
膝を曲げる形を、脚上げへの単なる通過点にしない
中殿筋の弱さがある男女30人を調べた実験は、この問いに直接関係する。女性15人、男性15人が、通常のサイドブリッジ、膝を曲げたサイドブリッジ、膝を曲げて上の脚を外転したサイドブリッジを、無作為の順序で行った。[4] 同じ人が条件を変えて実施する反復測定の比較である。男女混合で中殿筋に弱さがある集団の結果なので、18〜39歳の女性全般への当てはめには検討が必要だ。
測定の対象は中殿筋だけではなかった。腹直筋、外腹斜筋、背中の筋肉、大殿筋、大腿筋膜張筋なども調べ、中殿筋と大腿筋膜張筋の活動比を比較している。[4] 大腿筋膜張筋は股関節の外側付近にある筋肉だ。脚を離す運動で、お尻側の筋肉がほかの筋肉に対してどう働くかを見るための比較になっている。
姿勢間では、中殿筋、大殿筋、大腿筋膜張筋の活動と、中殿筋を大腿筋膜張筋で割った比率に有意な違いがあった。著者らは、運動の難しさと相対的な筋肉の寄与を考慮すると、中殿筋の弱さがある人には膝を曲げる形が有効な候補になるとした。[4] 上の脚を浮かせた姿勢が、無条件の最終回答にはなっていない。
ここで大切なのは、この研究を長期間の筋力向上試験と混同しないことだ。同じ参加者が姿勢を変えたときの活動を比べているため、選択の手掛かりは得られるが、膝を曲げる運動を続ければ全員に同じ変化が出るという結果ではない。[4] 「弱さがある対象で、どの形が検討されたか」という範囲で使いたい。
膝を曲げる形を選ぶと、見本より簡単なことをしていると感じるかもしれない。しかし、筋肉の分担を目的に照らして選ぶなら、難易度を上げない判断にも意味がある。[4] 動画の次の段階へ進むことと、今日の自分に合う条件を選ぶことは別の判断である。脚を浮かせること自体を合格条件にしなくてよい。
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お尻の活動を比べても、万能の一位は決まらない
健康な男女40人、平均年齢25±4歳を対象とした横断研究では、複数の体幹安定化運動について、お尻の筋肉と大腿筋膜張筋の活動関係などを比較した。[7] 横断研究とは、この場合、同じ測定の機会にさまざまな姿勢の活動を比べる研究である。長く続けた後の変化を追う研究とは役割が違う。男女を合わせた結果が18〜39歳の女性にも同じように当てはまるかは、分けて検討する必要がある。
左肘と左足で支え、右脚を上げるサイドブリッジでは、お尻側と大腿筋膜張筋の活動関係を表す指標が63.78となり、比較された運動の中で高い値だった。[7] これは筋肉どうしの関係を数値にした指標であり、複数の筋肉の活動をまとめて比較するために用いられている。先に見た最大収縮に対する割合とも、同じ物差しとして並べられない。
同じ研究では、腰まわりの局所的な筋肉と大きく体を支える筋肉の活動比は、別の姿勢で高かった。左脚を上げるバックブリッジでその比は3.35だった。[7] お尻側の指標を優先するのか、腰まわりの別の活動比を見るのかで、目立つ姿勢が変わる。種目名だけで「体幹に最もよい」と決められない理由がここにある。
さらに、運動経験の異なる男女24人を対象とした別の横断研究では、脚の外転を伴うサイドプランクなどと、うつ伏せで抵抗を受けながら脚を外転する運動を比較している。中殿筋のピーク活動は、抵抗を受けるうつ伏せの運動でサイドプランクより有意に高く、効果量は0.78だった。[3] 対象は男性13人と女性11人であり、18〜39歳の女性全般で同じ差が出るかは別の検証が必要だ。効果量は比較の差の大きさを表す数値で、この研究では中程度の差とされた。
お尻を使うなら必ず横向きで体を浮かせるべきだ、という読み方はこの結果に合わない。[3] 一方、別の姿勢で高いピークが出たからといって、サイドプランクを捨てる必要もない。ピーク活動を測る比較と、複数の筋肉の比率を見る比較では、答えようとする問いが違う。[3][7] 自宅のマットでどの形を選ぶかを考えるときも、数字の順位より、比較した目的を先に読むと迷いにくい。
既存記事「プランクのレッグレイズは何に効く?片脚で変わるお尻とお腹の負荷を読む」には、片脚にするプランクの話を譲る。ここでは横向きの支持に絞り、上の脚を動かすことと、膝を曲げて支えることを同じものとして扱わない。また、腰を上下させる動きの是非は隣の記事の問いであり、脚の外転を調べた比較から結論を借りない。

よくある誤解
「上の脚を上げないと中殿筋は働かない」という理解は正しくない。若い女性の比較では、横向きの脚上げやサイドブリッジで中殿筋の活動が測られている。また、中殿筋が弱い人の姿勢比較では、膝を曲げるサイドブリッジが候補になった。[2][4] 脚を浮かせるかどうかだけで、お尻を使えているかの判定はできない。
「お尻の数値が高ければ、腰の活動は少ない」も成り立たない。サイドブリッジで中殿筋の平均活動が高くても、腰方形筋との活動比はほかの運動より低いという結果がある。脚を外転した横向き支持で腰方形筋の活動が高かった研究もある。[2][6] 同じ姿勢で複数の筋肉が働くことを前提にしたい。
「筋活動の順位だけで体幹の安定性も決まる」と考えると、評価する対象が抜け落ちる。中殿筋のピーク活動、腰方形筋の部位別活動、お尻側の筋肉の活動指標は、それぞれ別の測定である。[3][6][7] ここで扱う研究の限界は、姿勢ごとの筋活動比較を、長期的な筋力や安定性の改善量に直接置き換えられない点にある。運動を選ぶ手掛かりとして使い、続けた結果の評価は別に行う。
