腹筋ローラーは斜めへ転がすと違う?脇腹の活動と衝撃の向きを分ける

腹筋ローラーを斜めや横へ向けると、脇腹が働くことや胴がねじれることまで同時に起きるのか。進行方向、胸の向き、筋肉の働きは別々に見たい。60度と90度の低速実験が測ったのはシートベルト内の胴の抜け方で、家の床の角度には写さない。家で真似る角度や回数は、ここでは置かない。

マットの角へローラーを向けると、胸も同じ方へ回すべきなのか。膝をつき、正面ではなく少し外へ出せ、と動画は言う。脇腹に効く、とも書いてある。部屋の床にマットを敷く前に、その「斜め」が手の進む先なのか、胸の向きなのか、胴のねじれなのかを分けておきたい。

斜めに進む軌道、胸が向く方角、胴がねじれること、脇腹の筋が働くことは、一つの効き目にまとめられない。60度と90度を比べた実験が測ったのは、シートベルトで拘束された人が低速のそりに乗ったときの、胴の抜け方である。[1] 床のローラーへ、その角度を写す理由はない。

上体をひねる腹筋での脇腹の筋活動と腰の負担は、既存記事「女性の腹筋トレーニングは上体をひねると違う?脇腹の筋活動と腰の負担を読む」に譲る。ローラーを出すときと戻すときの負担の違いは、既存記事「腹筋ローラーは戻る時も同じ負担?転がす方向と腹筋の働きを研究で読み解く」に譲る。ここでの問いは、進行方向を斜めにしただけで、ねじれや脇腹の活動まで決まったことになるのか、である。

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斜めに進むことと、胴をねじることは別の出来事である

ローラーが床の上で向かう先と、胸骨が向く先は、同じ矢印ではない。膝を正面に残したまま手だけを斜めへ出す人もいれば、体ごと横を向いてから真っ直ぐ出す人もいる。どちらも「斜めにやった」と言えてしまう。言えたあとで、何が変わったのかは分からなくなる。

分けたいのは三つである。一つ目は、車輪が床を進む方角。二つ目は、胸や骨盤が最初の向きから回ったかどうか。三つ目は、脇腹の筋がそのとき働いたか、働いたとして何と比べて多いか。三つ目を知りたいときに、一つ目の見た目だけを証拠にするのは早い。

動画は、手の軌道を見せるのは得意である。胸が正面の壁を向いたままか、骨盤が一緒に回ったかは、画面の端で切れやすい。夜に一時停止して見るなら、ローラーの先端が部屋のどの角へ向かうかと、自分の胸のロゴがどちらを向くかを、別の事実としてメモする方がよい。感覚の「効いた」は、その二つのどちらかが変わった日にも出てしまう。

既存の幅の話、つまり車輪の横幅や床の横揺れは、ここでは繰り返さない。知りたいのが進行方向なのか、上体の回旋なのかを先に言葉にすると、次に探す数字の種類が変わる。方向の話を、筋の活動の話として読んでしまうと、実験が測った場所まで入れ替わる。

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60度と90度は、床に引く線ではなく衝撃の向きである

斜めと真横を数字で分けた実験は、腹筋ローラーの床ではない。遠方からの側面衝突を模した低速のそり試験で、男性の志願者がシートベルトを着けて衝撃を受けた。[1] 対象も課題も異なるため、18〜39歳の女性の腹筋ローラーへそのまま当てはめることはできない。 斜めは60度、真横は90度。遊園地のバンパーカーの衝突から、安全側に収まる衝撃の波形を決めてある。家の床にテープを貼る角度ではない。

参加者は、9〜14歳の男性20人と、18〜30歳の男性10人である。[1] それぞれが60度か90度のどちらかに無作為に割り当てられた。一人が両方の角度を続けて行い、感じを比べた試験ではない。斜めと真横の差は、人を分けたうえで見ている。

各人はその角度のまま、四つの条件を経験した。腕を上げて手を膝に置くか、腕を下げて手を腰の低い位置に置くか。電動のシートベルト巻き取り装置を作動させるか、させないか。この掛け算である。[1] 頭部と、骨の目印の上の皮膚には、光を返す標点が付いた。

測ることにしたのは、胴の左右方向と前後方向の変位、互いに直交する三つの平面へ写した胴のロールアウト角、ベルトと胸骨の距離である。[1] ロールアウト角とは、肩ベルトから胴が抜けていく傾きを角度にしたもので、脇腹の筋電図ではない。腹筋ローラーで手が届いた距離とも違う。

