
記録がそろった人だけなら、結果が変わった試験
平均年齢69.5歳の慢性閉塞性肺疾患の成人146人を対象にした無作為化比較試験では、身体活動に重点を置くウェブでの自己管理支援が検討された。無作為化比較試験とは、介入を受ける群などへ無作為に割り付け、結果を比較する研究である。評価したのは、加速度計で測った日々の歩数の3か月後の変化だった。高齢の患者を対象としたため、18〜39歳の女性が同じ支援を受けた際の効果へ直接当てはめることはできない。[2]
割り付けられた参加者を解析対象とする方法では、欠けたデータを多重代入で補った。多重代入は、欠けた値について複数の候補を統計的に扱う方法である。この解析での歩数の群間差は1295歩、95%信頼区間は−365〜2955歩だった。信頼区間が差のない値をまたぎ、統計的に有意な差とはならなかった。[2][5]
ところが、歩数のデータがそろった98人に絞ると、群間差は1492歩、95%信頼区間は374〜2609歩となり、支援群に有利な有意差が出た。研究は、データがそろった参加者では脱落した参加者より開始時の身体活動が高かったことが、この結果を部分的に説明するとしている。残った人は、元の参加者全体と同じではなかったのだ。[2]
だから「ウェブ支援は確実に歩数を増やした」と断定するのは早い。試験全体では、通常のケアと比べた短期の身体活動の増加には十分でなかったと結論されている。同時に、データのそろった人での結果も存在する。良かった数字だけを消す必要も、良かった数字だけで全体を語る必要もない。[2]
この試験の参加者は呼吸器の病気を持つ高齢の成人であり、お腹痩せを目的にアプリを使う若い成人と同じ集団ではない。歩数の差をそのまま自分の期待値にしてはいけない。ここから借りられるのは、記録が残った人や日だけの成績を見るときに、何が比較から外れたかを問う姿勢である。[2]
欠測を補う方法のレビューは、多重代入を、加速度計の研究の妥当性と解釈を改善する方法として勧めている。ただし、これは家庭で忘れた日の運動量を都合よく埋める勧めではない。統計的な推定と、本人が思い出して記入した事実は区別したい。推定で埋めた数字を、実際に測った数字へ変身させないことが肝心だ。[5]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
連続入力の成績と、運動を続けた成績を分ける
記録が途切れること自体も、研究で起きている。過体重の成人128人をアプリ、ウェブ、紙の日誌に割り付けた6か月の予備的試験では、食事の記録日数はアプリ群で平均92日、ウェブ群で35日、紙の日誌群で29日だった。アプリ群の記録継続は比較群より良かったが、自己記録はすべての群で時間とともに減少した。過体重の成人を対象とした結果であり、18〜39歳の女性全般に同じ記録日数を見込むことはできない。[15]
この日数は食事を記録した日数であり、腹筋運動の日数でも、運動しなかった日数でもない。食事と活動の自己記録、目標設定、定期的なメッセージによるフィードバックを含む介入全体の試験である。「入力欄が埋まったから、その分だけ運動した」と読み替えないことが必要だ。[15]
同試験ではアプリ群の体重変化は平均−4.6kg、95%信頼区間は−6.2〜−3.0kgだったが、これは過体重の参加者を対象にした予備的な比較の結果である。欠測には開始時の値を用いる解析が行われた。これをお腹の局所的な変化や、読者が達成すべき数値へ置き換えることはできない。入力日数と体の変化は、別の項目として読むべきである。[15]
活動量計を着けることにも、指標ごとの差がある。平均年齢19歳以下を対象とする21研究、3676人のメタ分析では、歩数は対照群より増加した。標準化平均差は0.37、95%信頼区間は0.09〜0.65である。標準化平均差は異なる研究の効果を共通の尺度で比べる指標で、歩数そのものの単位ではない。子どもと青年の結果であり、18〜39歳の女性の歩数にも同じ効果があるかは、この比較からは判断できない。[1]
一方、中高強度の身体活動の標準化平均差は−0.08、95%信頼区間は−0.18〜0.02で、有意な増加は認められなかった。機器が役立つ可能性と、どの指標でも改善するという主張には距離がある。子どもと青年の結果なので成人への一般化にも注意が要るが、歩数が増えたことを別の運動指標の改善と同一視しない教訓になる。[1]
個人の振り返りでも、画面の連続記録は「入力の連続」、予定した運動の実施は「行動の記録」として分けて眺めたい。入力忘れは記録の問題であり、運動を追加して帳尻を合わせる必要はない。記録の抜けを減らす工夫と、運動計画を調整する工夫を別々に考えるほうが、研究で使われる指標の区別に沿っている。[7][15]

よくある誤解
「空欄は全部ゼロにすれば公平になる」という考えは、情報のない時間を活動のなかった時間と扱う点で問題がある。加速度計の方法研究は、装着時間がそろわないと、よく用いられる日々の活動推定が低く偏りうると示した。ゼロは便利な埋め草ではなく、意味のある数値なのだ。[14]
