
腰痛の研究の数値を、自分の合格点にしない
急性腰痛のある人の等速性体幹筋力を調べた系統的レビューでは、採用された研究すべてでバイアスのリスクが高く、測定手順、機器、評価項目にも違いがあった。そのため、急性腰痛のある人に使える筋力の基準値は定められなかった。患者を対象とした集計なので、18〜39歳の健康な女性の基準値にもそのまま当てはめられない。[8]
レビューで示された屈曲のピークトルクの範囲は、60°/sで89.7〜175.1 Nm、120°/sで81.5〜185 Nmだった。これは異なる研究で報告された値の範囲であり、個人の合格範囲ではない。上限に近ければ安心、下限を下回れば異常、という使い方にはならない。[8]
また、この範囲を見比べて「速い方が強い」「遅い方が弱い」と順位を付けることもできない。幅のある集計結果であり、そもそもレビューが基準値を定められないとした背景に、測定条件の多様さがあるからだ。数字を引用するときには、その数字をまとめた研究の結論も隣に置きたい。[8]
腰痛のある人を対象にしたリハビリテーション研究と、健康な女性を対象にした実験では、読者へつなげる距離も異なる。前者で得られた比率の変化を、痛みのない人の腹筋メニューの目標にするのは飛躍である。数値の手前にいる参加者が誰かを読むことが、速度の表示を読むのと同じくらい大切になる。[5][7][8]
中央線で座れずに帰宅した夜に、検査の基準表まで自分へ課す必要はない。今日はどの動きを行い、何が気になったかを言葉で残す。その記録と医療の評価は役割を分け、痛みがある場合の運動の可否は医師に確認する。研究の範囲を、自分を採点するための狭い枠に変えないことだ。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
疲れた後の力と、止めて出す力も分けておく
腹壁瘢痕ヘルニアの修復手術後の患者45人を対象とした無作為化比較試験では、光を用いた治療と理学療法の組み合わせを比較し、体幹屈曲筋力を疲労課題の前後で測定した。4週間後、光による治療を受けた群では、偽の治療群に比べ、疲労前後の屈曲筋力が高かった。術後患者への治療の結果であり、18〜39歳の健康な女性の腹筋練習に同じ効果を当てはめることはできない。[4]
ここで取り出したいのは、術後の治療を一般の運動へ勧める話ではなく、疲労前後を別々に測った評価の仕方である。研究は、最初の力と疲労課題後の力を別の結果として扱っている。レッスンの終わりに感じたきつさを、開始時の最大筋力と同じ意味で記録しない、という整理に役立つ。[4]
同じ人の腹筋でも、練習の冒頭に行った動作と、終盤に行った動作を比べるなら、どちらを記録したかが必要になる。「先週よりゆっくりできなかった」と感じた場合も、その動作がプログラムのどこにあったかを先に見返したい。速さについての感想に、実施した場面の情報を添えるのである。
さらに、体を止めて力を出す測定と、動かしながら力を出す測定も混同できない。腹部の組織を用いた乳房再建術を受ける女性93人を対象にした無作為化比較試験では、術前の腹筋運動によって、手術前の静的な筋力と筋の厚さは有意に増えた。乳房再建術を受ける女性の結果であり、18〜39歳の健康な女性へそのまま当てはめるには、手術の有無という条件が異なる。[18]
ところが、手術後1年では、両群で動的な屈曲筋力が低下し、術前運動を行った群の明確な有意の利益は認められなかった。多くの女性は術前の体力に戻り、手術による日常の機能的活動への影響もなかったと報告されている。測定された力と、生活でできることを分けて読む必要がある例である。[18]
これは術前運動が無意味だったと決める材料でも、静止する練習より動く練習がよいと決める材料でもない。術前と術後、静的と動的、筋の厚さと生活機能という異なる項目を、研究の通りに分けておく。腹筋という同じ名前が付いていても、すべてを一つの成績にまとめる必要はない。[18]
術後の研究を、痛みのない人の運動へそのまま広げないことも必要だ。腹壁の手術後に疲労への抵抗を測った試験と、乳房再建の前後に静的・動的な筋力を測った試験では、対象となる手術も評価の時点も異なる。どちらかの結果で、一般の腹筋練習の適切な速さまで決めることはできない。[4][18]
一方で、両研究から数字の読み方として持ち帰れるものはある。測定が疲労前なのか後なのか、力を出す間に動いていたのか止まっていたのか、そしていつの成績なのかを確認することだ。研究の対象を自分と同じと見なさなくても、評価項目を区別する視点は、記録を整理するときに使える。[4][18]

よくある誤解
「ゆっくり腹筋がきついなら、どの速度でも筋力が高いはず」という考えには、測定条件の飛び越しがある。健康な女性の試験でも、速度、方向、測る時点を分けて評価している。ゆっくり動くときの手応えは練習の感想として受け止め、別の速度の筋力を代弁させない方がよい。[7]
「速い条件だけ有意だったから、速い腹筋をすればよい」という読み方も成り立たない。電気刺激の試験で改善したのは、特定の介入後に120°/sで測った伸展筋力であり、腹筋を速く反復する方法の比較ではない。測定速度の数字を、そのまま自宅の練習指示へ移さないことが肝心だ。[11]
