
水分と皮脂と酸性度には別々の時計がある
顔の研究では、洗浄から20分後、皮膚の水分、皮脂、経皮水分蒸散量が、洗浄前と比べて有意に低下していた。経皮水分蒸散量とは、皮膚を通って外へ逃げる水分を測る指標である。その後、水分は40分、皮脂と経皮水分蒸散量は120分で戻った。しかし酸性度については、そもそも有意な変化を認めなかった。[2]
ここで注意したいのは、「回復」という言葉の行き先である。水分が戻った、皮脂が戻った、酸性度が戻った、の目的語は交換できない。洗ったあとの感触が落ち着いた時間を、すべての生理機能がそろって回復した時刻として扱わないほうがよい。[2]
また、この顔の研究で低下した経皮水分蒸散量を見て、洗えば洗うほどバリアがよくなると解釈するのも不適切だ。研究が示したのは、決められた洗浄条件のあとに測定値が変化し、特定の時点で戻るという経過である。著者らは、皮膚の状態を機器で評価するときの待機時間を考える手掛かりとして、この結果を位置付けている。[2]
生活に引き寄せるなら、朝の洗顔前の肌と、レッスン後に洗ったばかりの肌を比べて、運動の効果だけを判定しないことだ。洗浄自体が比較条件に入っている。汗の量が同じでも、測るまでの経過が異なれば、水分や皮脂の比較は同じ条件ではなくなる。[2]
たとえば自分用の記録を残すなら、「レッスン後」だけでなく「洗う前」「洗ったあと」も区別する。記録の目的は、肌を毎回採点することではない。何を変えた日に何が気になったのかを、あとから混同しないためである。測定研究で時刻が重要なのと同様、日常の観察にも比較の前提が要る。[2]
回復まで数時間かかる場合があるというレビューの説明と、顔の水分が40分で戻ったという結果は、対象にしている指標が異なる。前者を読んで洗顔後は必ず数時間何もできないと決める必要も、後者を読んで40分たてば全部元通りと決める必要もない。研究の時間は、その条件で観察された時間である。[1][2]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
酸性度の研究を、自分の洗顔へどこまで使えるか
洗浄料の数字は参考になるが、それだけで選択が完結するわけではない。洗浄を扱うレビューでは、酸性度4.0〜5.0の洗浄・スキンケア製品が役立つ可能性を挙げる一方、適切な洗浄成分との組み合わせや、刺激を抑える配合も課題としている。容器に書かれた数字だけを取り出すと、この後半が抜け落ちる。[1]
酸性度をそろえた研究の意味を考えるうえでは、高齢者の皮膚を扱ったランダム化比較試験が参考になる。同じ基本処方で酸性度4と5.8の乳剤を比べ、アセトンでバリアを損なったあとの回復と、継続使用後の状態を調べた試験である。酸性度4の乳剤を使った部位では、処置後3時間と6時間で、対照部位より水分蒸散の回復が有意に進んだ。高齢者を対象にした試験なので、18〜39歳の女性の通常の洗顔後にも同じ効果が得られるかは別に検証する必要がある。[8]
さらに4週間の使用で、酸性度4の乳剤には皮膚表面の値の低下、バリアのまとまりの改善、粗さや鱗屑の減少がみられた。一方、酸性度5.8の乳剤の影響は小さかった。同じ基本処方で比べたことは、酸性度という条件を検討するうえで意味がある。この継続使用の結果も高齢者の皮膚でのもので、18〜39歳の女性へ直接広げることはできない。[8]
ただし、これは高齢者の皮膚であり、バリアを人為的に損なった条件も含む。若い成人が運動後に普通に洗顔する場面と、そのまま重ねることはできない。試験で使った乳剤の結果を、同じ数字の付いたすべての製品や、手作りの酸性液へ移し替えるべきではない。[8]
汗と回復をつなぐ研究としては、健康な20〜49歳の41人を対象にしたサウナの探索的比較研究もある。普段からサウナに入る群では、習慣のない対照群に比べ、サウナ後に上昇した水分蒸散量や酸性度の回復が速く、角層の水分保持に関する違いもみられた。対象は健康な20〜49歳の協力者であり、18〜39歳の女性に絞っても同じ差があるかは、この集団全体の結果から判断できない。[5]
この研究で用いた条件は80℃のサウナを15分ずつ繰り返すものであり、日常的な運動やホットヨガと同一ではない。習慣のある人とない人の比較でもあるため、差のすべてを発汗そのものの効果と決めることもできない。汗をたくさんかけば回復能力が増す、という運動の処方にはしない。[5]
酸性化に関するレビューは、湿疹性の疾患や加齢した皮膚にも議論を広げている。そこでは皮膚の状態に応じた仕組みが扱われる。乾燥や炎症のある人が、健康な人の洗浄試験の数字を使って自己判断するより、続く赤みやかゆみについては医師に相談するほうがよい。数値の知識は診断の代わりではない。[7]
回復の速さを知りたいときには、観察した時間の長さも確認したい。顔を180分追った研究の価値は、洗い終えた瞬間だけでは拾えない経過を見たことにある。一方で、その180分を全員共通の必要時間として予定表に貼るのは用途が違う。研究者が測るために設定した時間と、生活者が待つべき時間は、自動的には一致しない。[2]
洗顔の回数を決める問いは、既存記事「汗をかく日の洗顔は何度も繰り返す?洗う回数と皮膚のバリア機能を読み解く」に譲る。こちらで持ち帰りたいのは、回数を増減する結論よりも、洗浄後のどの指標のどの時点を見ているか、という問いである。回復をひとまとめにしないだけで、製品の説明や体験談から受け取る意味も整理しやすくなる。[1][2]

よくある誤解
「水だけなら、酸性度は変わらない」という思い込みがある。洗浄のレビューでは、水だけですすぐ場合にも表面の値が上がり得るとされる。一方、顔の試験では有意差がなかった。水か洗浄料かという名前だけで、誰の肌にも同じ変化が出ると決められない。変化する可能性と、個別条件で観察された結果を両方持っておきたい。[1][2]
「酸性の洗浄料なら洗う前の値を保てる」という理解も正確ではない。健康な人の手では、酸性の洗浄料を使っても、洗浄から5分後の値が平均0.8上がっていた。ただしアルカリ性石けんより上昇幅が小さく、後者では回復が遅かった。この比較が示すのは、製品によって経過が違うことである。[4]
「汗で表面が潤ったなら、洗ったあとの回復も速いはず」という推測にも飛躍がある。サウナ習慣の比較では回復の違いが観察されたが、その結果を特定のレッスン後の顔へ適用することはできない。また、顔の洗浄研究では、水分と皮脂と酸性度は同じ動きをしなかった。汗の見た目から回復の時刻表は作れない。[2][5]
洗った直後のさっぱり感が好きでも、それを否定する話ではない。ただ、その感覚に「酸性度も正常に戻った」「毛穴まできれいになった」という測定していない意味を足さないことである。気持ちのよさはそのまま受け取り、研究の数字には測った対象の名前を付けておく。[2][4]
今日からできること
- 肌の変化をメモするなら、運動と洗顔の前後を分ける。顔の研究で水分は40分、皮脂は120分と異なる経過だったため、「直後」の記録をほかの時間の記録と同列にしない。[2]