「空欄を除けば、本当の平均が出る」とも限らない。無作為に欠けた場合と、活動の低い条件で欠けやすい場合では、残った情報だけを使う推定の偏りが違った。自分の記録でも、抜けた理由が分からないなら、「記録がある範囲の平均」として読む余地を残したい。[14]
「入力が続かなかったのだから、アプリは失敗だった」という結論も急ぎすぎる。成人の予備的試験ではアプリ群の記録日数が比較群より多い一方、すべての群で自己記録は減っていた。研究の成績でさえ、継続しやすさと記録の減少が同時に存在している。連続印だけに成否を背負わせない読み方ができる。[15]
忘れた日の扱いを決める際には、きれいなグラフを作ることと、後で自分が理解できる記録を作ることを区別したい。思い出せない箇所を残すのは、事実に近付くための選択である。欠測を扱う研究が教えるのは、穴がある情報をどう解釈するかという慎重さであり、穴そのものを見えなくする技ではない。[5][14]
今日からできること
- 記録欄の意味を確かめる。完了操作、歩数、運動時間を混ぜず、まず何の記録が欠けたかを書く。歩数と中高強度活動を別に評価した21研究のメタ分析のように、見たい指標を分ける。[1]
- 外していた時間は、分かる範囲で言葉を添える。機器の記録へ架空の歩数を足すより、装着の状況と活動のメモを分けて残す。睡眠・活動日誌の役割を整理したレビューを参考にできる。[7]
- 平均を見るときは、空欄を含むか、記録日だけかを確認する。146人の試験で98人だけの解析と結果が違ったように、集計対象の違いにも目を向ける。[2]
- 過去の空欄を埋める作業と、今後の入力を続ける工夫を分ける。6か月の試験でも自己記録は減っていた。覚えている事実は追記し、不明なものは不明として残す運用を考えたい。[5][15]
振り返る場面では、数字の下に短い文章を置いてみる。「歩いたことは覚えているが計測はない」「予定した運動は休んだが通勤は通常どおり」といった具合だ。これらは効果が実証された定型文ではなく、何を知っていて何を知らないかを分けるための例である。記録を見る翌日の自分に向けた、測定条件の引き継ぎと考えるとよい。[7][14]

オンザショア立川店で、画面の外にも予定を置く
アプリの入力とは別に、体を動かす場所と時間を予定へ置く選択肢がある。オンザショア立川店は8:00〜23:30、年中無休で営業する溶岩ホットヨガスタジオである。JR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fにある。通う時間帯を考えるときには、営業時間と場所を予定表の情報として使える。
溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガのほか、常温のヨガ、ピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングがあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンがある。続ける仕組みを考える際の、場所と種目の選択肢である。
予定を立てる前に、参加条件も確認したい。妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。ヨガの体験レッスンは税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。店舗案内と料金で利用を検討し、体験予約を予定に組み込むこともできる。
参考文献
[1] Effect of wearable activity trackers on physical activity in children and adolescents: a systematic review and meta-analysis — Au WW, Recchia F, Fong DY, Wong SHS, Chan DKC, Capio CM, Yu CCW, Wong SWS, Sit C, 2024, The Lancet. Digital health. DOI: 10.1016/s2589-7500(24)00139-0
[2] Short-term effects on physical activity level with web-based self-management support in people with COPD: a randomised controlled trial — Stenlund T, Karlsson Å, Liv P, Nyberg A, Wadell K., 2024, NPJ primary care respiratory medicine. DOI: 10.1038/s41533-024-00394-7
[5] Strategies for Dealing with Missing Accelerometer Data — Stephens S, Beyene J, Tremblay MS, Faulkner G, Pullnayegum E, Feldman BM., 2018, Rheumatic diseases clinics of North America. DOI: 10.1016/j.rdc.2018.01.012
