呼吸法でお腹を膨らますと横隔膜は動く?見た目と超音波の測定を分けて読む

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

ヨガをする人は、横隔膜がより遠くへ動くのか

ヨガの習慣があると、横隔膜もよく動きそうに思える。そのイメージを確かめた横断研究では、呼吸器の病気の既往がない健康な成人80人を、ヨガ習慣者40人と非習慣者40人で比較した。最大限の横隔膜呼吸を行うときに、厚さ、移動距離、速度、収縮時間などを超音波で測定している。[15]

安静時の厚さは習慣者で0.26±0.02 cm、非習慣者で0.22±0.01 cmだった。最大吸気時はそれぞれ0.34±0.03 cm、0.28±0.03 cmで、厚さには有意差があった。対して、横隔膜の移動距離は習慣者が4.87±1.33 cm、非習慣者が5.45±1.42 cmで、統計的に有意な差はなかった。[15]

厚いことと、遠くへ移動することは違う。しかも移動距離の平均だけを見れば、非習慣者の方が大きかった。ただし有意差がないため、「ヨガをすると動きが小さくなる」とも結論できない。期待した方向の数字だけを拾わず、差を確認できた指標と確認できなかった指標を並べるところに、この研究を読む意味がある。[15]

習慣者では収縮速度が遅く、収縮時間が長いという違いも見られた。最大吸気時に感じる努力の程度も低かった。移動距離だけを成果にすると、こうした時間や体感の違いがこぼれる。横隔膜を調べる画像は、ただ長さを競う定規ではなく、呼吸中の複数の特徴を見る道具なのである。[15]

ただし、これは練習前後を無作為に比較した試験ではない。ヨガ習慣のある人とない人をある時点で比べているため、差の原因をヨガだけに確定することはできない。「ヨガ習慣者に違いが見られた」と「ヨガを始めれば同じ変化が起こる」の間には距離がある。[15]

ここから自宅での観察へ戻ると、吸ったときの膨らみが昨日より小さいだけで、練習が後退したとは決めにくい。研究でも移動距離、厚さ、時間、努力感は別々の顔を見せている。見た目に大きい呼吸だけを成功と呼ぶより、何を確かめる練習だったのかを言葉にする方が、この結果には合っている。[5][15]

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続ける練習の効果は、対象と組み合わせで読む

横隔膜の動きを増やす練習の試験もある。胸椎の後弯がある閉経後女性40人を対象とした無作為化比較試験では、姿勢を整える運動だけを行う群と、そこへ横隔膜を意識する呼吸練習を加える群を比較した。期間は12週間で、各群20人だった。閉経後で後弯がある女性の結果を、18〜39歳の女性の練習効果へそのまま当てはめることはできない。[1]

両群で後弯の角度、胸部の痛み、生活の質に改善が見られた。呼吸練習を加えた群では、横隔膜の移動距離の改善がより大きかった。呼吸の練習を追加することで、画像で捉えた動きにも変化が表れた例である。ただし、呼吸だけを行った試験ではなく、後弯がある閉経後女性という対象に即した結果だ。[1]

この試験には、比較相手がいるという強みがある。練習後に良くなったという話だけでなく、共通の運動に何を加えたかを比べているからだ。一方、横隔膜の移動がより改善したことを、姿勢や痛みも同じ程度に追加改善したという意味へ広げない。それぞれの評価項目の結果を、その項目のまま受け止める必要がある。[1]

別の無作為化比較試験では、慢性閉塞性肺疾患と筋肉量・機能の低下がある高齢者80人を対象にした。呼吸練習群は横隔膜を意識する呼吸と、吐く息に抵抗をかける練習を12週間行った。通常の治療のみの群と比較すると、呼吸練習群の横隔膜の機能の改善が大きかった。高齢で疾患のある患者の結果であり、18〜39歳の健康な女性にも同じ改善が起こるかは別に検証する必要がある。[2]

呼吸練習群内では、移動距離が1.8±0.3 cmから3.2±0.4 cmへ、厚さの変化率が20.0±3.5%から40.2±4.2%へ変化した。これは練習群の前後の数値であり、通常治療群との差そのものではない。群間の比較でも有意差はあったが、これらの前後差をそのまま追加効果の大きさと呼ばないことが大切だ。[2]

また、この試験で調べたのは複数の呼吸練習を組み合わせた方法である。お腹を膨らませる動作だけの成果には分解できない。腹筋を鍛える目的で息に抵抗をかける話は、隣の記事「呼吸法で腹筋を鍛えられる?息にかける抵抗とお腹の筋活動を研究で読み解く」の問いである。ここでは横隔膜の画像指標の変化に範囲を絞る。

健康な成人の呼吸課題、ヨガ習慣者の比較、病気のある高齢者の練習結果で、数値の大きさを横並びにしてはいけない。測る対象も、実施した呼吸も、比較の目的も異なる。自分に一番近そうな数字を選んで目標にするより、どの条件で得られた結果かを一緒に読む方が役に立つ。[2][7][15]

yogaのレッスン前の様子生徒の足もとにあるヨガマット 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

