
6か月の練習では、反応の速さにも変化があった
運動から遠ざかっていた高齢者145人、平均年齢64.2歳を対象にした無作為化比較試験もある。参加者はハタヨガ、有酸素運動、ストレッチと筋肉を使う運動の3群に分かれ、週3回、各60分の集団教室を6か月続けた。短期間だけでなく、半年の運動参加を通じた認知課題の変化を調べている。結果は学会抄録として報告されたものだ。[11]
測定したのは、余計な反応を抑える働きを調べるフランカー課題と、情報を保って照合する働きを調べるスターンバーグ課題だった。どちらも、答えを出すまでにどれほど時間がかかるかを調べる。前者は抑制、後者はワーキングメモリという異なる働きに焦点を当て、練習前と練習後の成績を比較した。[11]
フランカー課題の不一致条件では、ヨガ群と有酸素運動群の両方で反応時間が有意に短くなった。ストレッチと筋肉を使う運動の群では、有意な改善はなかった。一方、スターンバーグ課題の6桁条件では、ヨガ群で有意に反応が速くなり、有酸素運動群とストレッチの群では有意な改善はなかった。これは各群の時間に伴う変化であり、そのまま群間の優劣を示す数字には置き換えない。[11]
論文の解析で示された反応時間の変化の係数は、フランカー課題でヨガが−51.17、有酸素運動が−30.38、ストレッチが−9.69だった。スターンバーグ課題では、それぞれ−92.79、−6.14、−25.39だった。有意な変化があった課題の組み合わせが運動の種類で違う点に、ヨガを調べる理由がある。[11]
有酸素運動には抑制の課題で改善があり、ヨガには抑制とワーキングメモリの両方で改善があったと著者は述べている。運動をひとまとめにするより、どの働きに変化が見つかったかを具体的に挙げられる結果だ。散歩などの運動に親しんでいる人にも、ヨガという別の動き方を検討する材料になる。[11]
8週間の地域在住者の試験は、課題を切り替える効率と情報を保持する力を調べた。6か月の試験は、不要な反応を抑える課題と情報を照合する課題を調べた。異なる検査と期間で、ヨガ群のワーキングメモリに変化が見つかっている。覚えた内容を使いながら答える働きが、研究の共通した関心になっている。[10][11]
健康な高齢者を対象とする機序のレビューは、ストレス調整と、認知に使う資源の効率の改善が、脳と体の双方向のやり取りを促す可能性を論じている。ヨガは体を動かす実践と心を向ける実践を合わせた心身運動として検討されており、認知機能との関係を説明する仕組みは研究の途上にある。[16]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
5年追跡の研究は、教室と自分で行う練習に注目した
地域で暮らす非臨床の高齢者を対象に、複数の都市でヨガ教育プログラムを調べた研究がある。最初の918人を介入群と待機群に無作為に分け、5年後も792人が研究に残った。日常生活の中で続けるプログラムを長く追った点は、8週間や12週間の教室の試験とは異なる。[13]
この研究では、毎週のヨガ教育のレッスンと本人による練習が、認知機能と記憶を調べる検査の得点を改善したと報告されている。用いたのは、認知機能を評価するミニメンタルステート検査と、行動上の記憶を評価するリバーミード行動記憶検査の第3版だった。課題切り替えの反応時間とは別の測定方法で、継続した参加の結果を調べた。[13]
出席の規則性と自分で行う練習は、プログラムの効果と強く関わっていた。なかでも本人による練習が、効果を予測する最も強い要因だったという。教室の受講だけでなく、習ったことを自分で行う時間も研究で注目された。自宅で取り組む場合には、指導者から自分に合う内容を教わり、無理なく再現できる動きから考えたい。[13]
参加者の反応には都市、性別、教育歴、退職の有無、同居や文化の背景による違いがあり、著者は文化に応じた調整によってプログラムを広く適用できる可能性を述べている。[13]

改善した検査と、差がなかった検査がある
ヨガに良い結果があった検査は、すべて同じ能力を測っているわけではない。施設での小規模試験には注意の改善があったが、心身運動を統合した分析では注意の改善は確認されなかった。長期実践者の横断研究でも、出来事の記憶と持続的注意には有意な群間差がなかった。反応時間が速くなることと、注意を長く保てることは、それぞれ別の結果だ。[3][14][15]
施設の6か月試験では、開始時の120人のうち87人が完了した。比較相手は待機群で、著者自身も、活動を行う比較群がない点を限界に挙げている。ストレッチや筋力運動と比べた地域在住者の試験とは比較条件が異なる。また、施設の12週間試験で示された記憶の改善はヨガ群内の前後変化であり、終了時に他群との差が明示されたのは注意と推論だった。[6][10][14]
ヨガをすれば認知症を防げるという結論は、これらの検査結果からは出ていない。地域在住者の8週間試験の著者も、より大きな試験で認知機能の幅広い領域を調べることを求めている。5年追跡の研究も、報告しているのは認知機能と記憶の検査得点だ。いま選ぶ理由になるのは、情報を保つ力や切り替える働きに改善の証拠があることだ。[10][13]
よくある誤解
「記憶力とは、覚えた言葉の数だけだ」という理解では、ヨガの研究の利点を狭くしてしまう。地域在住者の試験では、情報を保持して使う力と、課題を切り替える効率に改善があった。施設の試験では、言葉と図形をすぐ思い出す成績と、時間を置いて思い出す成績の両方に変化があった。覚える材料や使い方によって、認知機能には異なる働きがある。[6][10]
「ヨガならほかの運動より、どの検査でも優れている」という説明は正確ではない。8週間の試験ではストレッチ・筋力運動よりヨガ群の実行機能が改善したが、施設の12週間試験で群間差が示されたのは注意と推論だった。6か月の試験では有酸素運動にも抑制の課題で改善があった。比較相手にも利点があり、ヨガに見つかった特徴は検査ごとに具体的に述べられる。[10][11][14]
「長く続けた人の成績が良いなら、続ければ同じになる」とも断定できない。健康な男性を比べた横断研究は、既にヨガをしていた人と未経験者の、その時点の比較だ。年齢、教育歴、身体活動の水準が似ていても、無作為に割り付けて練習を始めた試験とは異なる。実行機能と反応時間には良い結果があった一方、出来事の記憶と持続的注意には差がなかった。[15]

今日からできること
- 地域で暮らす本人は、指導を受けながらハタヨガで体を動かす。週3回・各60分・8週間の研究条件を参考に、自分の体調に合わせて参加する。痛みを感じる動きは止める。[10]
- 施設で暮らす本人は、担当者の指導のもとでヨガの動きを練習する。週2回・各45分・12週間の研究を手掛かりに、できる内容を選んで取り組む。[14]
