
外ももとのバランスを、順番の答えにしない
「反対側も同じだけ鍛えないとバランスが悪い」という説明を聞くことがある。筋力の関係を調べる研究はあるが、そこから運動の並び方や同じ反復回数が導くことはできない。測定された筋力の比と、練習メニューでの時間配分を同じ数字として扱わないようにしたい。
15〜40歳の女性120人を調べた比較研究では、膝蓋大腿部痛がある群と、痛みがない群の股関節筋力を測定した。膝蓋大腿部痛とは、膝のお皿の周囲に関わる痛みである。内転筋力を外転筋力で割った比は、痛みがある群で平均23%高かった。患者を含む比較なので、18〜39歳の健康な女性の目標値にそのまま当てはめることはできない。[7]
この結果は、「内ももの運動をすると膝が痛くなる」という意味ではない。痛みがある人とない人の測定値を比べた研究であり、どちらの運動を先に行ったかによる変化を調べたものではない。[7] 交互の順番で比が整い、痛みまで防げると説明するのも、研究が答えた範囲を越える。
将来の痛みを追う研究を集めると、別の見え方になる。健康な競技者を追跡した13の前向きコホート研究を統合した系統的レビュー・メタ分析では、後に鼠径部痛が生じた選手と、生じなかった選手の筋力を比較している。鼠径部とは脚の付け根のあたりを指す。競技者の追跡結果を、18〜39歳の一般女性の痛みの予測へそのまま当てはめることはできない。[18]
痛みが生じなかった選手の方が内転筋力は強く、標準化平均差は−0.50、95%信頼区間は−0.92〜−0.09であった。標準化平均差は異なる測定尺度をそろえて群の違いを表す値であり、この解析での符号は比較の向きによる。一方、内転と外転の筋力比の差は−0.02、95%信頼区間は−0.55〜0.51と、平均の差はごく小さい一方、信頼区間は差のない値をまたいで広がっている。[18]
女性の膝の痛みに関する比較で比に違いがあったことと、競技者の将来の脚の付け根の痛みでは比との関連が認められなかったことは、分けて読む必要がある。[7][18] 痛みの部位、対象、調べた時点が違うからだ。「バランス」という言葉だけで結び付けると、違う問いの結果が混ざってしまう。
したがって、外転を挟む理由を「けがを防ぐ比率に戻すため」と断定するのは避けたい。将来の痛みとの関連を調べた研究も、交互の運動による予防効果を試したものではない。[18] 種目の順番は、筋力比の数字から自動的に決まるものではないのである。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
記録するときは、切り替え前後の条件を残す
交互にする方法を取り入れたら、「今日は楽だった」だけでなく、何をどう行ったかを残すと振り返りやすい。内転筋力の測定を扱うレビューは、ウォームアップ、体の姿勢、測定器の位置、力を出す際の言葉、測定時点などの統一を重視している。条件のばらつきが、評価の信頼性を損なうためである。競技者の評価を扱うレビューなので、18〜39歳の一般女性の家庭での運動記録へ、その検査手順をそのまま当てはめることはできない。[20]
家庭の運動記録は検査室の測定とは異なる。それでも、この考え方は比較する項目を整理する参考になる。[20] 内転の後に外転を行ったか、何を使ったか、どの姿勢だったかを書き添える。「内ももを行った」という記録だけより、次回の自分が状況を思い出しやすい。
特に区別したいのは、外転をしていた時間と、何も行わずに休んでいた時間だ。内転から次の内転までの間隔が同じでも、その間の内容が違えば、同じ練習を再現したことにはならない。交互にする方法を試すなら、外転を休憩と呼んで消してしまわず、行った種目として記す方が比較は明確になる。
たとえば、予定表には「内転のあと外転」とだけあり、実際には外転の姿勢を整えるために何度もやり直していたとする。別の日は慣れた動作ですぐに切り替えた。見た目のメニューは同じでも、その間に起きたことは違う。順番だけを見て、前回より回復しなかったと決めるのは早い。
筋力の数字を見る場合には、練習の直後なのか、別の日に測ったのかも残したい。測定時点や条件をそろえる重要性はレビューでも指摘されている。[20] 今日は強く挟めなかったという記録を、長期的な筋力低下とすぐに結び付けないための工夫でもある。
記録は自分に採点を付けるためだけのものではない。指導者に「外転に替えた後からやりにくかった」と伝える際にも、種目と順番が分かれば相談が具体的になる。疲れたという言葉を、その日の流れに置き直す作業である。
測定のレビューは、無効な試行をどう判断するかという基準も重視している。[20] たとえば家庭で記録する場合も、予定した動作を途中で変えた日を、いつもと全く同じ条件の記録として扱わないという整理ができる。中断や変更の理由は、成績を悪く見せる余計な情報ではない。数字が違ったときに、比較できる範囲を考えるための情報になる。
なお、女性選手の反復量を比較した試験では、力の測定に、脚を長いてこの形にしたスクイーズテストが用いられた。[16] スクイーズとは挟む動作である。同じ内転筋の運動でも、椅子で物を挟む感覚や、脚を動かした回数が、その測定値は別の評価である。「前より強く感じる」と「決めた姿勢で測った力が増えた」は、報告する内容として分けておきたい。
記録用のノートでは、実施内容の欄と感想の欄を隣に置く形でもよい。内容には種目の並びや途中の変更、感想には切り替えやすさを書く。次に運動するときは、前回の感想だけを再現しようとせず、内容の欄から予定を確かめる。交互にする方法が自分の暮らしで扱いやすいかを考える際にも、こうした記録は会話の材料になる。

よくある誤解
「内ももと外ももは反対側だから、交互なら疲れは残らない」。手の疲労に伴う感覚信号が、同じ腕の別の筋肉の力の発揮にも影響した実験は、この説明を単純には受け入れられないことを示している。[2] ただし、それは股関節での交互運動の優劣を直接決める結果ではない。別の筋肉への切り替えを、回復した証明にしないことが要点だ。
「両方を鍛えてよかった試験があるなら、交互が最善だ」。足首の不安定さがある人の試験で良好だったのは、足首の訓練に股関節の訓練を追加する方法である。[19] 種目を追加する効果と、順番を入れ替える効果を混ぜない。研究を読むときには、何が同じで、何が変わった比較なのかを先に見ると整理しやすい。
「短い休憩で回数を増やせたなら、筋力もより伸びる」。女性サッカー選手の試験では、反復量が多い群の方が筋力を大きく伸ばすという群間差は認められなかった。[16] 運動中に多くこなせたことはその日の記録になるが、将来の伸びまで約束する数字ではない。回数の達成感と、筋力の評価は別の欄に置ける。
今日からできること
- 交互にする目的を言葉にする。6週間の股関節訓練追加の試験が示すのは、対象者への追加効果である。自分が変えたいのは種目の内容か順番かを分けて相談する。[19]
- 内転、外転、休憩をそれぞれ記録する。測定条件の統一を重視するレビューを参考に、姿勢や実施した時点も書き添える。[20]
