
推進力の研究では、両側呼吸が常勝とは限らない
動きの見た目から少し離れ、水に加える力を測った研究もある。2015年の実験では、片側呼吸を行う高い競技レベルの男性18人が、体を係留した状態で30秒間の最大努力クロールを行い、左右の腕の力を比較した。別に最大努力の50m自由泳も測り、成績との関係を調べている。男性の競技選手による最大努力の結果を、18〜39歳の一般女性の普段の泳ぎへそのまま当てはめることはできない。[4]
力発揮の非対称性は66.7%に認められ、呼吸側は力の非対称性を示す側と反対だった。また、非対称性は最大努力の最初の周期で目立った。ここでも、呼吸側の腕が必ず強い、あるいは弱いという単純な説明にはならない。論文は、一定程度の非対称性が短距離の泳成績にとって必ずしも決定的ではないと示している。[4]
対照的な結果もある。2013年の18人の実験は、係留した状態で2分間の最大努力クロールを行い、力の最大値、平均値、力を加えた時間を含む量などを調べた。試験中に推進力は低下したが、非対称性は変化せず、呼吸の好みも非対称性に影響しなかった。成績のよい群では左右差が小さかった。最大努力で泳いだ集団の比較であり、18〜39歳の一般女性が無理なく泳ぐ場面でも同じ関係があるかは別に確かめる必要がある。[7]
片側呼吸と腰の回転の関係が認められた研究と、呼吸の好みが推進力の左右差に影響しなかった研究は、互いを打ち消すものではない。測っているのが角度なのか力なのか、同じ人の条件を変えた比較なのか、呼吸の異なる人を比べたのかが違う。問いをそろえずに「研究の答えが逆だ」と読む必要はない。[6][7]
陸上のスイムベンチを使った2002年の研究では、競技泳者10人の腕ごとの出力を疲労困憊まで測った。片側呼吸群と両側呼吸群は各5人で、左腕と右腕の出力割合は片側群が57.1%と42.9%、両側群が51.0%と49.0%だった。両側群のほうが出力は均衡していた。競技泳者の陸上での測定なので、18〜39歳の一般女性の水中動作へこの割合をそのまま当てはめることはできない。[10]
しかし、これは水中で同じ人の呼吸方法を変更し、改善を確かめた試験ではない。少人数の群の違いを示す結果であり、両側呼吸への変更による改善幅として使うことはできない。陸上の模擬運動と水中の推進力も区別したい。数字がきれいに半分へ近づくと安心するが、その数字がどこで測られたかまで見る必要がある。[7][10]
健康づくりの泳ぎにとって、この比較から得られるのは、左右差を消すことだけを目標にしないという視点である。腰の回転、腕のタイミング、力のどれを確認しているのかを決めれば、両側呼吸という方法が自分の課題に合うかを相談しやすい。方法の名前だけで合否を付けるより、観察対象を絞るほうが研究に沿っている。[4][5][6][7]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
体の条件が違えば、左右差の意味も変わる
左右差を考える際には、体の条件も外せない。2024年の研究では、片側の身体障害または視覚障害があり、片側呼吸を好むエリートのパラ泳者15人が参加した。呼吸条件と泳ぐ速さを変え、腕の協調と脚のキック頻度の対称性を測った。障害のあるエリート選手を対象とするため、18〜39歳の障害のない一般女性へ左右差の程度をそのまま当てはめることはできない。[1]
呼吸は、3かきごと、好みの側へ2かきごと、好みではない側へ2かきごと、息を止める条件の比較である。どの呼吸条件や速度でも運動協調の非対称性が認められた。身体障害と呼吸側が同じ側にある場合だけでなく、異なる側にある場合にも、腕と脚で違う側や程度の非対称性が生じていた。[1]
この結果は、呼吸する側を変えることだけで左右差の全体を説明できない例である。体の条件に対して泳ぎを成立させる調整があり、腕と脚も同じ振る舞いをするとは限らない。一般の泳者にこの結果の程度を当てはめるのではなく、対称性を評価する際に個人の条件を見る必要性を示すものとして受け取りたい。[1]
障害のある選手の泳ぎを、左右がそろっていないという理由だけで未完成と見るのも適切ではない。この研究が扱うのは、障害、呼吸の好み、協調の関係である。左右を同じにするという外見上の目標より、各自の条件でどんな動きが生じているかを理解することが先になる。[1]
同様に、日常の泳者を競技選手の平均像へ押し込める必要もない。研究には、競技レベル、最大努力かどうか、係留か自由泳かといった違いがある。自分の泳ぎを相談するときも、いつもの速さでの問題なのか、速く泳ぐときだけなのかを添えると、比べたい場面をはっきりさせられる。[3][4][6][7]

よくある誤解
「片側呼吸だと必ず悪い泳ぎになる」は言い過ぎである。上級者にも非対称な腕の協調はあったが、息継ぎによってその協調が乱されるとは限らなかった。非対称性の存在と、呼吸動作で動きが乱れることは別である。左右差を見つけただけで、今の泳ぎを全面的に否定する必要はない。[5]
「両側呼吸なら左右差が消える」も支持されない。腰の研究では両側呼吸でも左右の角速度に差があり、推進力の研究では呼吸の好みが非対称性に影響しない結果もあった。両側で吸えることは呼吸方法の選択肢だが、全身の対称性を証明する印ではない。[6][7]
「左右がそろえば、必ず速くなる」という読み方にも距離がある。力の左右差が小さい群の成績がよい研究はあるものの、それは左右差を減らした結果として成績が向上したことを示す試験ではない。別の研究では一定程度の非対称性が短距離成績に決定的ではないとされた。関連と改善の因果は分けておく。[4][7]
息継ぎへの助言を受けたら、何を良くする提案なのかを確かめたい。腰の回転の差を見ているのか、腕を押し終えるタイミングを見ているのか。どちらも「バランス」という言葉で語られやすいが、研究では異なる測定項目である。説明を具体化できれば、次に同じ場面を見てもらうときの確認点も定まる。[5][6]
