
高齢者の歩行試験では、平均と個人差が違う顔を見せた
靴の変更を、実際に歩けた距離で評価した研究もある。2025年の実行可能性試験では、高齢者20人が6分間の歩行テストを行った。男性と女性は各10人、平均年齢は75.95歳である。曲がりにくさが低・中・高の靴と中敷きの組み合わせに、本人の靴を加えた条件を比べている。18〜39歳の女性の靴選びに同じ結果が当てはまるかは、この高齢者の試験だけでは判断できない。[2]
全体として、歩いた距離と、移動にかかる正味の代謝コストには有意差がなかった。ここでいう移動の代謝コストは、歩いて移動するために必要なエネルギーの指標だ。集団全体の結果として「硬くすると遠くまで歩ける」「同じ移動が省エネルギーになる」とは言えなかった。[2]
ところが個人差に目を向けると、別の手がかりが見つかった。足の指を曲げる力が弱い人ほど、曲がりにくさが低い条件から中程度の条件へ替えたとき、歩行距離の改善が大きいという関連があった。相関係数は−0.478である。全体の平均では差が出ず、個人の足の特性と変化量には関連があったという組み合わせだ。[2]
これは「足指が弱いなら硬い中敷きを買う」という処方にはならない。関連が見つかったのは、この参加者、この条件の比較である。弱さを理由に特定の製品を選べば同じ結果になると確かめた試験ではないし、最も硬い条件を選ぶほど改善するという直線的な結果でもない。中程度と低い条件の比較だったことを落とさないで読みたい。[2]
また、足指の力を本人の感覚だけで判定する方法を、この結果から作ることもできない。「指が動かしにくい気がする」という日常の感想と、研究で測った筋力は区別する必要がある。個人の足の特徴が候補を見分ける手がかりになる可能性を示した研究として受け止めるのが妥当だ。[2]
平均に差がなかった結果は、全員に同じ反応しかなかったという意味でもない。逆に、反応の違いがあったから平均の結果を捨ててよいわけでもない。全体への勧めを考えるときは有意差なしを残し、個人差を考えるときは足指の筋力との関連を残す。都合のよい方だけを持ち帰らない読み方である。[2]
夕方の立川駅北口で、親の散歩用の靴を一緒に選ぶ場面を想像してほしい。「自分には押し出しやすいから、親にも合うはず」と決めず、誰にどんな条件で確かめられた靴なのかを考える余地がある。高齢者の試験結果を若い女性へそのまま移すことも、その反対も慎重でありたい。対象の違いは、靴の見た目では埋まらない。[2][4]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
丸い靴底なら、硬さだけを足しても同じとは限らない
前足部が丸く反ったロッカー形状の靴では、曲がりにくさの意味も、その形と一緒に考える必要がある。参加者10人の実験は、標準の靴と、曲げ剛性の高低および前足部カーブの半径を組み合わせた実験靴を比較した。トレッドミル上で、本人が好む歩行速度で下肢の動きと力を測っている。[5]
主な結果は、「硬さを増せば足首の働きが大きく変わる」とは違った。立脚終期、つまり足を地面につけている期間の終わり頃には、足首の角度、関節モーメント、パワーなど、多くの指標で曲げ剛性による有意差がなかった。歩行の時間や距離に関する指標、足首の総仕事量にも、高低の条件で意味のある有意差は見つからなかった。[5]
一方、位置や角度の一部には変化があった。足が地面を離れる前の圧力中心の前後位置と、足首がすね側に曲がる角度の最大値には、曲げ剛性の影響があった。圧力中心は、足裏にかかる力の作用位置をまとめた指標である。一部の位置や角度が変わることと、足首が行う仕事の総量が変わることを分けて読む必要がある。[5]
研究の結論には条件が付いている。足指が足裏側へ曲がる動きが制限され、前足部のカーブが離地時の通常の足の角度を支える場合には、足首の運動や力学を変えるために靴底をさらに硬くする理由はないとされた。すべての靴底で硬さが無関係なのではなく、特定のロッカー形状と動きの条件で得られた結論である。[5]
ここから日常へ持ち帰るなら、硬さの数字を靴の形から切り離さないことだ。同じように手で曲げにくく感じても、平らな中敷きを足す実験と、丸い靴底の曲げ剛性を変える実験は設定が違う。似た言葉で語られた結果を並べるときほど、何を変えた靴なのかを確認したい。[1][5]

よくある誤解