「屈曲/伸展比率が下がったら、お腹の力が落ちた」という見方では、分母にある伸展側を見落とす。比率が変化した腰痛の試験では、ほかの筋力や機能の改善も報告されている。比率、屈曲の値、生活上の支障をそれぞれ読めば、数字が下がることを一律に悪化と判断せずに済む。[5]
実際の記録帳では、数値を増やすより、比較できる欄を作る方が先になる。練習した動作、実施した場面、感じた難しさを並べ、機器で測った値がある場合だけ、別に条件付きで記す。自宅の手応えの横に研究の筋力を無理に貼り付けず、それぞれの記録が何を表すかを明らかにしたい。
たとえば、帰宅後に行ったゆっくりした腹筋と、休日のレッスンの終盤に行った腹筋を比べるなら、同じ動作名でも場面が違うと分かるように残す。これは厳密な筋力検査の代わりにはならないが、次に先生へ相談するときに、どこで困ったのかを伝える材料になる。数字を持たない感想まで、無理に筋力の点数へ変える必要はない。
今日からできること
- 腹筋の記録に、回数の感想だけでなく「ゆっくり丸めた」「止めて力を入れた」など動きの種類を書く。静的・動的な筋力を分けた試験を踏まえ、違う課題の成果を混ぜないための工夫である。[18]
- 筋力検査の結果を受け取ったら、速度と方向を確認する。60°/sと180°/sで屈曲・伸展を分けた試験のように、数値の条件まで一緒に保存したい。[7]
- 過去の検査と比べる際は機器名も見る。異なる機器を比較した41人の研究では結果に違いがあり、施設が変わった記録にはその情報も添える。[16]
- レッスン前後の感想には、どの場面で行った動作かを記す。疲労課題の前後を分けて評価した術後患者の試験にならい、記録する場面を区別する。[4]
- 60°/sや120°/sという研究の数字を、家庭での目標速度にしない。腰痛研究の評価条件と、個人に合った運動の判断を分け、痛みがある場合は医師に相談する。[5][8]

オンザショア立川店で、通う時間と運動の種類を選ぶ
腹筋の速さを採点するより先に、どの運動を生活のどこへ置くかを考える。オンザショア立川店は8:00〜23:30の営業で、年中無休である。朝や仕事帰りなど、通う時間を考える際の手掛かりになる。JR立川駅北口から徒歩1分、所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fだ。
溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガに加え、常温のヨガやピラティス、パーソナルトレーニングなどの選択肢がある。ヨガだけで25種類以上のレッスンがあり、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIITも扱う。運動を続ける場所を選ぶために、まず種類と時間を確かめたい。
妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。参加条件を確かめたうえで、体験の内容を見る。ヨガの体験レッスンは税込1,980円で、60分のレッスン、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。店の案内と料金を確認し、生活に置ける予定が見えたら体験予約へ進むという順で考えられる。
参考文献
[4] Effect of photobiomodulation therapy on trunk flexor performance after incisional hernia repair: a randomized controlled trial. — Mahran HG., 2022, Lasers in medical science. DOI: 10.1007/s10103-021-03337-7
[5] Rehabilitation therapy using the HUBER platform in chronic non-specific low back pain: a randomized controlled trial. — LE Moal V, Tantot M, Mévellec É, Nouy-Trollé I, Lemoine-Josse E, Besnier F, Guiraud T., 2023, European journal of physical and rehabilitation medicine. DOI: 10.23736/s1973-9087.23.07998-4
[7] Effects of Kinesio tape application to trunk isokinetic strength in female participants. — Buke M, Unver F., 2020, Research in sports medicine (Print). DOI: 10.1080/15438627.2019.1699796
