
水分と心臓の働きまで見て、環境を選ぶ
熱の負担は体温だけに表れるわけではない。腎臓は、体内の水分や電解質、循環の調節にも関わる。電解質とは、体液の中で働く塩類などの成分である。暑熱と腎臓の関係を整理した2020年の文献レビューでは、熱の負担による急性腎障害のリスクが、脱水や運動によって強まることが論じられている。[4]
急性腎障害とは、腎臓の働きが急に損なわれることを指す。このレビューは人と動物の研究を扱い、暑さの中の運動や、年齢に伴う腎臓の構造と働きの変化を検討した。高齢者が熱波の際に入院する原因として、水分・電解質の乱れと急性腎障害が重要だと整理している。[4] 長く暑さにさらされる暮らしの問題を、運動する環境からも考える手掛かりになる。
一方、ホットヨガのレビューでは、継続研究で腎機能への悪影響を伴わない適応も報告されていた。[3] この結果と暑熱時の腎障害の議論は、対象と条件を並べて読むと理解しやすい。選ばれた参加者が運動を続けた研究と、脱水や運動を伴う熱の負担を広く扱う研究は、見ている状況が違う。[3][4] 自分の体調や水分の管理を含めた参加条件に目を向けることが大切だ。
2024年には、61〜80歳の37人を室温31℃と36℃、相対湿度45%で8時間安静に置き、個人差を調べた実験がある。2型糖尿病のある人が10人、高血圧のある人が18人含まれていた。体温、心拍数、血圧、立ち上がった際の循環反応などが測定された。[15]
この実験では2型糖尿病が、終了時の心拍数や立ち上がった際の血圧反応を予測する要因に挙がった。女性であることも心拍数と関連していた。その一方、研究で調べた個人差の要因は、体温反応のばらつきに意味のある寄与を示さなかった。[15] 同じ暑さの中でも、体温と循環に現れる反応が同じ筋道で動くわけではない。
糖尿病の有無に関連する終了時の心拍数の差は13回/分で、推定値の幅を表す95%信頼区間は6〜23回/分だった。立ち上がり時の収縮期血圧の反応の差は20mmHg、信頼区間は4〜36mmHgである。[15] 収縮期血圧は心臓が血液を送り出すときの圧力を指す。安静中の体温だけでなく、立つ動作に伴う循環の反応も測ったことで、糖尿病と関連する違いが捉えられた。
持病のある方・服薬中の方は、始める前に主治医に、運動の種類と室内が暖かいことを伝えて相談したい。水分について普段から指示を受けている人は、その内容も相談の材料にする。脱水と運動が熱の負担を強めるという知見は、水分管理も含めて参加する環境を選ぶ理由になる。[4]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
熱に慣れる可能性と、まだ埋まっていない研究
高齢者の体にも、熱に対する適応を研究する余地がある。熱に慣れるように体の反応が変わることを暑熱順化という。2026年の予備的な研究では、健康で余暇の運動に親しんだ65歳超の9人、平均年齢76±5歳が、40℃の温水への浸漬を4日間続けた。[16]
研究者はその前後で、自転車運動の出力や心拍数、体温、暑さの感じ方を測った。出力は7.45ワット増加し、平均心拍数は112±3回/分から109±4回/分へ低下した。ワットは仕事率の単位で、この場合は自転車運動で発揮した出力である。同じ研究で、運動のきつさの評点は変わらなかった。[16]
これは、自分ではきつさが変わったと感じなくても、測定できる運動能力に変化があったという前向きな結果だ。体の適応を心拍数や出力で確かめる発想にも意味がある。[16] 暑さの研究は危険の一覧だけでなく、負担を軽くする方法を探す分野でもある。ただし、この試験を自宅での温浴やホットヨガの手順書として使うのは適切でない。
この研究は小規模な前後比較で、ホットヨガの試験ではない。胃腸内の温度や皮膚温、暑さの感覚や快適さには変化がなかった。[16] 暑さに慣れた感じがするかどうかと、研究で何が変わったかを分けて読むと、利点を具体的に受け取れる。
研究の限界は、この節で押さえておこう。ホットヨガの系統的レビューには、厳密で質の高い実験計画や、作用の仕組みを調べる測定が不足する研究もある。常温のヨガや他の運動より優れるという主張は未確立で、心理面や認知面の結果も結論が出ていない。健康を損ねた症例報告もあり、全体の参加人数をそのまま安全性の保証として使うことはできない。[3]
さらに、高齢者の暑熱実験を整理した別の系統的レビューは、147研究、合計3,411人を集めたが、参加者の71%は男性だった。非常に高齢の人、女性、複数の持病のある人、腎臓や肺などの病気を持つ人、薬の相互作用について、研究を充実させる課題が挙げられている。[17] 「高齢者の研究がある」という一言の内側にも、参加者の偏りがある。

よくある誤解
「汗を多くかくほど、運動の効果が大きい」という見方は、ホットヨガのレビューの結果と合わない。暖かい環境でのヨガは、加熱しないヨガに比べて体温と心拍数を上げるが、エネルギーの消費要求は増えなかった。[3] 汗の量を増やすために温度を上げるより、目的としている動きや続けやすさを確かめる方が、研究の利点に目を向けられる。
「暑さを感じていないから、熱の負担も小さい」と考えるのも、測定結果を取りこぼす。暑い環境に長くいた高齢者では、若年者より累積的な体温負担が大きくても、本人が答える症状は増えていなかった。[7] 本人の感覚を聞くことは欠かせないが、快適という言葉に、時間や環境の確認も添えよう。
「健康でよく運動している人なら、暑さは気にしなくてよい」という考えにも修正がいる。健康で活動的な人を対象にした実験でも、高齢群の蓄熱量は大きかった。[5] また心肺体力が高い人に発汗の面でよい関連があっても、年齢と関連する深部体温の上昇は残っていた。[8] 運動習慣を持つことと、暖かい環境を選ぶことは、別々に考えられる。
暑さの話は、参加しやすいヨガを探す手掛かりにもなる。レビューで報告された柔軟性やバランスなどの機能的な適応に関心を持ち、暑さの条件は調整するという読み方ができる。[3] 自分が続けたい運動と、参加しやすい環境を別々の欄に書くつもりで選ぼう。
今日からできること
- 主治医から参加を認められたら、まず常温のヨガで無理のない姿勢を練習する。時間は医師の指示とレッスン内容に合わせ、途中でも休む。ホットヨガ研究の1回20〜90分は研究条件であり、その下限を常温ヨガの推奨時間にはしない。[3]
- 通う曜日を決め、参加できる日に常温で体を動かす。毎回、汗を増やすより無理なく動きを学ぶことを目標にする。研究の頻度は週2〜6回だが、本人の実施回数は主治医の判断と体調に合わせる。暑い部屋への参加回数を増やす目標には使わない。[3]
- 水を持参して、こまめに水分をとる。水分制限などの指示がある人は、運動中の飲み方を主治医に確かめる。めまい・吐き気・頭痛・ふらつき、あるいは動悸が出たら、すぐ運動を中止して部屋を出て涼しい場所で休む。痛みや体調不良を我慢して続けず、改善しない場合は医療機関に相談する。
- 持病のある人・服薬中の人は、始める前に主治医に、候補のレッスンの時間と室内環境を伝える。利尿薬や降圧薬を飲んでいる人も、暑い部屋で運動してよいかを確認する。薬を自己判断で中断しない。
- 予約前に公式サイトのレッスン案内を読み、常温のヨガを選ぶための準備をする。汗の量を目標にせず、生活の中で通いやすい曜日と時間を決める。

オンザショアで、暑さへの挑戦より続けられる室内環境を選ぶ
