間食は味の種類が多いと止まりにくい?満腹でも別の味に手が伸びる理由を読む

甘いお菓子のあとに、しょっぱいものならまだ食べられる。その背景にある感覚特異的満腹を、味の種類や調味料を変えた実験から読む。同じ間食を続けても食べる量が減らなかった試験も紹介し、味への飽きとお腹の満腹感、短期の摂取量と長期の体重を分けて、間食の並べ方を考える。

クッキーの皿を片づけたところで、塩味の袋が目に入る。甘いものはもう十分だったはずなのに、塩味の袋を開けると手が伸びる。お腹の空き具合は変わらないのに、食べたい味だけが交代する。食品の種類が増えると摂取量が増えうることは、人を対象にした実験で確かめられている。[1][3]

背景にあるのが「感覚特異的満腹」だ。食べた食品のおいしさの評価が、まだ食べていない食品よりも相対的に下がる現象を指す。同じ味には一区切りついても、違う味への魅力は残ることがある。[1][10]

ただし、味を減らせば必ず食べる量や体重が減る、という話ではない。同じ間食を数日続けて好みの評価が下がっても、摂取量には種類による効果が認められなかった試験がある。「間食をしないメリット」を考える前に、空腹、味への飽き、実際に食べた量を分けてみたい。[9]

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「もう十分」は食べ物ごとに違う

感覚特異的満腹の「特異的」は、その食べ物の感覚的な性質に対応する、という意味である。人の研究を整理したレビューでは、味だけでなく、香り、食感、見た目に対応した満腹が取り上げられている。したがって、甘いか塩辛いかだけが種類の違いではない。[10]

たとえば、同じ甘いお菓子でも、しっとりしたものと歯ごたえのあるものを別々に並べる場面を想像してほしい。これは日常への当てはめであり、その組み合わせの効果を測った結果ではない。研究上の着眼点は、食品名の数より、食べ手が受け取る感覚の違いにある。種類の効果は、提供する食品の感覚的な性質が異なるときに特に現れやすいと、食品の量・エネルギー密度・種類を扱ったレビューは整理している。[5]

ここで、おいしさの評価と、お腹が満ちた感覚を同じ目盛りにしないことが大切だ。感覚と食欲を扱ったレビューでは、おいしさが高いほど摂取量が増える結果が整理された一方、主観的な空腹感や満腹感の変化は研究間でそろっていなかった。おいしい食事のあとに、より満腹と答える場合も、その逆も、差がない場合もあった。[10]

「まだ食べたい」と「まだお腹が空いている」は、日常の会話ではまとめて扱われやすい。だが実験を読むときは、何を測ったかで意味が違う。味の評価が戻ったのか、食べた重さが増えたのか、食後の満腹感が変わったのか。この区別があると、別の味を欲しくなったことだけで自分の食べ方を失敗と判定せずに済む。

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調味料を足すだけでも食べる量は変わった

味の更新を具体的に示すのが、調味料の有無と出す順番を変えた臨床試験である。参加者21人は、フライドポテトを食べたあと、ブラウニーを自由に食べた。研究者は、調味料なし、初めから調味料あり、途中から順に調味料を追加する、という条件を比較した。[3]

調味料には、ポテト用のケチャップとマヨネーズ、ブラウニー用のバニラクリームとホイップクリームが使われた。平均摂取エネルギーは、調味料なしで1195 kcal、初めから添えた条件で1485 kcal、途中から追加した条件で1682 kcalだった。調味料のある両条件は、調味料なしより多かった。[3]

この値は、その実験でポテトとブラウニーを食べたときの値であり、ふだんの間食にそのまま足す数字ではない。また、調味料自体にもエネルギーがあるため、増えた分をすべて「味の変化だけのカロリー」と読むこともできない。研究の面白い点は、総量と併せて、おいしさの評価の動きを測ったところにある。[3]

途中で追加した条件では、食べ進めて下がったポテトの評価がケチャップの登場後に上がり、追加の摂取につながった。ブラウニーでも、バニラクリームの登場後に同様の変化があった。一方、マヨネーズとホイップクリームでは有意な効果が認められなかった。追加する調味料によって結果は異なった。[3]

机の上にあるのは同じお菓子でも、途中で別の味を添えれば、感覚としては新しい選択肢になりうる。この試験は、種類を増やす操作が別の料理を丸ごと出すことに限らないと教える。ただし確認されたのは短期の摂取であり、毎日の調味料を抜けば体重がどれだけ変わるかを示す試験ではない。[3]

