シニアヨガで不安とストレスは軽くなるか 緊張をほどく研究とホルモンの話

心配が頭から離れない日に、シニアヨガで期待できる変化を確かめる。65〜92歳の椅子ヨガ試験を軸に、不安、生活への自信、自覚的ストレス、コルチゾールの結果を紹介する。高齢者と成人全体の研究の違い、服薬中の注意、無理なく体を動かす始め方、立川で続ける場所の選び方が分かる。

予定はまだ先なのに、頭の中ではもう何度も済ませている。通院のこと、家族のこと、これからの暮らし。心配をやめようとするほど、その心配に注意が戻る。そんな日にヨガを選ぶ意味は、体を柔らかくすることだけなのだろうか。

高齢者を対象にした椅子ヨガの比較試験では、不安の評価が改善した。施設で暮らす人にも、地域で暮らす人にも、心の健康を支える活動としてヨガを検討する根拠がある。[19][18] 本稿では気分の落ち込みを主題とする特集の別記事に話を譲り、先のことが気になる不安と、毎日を負担に感じるストレスに焦点を当てる。

期待の置き方を決める鍵は、自分の感覚を尋ねた結果と、ホルモンを測った結果を分けて読むことだ。ヨガは心配事を片づけてくれない。それでも、心配を抱える日の過ごし方を考えるための材料はある。まずは高齢者自身が参加した試験から見ていこう。[19]

公園で集まり座位のヨガの姿勢をとって瞑想に取り組む人たちの様子 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

椅子に座るヨガでも、不安の変化を捉えた

床に座るのが難しいから、心を整えるヨガも難しい。その思い込みに応えるのが、Bonuraらによる無作為化比較試験である。参加者を偶然の割り振りで分け、椅子ヨガ、椅子を使う運動、対照群を比較した。対象は高齢者施設の65〜92歳の98人で、介入期間は6週間だった。[19]

この試験のよさは、ヨガを何もしない人と比べるだけでなく、椅子を使って運動する人とも比べた点にある。体を動かす機会が増えるだけでも、参加者の毎日は変わる。ヨガを選ぶ意味を考えるとき、運動との比較は暮らしの選択に近い。研究では介入の前後と、その後の1か月追跡時に、不安や怒り、日常生活への自信などを評価した。[19]

不安の改善は、介入直後より終了後1か月の評価で大きかった。日常生活への自信や幸福感にも改善があり、ヨガ群は椅子運動群と対照群の両方を上回った。[19] 不安を抱えながらも日常の課題に取り組めるかという、暮らしに近い変化を捉えた試験である。

次の表は同じ試験の効果量、つまり改善の差の大きさを示す数値である。各欄は「椅子運動との比較/対照群との比較」の順で、改善した人の割合ではない。[19]

評価項目介入直後終了後1か月
不安0.27/0.390.62/0.63
日常生活の自己効力感0.52/0.810.27/0.42
全般的な自己効力感0.63/1.100.30/0.85
怒り0.89/0.900.90/0.72
幸福感0.14/0.490.25/0.61

数値の出典はすべてBonuraらの試験である。[19] 自己効力感とは、自分が課題に対処できるという感覚だ。日常生活への自信と全般的な自信は別々に評価され、不安とは違う経過を示した。本人が変化を振り返るときにも、心配の強さと、用事に取り組む自信をそれぞれ言葉にすると、目的を捉えやすい。

研究では自己制御の変化が心理的健康の変化を調整する関係も報告された。[19] 特定のポーズを成功させることが目的の試験ではなく、心の状態と生活への自信を複数の尺度で評価している。床に座ることが難しい人も、椅子を使う参加方法を選ぶ余地がある。心配事が残っていても、体を動かす時間は持てる。

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地域で暮らす人にも、参加しやすい形がある

施設の椅子ヨガの予備的研究でも不安や気分の改善が報告されており、詳しくは本特集の〈シニアヨガと気分の落ち込み|高齢期のうつ症状はどう変わるか、試験を読む〉で扱う。[16]

地域で暮らす高齢者については、Martensの統合的レビューが無作為化試験を6本集めている。ハタヨガが最も多く用いられ、参加は好意的に受け止められ、継続率も高かった。心理面では不安や怒りの軽減、幸福感や自己効力感の改善などが報告された。[18] 教室に参加することへのためらいがある人には、実際の高齢者が取り組みを受け入れたという結果も手がかりになる。

このレビューは、さらに長い介入と追跡を行う、よく設計された試験を求めている。[18] 始める際には、特別なポーズの名前より、座位を含めて自分が参加できるか、通う予定を生活に組み込めるかを確認したい。研究で受け入れられた活動を、個々の暮らしに合わせて選ぶという発想である。

