マシンピラティスのスプリングは軽いほど楽?動く台と筋肉の安定を読み分ける

マシンピラティスのスプリングを軽くすれば楽になるのか。動く台での骨盤の安定、指導の言葉による筋活動の変化、マットとの比較を研究から読む。ばねの強さだけで難しさを決めず、種目や体の位置、練習の目的を指導者と確かめるための見方を、初心者にも具体的に整理する。

隣の人よりスプリングが少ない。今日は軽めの日なのか、と動き始めたら、気になるのは脚の重さより台の落ち着かなさだった。そんな場面で知りたいのは、ばねの数から自分の実力を採点する方法ではなく、いま何を練習しているのかということだ。

「軽い設定なら、どの動きも楽」とは決められない。ただし、その逆の「軽いほど必ず体幹に効く」も答えにはならない。リフォーマーという動く台を備えた器具では、同じ種目でも体幹周辺の筋肉を意識して使うよう指示するかどうかで、筋活動と骨盤の安定性が変わった実験がある。難しさを見るには、設定に加えて動き方と指導の内容を見る必要がある。[9]

ここでは、ばねの強弱の順位表を作るのではなく、台を動かせたこと、骨盤を安定させたこと、筋肉が働いたことを読み分ける。マットと器具の比較でも、腹部の筋肉すべてが同じ反応を示したのではなく、筋肉ごとに違いがあった。マシンという名前だけで、体の中の仕事までは決まらないのである。[3]

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ばねの設定を難易度の点数にしない

既存の「【連載】ピラティスの6原則を科学で検証する 第9回|マシンは原則をどう実装するか——ばね負荷の力学」では器具とばね負荷の関係を扱っている。ここで焦点を当てるのは、設定を変えたときに読者が何を観察し、どんな言葉で指導者に相談すればよいかである。

ばねが軽いか重いかという質問には、どの種目で、何を楽にしたいのかを添えたい。押す動作がつらいという相談と、動く途中で骨盤の向きが定まらないという相談は、困っている内容が異なる。研究でも、筋肉の活動と骨盤の角度の安定は別々に記録されている。本人の「きつい」という感想を捨てず、何がきつかったかまで言葉にする入り口になる。[9]

たとえば、動作の途中で姿勢を修正する合図が何度も必要だったなら、その事実を伝える。「軽くしてほしい」だけより、「台は動かせるが、骨盤の位置が分からなくなる」と言うほうが、練習したい課題を共有しやすい。これは設定変更の処方ではない。後で紹介する実験が、単に運動を終えたかどうかではなく、骨盤の角度の変動を評価したことを、レッスン中の質問へ置き換えたものだ。[9]

また、隣の人と同じ設定にすることを目標にしなくてよい。研究の比較条件として意味を持つのは、対象者や種目、指示などが整理された状況である。隣の台をちらりと見ても、それらの条件まではそろわない。スプリングは成績表ではない。選んだ設定の理由を指導者と共有するところから始めたい。実験の結果を日常へ持ち帰るなら、他人の設定より、自分が受けた指示と実際の動きの組み合わせを見るのが筋道である。[3][9]

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動く台での安定は、指示の言葉でも変わった

身体活動をしているボランティア12人を対象とした実験では、リフォーマーでロングストレッチという種目を行わせた。体幹周辺の筋群を意識的に使うよう指示した条件と、その指示がない条件を比較し、筋電図と骨盤の角度を記録した研究である。筋電図は、筋肉が活動するときの電気的な信号を見る測定だ。身体活動をしている人の結果なので、18〜39歳の女性初心者にも同じ変化が起きるかは別に確かめる必要がある。[9]

測ったのは外腹斜筋、多裂筋、大殿筋、長内転筋である。それぞれ腹部、背骨の周辺、お尻、内ももに関わる筋肉だ。指示がある条件では、外腹斜筋を除く測定筋の活動が高まり、骨盤の角度の変動係数で評価した腰と骨盤の安定性も高かった。変動係数という指標を使い、動作中の角度のばらつきから安定を評価した点が、この研究の読みどころになる。[9]

つまり、安定させる課題は器具の設定だけでは完結しない。同じ名前の動作でも、筋群の使い方を意識するよう伝えることが、その場の体の反応に関係した。ただし、筋肉ごとの反応には違いがあり、外腹斜筋は活動増加の例外だった。「体幹を使えば全部の筋肉が強く働く」という単純な説明には収まらない。[9]

この結果は、指示の意味が分からないまま回数だけ進めるより、何を意識する課題なのか確認する理由になる。たとえば「骨盤の向きを保つというのは、この動きで合っているか」と尋ねる。研究で有利だったのは指示を伴う条件だが、そこから誰にでも同じ合言葉が通じるとは決めない。読者が持ち帰りたいのは、分からない指示を聞き直す余地である。[9]

