ダイエットに疲れた時はもしもを予定に直す?別の選択から次の行動を作る考え方

ダイエットに疲れた時、「あの時こうしていれば」を次の行動へどうつなぐか。食行動の意図を調べた試験、飲酒行動や身体課題の実験、抑うつとの関連を調べたメタ分析を読み分ける。反省を長く続けることより、変えられる場面を選び、実行できる予定へ言い直すための具体例と研究の限界を示す。

夕食を買い終えてから、冷蔵庫に残した食材を思い出す。「買う前に中を見ておけば」で済む話が、「だから自分はだめだ」に変わる夜もある。疲れた日にまで、頭の中で反省会の残業をする必要はあるのだろうか。

別の選択を想像することには、次の準備に使える可能性がある。過去が違っていた場合を考える「反実仮想」を使った食行動の無作為化試験では、健康的に食べようとする意図などが対照条件より高まった。ただし、意図の改善を、そのまま体重減少の証明として受け取ることはできない。[7]

この記事で扱うのは、後悔の量よりも、考えた内容を次の場面に移す方法である。既存記事「停滞期に心が折れそうなら後悔を書き出す?行動への反省と自責を分けて読む」には後悔と自責の整理を譲る。ここでは「しておけば」を「次にこうなったら、こうする」へ言い直す際の、研究上の足場を確かめたい。

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「もしも」は過去の判決より次の選択の材料になる

反実仮想とは、実際には起きなかった別の展開を頭の中で表すことである。「食事を買う前に帰宅後の予定を見ていたら、選び方が違ったかもしれない」という考えがそれに当たる。過去や未来の可能性を考える思考を扱ったナラティブレビューは、その働きとして将来の遂行に備える準備機能を論じている。[10]

ただし、思いついた原因はまだ仮説だ。たとえば「支度が遅れたから運動に行けなかった」と感じても、実際には仕事が延びたことや、休みたいほど疲れていたことも関係したかもしれない。「支度を変えれば必ず行ける」と結論するより、次に確かめたい条件として残す。この区別は、生活への応用で外したくない。

身体課題を使った実験では、過去の失敗を別の展開で考えることも、未来の条件を想像することも、次の遂行の改善につながった。未来を考えた内容には、自分で制御できる要素がより多く含まれていた。[16] ここから借りたいのは、過去を細部まで裁く作法ではなく、これから動かせる部分を探す視点である。

「もっと意志が強ければ」は、次の場面で何をするかが見えにくい。一方、「出かける前に持ち物を玄関で確認していたら」なら、確認する場所と動作を書ける。これは研究で検証済みの持ち物管理法ではなく、制御できる要素へ言い換えるための例だ。人格を採点する言葉と、実際に手を動かせる言葉を、同じ予定表に入れないようにしたい。

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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食事の試験が変えたのは何だったか

食事に直接関係するのは、大学生と地域住民を対象にした反実仮想の介入研究である。参加者を介入条件と対照条件に無作為に割り付け、食行動を変える準備、健康的な食事への動機、行動意図を調べた。大学生の研究では、介入条件のほうが変化への準備性、外発的な動機、健康的に食べる意図が高かった。大学生と地域住民の結果を、18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには、年齢や生活背景の違いも考える必要がある。[7]

外発的な動機とは、行動そのものの楽しさ以外の理由に支えられる動機を指す。ここでは、食事を変えたい気持ちの中身まで、すべて同じ方向に変わったと広げないことが大切だ。地域住民を対象にした研究でも、変化への準備性、健康的に食べる意図、自分で考えた方策を使う意図が高まった。[7]

本人がヒスパニックと認識しているかどうかによっても、方策を使う意図などへの効果に違いがみられた。[7] これはある属性の人にだけ勧める根拠ではなく、参加者の背景によって受け止め方が一様ではないことを示す結果として読みたい。遠くの研究の平均を、そのまま目の前の人の反応の予測に使うのは急ぎすぎである。

「買い物の前に夕食の候補を考えていれば」という振り返りを思いついても、そこから食事の量を減らす必要はない。食事の選び方を考えたい人なら、買う場所や相談する相手を予定に書く、といった応用が考えられる。体重を減らすことを全員の目的にせず、自分が困っている行動を言葉にする例である。

