
遺伝子の組み合わせで伸びる人を当てられるか
HERITAGE研究では、DNAの配列の小さな違いである一塩基多型を広く調べ、訓練後の変化と関連する候補を探した。解析で選ばれた21個の組み合わせは、最大酸素摂取量の訓練反応の分散の49%を説明した。[4] 分散とは、対象集団の値の散らばりを表す。個人の予言が半分当たるという意味ではない。
この解析で「好ましい」と数えられた遺伝子の型が少ない群では、最大酸素摂取量の増加は平均221 ml/min、多い群では平均604 ml/minだった。[4] 関連を示す差はある。だが、少ない群の平均増加もゼロではない。伸び方の違いを見つけた結果を、「この型なら運動しても変わらない」と読むのは筋が違う。
加えて、これは同じ研究内で選ばれた組み合わせによる説明である。別の集団でも同じように予測できるかが、次の問題となる。論文では一部の関連が別の対象で再現された一方、大規模な追試の必要性も述べられた。[4] 発見した集団にうまく当てはまることと、初めて測る人に使えることは同じではない。
2017年のレビューは、訓練への反応に小さな効果の遺伝子が複数関わる可能性を示しつつ、厳密な再現確認を待つ段階と整理している。[1] 遺伝子名の発見から予測道具の完成までは、別の集団での検証が必要だ。
若い中国人女性762人を対象にした遺伝的関連の研究もある。持久走テストによる評価と関連する遺伝的な領域が見つかったが、ここで評価したのは心肺機能・持久力の水準である。[14] 女性の研究だからといって、訓練への伸びを予測する結果に置き換えることはできない。対象が近いかどうかと、問いが同じかどうかは、別々に確かめたい。
なお、同じ研究に登場する47%と49%も、同じ意味ではない。前者は増加量の遺伝率の推定、後者は選んだ遺伝的指標の組み合わせが解析対象で説明した分散である。[4] 数字が近くても、片方がもう片方をそのまま確認したとは読めない。何を推定した値かという説明を省くと、予測が完成したように聞こえてしまう。
運動の遺伝学のレビューでは、DNAの違いだけでなく、筋肉でどの遺伝子が働いているかという情報と組み合わせる研究も取り上げている。[1][11] 受け継いだ配列から体の反応へつながる過程を調べる試みだ。遺伝子の有無を調べれば体力がすべて分かる、という単純な構図よりも、研究が扱う仕組みは複雑なのである。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
最大まで頑張らない能力と、体重も分けて見る
心肺機能の遺伝を考える研究は、最大酸素摂取量だけではない。HERITAGEのデータを用いた研究では、心拍数150拍/分のときに出せる仕事量を、最大より軽い運動での作業能力の指標として扱った。20週間の持久力訓練に対する反応も調べている。[2] 対象はHERITAGE家族研究の参加者で、18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには別の検証が必要だ。この心拍数は研究の評価条件であり、日常の運動で目指す指示ではない。
この研究は、遺伝的な違いに加え、筋肉での遺伝子の働き方や、血液中のたんぱく質・代謝物を組み合わせて検討した。もともとの作業能力とその伸び方には異なる遺伝子や経路が関わるという結果であり、筋肉の形態や代謝、赤血球の酸素を運ぶ力が候補として挙がった。[2] 「心肺」という名前でも、心臓と肺だけを眺めて終わる話ではない。
だからといって、日常の散歩が楽になった感覚から、これらのどの経路が変わったかまで判断することはできない。ここから持ち帰りたいのは、測る対象の違いである。最大時の値を知りたいのか、最大より軽い運動での仕事量を知りたいのか。相談するときにも、欲しい答えを具体的にすると話が進めやすい。[1][2]
体重と心肺機能も、同じ変化として扱わないほうがよい。健康な参加者292人が9か月の生活習慣介入を受けた研究では、最大酸素摂取量の改善と体重減少には関連があった。この対象の結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめられるかは、別に確かめる必要がある。一方、FTOという遺伝子の型は、体力の改善が大きい対象における体重変化との関係に関わっていた。[19]
この研究は、運動による体力の変化と体重の変化が、異なる指標であることを考える手掛かりになる。[19] 体重計だけを見て「心肺機能も伸びていない」と判断するのは、測っていない成果に採点しているようなものだ。体重を減らすことを目標にしていない人なら、なおさら、その数字を体力の代理にする必要はない。

よくある誤解
「親が運動を苦手としていたら、自分も伸びない」。家族で似る反応は研究されているが、家族で共有する要因の関与と、個人の将来を断定することは違う。双子・家族研究のレビューが示すのは、遺伝を含む家族共通の要因が運動への反応に寄与しうるという結果だ。[7] 家族の話は、本人の前後の変化を測る代わりにはならない。
「同じメニューで友人より伸びなければ、努力が足りない」。標準化され、十分に監視された持久力訓練でも、心肺機能や代謝関連の反応には個人差が認められている。[6] 差があること自体を、本人の取り組みの甘さに直結させるのは適切ではない。一方で、違いを全部遺伝のせいにして、実際に行った内容を確認しないのも飛躍だ。
「反応が小さかったら、どの運動でも伸びない」。特定の運動条件で得られた変化量は、あらゆる運動の結果を決めるものではない。研究では、反応を調べる運動プログラムや、評価する特性を具体的に定めている。[4][6][11] ある期間の最大酸素摂取量の変化を、体のあらゆる適応の総評に広げないことだ。
「遺伝的な関連が見つかれば、最適な運動も分かる」。関連する遺伝子を探すことと、特定の人に合う運動処方を確立することには段階がある。遺伝情報だけで反応全体を説明できないことや、発見した関連の再現確認が必要なことを踏まえると、遺伝の結果だけで運動を選び切る読み方には慎重であるべきだ。[1][4]
今日からできること
- 記録の欄を「今の値」と「前からの変化」に分ける。20週間の訓練研究が扱ったのは前後の増加量であり、友人との現在の順位ではない。[4] 手元に開始前の記録がなければ、まず今を出発点として残す。
- 家族の体力の話を聞いたら、運動歴と現在の水準の話なのか、訓練後の伸びの話なのかを確かめる。双子・家族研究14件を扱ったレビューでも、運動介入への反応を区別して調べている。[7]
- 評価を受ける際は、最大酸素摂取量などの指標名と単位を記録する。8研究を統合した結果でも、絶対量と体重当たりでは遺伝率の推定値が異なった。[8] 違う数字同士を同じ欄で比較しないための工夫だ。
- 運動の成果を体重だけで判定しない。292人の生活習慣介入の研究でも、体力の改善と体重減少の関係には遺伝子の型による違いがあった。[19] 自分が知りたい変化を、指導者と先に共有しておく。
- 遺伝的な予測の説明を読むなら、発見した集団と別の集団で確認されたかを見る。21個の遺伝的指標を組み合わせた研究も、大規模な追試を求めている。[4] 強そうな見出しだけで、自分の上限を決めない。
運動の相談に持っていく記録は、他人に勝てた日を集めるためのものではない。何を行い、何を測って、どんな変化を知りたいのかを伝えるためのものだ。自分より速い友人がいることと、自分の前後を比べる材料があることを分けておけば、駅の階段が毎回の才能審査会になる必要もない。

オンザショア立川店で、通う時間を具体的にする
