
泳法を替えるだけで柔らかさは変わるのか
クロールより背泳ぎのほうが肩を柔らかくするのか。そんな選び方をする前に、泳法別の比較を見たい。若い競泳選手32人、女子14人と男子18人を主な泳法で分けた横断比較研究では、自由形、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライの間で、肩の屈曲、伸展、外転、内旋、外旋に有意な差はなかった。腕を前へ上げる、後ろへ引く、横へ上げる方向まで、広く測っている。若い男女の競技者の比較であり、18〜39歳の一般女性が泳法を選ぶ際の効果予測には直接使えない。[7]
違いが出たのは、腕を体へ近づける内転の範囲だった。自由形の選手では小さく、バタフライや背泳ぎの選手では大きかった。また筋肉の機械的な性質も調べられたが、筋の硬さなど多くの指標には泳法による差がなかった。差が出た項目と出なかった項目を分けると、泳法の違いが肩全体の柔らかさの順位を作るわけではないと分かる。[7]
この研究は、同じ人に泳法を替えてもらい、その後を追った試験ではない。したがって、背泳ぎへ替えれば内転の角度が増える、自由形をやめれば肩が柔らかくなる、という処方には変換できない。ある泳法を主にする選手に特徴があったことと、その泳法が特徴を作ったことは、分けて考える必要がある。[7]
競技名の印象だけでも決められない。水泳と投球を繰り返す水球選手14人を、症状のない比較対象14人と比べた研究では、投げる側の肩と比較対象の利き肩の間に、肩甲骨の動き、内外旋の範囲、肩後方の関節包の硬さで有意な差がなかった。水中で腕を使う競技なら必ず同じ特徴が出る、という単純な図式にはならなかった。対象は投球も行う水球選手なので、18〜39歳の一般女性の水泳とは肩の使い方が異なり、そのままの適用は避けたい。[19]
有意差がなかったことは、どんな人でも全く同じだという意味ではない。ここで言えるのは、この規模、この対象、この測定では、比較した項目に明確な群の差が出なかったということだ。泳法の名前だけで柔軟性への効果を保証するより、本人がどの動作に困り、何を変えたいのかを先に置くほうが、研究の結果に沿っている。[7][19]
泳ぎの見た目が大きいと、柔軟性への刺激も大きいように感じやすい。しかし、肩を大きく使うように見えることと、陸上の検査で特定の方向が広くなることは、確かめる項目が違う。泳法選びの話と肩の検査の話を分けておけば、好きな泳ぎを選ぶ理由に、証明されていない効果まで背負わせずに済む。[7]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
よくある誤解
「内旋が小さければ、その肩は悪い」という見方は慎重に扱いたい。無症状の選手にも内旋不足の分類があり、シーズン中に内旋が減りながら機能上の支障が減った集団もあった。だからといって、小さい角度を放置してよいという話でもない。角度だけでは状態を決められず、痛みや機能、ほかの方向の範囲も含めた評価が要るという読み方だ。[10][12]
「左右差をなくせば、泳ぐ肩として完成する」という目標も、研究から一律には導けない。競泳選手には方向によって異なる左右差が観察され、若い無症状の選手では、内旋不足の有無について呼吸側や練習年数などによる有意な差はなかった。左右差を見つけたら、いつも息をする側のせいだと決める前に、動作と測定条件を確認する余地がある。[10][18]
「数度広がったから、練習の効果が出た」と即断するのも難しい。12〜24歳の競泳選手17人を対象とした測定の信頼性研究では、同じ検査者の測定は良好から優秀な再現性を示したが、測定誤差と区別するための最小検出可能変化は検査によって5〜12度だった。わずかな差をそのまま身体の変化と受け取る前に、検査の揺れを考える必要がある。18〜39歳の一般女性にも同じ誤差幅が当てはまると決めず、対象と検査条件に結びついた値として扱う。[15]
これは、家庭で測った角度に同じ基準を使ってよいという意味ではない。研究は競泳選手に、決まった検査を行った結果である。とくに内旋は、検査者間で肩甲骨を手で固定する方法がそろわないことの影響を受けた。スマホの写真を撮る向きや腕の位置が毎回違えば、研究の検査以上に条件をそろえられているとはいえない。[15]
鏡の前で昨日より手が遠くへ届いたら、うれしく感じてよい。ただ、その写真だけで肩関節が変わったと確定しなくてもよい。肩甲骨を含めた動きと肩関節だけの動きが区別されるように、見える到達点と検査上の角度は別の情報である。記録の用途を決めれば、毎回の写真が合否判定になるのを避けられる。[15][18]
さらに、「泳げる人の肩を見れば、全身の柔軟性も分かる」とは考えない。ここで比較されてきたのは、肩の回転や腕を動かす範囲である。肩の方向別の差から、前屈で床に届くか、足首がどこまで動くかの答えまで作ることはできない。肩のデータは肩の問いへ戻す。それが、体が硬いという広い悩みを扱うときの基本になる。[7][18]

今日からできること
- 確かめたい動きを「腕を上げる」「肩を内へ回す」「外へ回す」に分け、どこで窮屈かを言葉にする。競泳選手144人の研究でも、回転方向によって左右差の現れ方が違った。肩全体に硬いという判定を出す前の整理である。[18]
- 泳ぐ前の記録と、強い練習の直後の記録を混ぜない。男子10人の研究では、直後に外旋の範囲と筋力が低下した。比較するなら、まず測る時点をそろえるという使い方をしたい。[14]
- 左右を記録しても、差を無理に消すことを目標にしない。無症状の選手752人を調べた研究のように、内旋不足にも分類がある。痛みや泳ぎにくさがある場合は、角度を押し広げる前に医師に相談する。[10]
- 小さな数値の増減を毎回の合否にしない。17人の測定研究では、検査の種類によって5〜12度が最小検出可能変化だった。測り方をそろえ、自分の動作の記録と専門的な検査を区別する。[15]
- 泳法を替える理由を、柔らかくなるという期待だけに置かない。32人の泳法別比較では、多くの肩の可動域に差がなかった。自分が変えたい動作を伝え、泳ぎ方や陸上での運動を相談する材料として使う。[7]
これらは選手の検査法を、そのまま自宅で再現するための手順ではない。選手の数字を目にしたとき、比較の条件を整理するための行動である。日常の水泳を評価する際にも、今日は腕が動かしやすいという感想と、同じ条件で測った角度、泳ぐときに困ることを分けておくと、相談時に伝える内容が具体的になる。[12][15]
