
回る向きの違いは、全員に同じではない
時計回りと反時計回りなら、どちらが速いのか。義足を使用していない短距離選手6人と、片側の下腿切断がある短距離選手11人を比較した実験では、半径17.2mのカーブで走る方向を変えている。直線と両方向のカーブを、順序が偏らないように組み合わせて行った比較だ。競技者と片側下腿切断のある選手の比較であり、18〜39歳の女性一般に方向別の差をそのまま適用することはできない。[3]
どちらの選手群も、直線よりカーブで最大速度が低かった。義足を使用していない選手は、時計回りが反時計回りより1.9%遅かった。片側の下腿切断がある選手では、切断側が内側になる場合、外側になる場合より3.9%遅かった。方向と脚の条件によって、結果の現れ方が違っている。[3]
ただし「人間は必ず反時計回りが速い」と結論を広げることはできない。別の大学生13人の研究では、半径23mの円を両方向へ全力疾走した平均タイムは、反時計回り22.15秒、時計回り22.13秒で、有意差はなかった。男性10人と女性3人の小規模な比較であり、18〜39歳の女性全体で同様かは別途確かめる必要がある。対象や経路の異なる研究の結果は、同じ向きにそろっていない。[18]
こちらの研究は、男性10人と女性3人を対象に、画像検査で腰や太ももの筋肉の断面積も調べている。太ももの筋肉の左右差と、方向によるタイム差との間に有意な相関はなかった。一方、大腰筋の断面積の左右差には、方向によるタイム差との関連が見られた。[18]
大腰筋は、腰から股関節にまたがる筋肉である。研究では、外側になる脚の大腰筋の断面積が内側より大きい参加者ほど、その方向のカーブ走が速い傾向だった。ただしこれは関連を調べた研究であり、片側の大腰筋を鍛えれば速くなると確かめた介入試験ではない。[18]
公園で片方向が走りやすい気がしたとき、こうした研究は感覚を考える手掛かりになる。ただし、感覚だけで筋肉の大小を診断したり、走りにくい方向を集中的に繰り返す理由にはしない。集団の平均差、個人の関連、練習の効果は、それぞれ別に判断する必要がある。[3][18]
方向の研究を並べるときは、平均と個人の違いも見失いたくない。集団の平均タイムに差がなくても、筋肉の左右差と方向別のタイム差に関連が見つかることはある。平均で差がないから自分の走りやすさは気のせい、と切り捨てる必要はないし、関連があるから全員が同じ側を強化すべき、とも言えない。研究が答えている問いをそのまま保つことが、数字を役立てる前提になる。[18]
方向を変えると、同じ脚が担う内外の役割も入れ替わる。片側の下腿切断がある選手では、切断側の接地時間の長さが最大速度を制限する可能性が示された。今日のコースを選ぶ際には、こうした競技条件と日常を分け、通行方向を守れるか、自分が落ち着いて曲がれるかを確認するのが実用的である。[3][18]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
脚の負担の数字を、けがの確率へ変えない
カーブで左右の脚の仕事が違うなら、負担も気になる。腸脛靱帯を扱った研究では、16人のランナーに直線とカーブを走ってもらい、動作と地面から受ける力を使って筋骨格モデルを計算した。腸脛靱帯は股関節と膝の安定に関わる組織であり、ここでは伸びの程度を調べている。ランナーのモデル計算による結果であり、18〜39歳の女性全体に伸びの数値をそのまま適用できるかは、対象を絞った検証が必要だ。[9]
モデルの中でも、筋肉と関わる部分と、受動的な部分を分けている。筋肉と関わる部分の最大の伸びには、条件間の有意差がなかった。一方、受動的な部分の最大の伸びは、内側の脚で4.69%、外側で4.49%となり、その差は有意だった。[9]
ここで落としてはいけないのは、内側の脚と直線の条件の間には、有意差がなかった点である。「内側が外側より大きい」という比較を、「カーブは直線より危険」と言い換えると、比較相手が入れ替わる。数値の大きさだけでなく、何と何を比べたかまで読む必要がある。[9]
さらに、この数値はモデルで推定した組織の伸びであり、将来けがをする人の割合ではない。内側の脚で負担が気になる可能性を考える研究として読めるが、4.69%をけがの確率と受け取ってはいけない。長期の発症を直接比べた結果とも区別する。[9]
同じ向きの周回をしている人が、この結果を見て急にコースを逆走する必要もない。通行方向の決まりを守ることが先である。記録に右脚か左脚かだけでなく、カーブの内外のどちらだったかを残すと、体の感覚を説明する言葉が増える。これは研究から考えた観察の工夫であり、予防効果を保証する方法ではない。[9]
痛みを感じる走り方を、ペース維持のために押し通す理由はない。痛みが続く場合や、走ることへの不安がある場合は医師に相談する。曲がり方の研究を読んだからといって、痛みの原因まで自分で確定できるわけではない。

よくある誤解
「内側の脚だけが向きを変える」。筋活動と関節の協調を調べた実験では内側の方向転換の役割が目立つが、力と歩幅を調べた全力疾走では外側の接地中にも進行方向が大きく変わった。曲がる動作は、左右の脚がそれぞれの局面で支える協調として捉えると理解しやすい。[8][13]
「速度が落ちたら、運動として失敗だ」。最大速度を比べた短距離選手の実験では、直線よりカーブで遅くなっている。競技者にも経路による違いが現れる以上、公園の曲がり角で直線の数字に戻すことだけを目標にしなくてよい。ただし、どの程度落とすべきかの共通値を、この全力疾走の結果から作ることもできない。[3]
「左右差があるなら、悪い脚を直さなければならない」。カーブ走では、同じ平均速度でも歩幅と頻度に違いが生じた。別の実験でも内側と外側で関節や筋活動の役割が分かれている。非対称は、曲線の課題に対応した結果でもある。左右差という言葉だけで、動作の異常や筋力不足と決めないことが大切だ。[8][13]