「よく曲がる靴ほど、歩行の効果が高い」は、この問いへの答えにならない。曲がりにくさを増やして筋肉や足首の力の出方が変わる結果もあれば、歩行全体の代謝に明確な利益が出ない結果もある。柔らかさから効果までを一直線につなぐことはできない。[1][4]
「硬い靴で省エネルギーになれば、運動としては損だ」も話を先に進めすぎている。今回取り上げた高齢者の試験では、そもそも移動の代謝コストや正味の代謝パワーに明確な改善が確認されなかった。まず目の前の試験で何が変わったのかを読むべきであり、確認されていない節約を前提に運動の損得を決めないことだ。[2][4]
「ふくらはぎの力が増えたなら、履くだけで筋力がつく」という説明には、長期使用の検証が必要だ。平均年齢70歳の男女を調べた傾斜歩行研究での約10%は、歩行中のピーク関節モーメントの変化である。測ったのはその場の力学的変化であり、長期使用でふくらはぎの筋力が増すかは未検証である。18〜39歳の女性の筋力向上を裏付ける結果としても使えない。[4]
研究の結果を買い物へ使うときには、「効く」という言葉を具体的な問いに戻すと整理しやすい。遠くまで歩けるのか、同じ移動のエネルギーが少なくなるのか、足首の力が変わるのか。これらは同じ実験でも別々に評価されており、結果もそろうとは限らない。靴の長所を探す前に、何を長所と呼ぶかを決めたい。[2][4]
今日からできること
- 靴を比べる際は「つま先の曲がりにくさ」と「靴底の丸み」を別々にメモする。10人のロッカー形状の実験でも、硬さと前足部のカーブを組み合わせて検討している。[5]
- 中敷きを選ぶときは、使う靴に入れた状態でつま先を軽く反らせ、母趾球付近の曲がりやすさを比べる。試し履きでは押し出しの感触も確かめる。これは履き心地を比較する手順であり、実験の剛性測定の代用ではない。1.6 mm、3.2 mmは14人の実験条件として読む。[1]
- 歩きやすく感じた理由を「押し出しの感触」など自分の言葉で残し、消費量の増加とは分ける。筋肉の力が変わっても、推定エネルギー消費に有意差がなかった実験がある。[1]
- 家族の靴選びでは、自分の履き心地を代わりの答えにしない。高齢者20人の試験では全体の有意差がなく、足指の筋力と改善量の関連が手がかりになった。[2]
- 「約10%改善」のような説明を見るときは、指標名まで確かめる。ここでの約10%は足首のピーク関節モーメントであり、歩行距離や継続後の筋力の改善率ではない。[4]

オンザショア立川店で、歩く日と通う日を組み立てる
靴底の硬さを比べたあとは、歩く日と、それ以外の運動をする日を予定に置きたい。オンザショア立川店はJR立川駅北口から徒歩1分、営業時間は8:00〜23:30で、全曜日同じ時間に営業する年中無休のスタジオである。朝と仕事帰りのどちらを通う時間にするか、生活の予定に照らして検討できる。
溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガのほか、常温のヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニングがある。ヨガだけで25種類以上のレッスンがあり、靴を替えることとは別に、通う場所と種目を選ぶ仕組みとして考えられる。
妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F。ヨガの体験レッスンは税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。通う条件は店のトップと料金、体験の予約で確認できる。
参考文献
[1] Propulsion without penalty: greater soleus force with stiffer footwear does not necessarily increase estimated soleus metabolic cost across walking speeds — Davis DJ, Ray SF, Franz JR, Takahashi KZ., 2025, Journal of applied physiology (Bethesda, Md. : 1985). DOI: 10.1152/japplphysiol.00045.2025
