
蓄えが増えることと、運動中に使うことは両立する
男性の研究をもう少し詳しく読む。運動不足だった参加者は、短い全力運動を挟むスプリント間欠運動か、中強度の自転車による持久運動を続けた。前者と後者で運動の組み方は違うが、どちらも安静時の筋肉内中性脂肪が増えた。同時に、運動中の正味の分解も増えていた。対象が男性なので、18〜39歳の女性にも同じ組み合わせが生じるかは、この試験だけでは判断できない。[16]
測定したのは、運動の前後で蓄えが差し引きどれだけ減ったかという正味の変化である。訓練後の持久運動群では、タイプⅠ筋線維の中性脂肪の減少率が大きくなった。タイプⅠとは、この研究で脂質利用の変化を分けて調べた筋線維の種類である。筋肉全体の脂が同じ割合で減ったという数字ではない。[16]
ここで、安静時の蓄えの倍率と運動中の減少率を掛けて、自分の体脂肪がどれだけ減るかを計算することはできない。対象は筋肉内の燃料であり、特定の運動試験の前後差だからだ。蓄えが大きいことと、その蓄えを使えることが両立した、という点を読むのが適切である。[16]
脂肪滴の表面にも注目したい。ペリリピンは脂肪滴に関わるタンパク質の一群であり、この研究ではペリリピン2と5の量が増えた。それらに関連する脂肪滴、とくにペリリピン5に関連するものが、運動中に優先して分解された。単なる脂の量に加えて、脂肪滴に関わるタンパク質も調べている。[16]
男女を含む別の研究では、持久的な運動の後に、調べたペリリピンのうちペリリピン5が男女とも増加した。また女性では男性より複数のペリリピンが多く、筋細胞内脂質が多いという特徴と整合していた。脂質量との対応はペリリピンの種類によって異なっていた。[9]
したがって、ペリリピンが増えれば必ず脂肪燃焼が増える、と読み替えるのも早い。男性の介入研究は、タンパク質の増加と脂質利用の増加が関連するという仮説と整合する結果だった。特定のタンパク質だけを増やせば同じ効果が出る、と証明した実験ではない。量、場所、表面に関わる仕組みを合わせて読む価値がある。[9][16]
男性の介入研究では、運動中の脂質利用だけでなくインスリン感受性の指標も改善した。ただし、調べた指標にトレーニング方式と群の交互作用は見られなかった。ある群の増加率が見た目で大きいから、その方式が他方より優秀だと結論するのは適切でない。群内で変わったかという問いと、群間に差があるかという問いは異なる。[16]
これは運動の選び方にも関わる読み方だ。研究で比べたのは、自転車の持久運動と短いスプリントを組み込む運動である。日常の散歩やヨガが同じ脂肪滴の変化を起こすと、そのまま置き換えることはできない。自分の活動の名前に結論を移す前に、研究の参加者と運動内容を確かめる姿勢が必要になる。[16]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
増えない研究もあるから、脂肪滴を成績表にしない
運動への適応として脂が増えることがある、と知ると、今度は「増えなければ効果がない」と考えたくなる。研究はそこまで整然とは並ばない。中年男性の自宅でのジョギングを調べた試験では、持久力や筋肉の酸化能力に改善が見られた一方、脂肪滴の体積は維持された。中年男性での観察であり、18〜39歳の女性でも同じ適応になるかは別の問いである。[7]
この研究では、登録者全員が解析対象になったわけでもない。健康な中年男性20人が参加し、継続量を満たした12人の結果が解析された。その平均運動量は週105±31分で、最大酸素摂取量は8.4%増えた。筋肉内の脂肪滴に変化がないことと、運動に対する他の適応があることが並んでいた。[7]
平均年齢57±7歳の2型糖尿病患者を対象とした無作為化比較試験では、さらに場所別の違いが見える。18〜39歳の女性にそのまま適用するには、年齢と病態の違いを考慮する必要がある。[1]中強度の持久運動か高強度の間欠運動を週3回行い、心肺体力、体脂肪量、血糖の指標には両群で改善が見られた。これらの改善に、運動方式による差はなかった。[1]
その一方で、筋鞘下の脂肪滴の体積は減少し、タイプⅡ筋線維の脂肪滴の大きさが減ったのは高強度の間欠運動群だった。筋原線維間の脂肪滴は、調べた両方の筋線維で変化しなかった。体力や血糖の変化が似ていても、細胞内の形態まで同じにはならなかったのである。[1]
女性の研究では筋原線維間の脂質が増えたが、この糖尿病患者の試験では変わらなかった。対象、運動の組み方、測定項目が異なる研究を並べて、どちらかを誤りにする必要はない。「運動すると筋肉内の脂は増える」という決まりを作るより、変化する場所と対象を添えて述べる方が正確だ。[1][13]
年齢や燃料の供給源の違いもある。長年持久的な運動をしてきた年長男性と運動習慣のない男性を比べた研究では、運動習慣のある群の方が運動中の総脂肪酸化は多かった。筋線維内の脂質の正味変化は統計的に有意ではなく、筋肉内の脂質貯蔵量のみで群間差を説明するには限界がある。18〜39歳の女性の燃料利用を予測するには、年長男性とは対象が異なる。[18]
この比較研究では、血中の遊離脂肪酸の放出、取り込み、酸化の多さが群間差に関わっていた。運動を長く続けた群とそうでない群の比較であり、介入の因果効果を確定する研究とは区別する。それでも、筋肉内の脂の減少だけを脂肪燃焼の証拠にすると、血液から届いて使われる燃料を見落とすことが分かる。[18]

よくある誤解
「筋肉内に脂があるのは、運動が足りない証拠」という見方は成り立たない。持久的な運動をしている人でも、筋肉内中性脂肪の蓄えは多いことがある。レビューが問題にしているのは、蓄えだけを見てインスリンへの反応まで決めてしまう読み方だ。運動習慣と酸化能力を切り離せない。[6]
逆に「運動で増えるなら、筋肉内の脂は多いほど健康」という理解も飛躍である。運動選手とインスリン抵抗性のある状態では、蓄積の背景が違う。女性の介入研究が示したのも、脂質の量を無条件に肯定する結果ではなく、細胞内の再編成と酸化能力の向上だった。多さの競争にする数字ではない。[6][13]
「筋肉内の脂をたくさん使った運動ほど、体重も必ず減る」という読み方にも注意したい。女性の研究では体重は変わらず、男性の研究で示された分解率は特定の筋線維で測った運動中の変化である。筋組織の測定と体重測定は答える問いが違う。自分が知りたいのが体重なのか、体力なのか、燃料利用なのかを先に言葉にすると混乱を減らせる。[13][16]
今日からできること
- 運動の記録には、何を行い、どのように続けられたかを残す。6か月の男性研究では、継続量を満たした人を解析していた。研究の期間だけでなく、実際に行った運動にも目を向ける。[7]
- 体重が変わらない日だけで、筋肉の適応まで判定しない。12週間の女性研究では、体重が変わらずに酸化能力と脂質の配置が変化していた。日記では体重の欄と運動の欄を分けておく。[13]
- 脂肪燃焼の記事を読むときは、筋肉内の蓄えか、血液由来の燃料かを確認する。年長男性の比較研究では、総脂肪酸化の違いに血中遊離脂肪酸が関わり、筋線維内脂質の有意な正味の減少はなかった。[18]
- 高強度の方が常に優れると決めない。11週間の糖尿病患者の試験では、脂肪滴の細かな形に違いがあっても、心肺体力などの改善に群間差はなかった。研究の運動条件は、個人へのそのままの処方ではない。[1]