研究の違いは、どれかを信用しなくてよいという意味でもない。中殿筋の弱さがある若い女性、男女を含む弱さのある集団、健康な男性、運動経験の異なる成人では、出発点が違う。[2][3][4][6] 自分と近い対象か、何と何を比べたか、結果が活動量か活動比か。この順に読むと、同じ「効く」という言葉の中身がほどけてくる。
今日からできること
- 目的を「横向きで体を支える練習」か「お尻の横を使う運動選び」かで言葉にする。若い女性21人の比較では、サイドブリッジと横向きの脚上げで、腰方形筋の活動に差があった。[2]
- 上の脚を上げる前に、膝を曲げる形も候補に入れる。男女30人の比較が示した選択肢を、難易度を上げるためだけの通過点にしない。[4]
- 記録には脚を上げたかだけでなく、膝を曲げたか、横向きに寝た姿勢かも残す。3種類の姿勢を区別した研究のように、条件の違う動きを同じ名前でまとめない。[4]
- 数値を見たら、割合か活動比かを確かめる。中殿筋の66.67%と、お尻側の活動指標63.78は、別の物差しである。[2][7]
- 筋活動の比較を、痛みへの治療手順に置き換えない。腰方形筋の研究対象は健康な男性13人だった。[6] 痛みがある、運動の可否に迷う場合は医師に相談する。
自宅で試す際も、論文の参加者数や活動値を、そのまま自分の反復回数や保持時間に変換する必要はない。今回の比較が役立つのは、どの条件を選び、どの筋肉の働きを考えるかという場面だ。[2][4][6] 夜のスマホに映る脚の高さではなく、次にマットを広げたときに再現したい姿勢を言葉にして残しておく。

オンザショア立川店で、運動を続ける予定を組む
脚を上げる形に進むかを考えるときも、まず運動を続ける時間と場所を用意しておきたい。オンザショア立川店は、営業時間が8:00〜23:30で、全曜日同じ時間、年中無休で営業している。JR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fにある。
溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガのほか、常温のヨガやピラティス、パーソナルトレーニングもある。ヨガだけで25種類以上のレッスンを用意している。運動を生活に置く場として、通う時間と選択肢を照らし合わせることができる。
妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。参加条件を確認したうえで選ぶヨガの体験レッスンは税込1,980円。60分のレッスンに、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。
通う場所を具体的に検討する際は、店舗の案内と料金を確認し、体験予約へ進める。続ける予定を組むための入口として利用できる。
参考文献
[2] Comparison of the Effects of 3 Side-lying Exercises on Electromyographic Activities of Lumbopelvic Muscles in Young Females With Hip Abductor Weakness — Nam SJ, Oh DW., 2025, Journal of manipulative and physiological therapeutics. DOI: 10.1016/j.jmpt.2025.09.016
[3] How to activate the glutes best? Peak muscle activity of acceleration-specific pre-activation and traditional strength training exercises — Goller M, Quittmann OJ, Alt T., 2024, European journal of applied physiology. DOI: 10.1007/s00421-023-05400-3
[4] Electromyographic Analysis of Hip and Trunk Muscle Activity During Side Bridge Exercises in Subjects With Gluteus Medius Weakness — Lee KE, Baik SM, Yi CH, Kwon OY, Cynn HS., 2021, Journal of sport rehabilitation. DOI: 10.1123/jsr.2020-0031
[6] Change in Regional Activity of the Quadratus Lumborum During Bridge Exercises — Oshikawa T, Adachi G, Akuzawa H, Okubo Y, Kaneoka K., 2020, Journal of sport rehabilitation. DOI: 10.1123/jsr.2019-0225
[7] Hip and Core Muscle Activation During High-Load Core Stabilization Exercises — Khosrokiani Z, Letafatkar A, Sheikhi B, Thomas AC, Aghaie-Ataabadi P, Hedayati M, 2022, Sports health. DOI: 10.1177/19417381211015225
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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