よくある誤解

「お腹が大きく出るほど横隔膜が強い」は、異なる指標を混ぜている。筋力を調べる圧力の測定と、超音波で移動距離や厚さを測る方法は別である。体表の膨らみだけで筋力まで判定することはできない。呼吸で動く様子を見たいのか、力を知りたいのかを分けるところから始めたい。[5][9]

「ヨガを続ける人なら横隔膜の移動距離も大きい」は、比較研究では確認されなかった。厚さや収縮時間などには差があったが、移動距離の有意差はなかった。これはヨガに関するすべての効果を否定する結果ではなく、移動距離という指標に限った答えである。[15]

「横隔膜が大きく動けば、息苦しさも必ず減る」も成り立たない。メタ分析では動きに改善が見られる一方、重い呼吸器疾患がある人では息苦しさと呼吸の仕事量が悪化した。画像の改善を本人の快適さの代用にしないことが、研究間の違いを読むうえでも、日常の練習を考えるうえでも重要になる。[9]

自分の動画を見返して「胸も動いているから失敗」と判定する前に、何を根拠に成功を決めようとしているのかを確かめたい。ここまでの研究には、画像で測る動き、厚さ、圧力による筋力、本人の努力感という別々の物差しがある。お腹の見た目だけで、そのすべてに同時に丸を付けることはできない。[5][15]

今日からできること

  • お腹に手を置くときは「外から感じた動き」として観察する。横隔膜の移動距離や筋力の自己測定とは区別する。[5][9]
  • 健康な成人17人の平均値を、家での達成目標にしない。超音波での呼吸課題の結果は、自分の手の動く幅とは別の数値である。[7]
  • 呼吸を試したら、メモに「お腹の動き」「苦しさ」の2項目を作り、それぞれ感じたことを短く書く。これは観察を整理する方法であり、練習量の処方ではない。呼吸器疾患があり、練習で苦しくなる場合は医師に相談する。[9]
  • 呼吸の変化を振り返るなら、「よくできた」だけで済ませず、動きの感覚と努力感を分けて言葉にする。ヨガ習慣者の研究でも、移動距離と努力感の結果は一致していない。[15]
  • 12週間の患者向け試験を、自分にも必要な練習期間と決めない。対象と組み合わせた運動を確認し、治療のための呼吸練習は医師に相談する。[1][2]
立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

オンザショア立川店で、観察する時間を予定に置く

呼吸へ注意を向ける時間を日常の予定に置く場所として、オンザショア立川店がある。営業時間は8:00〜23:30、年中無休だ。JR立川駅北口から徒歩1分という場所と併せて、通う時間を考える手掛かりになる。所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fである。

溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガのほか、常温のヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニングなどがある。ヨガだけでも25種類以上のレッスンを用意している。予定に運動の時間を入れるときは、こうした選択肢から考えられる。

参加条件も先に確かめたい。妊娠中は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。

ヨガの体験は税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。

種目の確認は店舗サイト、通い方の検討は料金案内、最初の予定を入れる際は体験の予約から行える。続けるための場所と時間を、自分の生活の中に具体的に置くための案内である。

参考文献

[1] Effect of adding diaphragmatic breathing to corrective exercises on kyphotic angle and diaphragmatic excursion in postmenopausal kyphotic women: A randomized controlled trial — Rashed SS, Okeel FM, Yousef AM, Kamel KM, Osman DA., 2024, Physiotherapy research international : the journal for researchers and clinicians in physical therapy. DOI: 10.1002/pri.2100

[2] The impact of respiratory training on diaphragmatic function in elderly COPD patients with sarcopenia — Guo H, Yan F, Li X., 2025, BMC pulmonary medicine. DOI: 10.1186/s12890-025-04035-8

[5] Assessments and Targeted Rehabilitation Therapies for Diaphragmatic Dysfunction in Patients with Chronic Obstructive Pulmonary Disease: A Narrative Review — Chen Y, Li P, Wang J, Wu W, Liu X., 2022, International journal of chronic obstructive pulmonary disease. DOI: 10.2147/copd.s338583

[7] Diaphragmatic mobility in healthy subjects during incentive spirometry with a flow-oriented device and with a volume-oriented device — Yamaguti WP, Sakamoto ET, Panazzolo D, Peixoto Cda C, Cerri GG, Albuquerque AL., 2010, Jornal brasileiro de pneumologia : publicacao oficial da Sociedade Brasileira de Pneumologia e Tisilogia. DOI: 10.1590/s1806-37132010000600011

[9] Short-term effects on outcomes related to the mechanism of intervention and physiological outcomes but insufficient evidence of clinical benefits for breathing control: a systematic review — Lewis LK, Williams MT, Olds T., 2007, The Australian journal of physiotherapy. DOI: 10.1016/s0004-9514(07)70002-8

[15] Effects of usual yoga practice on the diaphragmatic contractility: A cross-sectional controlled study — Fernández-Pardo TE, Furió-Valverde M, García-Arrabé M, Valcárcel-Linares D, Mahi, 2023, Heliyon. DOI: 10.1016/j.heliyon.2023.e21103

この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。

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