[7] Practical considerations in using accelerometers to assess physical activity, sedentary behavior, and sleep — Quante M, Kaplan ER, Rueschman M, Cailler M, Buxton OM, Redline S., 2015, Sleep health. DOI: 10.1016/j.sleh.2015.09.002
[14] Imputation of missing data when measuring physical activity by accelerometry — Catellier DJ, Hannan PJ, Murray DM, Addy CL, Conway TL, Yang S, Rice JC., 2005, Medicine and science in sports and exercise. DOI: 10.1249/01.mss.0000185651.59486.4e
[15] Adherence to a smartphone application for weight loss compared to website and paper diary: pilot randomized controlled trial — Carter MC, Burley VJ, Nykjaer C, Cade JE., 2013, Journal of medical Internet research. DOI: 10.2196/jmir.2283
[20] Considerations in Processing Accelerometry Data to Explore Physical Activity and Sedentary Time in Older Adults — Cleland CL, Ferguson S, McCrorie P, Schipperijn J, Ellis G, Hunter RF., 2020, Journal of aging and physical activity. DOI: 10.1123/japa.2019-0244
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
ヨガとからだの小さな疑問のほかの記事
- ヨガ初心者のアプリは振動で学べる?音声との違いと合図なしの定着を読む
- ピラティス初心者の動画は動きに見出しを付ける?区間の名前と覚え方を研究で読む
- 骨盤の歪み測定アプリは広角でも同じ?レンズの補正と姿勢の角度を読み分ける
- 骨盤の歪みチェックは揺れの一瞬で決める?繰り返す動きと傾きの読み分け方
- 巻き肩の壁チェックは踵をどこに置く?足の位置と肩の隙間を分けて読み解く
- ストレートネックのチェックはどこを見る?視線の目標と頭の角度を分けて読む
- O脚セルフチェック、膝の完全伸展は必要か?曲がりと回旋が重なる脚の画像測定
- 顔のむくみチェックは笑顔で比べてよい?頬と口元が動く写真の読み分け方
- 足のむくみの足上げは座り時間でも違う?始める前の脚の状態を研究で読む
- お風呂上がりのストレッチは立って始める?温まった体の血圧と姿勢を研究で読む
- 夜のストレッチは朝型の人にも向く?夜型との違いから自分の時間を選ぶ
- 股関節を柔らかくする記録は何と比べる?対照群から考える判定の落とし穴
- 股関節を柔らかくする練習は角度を表示する?数字と手応えを比べる画面の使い方
- 股関節の柔らかさは測る人が替わっても同じ?ヨガの記録を引き継ぐ前の確認
- お腹痩せの寝ながら運動は床の硬さで違う?腰の支えと腹筋の働きを読み解く
- お腹痩せの腹筋運動は閉眼で深く効く?姿勢の感じ方と筋肉の反応を分ける読み方
- ヒップアップ動画は疲れた見本でも学べる?動きの乱れと観察後の練習を読み解く
- 女性の筋トレアプリは浅い動きも数える?自動計測の回数と動作の中身を読む
- リバウンドで同じ体重に戻るとお腹も同じ?腹囲と脂肪の戻る場所を読み解く
- リバウンド対策の相談はいつまで続ける?支援を減らす前に確かめたい期間の意味
- 停滞期の食事はたんぱく質を足す?同じ熱量で置き換える研究との違いを読む
- 停滞期の水分は体重計だけで分かる?電気と同位体希釈で測る量の違いを読む
- 糖質制限は食物繊維も減らすことになる?比較する食事の中身で変わる答えを読む
- 糖質制限の体重減少は筋肉も減った印?水分を含む除脂肪量と筋組織を読み分ける
- ダイエットの夜食は柔らかい物がよい?食感と遅い時刻の空腹を分けて読む
- 糖質制限の効果は割り付けで比べる?守れた人だけの数字と無作為化を読む
- むくみ解消のレモン飲料は濃いほどよい?薄め方と酸味・唾液の違いを読む
- リバウンドでメンタルが辛いとき、体型への一言で運動は続く?気持ちと行動を読む
- 運動習慣の都道府県ランキングは何人で比べる?調査全体の人数と地域の推計を読む
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
2






