
足裏の力と膝の動きから、回旋の条件を確かめる
女性選手を対象にした研究も見ておきたい。健康で競技水準の高い女性15人、平均年齢22.7±7.8歳が、オープンとスクエアのフォアハンドでトップスピンのストレートを打った。球速は80、90、100 km/hと最大速度の条件で、靴の中の圧力センサーによって左右の足にかかる力を測定している。若い女性を含むが競技水準の高い選手の結果なので、18〜39歳の女性の初心者にも同じ力の分担が生じるかは別に確かめる必要がある。[7]
オープンでは、ラケットを持つ腕と同じ側の足の最大の力と平均の力がスクエアより大きかった。一方、反対側の足では同じ差はなかった。球速を上げた時、スクエアでは利き腕側の足の平均の力が増え、反対側では減ったが、オープンではそのような変化は確認されなかった。球速を変える時の左右の分担も、構えによって異なっていたのである。[7]
これは「両足へいつも同じだけ体重を載せればよい」という見方を見直す材料になる。ただし、足裏の力が大きかったことを、胴体の筋活動が大きい証拠に置き換えることはできない。足裏の測定は足に加わる力を、筋電図は対象筋の活動を扱う。どちらも身体全体を考える手がかりだが、片方の結果で他方の値を言い当てるものではない。[7][14]
横向きに構えた時も、膝を深く曲げればすべて解決するわけではない。大学水準の女性16人のクローズドのフォアハンドを、身体とラケットのモデルで分析した研究では、膝の初期位置と動く範囲がラケット速度に正の関係を示した。ただし、その直接の影響は小さく、重心の移動や膝・股関節・背中の仕事、股関節と胴体の回る範囲など、間接的な関係もあった。女性を対象にしていても大学水準の選手の分析なので、18〜39歳の女性へそのまま同じ膝の動きを勧める根拠にはできない。[11]
さらにこの研究では、膝の動きを増やす方向でも制限する方向でも、ラケット速度が大きく低下した。大きく曲げることと、小さく固定することのどちらにも、全員共通の正解はなかった。最も技能の高い選手は、球の高さに応じて膝の最初の位置を変えながら、動く範囲を比較的一定に保っていた。[11]
この結果から練習で確かめたいのは、「もっと沈む」という言葉が誰の何を変える指示なのかである。低い球に入るための構えと、体幹をよく使った見た目を作るための沈み込みを混ぜない。膝だけを切り離して足し算するより、その変更で胴体やラケットの動きがどう変わったかをコーチと確認する。膝は、深さの記録を競うためについているわけではない。[11]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
横へ追ったオープンを、すべての開いた構えに広げない
負担の研究では、守備的なオープンを区別することが重要になる。上級者8人が前進や横移動を伴うフォアハンドを最大努力で行った膝の実験では、横へ走って打つ守備的なオープンで、床から受ける鉛直方向の力や膝が曲がる最大角度が増えた。膝にかかる圧縮方向などの力、外側へ開く方向や外へ回る方向のトルクにも増加があった。対象は上級選手であり、18〜39歳の女性の趣味の打球にそのまま同じ負荷が生じるかは、技能や移動速度の違いを踏まえて考える必要がある。[1]
股関節を調べた、右利きの上級者8人の実験でも、守備的なオープンでは、前へ入るニュートラルやオープンより関節角度や負荷が大きくなった。研究者は、この動きが股関節の使いすぎによる障害につながる可能性を論じている。ここで比較されたのは、その場で足だけ開いた姿ではなく、横へ走って返す動作を含む条件だった。右利きの上級選手の結果を18〜39歳の女性へそのまま当てはめるには、利き手や技能、移動の強さの違いに注意が必要である。[2]
どちらも実験室で動作と関節の負荷を調べた研究である。実際に誰がけがをしたかを長期間追って、構え別の発生率を比較した結果として読むべきではない。負荷が増えたという観測と、将来のけがの可能性についての解釈は分ける。「オープンなら必ず膝や股関節を傷める」という断定にはならない。[1][2]
腕の結果も併せると、さらに単純な順位はつけにくい。プロと中級者のフォアハンドを比較した研究では、腕全体にオープンのほうが大きな負荷を生むという仮説は支持されなかった。関節を回す力であるトルクの多くは構え間で似ており、肩を内側へ回す力の最大値や手首を曲げる力の最大値は、むしろスクエアで大きかった。[4]
膝や股関節を気にして構えを変えれば、身体のどこでも一律に楽になる、と考えないほうがよい。下半身の負荷が増えた条件と、腕の負荷を比較した条件は別であり、測った関節も異なる。練習後の振り返りでは、気になる部位と、前へ入った球か横へ追った球かを分けて残す。痛みがある場合は、その記録を医師への相談や指導者との動作確認に使いたい。[1][2][4]
たとえば、外へ追われた球の後だけ股関節が気になるなら、「今日はオープンが多かった」という記録より、横移動からの返球が多かったという記録のほうが研究の比較条件に近い。前進して足を開いた球まで同じ箱に入れないことで、指導者に相談する動作を絞れる。ただし、その一致は原因の診断ではない。実験で負荷が高かった動作と自分の痛みが似ていても、それだけで病名や治療法は決まらない。[2]
身体への負担を読む際には、速度の結果を安全性の代理にしないことも大切だ。ラケットが同じ速度に達した上級者の研究は、関節の負荷がどこでも等しいと示したものではない。腕の力の方向、膝の負荷、股関節の角度は、それぞれの実験で確かめた対象である。打てたかどうかに加え、どの場面を比べたかを残すことが、構えについての相談を具体的にする。[1][2][10]

よくある誤解
「開いた構えなら腹筋をもっと使う」は、少なくとも大学選手の筋電図では支持されなかった。上級者の別の研究で回旋を生かす加速の違いが見られても、それを筋活動の増加の証明にはできない。回る様子、筋活動、ラケットの速度を別々に捉えると、見た目だけから「体幹が弱い」と判定する理由も薄くなる。[10][14]