- 洗浄料を検討するときは酸性度だけで結論を出さず、使ったときの刺激や合わなさも考える。レビューが挙げる酸性度4.0〜5.0は、洗浄成分との組み合わせを含む議論である。[1]
- 研究の回復時間を、洗い直しの合図にしない。手の比較ではアルカリ性石けんによる反復洗浄で上昇が大きくなっており、「まだ戻っていないからもう一度洗う」という発想は結果に沿わない。[4]
- 汗の量を増やして肌を整えようとしない。サウナ研究の41人にみられた群間差を、自分への発汗量や頻度の目標へ置き換えない。[5]
- 赤みやかゆみが続く場合は、酸性度を自分で調整しようとせず医師に相談する。高齢者の4週間の乳剤試験は、自宅で酸を混ぜる方法の根拠にはならない。[8]

オンザショアで、帰りの予定まで含めた習慣を
洗顔後の回復時間を運動の時間割にするより、着替えや帰宅後の洗顔まで無理なく収まる予定を考えたい。オンザショア立川店の営業時間は全曜日8:00〜23:30、年中無休だ。店舗情報で通える時間を確認することから、継続の条件を具体的にできる。
溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガに加え、常温のヨガやピラティスもある。妊娠中は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。ヨガは25種類以上で、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングも扱う。
場所はJR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F。ヨガの体験は税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。料金と持ち物を含む条件を確かめ、生活の予定に合う枠を体験予約で選ぶ。肌の測定値を成果にせず、自分が続けられる運動の場として考えたい。
参考文献
[1] The Relation of pH and Skin Cleansing — Blaak J, Staib P. / 年: 2018 / 誌名: Current problems in dermatology. DOI: 10.1159/000489527
[2] Facial skin physiology recovery kinetics during 180 min post-washing with a cleanser — Eo J, Seo YK, Baek JH, Choi AR, Shin MK, Koh JS. / 年: 2016 / 誌名: Skin research and technology : official journal of International Society for Bioengineering and the Skin (ISBS) [and] International Society for Digital Imaging of Skin (ISDIS) [and] International Society for Skin Imaging (ISSI). DOI: 10.1111/srt.12241
[3] Effect of ethnicity, gender and age on the amount and composition of residual skin surface components derived from sebum, sweat and epidermal lipids — Shetage SS, Traynor MJ, Brown MB, Raji M, Graham-Kalio D, Chilcott RP. / 年: 2014 / 誌名: Skin research and technology : official journal of International Society for Bioengineering and the Skin (ISBS) [and] International Society for Digital Imaging of Skin (ISDIS) [and] International Society for Skin Imaging (ISSI). DOI: 10.1111/srt.12091
[4] The pH of commercially available rinse-off products in Sri Lanka and their effect on skin pH — Gunathilake HM, Sirimanna GM, Schürer NY. / 年: 2007 / 誌名: The Ceylon medical journal. DOI: 10.4038/cmj.v52i4.913
[5] Effect of regular sauna on epidermal barrier function and stratum corneum water-holding capacity in vivo in humans: a controlled study — Kowatzki D, Macholdt C, Krull K, Schmidt D, Deufel T, Elsner P, Fluhr JW. / 年: 2008 / 誌名: Dermatology (Basel, Switzerland). DOI: 10.1159/000137283
[7] Importance of Stratum Corneum Acidification to Restore Skin Barrier Function in Eczematous Diseases — Choi EH, Kang H. / 年: 2024 / 誌名: Annals of dermatology. DOI: 10.5021/ad.23.078
[8] Accelerated barrier recovery and enhancement of the barrier integrity and properties by topical application of a pH 4 vs. a pH 5·8 water-in-oil emulsion in aged skin — Angelova-Fischer I, Fischer TW, Abels C, Zillikens D. / 年: 2018 / 誌名: The British journal of dermatology. DOI: 10.1111/bjd.16591
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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