ダイエット中に選ぶ肉は、筋が多くても同じたんぱく源なのか。牛肉の結合組織、魚のコラーゲン、食品のアミノ酸分析と消化モデルの研究から、たんぱく質の量と質、噛みやすさを分けて読む。運動後の食事で部位名や栄養表示を確かめる視点と、筋の多い肉を一律に避けなくてよい理由を示す。
精肉売り場で、煮込み用の肉のパックを傾ける。赤い部分の間に白い筋が走っている。運動をした日の夕食に選ぶなら、この筋もたんぱく源として数えてよいのだろうか。「どちらも肉なら、栄養も同じだろうか」。肉の構造を扱うレビューでは、筋肉の繊維と、それを支える結合組織、骨につながる腱が区別されている。ひとつのパックは、ひとつの成分ではない。[6]
筋肉と結合組織では構成が異なり、筋の多さだけで肉の栄養全体は決まらない。魚のコラーゲンを扱ったレビューは、コラーゲンの種類によって必須アミノ酸の含まれ方が異なることを示している。一方、牛の頭部の筋肉を分析した研究では、コラーゲンが豊富な部位に低脂肪という特徴もあった。白い筋だけに、食事全体の採点を任せる必要はない。[9][19]
運動後に知りたいのは、皿の肉の食べやすさと、たんぱく源としての中身をどう見分けるかだ。食品の消化モデルでは、たんぱく質の溶け出しやすさとアミノ酸の構成を別々に評価している。柔らかい、よく消化される、栄養の構成が整っている、はそれぞれ確かめる問いが違う。[18]

肉の筋は、赤い筋肉と同じものではない
牛肉の品質と成分をまとめたレビューは、肉を支える結合組織、筋繊維、腱などの構造を挙げている。結合組織とは、肉の内部で組織をつなぎ、支える部分である。肉の品質を調べるときには、成分のほか、柔らかさ、保水性、色、風味なども測定される。見た目の良さと栄養の良さは、同じ評価項目ではない。[6]
コラーゲンも肉の構造に関わるたんぱく質だ。魚の加工を扱ったレビューでは、筋肉の区画をつなぐ結合組織の膜の主要成分がコラーゲンであり、切り身の形を保つ役割を担うとされる。食べる側には噛み心地として現れる部分が、食品の内部では形を保つ仕事をしている。筋は単なる余分なものではない。[9]
ただし、売り場で見える白い線をすべて同じものと扱うのは慎重でありたい。牛肉のレビューでは、外観として見える脂肪の量や霜降りと、肉の内部の構造を分けて扱っている。見た目は選ぶ手掛かりだが、それだけで細かな成分を測ったことにはならない。「白いところが多い」という感想から、コラーゲンの量まで言い切るのは飛躍である。[6]
たんぱく質の量を見るときにも、肉の重さをそのままたんぱく質の重さに置き換えてはいけない。牛肉の成分を扱う同レビューでは、水が重量の最大75%を占める主要な成分とされている。肉にはほかにアミノ酸、脂肪酸、ビタミン、ミネラルなどが含まれる。パックの重量は、たんぱく質だけを量った数字ではない。[6]
夕食の材料を比べるなら、まず部位名と栄養表示を読んでから、見た目や調理のしやすさを考えたい。これは、筋のある肉を棚に戻すための作業ではない。成分と外観を別の情報として持つための作業である。レビューが整理する肉の品質にも、栄養、食感、外観という異なる軸がある。[6]
ここでいう「質」には言葉の落とし穴がある。肉の品質という言葉は、おいしさや色まで含めて使われる。一方、たんぱく質の質を考える分析では、アミノ酸の構成や消化のされ方が問題になる。肉屋でいう上質と、栄養研究で評価する質は、重なるところがあっても同義ではない。[6][18]
料理を選ぶ会話では「良い肉が食べたい」で十分でも、研究を読むときには、その良さが何を指すかを一段掘り下げる必要がある。柔らかさの結果を、運動後の栄養の結果として読まない。たんぱく質の表示を、筋の割合の表示として読まない。この区別が、肉のおすすめを単純な順位にしないための土台となる。[6][18]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
コラーゲンが多いことと、たんぱく質の構成は別の問い
魚のコラーゲンに関するレビューでは、魚の筋肉に含まれるコラーゲンは約0.2〜1.4%、イカの外套では約2.6%と整理されている。外套は胴を包む部分だ。同じ海産物という括りでも、食品の構造に関わる成分の割合は同じではない。ここでの数字は食品の成分割合であり、人が食べたあとの効果の大きさではない。[9]
このレビューは、魚や無脊椎動物のコラーゲンが、牛の筋肉内の結合組織のコラーゲンより、必須アミノ酸をわずかに多く含むと述べている。アミノ酸はたんぱく質を構成する成分で、必須アミノ酸は栄養上区別される種類である。重要なのは、同じコラーゲンという名でも、構成が完全に同じではないという点だ。[9][18]
