女性の筋トレにコラーゲンは使える?筋肉の合成を乳由来たんぱくと比べて読む

女性の筋トレ用サプリとして、コラーゲンはホエイの代わりになるのか。高齢女性の筋肉の合成試験、若い成人の筋厚、長期の筋力を比べた研究を読み分ける。コラーゲンに有利な結果も取り上げ、血中アミノ酸の変化と筋肉が育つことの違い、混合した場合の比較条件まで確かめる。

筋トレ帰りに台所で袋を並べる。いつもの乳由来のプロテインと、美容のつもりで買ったコラーゲン。「どちらもたんぱく質なら、今日はコラーゲンだけでよいのか」。袋の置き場所は隣でも、筋肉に対する働きまで同じとは限らない。[13]

筋肉のたんぱく質が作られる速さを直接比べた高齢女性の無作為化比較試験では、乳由来のホエイがコラーゲンより大きな反応を示した。筋肉の合成を目的に、そのまま交換できるとは考えにくい。一方、筋トレを続けた後の筋力や除脂肪量では、コラーゲンに有利な統合結果もある。「使えない」と切り捨てるのも、「ホエイ以上」と決めるのも早い。[2][13]

ここで確かめたいのは、女性向けという表示ではなく、何を育てたいときの比較なのかである。大豆と乳由来の比較は既存記事「女性の筋トレにソイプロテインは向いている?乳由来との比較で選ぶ前に読む」に譲り、今回はコラーゲンへの置き換えと、足し合わせた場合に絞る。

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同じたんぱく質でも、何を測ったかで答えが変わる

「筋肉によい」という言葉には、いくつもの測定が入っている。飲んだ後に血液中のアミノ酸が増えること、筋肉のたんぱく質の合成が高まること、筋肉の厚みが増すこと、重い物を動かせること。これらは同じ結果を別の言葉で呼んでいるわけではない。実際、ホエイとコラーゲンの比較では、筋厚の伸びに差があっても筋力やパワーの伸びは同程度だった試験がある。[4][11]

筋たんぱく質合成とは、筋肉のたんぱく質が新しく作られる過程である。女性を対象にした比較試験では、目印を付けた物質を用いて短時間の合成反応を調べ、別の方法で日をまたいだ合成も測っている。腕周りを測る試験とは異なり、飲食や運動への反応を筋肉の中で追う設計である。[13]

対して筋厚は、筋肉の厚さという形の変化である。除脂肪量は、体から脂肪を除いた部分の量であり、筋肉だけを指す数字としては扱わない。若い成人の筋厚比較、中年男性の除脂肪量比較、複数の研究をまとめた筋力比較は、それぞれ答える問いが違う。同じ「効果」という箱に入れると、その違いが消えてしまう。[2][11][15]

筋トレ用に袋を選ぶなら、まず自分の問いを短くしてみる。「運動後の筋肉の合成を支えたい」のか、「続けたときの筋力を見たい」のか。研究を読む際も、結論の形容詞より先に測定項目を確認する。合成反応の試験を、将来の体形の約束に読み替えないためである。[11][13]

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女性を直接調べた試験ではホエイが優位だった

健康な高齢女性22人を対象にした二重盲検の無作為化比較試験では、平均年齢は69歳だった。ホエイかコラーゲンを各群11人に割り当て、30gを毎日2回、6日間摂取した。その期間中に片脚の筋トレを2回行い、運動した脚と安静の脚で合成反応を比べている。[13]

短時間の反応では、ホエイによる合成速度の増加は、安静の脚で毎時0.017%、運動した脚で毎時0.032%だった。コラーゲンでは運動した脚だけで毎時0.012%の増加があった。ホエイは両方の脚でコラーゲンを上回ったが、「コラーゲンでは何も起きなかった」という説明は正確ではない。運動と組み合わせた短時間の反応は確認されている。[13]

日をまたいだ測定では、ホエイ群の合成速度は安静の脚でも運動した脚でも高まった。一方、コラーゲン群では、どちらの脚も開始時点からの有意な上昇はなかった。短時間には反応しても、測定期間を通して同じように反応が続くとは限らない。ホエイの優位は、ここでも確認された。[13]

ここで「有意」とは、統計的に差を検出したという意味である。有意な上昇がなかったことを、体内で合成が完全に止まったと読むのは誤りだ。また、毎時の割合は体重が増えた割合でも、筋肉がそのまま増えた割合でもない。測定された合成速度の変化として読む必要がある。[13]

