP-1
  4. 第4回|食事の型を比べる——低脂質・低糖質・地中海式
  5. 第5回|タンパク質と満腹感——高タンパク食の証拠
  6. 第6回|食べる時間——時間制限食と体内時計(この記事)
  7. 第7回|運動で痩せるのか——エネルギー代償という壁
  8. 第8回|筋量を守りながら減らす——除脂肪体重の保持
  9. 第9回|リバウンド——維持できた人は何をしていたか
  10. 第10回|総括——減量研究の限界

出典

  1. Liu D, Huang Y, Huang C, Yang S, Wei X, Zhang P, Guo D, Lin J, Xu B, Li C, He H, He J, Liu S, Shi L, Xue Y, Zhang H. Calorie Restriction with or without Time-Restricted Eating in Weight Loss. The New England Journal of Medicine. 2022;386(16):1495-1504.
  2. Lin S, Cienfuegos S, Ezpeleta M, Gabel K, Pavlou V, Mulas A, Chakos K, McStay M, Wu J, Tussing-Humphreys L, Alexandria SJ, Sanchez J, Unterman T, Varady KA. Time-Restricted Eating Without Calorie Counting for Weight Loss in a Racially Diverse Population. Annals of Internal Medicine. 2023;176(7):885-895.
  3. Jamshed H, Steger FL, Bryan DR, Richman JS, Warriner AH, Hanick CJ, Martin CK, Salvy SJ, Peterson CM. Effectiveness of Early Time-Restricted Eating for Weight Loss, Fat Loss, and Cardiometabolic Health in Adults With Obesity: A Randomized Clinical Trial. JAMA Internal Medicine. 2022;182(9):953-962.
  4. Ezzati A, McLaren C, Bohlman C, Tamargo JA, Lin Y, Anton SD. Does time-restricted eating add benefits to calorie restriction? A systematic review. Obesity (Silver Spring). 2024;32(4):640-654.
  5. Chang Y, Du T, Zhuang X, Ma G. Time-restricted eating improves health because of energy deficit and circadian rhythm: A systematic review and meta-analysis. iScience. 2024;27(2):109000.
  6. Richter J, Herzog N, Janka S, Baumann T, Kistenmacher A, Oltmanns KM. Twice as High Diet-Induced Thermogenesis After Breakfast vs Dinner On High-Calorie as Well as Low-Calorie Meals. The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism. 2020;105(3):dgz311.
  7. Ruddick-Collins LC, Flanagan A, Johnston JD, Morgan PJ, Johnstone AM. Circadian Rhythms in Resting Metabolic Rate Account for Apparent Daily Rhythms in the Thermic Effect of Food. The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism. 2022;107(2):e708-e715.
  8. Sievert K, Hussain SM, Page MJ, Wang Y, Hughes HJ, Malek M, Cicuttini FM. Effect of breakfast on weight and energy intake: systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials. BMJ. 2019;364:l42.
  9. Brown AW, Bohan Brown MM, Allison DB. Belief beyond the evidence: using the proposed effect of breakfast on obesity to show 2 practices that distort scientific evidence. The American Journal of Clinical Nutrition. 2013;98(5):1298-1308.

この記事は公表された研究の要約であり、診断や治療の助言ではありません。自己流の極端な食事制限は避けてください。食事を抜いた際に強いめまい・冷や汗・意識のもうろうが起きる場合、食べる時間を制限したことで過食が増えた場合は、医療機関にご相談ください。糖尿病(とくに血糖降下薬やインスリンを使用中の方)・胃腸疾患・摂食障害などの持病がある方、治療中の方、妊娠中・授乳中の方、成長期の方は、食事の時間や内容を変える前に必ず主治医に確認してください。

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