この試験を読むときの到達点は、「健康的に食べようとする準備や意図に変化があった」までだ。[7] 食べた内容が変わること、変化が生活の中で続くこと、体重が変わることは、別々に確かめる問いになる。予約画面を開いたことと、実際にスタジオへ着いたことくらいには距離がある。

飲酒研究は「思った」と「した」の間を調べている

別の健康行動から、意図と行動のつながりを考える材料が得られる。米国の飲酒する大学生466人の研究では、問題のあった飲酒経験を踏まえて別の行動を考えた条件で、次週に保護的な行動方策を使う意図が対照条件より高かった。保護的な行動方策とは、不利益を減らすために本人が行う工夫である。対象は飲酒する大学生であり、18〜39歳の女性の食事や運動にそのまま当てはめることはできない。[5]

過去の出来事を思い出すだけの条件や、詳しく説明する条件では、対照条件に対する同様の意図の上昇はみられなかった。ただし対照群では不利益な飲酒経験の有無を報告させておらず、群の比較を解釈するうえで留意が必要だった。[5] 「よく反省した人ほど変わった」という単純な話にはできない。

大学生73人を対象にした別の無作為化試験は、開始時と、その後5週間の追跡で行動を調べた。反実仮想条件では、最初に本人が作った文を追跡時にも提示した。出来事を詳しく記述する条件と比べて、保護的方策の利用が多く、その利用を介して飲酒量や飲酒に伴う不利益の減少につながったと報告された。対象が大学生の飲酒行動であるため、18〜39歳の女性の食行動で同じ変化が起こるかは別に確かめる必要がある。[6]

重要なのは、この研究が「思い出して終わり」ではなく、本人の作った文を後から再提示する介入だったことだ。[6] 生活へ置き換えるなら、振り返りを保存し、関係する場面で読み返す設計が候補になる。食事や運動への応用は、必要な場面で読み返せるかを試す工夫として扱う。

食事も運動も「健康行動」という言葉でまとめられるが、飲酒の結果をそのまま移すのは避けたい。保護的方策の測定や介入を整理したレビューも、飲酒以外の領域では介入研究が乏しく、飲酒領域内でも介入の有用性には幅があると整理している。[19] 隣の研究は、便利な見取り図にはなるが、自分の生活の完成図ではない。

この違いは、比較対象を見ると理解しやすい。「何もしない場合より良かった」のか、「経験を詳しく説明する場合より良かった」のかで、分かることが変わる。飲酒研究には出来事の想起だけでなく、詳しい説明を行う条件も置かれていた。[5][6] 単に自分の経験へ注意を向けた影響と、別の方策を作った影響を分けようとする設計である。経験について考える時間を取ったことだけで、すべての結果を説明しないための比較だ。

また、利用意図を答える場面と、実際に選択する場面は違う。落ち着いて画面の質問に答えるときには使いたい工夫でも、帰りの電車で予定が変われば実行できないかもしれない。だからこそ、意図を測った試験の結果は出発点として読み、その後の行動を追った試験では何を確かめたかまで見る。[5][6] 自分の生活に借りるなら、書いた時点の納得感だけで採点せず、どの場面ならその案を使えるかを具体化することが次の検討になる。

たとえば、食事を選ぶ前に予定を確認する案なら、「確認する余裕がある場面か」「予定が変わったときに何を選べるか」を考えられる。ここで目指すのは、想定外をすべてなくす計画ではない。本人が作った文を後で提示する飲酒の介入を参考に、必要な場面で自分の案に出合えるかを考える応用だ。[6] 帰宅後にメモを見つけて、すでに終わった買い物へ助言しても、今日の選択には間に合わない。読む場所と使う場所の対応まで含めて、次に試す案にしておきたい。

数字で読む「もしも」から行動への距離

食行動の介入は、大学生と地域住民を対象にした2つの研究で、準備性や行動意図の変化を調べた。[7]

飲酒する大学生466人の研究は、反実仮想の介入後に次週の保護的方策の利用意図を測定した。[5]

大学生73人の試験は、開始時に加え5週間の追跡で保護的方策や飲酒の結果を調べた。[6]

身体課題の実験は各42人で、過去と未来を考える条件の遂行改善に有意な差はなかった。[16]

抑うつとの関連のメタ分析では、13,168人からの42の効果量を統合し、相関係数は0.26だった。[11]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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宮川涼 Founder

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