女性のデータである点は、この問いにとって大切だ。ただし高齢女性の反応を、講義帰りに筋トレを始めた若い女性の増加量として使うことはできない。この試験から受け取るのは、調べた条件では同量のホエイとコラーゲンが同等ではなかった、という比較の方向である。[13]

短時間の比較と日をまたいだ比較には、測り方の違いもある。女性の試験では短時間の測定に目印を付けたフェニルアラニンの投与を使い、期間を通した測定には重水の摂取を使った。どちらも筋肉の合成を追うための方法だが、切り取る時間が違う。運動直後だけの反応と、生活を挟んだ期間の反応を分けて示している点に、この試験の読みどころがある。[13]

摂取量も研究条件として読む。30gを毎日2回という設定を、そのまま自分の献立に加える処方箋にはしない。この試験が比べたのは、決められた量と運動条件の下での種類の違いである。袋に書かれた推奨量と研究の量が違うときは、数字だけ借りて同じ反応を期待しない。[13]

ロイシンをそろえても、筋厚の伸びには差があった

「アミノ酸の一種であるロイシンを足せば、コラーゲンはホエイと同じになるのか」。この疑問に近い試験もある。筋トレ経験のない健康な若い成人22人を、ホエイ群と、ロイシン量を合わせたコラーゲン群に分け、週3回の監督下の筋トレを10週間続けた無作為化比較試験である。[11]

ホエイは35gにロイシン3.0gを含む設定だった。コラーゲンも35gとし、含まれるロイシン1.0gに遊離のロイシン2.0gを加えた。合計のロイシン量をそろえた比較なので、単に「目立つ成分が多い方がよかった」とは片づけにくい設計である。[11]

太ももの外側にある外側広筋の厚みは、ホエイ群で8.4%、コラーゲン群で5.6%増えた。上腕二頭筋では、それぞれ10.1%と6.0%だった。筋厚の増加はホエイ群が有意に大きかった。一方、測定した筋力とパワーは、群の間で同程度の改善だった。[11]

数値のばらつきも見ておきたい。外側広筋の筋厚増加は、平均と標準偏差で示すとホエイ群8.4±2.5%、コラーゲン群5.6±2.6%だった。上腕二頭筋では10.1±3.8%と6.0±3.2%である。標準偏差は参加者の結果の散らばりを表す。平均に差があることと、飲んだ人全員が平均どおりに変わることは違う。[11]

この結果の面白さは、コラーゲン群でも筋厚が増えていることと、それでもホエイ群に差がついていることが両立する点にある。筋トレを続けて変化があったからといって、飲んだものが他の選択肢と同じだったとは限らない。自分の変化と、条件をそろえた比較の差は別に考える。[11]

また、この試験はロイシン以外の何が差を生んだかを確定するものではない。成分の一部をそろえても、筋厚の結果は同じにならなかったという事実までを受け取る。「この成分さえ入っていれば十分」という選び方を、いったん立ち止まって見直す材料になる。[11]

若い成人の結果があることで、高齢女性の短期試験だけに話が閉じるわけではなくなる。ただし、この若い成人の数字を女性だけの成果として紹介することも避けたい。女性の試験と若い成人の試験は補い合うが、対象者の札を外してひと続きの保証にはできない。[11][13]

たとえば、夕方に筋トレを終え、帰宅後にコラーゲンを飲んでいる人がいるとする。動かせる負荷が増えた実感は、その人の記録として大切だ。ただし、それだけではホエイへ替えた場合と同じだったかは分からない。若い成人の試験で両群の筋力が改善した一方、筋厚には差がついたことが、その区別を具体的に示している。体感を否定するためではなく、体感だけで補給の優劣を決めないための比較である。[11]

数字で読むコラーゲンとホエイの比較

22人・平均69歳:女性の合成反応を直接調べた試験の対象である。[13]

30gを毎日2回・6日間:女性の試験で用いた補給条件であり、全員への推奨量ではない。[13]

10週間・週3回:ロイシン量をそろえた若い成人の筋トレ試験の期間と頻度である。[11]

8.4%対5.6%:同試験の外側広筋の筋厚増加で、順にホエイ群とコラーゲン群である。[11]

78研究・4,755人:筋力と除脂肪量を比較したネットワークメタ分析の規模である。[2]

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