一方、この実験はその場の動作を比較したものだ。長く練習した後の転倒や日常動作の変化とは、評価している時間の幅が違う。その場で角度の変動が小さくなったことを、将来のあらゆる動作が安定する保証へ飛躍させず、まずは練習中の変化として受け止めたい。[9]

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マットより器具なら、お腹全体が強く働くのか

腹部の働きをもう少し細かく見た研究もある。ピラティス経験が6か月を超え、腰痛など腹筋の活動に影響する状態のない26人が対象だった。女性18人、男性8人で、平均年齢は43歳である。同じ参加者が複数の条件で動き、超音波画像で腹横筋と内腹斜筋の厚さを比較した。男女を含む平均43歳の経験者の結果であり、18〜39歳の女性、特に初心者にそのまま当てはめるには対象と経験の違いがある。[3]

腹横筋と内腹斜筋は、腹部の筋肉の名前である。ここで測った厚さの変化は、運動中の活動を見るための指標だった。マット上で行った複数の種目では、両方の筋肉の厚さが安静時より増えた。器具がないと腹部が働かないという見方は、この比較とは合わない。[3]

さらにハンドレッドという種目の条件の一つでは、リフォーマー上の腹横筋の厚さが、マット上より大きかった。一方、内腹斜筋の厚さには同じ比較で差がなかった。器具を使った条件で違いが出た筋肉と、違いが出なかった筋肉がある。マシンのほうがお腹の筋肉を一律に強く使う、という結論にはできない。[3]

指導された方法との関係も興味深い。腹部を引き込む方法を伴わないインプリントでは、測定した筋肉の厚さは安静時と違わなかった。同じ種目名でも、実施の仕方を区別する必要があるという結果だ。見本の輪郭に加えて、腹部をどう使うよう指導されたかも確認したい。[3]

ここで気をつけたいのは、運動中の厚さと、練習を続けた後の筋肉の成長を混同しないことである。この研究は条件を変えたときの測定であり、長期間の体型の変化を比較したものではない。「いま働いた」という説明と「将来この部分が変わる」という約束の間には、別の検証が必要になる。[3]

超音波で見る腹部の厚さと、筋電図で見る電気的な活動は、測り方も比較の単位も異なる。前者で腹横筋に差があったことと、後者で多裂筋などの活動が高まったことを足して、「体幹全体がどれだけ強くなったか」という数字にすることはできない。それぞれの研究が見た部位と条件を保ったまま、動き方を考える材料にするのがよい。[3][9]

また、腹部の研究では、腹横筋と内腹斜筋の厚さの変化に中程度の関連があり、両筋が連動して働くことが示されている。特定の筋肉の名前を教わると、そこだけを切り離して働かせなければ失敗なのかと感じるかもしれない。しかし、筋肉の名前を知ることと、単独の筋肉だけを動かすことを課題にするのは同じではない。この点も、指示を聞くときに余計な採点を増やさないための手がかりになる。[3]

肩の角度が変われば、比べる条件も変わる

スプリング以外の条件が筋活動に関係する例として、腕の位置を変えた研究がある。健康な成人男性26人が、リフォーマーのアームワークを肩の外転角度0度、90度、135度、160度で行い、表面筋電図で肩甲骨周辺の筋活動を測定した。外転とは、腕を体の横へ開く方向の動きである。健康な男性の結果なので、18〜39歳の女性にも同じ筋活動の変化が生じるかは、この比較だけでは判断できない。[5]

この実験では、肩の外転角度が増すにつれて、僧帽筋上部、僧帽筋下部、前鋸筋の活動が高まった。腕の位置が異なれば、同じアームワークという名前でも体への要求は同じではない。ばねの設定を見ながら難しさを話すときも、腕をどこへ動かしたかを抜きにしないほうがよい。[5]

ただし、活動の大きかった角度を、読者全員への推奨角度に置き換えることはできない。対象は健康な男性であり、測ったのは運動中の肩周辺の活動だ。肩に痛みがある人への治療法や、初めて器具に乗る女性にとっての最適な腕の高さを決める研究として読むものではない。[5]

レッスンで設定が同じなのに今日は違うと感じたら、腕の高さや種目の違いも会話の材料になる。どこかの筋肉の活動が大きいことを、そのまま良い動作と採点しない。研究の測定結果は、何を変えると何が変わったかを示すもので、がんばりの順位をつける札ではないのである。[5]

数字で読むリフォーマーと安定

12人:ロングストレッチで指示の有無による筋活動と骨盤の安定を比較した実験の対象者数だ。[9]

26人:超音波で腹部の筋肉の厚さを測った研究の参加者数で、ピラティス経験者が対象だった。[3]

4条件:アームワークの研究では、肩の外転角度を変えて筋活動を比較した。[5]

女性18人・男性8人:腹部を超音波で調べた研究の内訳で、平均年齢は43歳だった。[3]

5回:ロングストレッチの実験で、指示あり・なしの各条件で行った反復回数だ。[9]

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