たとえば練習記録には、「水中では楽だったが、着替えで手を回すと窮屈だった」と場面を書く。その表現なら、全身が硬くなったという大きな結論を急がずに済む。内旋、外旋、機能上の支障が同じ方向へ変わらなかったシーズン研究を踏まえれば、違う感覚を無理にひとつの点数へ集約する必要はない。[12]
水泳が好きなら、柔らかさの証明を得るためだけに泳がなくてもよい。肩をどこまで動かせるかという問いと、泳ぎを楽しめるかという問いを分けて持っておく。競泳選手の研究を日常へ持ち帰るなら、最大角度の競争より、何をどう比べたのかをまねるほうが実用的だ。方向と時点をそろえるだけでも、体が硬いという言葉の中身を絞れる。[14][15][18]
オンザショア立川店で、泳ぐ日とは別に肩の動きを確かめる
泳ぐときと着替えるときで肩の動かしやすさが違うなら、陸上でどの動きが窮屈かを言葉にしておきたい。肩や肩甲骨まわりの動きについて相談しながら、泳ぐ日とは別に体を動かす予定を作る。その選択肢として、オンザショア立川店には常温のヨガやピラティス、パーソナルトレーニングがある。研究で測った競泳選手の角度をレッスンの到達目標にせず、自分が困る動作を伝えるところから考えたい。
溶岩プレートを敷いたホットヨガスタジオで、ヨガだけで25種類以上のレッスンを用意している。妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。
所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F、JR立川駅北口から徒歩1分。営業時間は8:00〜23:30、年中無休で、泳ぐ予定と通う時間を照らし合わせられる。店の案内と料金で条件を確認できる。ヨガの体験は税込1,980円で、60分のレッスン、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタル込み。体験の予約から日程を選べる。

参考文献
[7] A comparison of the mechanical properties of the deltoid and trapezius muscles and shoulder range of motion in competitive young swimmers across different swimming strokes — Ertürk Ç, Çimen K, Mutuş R, Demirci S, Açar G, Kalpak E, Tangil KB., 2026, BMC sports science, medicine & rehabilitation. DOI: 10.1186/s13102-026-01946-9
[10] Glenohumeral Internal Rotation Deficit in Young Asymptomatic Elite Swimmers — Preziosi Standoli J, Candela V, Bonifazi M, Gumina S., 2024, Journal of athletic training. DOI: 10.4085/1062-6050-0263.23
[12] Changes in clinical measures and tissue adaptations in collegiate swimmers across a competitive season — Tate A, Sarver J, DiPaola L, Yim J, Paul R, Thomas SJ., 2020, Journal of shoulder and elbow surgery. DOI: 10.1016/j.jse.2020.03.028
[14] The Effects Of Differing Density Of Swim-Training Sessions On Shoulder Range Of Motion and Isometric Force Production In National and University Level Swimmers — Yoma M, Herrington L, Mackenzie T., 2023, International journal of sports physical therapy. DOI: 10.26603/001c.72717
[15] The reliability of shoulder range of motion measures in competitive swimmers — Walker H, Pizzari T, Wajswelner H, Blanch P, Schwab L, Bennell K, Gabbe B., 2016, Physical therapy in sport : official journal of the Association of Chartered Physiotherapists in Sports Medicine. DOI: 10.1016/j.ptsp.2016.03.002
[18] Glenohumeral joint rotation range of motion in competitive swimmers — Riemann BL, Witt J, Davies GJ., 2011, Journal of sports sciences. DOI: 10.1080/02640414.2011.587441
[19] Shoulder kinematics and mobility adaptations in water-polo players — Turgut E, Yildiz TI, Demirci S, Eraslan L, Ulusoy B, Tok D, Harput G, Kara D, Du, 2018, The Journal of sports medicine and physical fitness. DOI: 10.23736/s0022-4707.17.07674-5
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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