- 自宅練習を考える人は、教室で習った内容と練習した日を記録し、続けられる曜日を選ぶ。毎週の教室と本人による練習を組み合わせた研究では、自分で行う練習が効果と強く関わっていた。[13]
- 持病のある方・服薬中の方は、始める前に主治医に相談する。痛みを我慢して続けず、指導者にも運動の条件を伝える。
オンザショア立川店へ通う曜日を考える
覚えやすさを約束する教室ではなく、本人が動きを学び、続けたいと思える内容を選びたい。オンザショア立川店は8:00〜23:30、年中無休で、全曜日の営業時間が同じなので、用事と照らし合わせて通える時間帯を検討できる。
所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fで、JR立川駅北口から徒歩1分だ。溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガのほか、常温のヨガ、ピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングを扱う。ヨガだけで25種類以上あり、続けたい内容を選ぶ入口になる。
シニアはまず常温のヨガから考える。暖かい室内で行うホットヨガについては、暑さに弱い方・持病のある方は医師に相談してから選ぶ。医師から運動を止められている方は利用できない。
ヨガの体験は税込1,980円で、60分レッスン・バスタオル2枚・フェイスタオル1枚・ヨガマットのレンタル込みだ。店の案内で内容を、料金で費用を確かめられる。体験の予約の前には、公式サイトのレッスン案内を読み、通う曜日を決めておきたい。
参考文献
- A Meta-Analysis of Studies of the Effect of Mind Body Exercise on Various Domains of Cognitive Function in Older People With or Without Mild Cognitive Impairment — Ji-Woo Suk et al., 2025, Journal of Evidence-based Integrative Medicine. DOI: 10.1177/2515690×251363709
- A randomized controlled trial of Kundalini yoga in mild cognitive impairment — H. Eyre et al., 2017, International psychogeriatrics. DOI: 10.1017/s1041610216002155
- Randomized clinical trial of yoga-based intervention in residents from elderly homes: Effects on cognitive function — VR Hariprasad et al., 2013, Indian Journal of Psychiatry. DOI: 10.4103/0019-5545.116308
- Changes in Neural Connectivity and Memory Following a Yoga Intervention for Older Adults: A Pilot Study — H. Eyre et al., 2016, Journal of Alzheimer’s Disease. DOI: 10.3233/jad-150653
- The effects of an 8-week Hatha yoga intervention on executive function in older adults. — Neha P. Gothe et al., 2014, The journals of gerontology. Series A, Biological sciences and medical sciences. DOI: 10.1093/gerona/glu095
- Effects of a 6-month Yoga Intervention on Cognition & Anterior Cingulate Cortex: Results from the SAY Exercise Trial — Neha P. Gothe et al., 2025, Innovation in Aging. DOI: 10.1093/geroni/igaf122.268
- Yoga Education Program for Improving Memory in Older Adults: A Multicity 5-Year Follow-Up Study — S. Pandya, 2018, Journal of Applied Gerontology. DOI: 10.1177/0733464818794153
- Enhancing Cognitive Health in Elderly Individuals: The Impact of Hatha Yoga on Attention, Memory, and Reasoning: A Randomized Controlled Trial — Rania Oueslati et al., 2025, Journal of Aging Research. DOI: 10.1155/jare/9990963
- Effects of Hatha yoga on cognitive functions in the elderly: a cross-sectional study — S. Baklouti et al., 2022, The Libyan Journal of Medicine. DOI: 10.1080/19932820.2022.2080799
- Yoga Impacts Cognitive Health: Neurophysiological Changes and Stress-regulation Mechanisms — S. Voss et al., 2022, Exercise and sport sciences reviews. DOI: 10.1249/jes.0000000000000311
冒頭の写真: 中国将棋の盤を挟んで向かい合い、二人が一緒に対局をしている様子。(写真: Xyphoto0107 / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons)
この記事の情報は2026年10月時点のものです。持病のある方・服薬中の方は、運動を始める前に主治医にご相談ください。
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