[8] Isokinetic Trunk Strength in Acute Low Back Pain Patients Compared to Healthy Subjects: A Systematic Review. — Reyes-Ferrada W, Chirosa-Rios L, Rodriguez-Perea A, Jerez-Mayorga D, Chirosa-Rios I., 2021, International journal of environmental research and public health. DOI: 10.3390/ijerph18052576
[11] The Strengthening Effect of Electrical Stimulation on Lumbar Paraspinal Muscles in the Sitting Position: A Randomized Controlled Trial. — Choi YA, Lee SU., 2017, PM & R : the journal of injury, function, and rehabilitation. DOI: 10.1016/j.pmrj.2016.11.001
[16] Comparison of trunk strength measurements between two different isokinetic devices used at clinical settings. — Hupli M, Sainio P, Hurri H, Alaranta H., 1997, Journal of spinal disorders. DOI: 10.1097/00002517-199710000-00006
[18] Do pre-operative abdominal exercises prevent post-operative donor site complications for women undergoing DIEP flap breast reconstruction? A two-centre, prospective randomised controlled trial. — Futter CM, Weiler-Mithoff E, Hagen S, Van de Sijpe K, Coorevits PL, Litherland JC, Webster MH, Hamdi M, Blondeel PN., 2003, British journal of plastic surgery. DOI: 10.1016/s0007-1226(03)00362-x
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
ヨガとからだの小さな疑問のほかの記事
- 肩関節の動画は何秒ごとに見る?可動域の最大角度を逃さない記録の考え方
- 肩関節の伸展は引く前にも力が入る?予備緊張と神経の応答を読み分ける視点
- 肩関節のROM測定は担当で違う?引き継いだ角度を上達と読む前の確認点
- 肩関節が硬い日の測定はどこを比べる?初回と運動後を残す記録の作り方
- 肩関節の外旋可動域は片方向だけで比べる?内旋との合計で左右差を読み直す
- 肩関節が柔らかいと腕は高く上がる?背中を支えた測定と自由な姿勢を比べる
- 股関節の屈曲は自分のペースと合図で違う?脚上げの比較条件をそろえる
- 股関節の回旋は曲げる深さで変わる?回す筋力と回される抵抗を分けて読む
- 股関節の外転筋肉は一様に育つ?横へ開く練習の成果を場所と測り方で読む
- 股関節の可動域は足先の距離で残せる?脚の長さと角度が混ざる記録の読み方
- 股関節ストレッチの休憩はどの脚の時間?左右の切り替えと測定時点を分ける
- 股関節に優しい座り方は足が床につく形?座面の圧と脚の支えを分けて読む
- 骨盤の位置がわからないとき、少し待っても戻せる?手本を離れた感覚の読み方
- 骨盤の傾斜角度は測る線で変わる?違う基準の数字を比べる前に知りたいこと
- 骨盤の回旋は曲がり道でも同じ?直線と円を歩くときに分けて見たい向きと時間
- 骨盤のニュートラルは脱力と同じ?座り直しの筋活動と腰への荷重を比べる
- 骨盤の幅は外から測れば分かる?触れる骨の間隔と画像の寸法を読み分ける
- 骨盤の左右差はレッスン後にも同じ?疲れた日の写真と普段の姿勢を比べる前に
- 骨盤の安定は押される方向で違う?横と前後の揺れを比べる前に読む力の条件
- 骨盤の安定に働く筋肉は同時に締める?骨盤底とお尻の力を足す前に読む
- 体幹の筋肉は一瞬だけ強く働く?筋電図の平均時間とピークを比べる前の確認点
- 体幹トレーニングは先に自分で採点する?助言と照らす感覚と動きの分け方
- 体幹トレーニングは失敗の見本も見る?動画の比較で確かめたい学び方の根拠
- 体幹の練習は毎日同じ力でできる?翌日の持久力と疲れた感覚を分けて読む
- 体幹とエアロバイクの疲れ、回転を保てても前傾は変わる?経過から読む姿勢
- 体幹は声をかけられると長く保てる?励ましと姿勢の修正を区別する記録の読み方
- 体幹が衰えると筋肉は細くなる?加齢による面積と内部の脂肪を分けて読む
- 体幹が弱いと荷物で揺れる?重さが見えない箱と持つ前の構えを分けて読む
- 体幹の変化は何パーセント伸びた?開始時の秒数で違う上達率の読み方を知る
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
2