「横向きで踏み込めば常に速く打てる」も言い切れない。スクエアのラケット速度が高かった実験がある一方、最大努力の上級者では両構えのラケットヘッド速度が同程度だった。構えを速度の保証書にせず、自分が比べている課題と対象を確かめる必要がある。研究対象の技能もそろえずに、速さの値だけをつなげない。[4][10]
「膝を大きく使い、お腹を固めれば安全になる」という足し算にも注意したい。クローズドの膝の実験では、動きを増やしても減らしても速度が落ちた。また、横移動を伴う守備的なオープンでは膝と股関節の負荷が増えている。大きく動くこと、強く力むこと、負担が小さいことは、それぞれ確かめる問いである。[1][2][11]
今日からできること
- 練習の比較欄を、前へ入るニュートラル、前へ入るオープン、横へ追うオープンの3条件に分ける。足の並びと移動方向を一緒に記録し、違う条件の球を混ぜて構えの優劣を決めない。[1][2]
- コーチに見せる動画では、足が止まった場面だけでなく球へ入るところも残す。13人の上級者の実験で速度が同程度でも加速の分担は異なったため、打球結果と身体の動きを分けて相談する。[10]
- 足を開いた球にだけ、腹筋への力みを追加することを目標にしない。大学選手14人の筋電図の結果を踏まえ、気になる局面が振り始めか振り抜きかを先に言葉にする。[14]
- 横向きの構えでは、球の高さと膝の最初の位置を対応させて振り返る。女性16人の分析を、全員に同じ深さを指定する根拠にせず、動きを変えた時のラケットや胴体も確認する。[11]
- 球速を変えて比べる時は、その条件も記録する。女性15人の実験で左右の足の力の変化が構えによって違ったため、速度の違う打球を「同じフォームの比較」として扱わない。[7]

オンザショア立川店で、コート以外の運動時間を組み立てる
テニスの練習と別の運動を予定に置くなら、場所と時間から考える方法がある。オンザショア立川店の営業時間は8:00〜23:30で、全曜日同じ、年中無休である。JR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fにある。
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参考文献
[1] Influence of the forehand stance on knee biomechanics: Implications for potential injury risks in tennis players — Martin C, Sorel A, Touzard P, Bideau B, Gaborit R, DeGroot H, Kulpa R., 2021, Journal of sports sciences. DOI: 10.1080/02640414.2020.1853335
[2] Can the Open Stance Forehand Increase the Risk of Hip Injuries in Tennis Players? — Martin C, Sorel A, Touzard P, Bideau B, Gaborit R, DeGroot H, Kulpa R., 2020, Orthopaedic journal of sports medicine. DOI: 10.1177/2325967120966297
[4] Kinetics of the upper extremity in the open and square stance tennis forehand — Bahamonde RE, Knudson D., 2003, Journal of science and medicine in sport. DOI: 10.1016/s1440-2440(03)80012-9
[7] The role of increased post-impact ball speed on plantar pressure during open and square stance groundstrokes in female tennis players — Lambrich J, Muehlbauer T., 2024, BMC sports science, medicine & rehabilitation. DOI: 10.1186/s13102-024-00919-0
[10] Directionally compensated mechanical work provided by the shoulder leads to similar racket velocities during open and square stance forehand groundstrokes in tennis — Kawamoto Y, Iino Y, Yoshioka S, Fukashiro S., 2019, European journal of sport science. DOI: 10.1080/17461391.2018.1552720
[11] The Role of Knee Positioning and Range-of-Motion on the Closed-Stance Forehand Tennis Swing — Nesbit SM, Serrano M, Elzinga M., 2008, Journal of sports science & medicine. DOI: なし
[14] Trunk muscle activation in open stance and square stance tennis forehands — Knudson D, Blackwell J., 2000, International journal of sports medicine. DOI: 10.1055/s-2000-3776
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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