ただし、この比較はコラーゲン同士の比較である。魚の切り身全体と牛肉全体を比べた成績ではないし、食べた人の筋肉が増えた量を比べたものでもない。「魚のコラーゲンではわずかに多い」という結果を、「魚なら運動後に必ず優れている」に変えてしまうと、研究が測った対象を置き去りにする。[9]
量と構成の違いは、バーガーを分析した研究でも見える。研究者は大豆由来の製品2種類、エンドウ豆由来の製品2種類、対照として牛肉の製品2種類を比べた。必須アミノ酸の合計量が十分な範囲でも、ほぼすべての製品で、用いた年長児・成人向けの評価パターンに対しリジンが不足する構成だった。牛肉由来の製品も含まれている。[18]
リジンは、この研究で構成上の不足が見つかった必須アミノ酸である。結果は「肉のたんぱく質にはリジンがない」ではない。評価の基準と比べたときに、構成が十分ではなかったという意味だ。また、分析した食品の結果を、その食品を食べる人の食生活全体の不足と同一視することもできない。食品の判定と、個人の栄養状態の判定は異なる。[18]
この研究で消化後の細かな断片を分析すると、牛肉の製品ではコラーゲン由来のたんぱく質が多く見られた。だが、コラーゲンがリジンの評価結果をどれだけ決めたのか、筋が多いほど必ず同じ結果になるのかまで、この結果から数式のようには結べない。食品に含まれる成分と、食品の総合的な評価を混同しない読み方が必要だ。[18]
運動のあとに「たんぱく質を含むものを食べたい」と考えても、量の欄だけからすべてを判断する必要はない。研究は製品間の違いについて、植物由来か動物由来かという区分よりも、使われた原材料の質が大きく関わると結論している。食品を選ぶ際には原材料の一覧をよく読む、という具体的な方向が示されている。[18]
筋の多い部位を、低栄養と決めつけない
牛の頭部の筋肉を調べた食品分析では、内側翼突筋、咬筋、頬筋という部位を、消費者に好まれるヒレと比較した。名前は難しいが、ここで見るのは牛の頭の異なる筋肉である。研究では、これらの部位にコラーゲンが豊富で、脂肪が少なく、遊離アミノ酸も豊富という特徴が認められた。筋の多さと、成分全体の豊かさは別に評価する必要がある。[19]
測定されたコラーゲンは4.90〜13.1 mg/g、脂肪は0.39〜1.61%、遊離アミノ酸は143.93〜223.00 mg/100 gだった。遊離アミノ酸とは、たんぱく質につながった状態とは別に存在するアミノ酸である。この分析では脂肪、コラーゲン、遊離アミノ酸をそれぞれ測っている。各成分の値は、個別の測定で確かめる。[19]
これらは頭部の対象部位で得られた範囲であり、スーパーに並ぶすべての筋の多い肉の標準値ではない。牛すじ料理の皿を見て、同じ割合だと当てはめることもできない。研究の対象は食品として分析した牛の筋肉であり、18〜39歳の女性に食べてもらった結果へそのまま当てはめることはできない。調理済みの一品には、部位の構成や原材料という別の確認が必要になる。[19][18]
鶏肉の栄養を扱ったレビューにも、部位による違いが示されている。胸の筋肉ではたんぱく質21〜23%、コラーゲン0.74〜0.77%、ももの筋肉ではたんぱく質19.03〜19.93%、コラーゲン0.91〜1.13%と整理されている。コラーゲンの割合と総たんぱく質の割合は、同じ方向へ動くひとつの数字ではない。[8]
この鶏肉の数字は、筋の話を理解するための成分比較である。鉄や亜鉛を軸にした部位選びは、隣の記事「ダイエットのささみと鶏ももは同じ栄養?運動日の肉と鉄・亜鉛の違いを読む」に譲る。ここでは、たんぱく質と書かれた欄の内側に、構成の違いがあることを見ている。[8]
筋の多い肉を楽しんでいる人に、食卓から取り除くよう勧める根拠にはならない。反対に、コラーゲンが豊富なら、それだけで最適なたんぱく源になると持ち上げる根拠にもならない。頭部の筋肉の成分分析とバーガーの品質分析を並べると、部位や原材料を確かめ、目的の違う数字を別々に読むという選び方が残る。[19][18]
数字で読む肉の構造と成分
最大75%:牛肉の成分レビューで示された、水が重量に占める割合。肉の重さそのものがたんぱく質量ではない。[6]
約0.2〜1.4%:魚の筋肉に含まれるコラーゲンの割合を整理したレビューの値。[9]
4.90〜13.1 mg/g:牛の頭部の対象筋肉で測定されたコラーゲンの範囲。[19]
0.39〜1.61%:同じ牛の頭部の筋肉の分析で報告された脂肪の範囲。[19]
63±3%と61±8%:牛肉バーガーの消化モデルでのたんぱく質の可溶化率。人の吸収率ではない。[18]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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