- 回数を増やすことだけを目標にしない。女性選手52人の試験で低量と高量に群間差がなかった点を踏まえ、研究の反復量を自分向けの処方として写さない。[16]
- 外転を挟めたことだけで、疲れが消えたとは判断しない。別の筋肉の力も影響を受けた疲労実験と、自分の通常の運動の違いを意識する。[2]
- 筋力比から運動順を決めつけない。13研究を統合した解析でも比と将来の鼠径部痛との関連は認められず、比を整える説明と順番の効果は分けて考える。[18]
痛みがある場合は、記録の比較だけで原因を決めず医師に相談する。痛みがある人を対象とした訓練の結果は、自己判断で同じ方法を始めるための処方箋ではない。

オンザショアで、通う予定から運動を組み立てる
内ももと外ももをどう並べるかを考える前に、通える時間帯と選ぶ運動を予定に置く。オンザショア立川店は8:00〜23:30、全曜日同じ時間で営業し、年中無休である。朝の予定の前か、仕事を終えた後か。通う時間を決める際の条件として、営業時間を確認できる。
店舗はJR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fにある。溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガのほか、常温のヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニングなどがあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンを扱っている。継続する運動の場所を選ぶときには、通う経路と種目を合わせて考えられる。
妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。参加条件を確認したうえで、選ぶ種目と通う予定を考える。
ヨガの体験レッスンは税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。料金と体験の予約を確認し、予定に入れられる時間から継続の形を考えたい。
参考文献
[2] Fatigue-related firing of distal muscle nociceptors reduces voluntary activation of proximal muscles of the same limb — Kennedy DS, McNeil CJ, Gandevia SC, Taylor JL., 2014, Journal of applied physiology (Bethesda, Md. : 1985). DOI: 10.1152/japplphysiol.01166.2013
[3] Knee and hip agonist-antagonist relationship in male under-19 soccer players — Rosa F, Sarmento H, Duarte JP, Barrera J, Loureiro F, Vaz V, Saavedra N, Figueir, 2022, PloS one. DOI: 10.1371/journal.pone.0266881
[7] Isometric strength ratios of the hip musculature in females with patellofemoral pain: a comparison to pain-free controls — Magalhães E, Silva AP, Sacramento SN, Martin RL, Fukuda TY., 2013, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/jsc.0b013e318279793d
[16] The Effect of an 8-Week Low- or High-Volume Protocol of the Adductor Strengthening Programme on Hip Adduction Strength in Female Football Players-A Randomized Trial — Thorarinsdottir S, Isaksen Johansen S, Ruud Askim Elvestad T, Amundsen R, Bache-, 2025, Scandinavian journal of medicine & science in sports. DOI: 10.1111/sms.70039
[18] Is hip adductor or abductor strength in healthy athletes associated with future groin pain? A systematic review and meta-analysis — Quintana-Cepedal M, Vicente-Rodríguez G, Crespo I, Olmedillas H., 2025, British journal of sports medicine. DOI: 10.1136/bjsports-2024-108836
[19] Can isokinetic muscle strength training with hip abduction and adduction improve muscle strength, balance, and gait in patients with functional ankle instability? A randomized controlled trial — Wang B, Chu F, Zhang Q, Zhu F, Zhang M, Lei X, Lu L, Wan K, Zhang S, Fu P, Ma B,, 2025, BMC musculoskeletal disorders. DOI: 10.1186/s12891-025-09141-6
[20] Hip adductor strength tests used in the context of sports: practical considerations — Oliva-Lozano JM, Dominguez S, Paul D, Cost R, Gómez-Carmona C., 2025, International journal of sports medicine. DOI: 10.1055/a-2533-0846
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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