地域の高齢者の生活を別の角度から捉えたのが、Ramaprasadらの観察研究である。感染症の流行によって普段の予定が変わる中で、ヨガを継続している人のストレスだけでなく、孤独感や立ち直る力も調べた。参加は本人の意思によるもので、電話で聞き取りを行っている。[10] 教室での動作の出来栄えではなく、生活の中で本人が感じている負担を尋ねた研究だ。

ヨガ実践者では孤独感の得点も低く、調整後の平均差は−22.92、95%信頼区間は−25.40〜−20.45だった。困難から立ち直る力を指すレジリエンスの得点は高く、調整後の平均差は0.19、95%信頼区間は0.09〜0.37だった。[10] ストレスだけを尋ねると見えにくい、孤独や困難への対処も調べている。心配がある人にとっては、自分の負担がどこにあるかを言葉にする手がかりになる。

一方、この研究では高齢期の抑うつや感染症に関する不安に差はなかった。[10] 心理面の評価がすべて同じ方向に動いた結果ではなく、ストレスや孤独感に差があったという報告である。無作為にヨガを割り当てた結果ではないため、これらの差をそのままヨガの効果とは断定できない。継続している人の暮らしを調べた結果として、比較試験と並べて受け止めたい。

Martensのレビューが集めた地域在住の高齢者の試験は、過去10年間に行われた無作為化比較試験だった。心理面に加えて、筋力やバランス、実行機能、免疫に関わる指標にも改善が報告されている。[18] 心のために選ぶ活動でも体を使うことが含まれ、研究では心理面と身体面の両方を評価している。心理面への関心が、運動を生活に戻す入口にもなる。

地域での参加を考える際には、Martensのレビューで継続率が高く、介入が好意的に受け止められたことも参考になる。[18] 不安を評価する研究でも、本人が参加し続けられる活動であることは、生活に取り入れる上で大切だ。地域で行われた試験と施設で行われた椅子ヨガ試験は、それぞれ暮らしの条件が違う。座る形を選びたいのか、地域の活動に参加したいのか、自分の希望から始め方を考えられる。

感じるストレスは、ホルモンとは別に評価する

Rhoadsらのメタ分析は、高齢者に年齢を限らない36研究をまとめ、本人が感じるストレスを質問票で評価した。ヨガによる軽減は中程度で、効果量は0.48、95%信頼区間は0.29〜0.66だった。研究間のばらつきは大きく、効果量の変動の74.9%が研究の特徴に由来した。[20] この結果が扱うのは、血液や唾液の成分ではなく、生活をどれほど負担に感じているかという本人の評価である。

Rhoadsらは、どのような条件で効果が大きくなるかも調べていた。ストレスの強さには統計的な関連が認められたが、呼吸練習を含むこと、リラックスを含むこと、練習時間が長いことなどについて、想定した関連は支持されなかった。研究の実施国についての仮説と、探索的に調べた5つの条件にも有意な結果はなく、著者らは集団ごとの勧め方を示すために追加研究を求めている。[20] この結果を踏まえると、長時間の練習を一律に目標にする方法ではなく、本人の負担を確かめながら取り組みを評価する方法が考えられる。

より新しいMuらのメタ分析は、13〜82歳の2,288人を含む30の比較研究をまとめた。対照群と比べた効果量は、ストレスで−0.54、不安で−0.52だった。どちらも証拠の確かさは低いと評価されている。[7] 年齢が高い研究ほどストレス軽減が大きいという関連も報告された。[7] 幅広い年齢を含む結果であり、高齢者だけを集めた結果とは対象が違う。

Muらがまとめた研究では、ストレスだけでなく不安と抑うつも対照群と比較して改善が報告された。抑うつの効果量は−0.50だったが、3つの結果はいずれも証拠の確かさが低いと判定された。[7] 年齢との関連が示されたのはストレスの結果であり、不安についても年齢が高いほど効果が大きいと広げて説明する材料にはならない。シニアの不安への期待は、高齢者自身を対象にしたBonuraらの比較試験と合わせて考えたい。[19]

数字で読む不安とストレス

  • 65〜92歳の98人:椅子ヨガ、椅子運動、対照群を比べた6週間の無作為化試験。[19]
  • 不安の効果量0.27:椅子運動に対する介入直後の改善の大きさ。追跡時は0.62だった。[19]
  • 自覚的ストレスの効果量−0.54:13〜82歳を含む30研究の対照群との比較。証拠の確かさは低い。[7]
  • 効果量0.48:36研究をまとめた自覚的ストレスの軽減。95%信頼区間は0.29〜0.66。年齢を限らない研究で、研究間のばらつきが大きい。[20]
  • 効果量−0.59:心理的苦痛のある成人を対象とする分析のヨガと対照群のコルチゾール比較。95%信頼区間は−0.90〜−0.28。[3]

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