室内の暖かさを選べるかは、暑さが気になる人の教室選びの入口になる。オンザショア立川店では常温のヨガと溶岩ホットヨガを扱っている。まず常温のヨガから考え、室内の暖かさも参加前の確認事項に入れたい。溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガがあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンを用意している。
JR立川駅北口から徒歩1分の場所にあり、住所は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fである。年中無休で、どの曜日も8:00〜23:30に営業している。ほかにピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングも扱う。暑さに弱い方・持病のある方は医師に相談してから参加を考えたい。医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できない。
ヨガの体験レッスンは税込1,980円。60分のレッスンに、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。店舗の案内、料金、体験の予約で内容と参加条件を確かめ、まずは常温で動きを学ぶ予定を立てたい。
参考文献
- Heat Tolerance in Older Adults: A Systematic Review of Thermoregulation, Vulnerability, Environmental Change, and Health Outcomes — Sandra Núñez-Rodríguez et al., 2025, Healthcare. DOI: 10.3390/healthcare13212785
- Aging and Thermoregulatory Control: The Clinical Implications of Exercising under Heat Stress in Older Individuals — B. Balmain et al., 2018, BioMed Research International. DOI: 10.1155/2018/8306154
- Hot Yoga: A Systematic Review of the Physiological, Functional and Psychological Responses and Adaptations — Ash Willmott et al., 2025, Sports Medicine – Open. DOI: 10.1186/s40798-025-00917-7
- Kidney physiology and pathophysiology during heat stress and the modification by exercise, dehydration, heat acclimation and aging — Christopher L. Chapman et al., 2020, Temperature. DOI: 10.1080/23328940.2020.1826841
- Hyperthermia and cardiovascular strain during an extreme heat exposure in young versus older adults — G. Kenny et al., 2016, Temperature: Multidisciplinary Biomedical Journal. DOI: 10.1080/23328940.2016.1230171
- Physiological responses to 9 hours of heat exposure in young and older adults. Part III: Association with self-reported symptoms and mood-state. — G. Mcgarr et al., 2023, Journal of applied physiology. DOI: 10.1152/japplphysiol.00740.2023
- Impact of age, cardiorespiratory fitness, and regular physical activity on physiological strain and cognitive performance during a 6-h extreme heat exposure. — Harry A. Brown et al., 2026, Journal of applied physiology. DOI: 10.1152/japplphysiol.00105.2026
- Age alters the thermoregulatory responses to extreme heat exposure with accompanying activities of daily living. — Zachary Mckenna et al., 2023, Journal of applied physiology. DOI: 10.1152/japplphysiol.00285.2023
- Exploring the contribution of inter-individual factors to the development of physiological heat strain in older adults exposed to simulated indoor overheating. — R. Meade et al., 2024, Applied physiology, nutrition, and metabolism = Physiologie appliquee, nutrition et metabolisme. DOI: 10.1139/apnm-2024-0135
- Four-Days of Passive Heat Acclimation Increases Exercise Capacity in Healthy Older Adults Living in the UK — L. Wilson et al., 2026, Healthcare. DOI: 10.3390/healthcare14081005
- Experimental research in environmentally induced hyperthermic older persons: A systematic quantitative literature review mapping the available evidence — Aaron J. E. Bach et al., 2023, Temperature (Austin, Tex.). DOI: 10.1080/23328940.2023.2242062
冒頭の写真: 窓から光が入る室内で、運動着を着た女性がボトルを口元に当てて水を飲んでいる(写真: Shixart1985 / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons)
この記事の情報は2026年10月時点のものです。持病のある方・服薬中の方は、運動を始める前に主治医にご相談ください。
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