この実験では、単に「何種類あったか」だけでなく、いつ別の味が登場したかにも注目したい。初めから調味料がある条件と、食べ進めてから追加する条件を分けることで、食事の途中に感覚の刺激を更新する場面を調べている。家庭でも、最初に選んだお菓子と、食べ終わりかけて持ち出す追加のお菓子を区別すると、研究の操作を具体的に思い浮かべやすい。[3]

この点は、家庭で研究を試すときにも関係する。ある日に違う味を並べても量が変わらなかったからといって、実験全体の結果を否定することにはならない。反対に、自分が多く食べた日があっても、その差のすべてを種類だけに帰すことはできない。食べたいものや用意する量まで一緒に変わった場面なら、なおさらだ。平均値は生活を点検する手がかりであり、個人の間食を採点する基準値として使うものではない。

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種類だけでなく、出す量も一緒に見る

お菓子の詰め合わせを見て「種類が多かったから」と考えても、同時に量が増えていれば両者を切り離しにくい。そこで参考になるのが、種類と提供量を別々に操作した、女性を対象とする無作為化クロスオーバー実験だ。同じ人が異なる条件を経験する設計で、同時に料理を出す実験には42人、順番に出す実験には49人が参加した。[6]

種類の少ない条件では、好きな同じ料理を複数の器で出した。種類の多い条件では、異なる主菜を出した。提供量も450 gと600 gに変えて比較した。同時提供の実験では、種類が多いと摂取量が平均15 g増え、提供量が大きいと平均57 g増えた。両者の交互作用は認められず、それぞれが摂取量を増やしていた。[6]

この結果で注目したいのは、器が並んでいること自体と、中身が異なることを分けた点である。同じ料理を分けて置く場合と、違う料理を並べる場合では条件が違う。家で考えるなら、小袋だから、器が小さいから、という情報だけでなく、その場にどれだけの量と違う味が用意されているかまで見る発想になる。

さらに、順番に提供した実験では、種類が多い食事で感覚特異的満腹が小さかった。料理が同時に並ぶ場合と、次々に登場する場合の両方で、種類と大きな提供量が組み合わさって摂取量を増やしたと研究者らは報告している。食べ放題のように最初から並ぶ場面だけが対象になる仕組みではない。[6]

ただし、これは昼食を使った実験である。数値を夕方のお菓子の増加量に置き換えることはできない。間食に応用するなら「種類を絞れば何 g減る」という計算より、「味と量を同時に増やしていないか」という確認の視点として使うほうが、研究の範囲に合っている。

別の食品と、別の場所は同じ刺激ではない

仕事の机からソファへ移ったら、また何か食べたくなる。こうした場面を思い浮かべると、場所の変化も味の変化と同じように働くと考えたくなる。しかし、128人を条件に分けた実験では、食品を変えることと、食べる環境を変えることの結果は一致しなかった。[11]

参加者は、最初の食品を満足するまで自由に食べ、そのあと同じ食品か別の食品を、同じ環境か異なる環境で食べた。別の食品を出すと、後半の摂取量は有意に増えた。一方、環境を切り替えることによる摂取増加は認められなかった。この実験では、場所を変えるだけで種類の効果が上乗せされる、という予想は支持されなかった。[11]

検証された範囲は、その実験の食事と環境の組み合わせである。それでも、味を替える操作と場所を替える操作を一括りにしない手がかりになる。机からソファへの移動を責める前に、一緒に持っていった食品が入れ替わっていないかを見てみる、という読み方ができる。

数字で読む味の種類と摂取量

21人:調味料を初めから添える、途中から加える、添えない条件を比較した臨床試験の参加者数である。[3]

1195・1485・1682 kcal:調味料なし・同時提供・順次追加での平均摂取エネルギー。通常の間食の目標量を示す値ではない。[3]

42人と49人:種類と量を変えた、同時提供・順次提供の無作為化クロスオーバー実験の参加者数である。[6]

15 gと57 g:同時提供の実験で、種類の増加と提供量の増加に伴って、それぞれ多く食べられた平均の重さである。[6]

128人:食品の変更と環境の変更を分けて調べた実験。後半の摂取を増やしたのは食品の変更だった。[11]

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