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ベルトを先に張ると、胴の抜けはどれだけ減ったか

電動の巻き取りを作動させると、胴が肩ベルトの中に残る効果は、60度でも90度でも、見た指標の全体で強かった。[1] 作動により、胸骨の上端のくぼみ(胸骨上切痕)の左右変位は約100mm減り、p値は0.0001を下回った。冠状面、つまり体を正面から見た平面に写したロールアウト角は約15度減り、こちらもp値は0.0001未満である。

ベルトと胸骨の距離は、腕を下げた条件に限って、約50mm短くなった。p値は0.05未満である。[1] この約50mmは、腕を下げた条件に対応する。腕の位置は、飾りではなく条件である。ローラーを持つ腕は前に伸びる。膝に手を置く条件とも、腰に手を置く条件とも違う。

この減少は、肩ベルトが胴に早く当たることで得られていた。[1] ここでの「早く当たる」は、ベルトと胴の接触の話である。お腹に先に力を入れる、という練習の合図へ読み替えると、装置が別のものに変わる。事前に張ったベルトは、体格の違う人の胴の動きを、年齢の群の中でも群のあいだでも近づけた、とも報告されている。[1]

試験の出発点には、子どもの脊柱のしなやかさゆえ、事前に張る効果は年齢で変わりうる、という問題意識がある。[1] しかし付いた数字は、年齢ごとの効果の差ではない。報告された追加の益は、動きを年齢のあいだで似せることの方である。20代だから約15度が自分のねじれの上限になる、という読み方は、この結果の形と合わない。

約15度は、ベルトを先に張ったときに減った冠状面のロールアウト角である。[1] 家で胴を15度以上ひねるな、という上限ではないし、15度ひねると脇腹に効く、という推奨でもない。減ったのは、衝撃を受けた胴がベルトから外へ出る角度の、正面から見た成分である。

数字で読む斜めの衝撃と胴の抜け

20人と10人。9〜14歳の男性20人、18〜30歳の男性10人が、低速のそり試験に参加した。腹筋ローラーの実施人数ではない。[1]

60度か90度。斜めと真横の衝撃の向きで、一人が両方を行う比較ではなく、どちらかへ割り当てられた。[1]

約100mm。巻き取りを作動させたときの、胸骨上切痕の左右変位の減少。p値は0.0001未満。[1]

約15度。同じ作動で減った、冠状面に写した胴のロールアウト角。ひねりの目標値ではない。[1]

153.3mmと193.6mm。斜め60度の試験で、3歳児用の人形と子どもの胴の左右変位。子ども側には±25.6mmの幅が付く。[2]

68mmと133mm。同じ斜めの試験での、頭部の前後方向の移動。人形が68mm、子どもが133±20mm。[2]

年齢が近くても、課題はローラーではない

18〜30歳という幅だけを見ると、大学のあとや仕事帰りの自分と近く感じる。近く感じるのは年齢の欄である。試験が載せたのは、膝の上か腰のあたりに手を置き、肩ベルトと腰ベルトで拘束され、低速の衝撃を受ける男性である。[1] 女性がマットの上で柄を押す課題へ、人数を移し替えると比較の相手が消える。

腕の位置は、見た目の細部ではない。ベルトと胸骨の距離の約50mmは、腕を下げた条件での数字である。[1] 腕を前へ伸ばしてローラーを押す姿勢は、この「腕を下げた」に入らない。入らない姿勢の距離を、自分の胸と床のすき間の目標にするのは、条件の取り違えである。

衝撃の強さも、トレーニングの負荷としては設計されていない。波形はバンパーカーの衝突を包む安全側の範囲で、志願者が受けられる低速として組んである。[1] きつく感じるまでローラーを伸ばす、という家の基準とは、強さの決め方が違う。低速だから家でも同じ角度でよい、という逆の読み方もできない。低速なのは、人を乗せる試験としての上限の話である。

標点は、頭部の装具か、骨の目印の上の皮膚に付いた。[1] 測っているのは、外から見た骨格の動きである。脇腹の皮膚の下の筋が、正面のときより何割多く働いたか、という記録ではない。鏡で胴が回って見えたことと、筋の活動が増えたことは、この標点からは結び付かない。

年齢の群をまたいで動きを似せた、という結果も、トレーニングの完成形ではない。[1] 似たのは、ベルトで拘束された胴の動きである。似たから、斜めのローラーも年齢を問わず同じ回数がよい、とは続いていない。衝突時の胴の動きと、運動の反復回数は別の指標である。

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宮川涼 Founder

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