ここまでの根拠は動作・筋活動・組織の伸びを扱う研究であり、脂肪燃焼に適した速度や代謝量を判断するためには使えない。既存記事「脂肪燃焼はランニングと自転車で違う?同じ強度で比べる有酸素運動の燃料」には運動種目による燃料の問いを譲る。ここで扱うのは、走るという同じ種目の中でも、経路が変わると脚の仕事を同じものとして比較できないという問題だ。[8][19]
今日からできること
- 走った記録に、直線中心か周回中心かを添える。半径36.5mのカーブを扱った全力疾走の実験でも動作は直線と違った。まず経路の条件を残す。[19]
- コースを選ぶ際は、曲がり角の位置と通行方向を先に確認する。時速7〜19kmの範囲を走った男性11人の実験で脚の分担が変わったように、速度と経路を組にして考える。[8]
- 曲がるときに遅くなった記録を、すぐに体力低下と判定しない。半径17.2mの比較では、短距離選手も直線よりカーブで遅かった。違う経路の日は、その違いを先に確かめる。[3]
- 走りやすい方向があっても、全員に共通する正解としない。大学生13人の比較では両方向の平均タイムに有意差がなかった。方向のルールを守ったうえで、自分の感覚を言葉で残す。[18]
- 脚に違和感があれば、左右とカーブの内外を記録する。16人のモデル研究の伸びの数値を自己診断に使わず、痛みが続く場合は記録とともに医師へ相談する。[9]
運動の記録は、速い遅いの採点表だけでなくてよい。仕事帰りに立川駅を出てから走ったのか、休日に広い道を選んだのか。そうした場面のメモに直線と曲線の違いを加えると、別の日のペースを同じ条件だったかのように責めずに済む。直線の長さ、曲がり角の続き方、走る方向を一緒に残せば、次に同じ場所を走ったときの比較にも使いやすい。[8][19]

オンザショア立川店で、動く予定の置き場所をつくる
ランニングのペースだけで運動の予定を組み立てたくないときは、通う場所の条件から、無理なく続ける仕組みを考える方法もある。オンザショア立川店はJR立川駅北口から徒歩1分、営業時間は8:00〜23:30で年中無休だ。所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fである。駅からの動線と営業時間を、自分の生活の中で動く予定を置けるかという視点で確認したい。
溶岩プレートを敷いたスタジオのホットヨガに加え、常温のヨガやピラティス、パーソナルトレーニングがある。ヨガだけで25種類以上のレッスンがあり、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIITも扱う。選択肢や料金は店のトップと料金ページで確認できる。
妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。ヨガの体験は税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。体験の予約から予定を確認する入口になる。
参考文献
[3] Maximum-speed curve-running biomechanics of sprinters with and without unilateral leg amputations — Taboga P, Kram R, Grabowski AM., 2016, The Journal of experimental biology. DOI: 10.1242/jeb.133488
[8] Kinematic and motor coordination of the inner and outer limb in running while turning — Mesquita RM, Willems PA, Dewolf AH., 2026, Human movement science. DOI: 10.1016/j.humov.2026.103523
[9] Iliotibial band strain while running around a curve — Schmitz HA, Mettler J, Derrick TR., 2026, Sports biomechanics. DOI: 10.1080/14763141.2025.2573132
[13] Asymmetry in Determinants of Running Speed During Curved Sprinting — Ishimura K, Sakurai S., 2016, Journal of applied biomechanics. DOI: 10.1123/jab.2015-0127
[18] Relationship between lateral differences in the cross-sectional area of the psoas muscle and curve running time — Tottori N, Kurihara T, Otsuka M, Isaka T., 2016, Journal of physiological anthropology. DOI: 10.1186/s40101-016-0086-6
[19] Lower extremity kinematics of athletics curve sprinting — Alt T, Heinrich K, Funken J, Potthast W., 2015, Journal of sports sciences. DOI: 10.1080/02640414.2014.960881
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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