[2] The Effect of Shoe Insole Stiffness Modifications on Walking Performance in Older Adults: A Feasibility Study — White LT, Malcolm P, Franz JR, Takahashi KZ., 2025, Journal of applied biomechanics. DOI: 10.1123/jab.2024-0150
[4] Can increasing footwear bending stiffness ameliorate age-related mechanical and metabolic deficits in walking? — Davis DJ, Long CL, Franz JR, Takahashi KZ., 2026, PeerJ. DOI: 10.7717/peerj.21563
[5] Effects of Longitudinal Bending Stiffness of forefoot rocker profile shoes on ankle kinematics and kinetics — van Kouwenhove L, Verkerke GJ, Postema K, Dekker R, Hijmans JM., 2021, Gait & posture. DOI: 10.1016/j.gaitpost.2021.09.188
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
ヨガとからだの小さな疑問のほかの記事
- ウォーキングの消費カロリーは凹凸で変わる?足元の調整と増え方を研究で読む
- ウォーキングは横に傾く道で負担が違う?坂を上る場合と左右の脚の働きを読む
- ウォーキングで段差をまたぐとき何が変わる?足先の高さと余裕の作り方を読む
- ウォーキング中に振り向くと歩調は乱れる?頭の回転と進む向きの調整を読む
- ウォーキングマシンの左右で速さが違うと?歩幅をそろえ直す体の適応を読む
- ウォーキングの歩幅は画面の合図で変わる?表示を消した後に残る歩き方を読む
- 女性の胸筋トレは先に胸を疲れさせる?押す種目で増える負担の行き先を読む
- 女性の腕の筋トレは肘を台に置くと違う?上腕の角度と力の出方を研究で読む
- 女性の筋トレは同じ速さなら力も同じ?等速の検査で読む重さとは別の数字
- 女性の筋トレは動きが遅くなったら止める?失速の割合と鍛えた成果を研究で読む
- 女性の筋トレメニューは休憩中に伸ばす?セット間ストレッチと次の力を読む
- 女性の筋トレは補助でもう一回を足す?ウエイトの重さと残る疲労を研究で読む
- 女性の胸の筋トレはダンベルでも同じ重さ?両手が別々に動く負荷を研究で読む
- 女性の胸の筋トレ、効果は背中の反りで変わる?アーチと押す距離の読み解き方
- HIITは始めてすぐ酸素を使える?最大量とは別に読む立ち上がりの速さ
- HIITの頻度は脈の揺れで決められる?翌日の心拍変動と動ける力を分けて読む
- HIITを続けた結果、息が弾む強度も変わる?最大酸素量とは別の境目を読む
- HIITの同じ出力でも続く秒数は違う?高負荷の限界を左右する余力を研究で読む
- 運動習慣のご褒美は抽選でも続く?必ずもらう報酬と当たり方の違いを研究で読む
- 運動習慣は誰かへの寄付でも続く?自分への報酬と歩く意欲の違いを研究で読む
- 運動習慣は予定を人に宣言すると続く?公開する約束と実際の参加を研究で読む
- 運動習慣は参加が初期設定なら始まる?申し込みと出席を分けて研究で読む
- 運動習慣の連続記録は途切れると逆効果?アプリの達成表示と再開する意欲を読む
- 運動習慣の目標はあと少しで頑張れる?残り歩数の表示と続く行動を分けて読む
- 運動習慣は楽しかった昔を思い出すと続く?懐かしさと行動の違いを研究で読む
- 運動習慣は感謝を書き留めると変わる?メンタルの変化と実際の活動量を読む
- ストレッチはゆっくり伸ばすほど楽になる?動かす速さと筋肉の抵抗を研究で読む
- ストレッチで太もも裏が硬いときは?神経を滑らせる動きと筋肉の伸びを読む
- ストレッチで足首が動きにくいときは?関節を動かす方法との違いを研究で読む
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
2