オンザショア立川店で、続ける時間を予定に置く
細胞内の配置を日常で測る代わりに、まずは運動する時間を予定の中に置く。オンザショア立川店は、営業時間が8:00〜23:30、年中無休のスタジオである。朝の予定の前か、仕事を終えた後か。自分の生活のどこに通う時間を置くかを考える際に、営業時間を確認しておきたい。
所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F。JR立川駅北口から徒歩1分にある。溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガのほか、常温のヨガやピラティス、パーソナルトレーニングも扱う。ヨガだけでも25種類以上のレッスンがあるため、種目と通える時間を併せて確認する場所となる。
妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。参加条件を確認したうえで体験を検討する。ヨガの体験レッスンは税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。案内は店舗サイト、費用は料金ページ、参加の手続きは体験予約で確認できる。
参考文献
[1] High-intensity interval, but not endurance, training induces muscle fiber type-specific subsarcolemmal lipid droplet size reduction in type 2 diabetic patients — Koh HE, Ørtenblad N, Winding KM, Hellsten Y, Mortensen SP, Nielsen J., 2018, American journal of physiology. Endocrinology and metabolism. DOI: 10.1152/ajpendo.00161.2018
[5] Plasticity of skeletal muscle mitochondria: structure and function — Hoppeler H, Fluck M., 2003, Medicine and science in sports and exercise. DOI: 10.1249/01.mss.0000043292.99104.12
[6] Increased intramuscular lipid storage in the insulin-resistant and endurance-trained state — van Loon LJ, Goodpaster BH., 2006, Pflugers Archiv : European journal of physiology. DOI: 10.1007/s00424-005-1509-0
[7] Ultrastructural modification of human skeletal muscle tissue with 6-month moderate-intensity exercise training — Suter E, Hoppeler H, Claassen H, Billeter R, Aebi U, Horber F, Jaeger P, Marti B, 1995, International journal of sports medicine. DOI: 10.1055/s-2007-972985
[8] Comparison of intramyocellular lipid metabolism in patients with diabetes and male athletes — Mezincescu AM, Rudd A, Cheyne L, Horgan G, Philip S, Cameron D, van Loon L, Whit, 2024, Nature communications. DOI: 10.1038/s41467-024-47843-y
[9] Perilipin family (PLIN) proteins in human skeletal muscle: the effect of sex, obesity, and endurance training — Peters SJ, Samjoo IA, Devries MC, Stevic I, Robertshaw HA, Tarnopolsky MA., 2012, Applied physiology, nutrition, and metabolism = Physiologie appliquee, nutrition et metabolisme. DOI: 10.1139/h2012-059
[13] Endurance training modulates intramyocellular lipid compartmentalization and morphology in skeletal muscle of lean and obese women — Devries MC, Samjoo IA, Hamadeh MJ, McCready C, Raha S, Watt MJ, Steinberg GR, Ta, 2013, The Journal of clinical endocrinology and metabolism. DOI: 10.1210/jc.2013-2044
[16] Sprint interval and traditional endurance training increase net intramuscular triglyceride breakdown and expression of perilipin 2 and 5 — Shepherd SO, Cocks M, Tipton KD, Ranasinghe AM, Barker TA, Burniston JG, Wagenma, 2013, The Journal of physiology. DOI: 10.1113/jphysiol.2012.240952
[18] Substrate source use in older, trained males after decades of endurance training — Boon H, Jonkers RA, Koopman R, Blaak EE, Saris WH, Wagenmakers AJ, VAN Loon LJ., 2007, Medicine and science in sports and exercise. DOI: 10.1249/mss.0b013e3181572ace
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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