今日からできること
- 呼吸についてのメモと動きのメモを分ける。「右で吸う」と「右へ腰が大きく回る」を同じ意味で書かず、観察した対象を明記する。腰の角度と速度は異なる指標である。[6]
- 指導者に見てもらうなら、普段の息継ぎの瞬間に腕のタイミングが変わるかを相談する。28人の比較では、非熟練者で呼吸動作が非対称な協調を増幅していた。[5]
- 左右差を比べる場面の速さをそろえる。18人の腰の研究は一定の最大下速度、力の研究は最大努力という条件であり、別の速さでの印象をそのまま比べない。[4][6]
- 呼吸方法を変える相談では、指導者と観察点を決める。研究で比較された「3かきごとの両側呼吸」を話題にする際も、左右へ顔を向けられたかと、腰の角度や回転速度がどう変わったかを分けて確認する。[6]
- 泳いだ後に「指導者に見てもらった動き」「そのときの呼吸側」「次に同じ条件で確かめる点」を短くメモする。腕の位置と時間を分けて測った研究にならい、「バランスが違った」より具体的な言葉を残す。[3][5]

オンザショア立川店で、水中とは別の運動時間を持つ
水中の息継ぎはプールで指導者に相談し、陸上で続ける運動は通う目的と時間から選びたい。オンザショア立川店は営業時間8:00〜23:30、年中無休である。JR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fにある。仕事や移動の予定と照らし合わせ、継続する場所を選ぶための条件になる。
溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガのほか、常温のヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニングなどがあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンがある。水泳の左右差を直す効果として結び付けるのではなく、取り組む運動と通う予定を考える際の選択肢として案内する。プールへ行く日とスタジオへ通う日を予定表に置き、日常に組み込める時間を考えたい。
妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。店舗トップで内容を確認し、料金や体験の予約から通い方を検討できる。ヨガの体験レッスンは税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。
参考文献
[1] Effect of breathing conditions on relationships between impairment, breathing laterality and coordination symmetry in elite para swimmers — Seifert L, Létocart A, Guignard B, Regaieg MA., 2024, Scientific reports. DOI: 10.1038/s41598-024-56872-y
[3] Symmetry in the front crawl stroke of different skill level of able-bodied and disabled swimmers — Santos KB, Bento PCB, Payton C, Rodacki ALF., 2020, PloS one. DOI: 10.1371/journal.pone.0229918
[4] Quantification of upper limb kinetic asymmetries in front crawl swimming — Morouço PG, Marinho DA, Fernandes RJ, Marques MC., 2015, Human movement science. DOI: 10.1016/j.humov.2014.12.012
[5] Arm coordination symmetry and breathing effect in front crawl — Seifert L, Chollet D, Allard P., 2005, Human movement science. DOI: 10.1016/j.humov.2005.05.003
[6] The Effect of Breathing Laterality on Hip Roll Kinematics in Submaximal Front Crawl Swimming — Barden JM, Barber MV., 2022, Sensors (Basel, Switzerland). DOI: 10.3390/s22062324
[7] Propulsive force asymmetry during tethered-swimming — dos Santos KB, Pereira G, Papoti M, Bento PC, Rodacki A., 2013, International journal of sports medicine. DOI: 10.1055/s-0032-1327575
[10] Bilateral arm power imbalance in swim bench exercise to exhaustion — Potts AD, Charlton JE, Smith HM., 2002, Journal of sports sciences. DOI: 10.1080/026404102321011733
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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