伸び方を考える前に、生活のどこへ運動の時間を置くかを決めておきたい。オンザショア立川店は8:00〜23:30の営業で、年中無休である。出勤前や帰宅途中など、自分が通う場面を営業時間に重ねて検討できる。所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F、JR立川駅北口から徒歩1分だ。
溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガに加え、常温のヨガ、ピラティス、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングがある。ヨガだけでも25種類以上のレッスンを用意している。通う時間と行う内容を、具体的な選択肢にできる場所である。
妊娠中は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。ヨガの体験レッスンは税込1,980円。60分のレッスンに、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。体験を考える際は、料金とともにレッスンの長さやレンタルに含まれる物も確かめておきたい。料金と体験予約で条件を確かめ、通う時間を予定表の中へ置くところから始めたい。
参考文献
[1] Genomic and transcriptomic predictors of response levels to endurance exercise training. — Sarzynski MA, Ghosh S, Bouchard C., 2017, The Journal of physiology. DOI: 10.1113/jp272559
[2] Omics-driven investigation of the biology underlying intrinsic submaximal working capacity and its trainability. — Hota M, Barber JL, Ruiz-Ramie JJ, Schwartz CS, Lam DTUH, Rao P, Mi MY, Katz DH, Robbins JM, Clish CB, Gerszten RE, Sarzynski MA, Ghosh S, Bouchard C., 2023, Physiological genomics. DOI: 10.1152/physiolgenomics.00163.2022
[4] Genomic predictors of the maximal O₂ uptake response to standardized exercise training programs. — Bouchard C, Sarzynski MA, Rice TK, Kraus WE, Church TS, Sung YJ, Rao DC, Rankinen T., 2011, Journal of applied physiology (Bethesda, Md. : 1985). DOI: 10.1152/japplphysiol.00973.2010
[6] The HERITAGE Family Study: A Review of the Effects of Exercise Training on Cardiometabolic Health, with Insights into Molecular Transducers. — Sarzynski MA, Rice TK, Després JP, Pérusse L, Tremblay A, Stanforth PR, Tchernof A, Barber JL, Falciani F, Clish C, Robbins JM, Ghosh S, Gerszten RE, Leon AS, Skinner JS, Rao DC, Bouchard C., 2022, Medicine and science in sports and exercise. DOI: 10.1249/mss.0000000000002859
[7] The Beneficial Effects of Physical Activity: Is It Down to Your Genes? A Systematic Review and Meta-Analysis of Twin and Family Studies. — Zadro JR, Shirley D, Andrade TB, Scurrah KJ, Bauman A, Ferreira PH., 2017, Sports medicine – open. DOI: 10.1186/s40798-016-0073-9
[8] Twin-sibling study and meta-analysis on the heritability of maximal oxygen consumption. — Schutte NM, Nederend I, Hudziak JJ, Bartels M, de Geus EJ., 2016, Physiological genomics. DOI: 10.1152/physiolgenomics.00117.2015
[11] Genomics and genetics in the biology of adaptation to exercise. — Bouchard C, Rankinen T, Timmons JA., 2011, Comprehensive physiology. DOI: 10.1002/cphy.c100059
[14] Four Loci Are Associated with Cardiorespiratory Fitness and Endurance Performance in Young Chinese Females. — Zhao Y, Huang G, Chen Z, Fan X, Huang T, Liu J, Zhang Q, Shen J, Li Z, Shi Y., 2020, Scientific reports. DOI: 10.1038/s41598-020-67045-y
[19] FTO Genotype Interacts with Improvement in Aerobic Fitness on Body Weight Loss During Lifestyle Intervention. — Sailer C, Schmid V, Fritsche L, Gerter T, Machicao F, Niess A, Häring HU, Stefan N, Fritsche A, Heni M., 2016, Obesity facts. DOI: 10.1159/000444145
[20] The influence of aerobic fitness on obesity and its parent-offspring correlations in a cross-sectional study among German families. — Foraita R, Brandes M, Günther F, Bammann K, Pigeot I, Ahrens W., 2015, BMC public health. DOI: 10.1186/s12889-015-2013-x
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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