30代のロールモデルは身近な人がよい?憧れが意欲にも諦めにもなる条件を読む

30代でロールモデルを探すとき、身近な先輩と遠い有名人のどちらを選べばよいのか。日常の社会的比較と憧れ・羨望の研究を手がかりに、自分にも届くという感覚、変えられる余地、意欲と実際の行動の違いを読む。同じ年齢や性別だけで決めず、相手の何を参考にするかを考える記事である。

会議で先輩の説明を聞いて、次は自分も話してみようと手帳を開く。別の日には、同じ人の発表を聞きながら、自分の企画をしまい込む。相手の実績が変わらなくても、比較は意欲にも諦めにも結びつく。日常の比較を調べた研究では、自分より上の相手との差と努力への意欲には、単純な比例ではない関係があった。[2]

30代のロールモデルは身近な人がよいのか。研究から考えるなら、近所にいるか、同じ職場かだけで決めるより、自分にも近づけると思えるか、どの部分なら変えられるかを見たい。改善が可能だと感じる場合と難しいと感じる場合で、優れた相手を見た後の感情や成績が異なった実験がある。[15]

ただし、これは30代の女性と男性に最適な人物を選ぶ試験の答えではない。日常の比較、感情を扱う実験、健康行動の試験を分けて読み、人物の選び方への応用は応用として考える。「女性の筋トレ漫画は主人公に似ていると続く?共感と実際の運動量を読み分ける」には物語への共感の話を譲り、ここでは現実の相手との距離と、手を動かす見通しを扱う。

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身近という距離と、届きそうという距離は違う

会社の先輩なら参考にできそうで、著名な人なら遠すぎる。この分け方は分かりやすい。しかし毎日会う先輩でも、仕事の裁量や使える時間が大きく違えば、そのまま同じことをするのは難しい。逆に、遠くで活躍する人の段取りの一部なら、自分の生活に持ち帰れるかもしれない。これは人物名簿を作る話から、何を比べるかを選ぶ話へ視点を移す提案である。

その手がかりになるのが、日常生活の5,400件を超える社会的比較場面を集めた、事前登録のある経験サンプリング研究だ。経験サンプリングとは、そのときどきの経験を生活の中で繰り返し記録する方法である。自分より優れた比較対象との差が大きいほど努力を強めようとする傾向があった一方、極端に大きな差は、努力への意欲の弱さや諦めの強さと関連していた。[2]

ここでの社会的比較は、他者を基準に自分との違いを評価することを指す。上方比較は自分より上と感じる相手との比較、下方比較は自分より下と感じる相手との比較である。同じ研究では、下方比較は努力を緩めることと関連していた。上を見ると必ず落ち込み、下を見ると必ず安心して頑張れる、という対称的な図にはならない。[2]

この研究のよいところは、比較を特別な出来事に閉じ込めず、日常の目標追求の中で捉えた点にある。観察されたのは差の評価と意欲の関係であり、比較相手を変える介入の効果とは区別して読む。[2]

先輩の肩書を見て「同じ場所まで行けるか」と考える場合と、その人が会議前に行う準備を見て「この準備なら試せるか」と考える場合を、想像してみる。相手は同じでも、自分が置く比較の単位が違う。私は後者のように、人物全体から手順を取り出す読み方を勧めたい。達成可能性に注目した実験の知見を、日常に下ろすための工夫である。[15]

その際、似ている条件と違う条件を並べておくと、提案の中身が具体的になる。年齢が同じという共通点があっても、参考にしたいのが働き方なのか、学び方なのか、運動の予定の立て方なのかで、確認したい事情は変わる。人物紹介の長所を集めるより、自分が取り入れたい場面を言葉にする。ロールモデルの写真を眺めても、自分の来週の予定表は空白のままだ。

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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憧れれば頑張れる、という実験結果ばかりではない

「すごい」と思う気持ちと、「自分も改善しよう」とする気持ちは、似ていても区別する必要がある。2011年の論文は4つの研究で、相手に近づこうとする羨望、相手を引き下げようとする羨望、賞賛を比べた。相手の優れた点を認めながら自分を高めようとする側を、ここでは良性の羨望と呼ぶ。[15]

その論文では、学習への意欲や、言葉同士の関係を見つける課題の実際の成績と結びついたのは、賞賛や悪意ある羨望ではなく良性の羨望だった。さらに、自分の改善が可能だと考える条件では、上方比較から良性の羨望とその後の高い成績が生じた。改善が難しいと考える条件では、賞賛が強まり、よりよく取り組もうとする意欲にはつながらなかった。[15]

この違いは、「素直に褒める人は成長しない」という人物評ではない。実験で調べた感情と課題への反応である。遠い存在を尊敬することには、尊敬すること自体の価値もある。すべての鑑賞や応援を、自分の成果を増やす道具に変える必要はない。ただ、行動の参考を探している場面なら、感動したかに加えて、何ができそうになったかを確かめる意味がある。[15]

ところが、その後の2017年の研究では異なる結果が出ている。2つのサンプル、合計345人を扱った研究で、良性の羨望と賞賛の両方が自己改善への意欲につながった。賞賛は、相手と関わりたい気持ちと自分の立場をよくしたい気持ちにもつながった。羨望には、自分を高める方向と相手を引き下げる方向の両方があるという見方も支持された。[3]

したがって、「賞賛は役に立たず、悔しさだけが役に立つ」とは決められない。2011年の研究群と2017年の研究では、賞賛から自己改善への意欲が生じるかの結果が一致していない。両方を残して読むなら、感情の名前だけで次の行動を予測しない、というのが慎重な受け止め方になる。[3][15]

ここで混ぜたくないのは、意欲と成績である。2011年の研究には実際の課題成績を扱ったものが含まれるが、2017年の研究で中心となるのは生じる動機だ。どちらも、そのまま昇進、生活の充実、運動の長期継続を保証する数字ではない。研究の結果を受け取るときは、どんな気持ちが動いたのか、何を行ったのかを別々に見る。[3][15]

たとえば、仕事ができる人の講演を聞いて、その人に会いたくなったのか、自分の企画を書き直したくなったのか。どちらも自然な感想だが、次に予定に入る行為は違う。前者なら話を聞く機会を探すことになり、後者なら手元の資料を開くことになる。自分が求めているのが交流か、情報か、具体的な改善かを区別すると、感動の大きさだけで採点せずに済む。

自分で変えられる部分があるかを先に見る

日常の比較場面を扱った研究では、自分がその領域をコントロールできると感じる場合や、その領域を重要だと考える場合に、自分より上との隔たりと努力への意欲の関係がより強かった。比較の働きは、相手の実績だけでなく、自分側の見通しや重要度とも結びついていたのである。[2]

これを生活の選び方に応用するなら、ロールモデルを探す前に、今の自分が変更できる行為を考えてみたい。仕事なら相談する前の準備、学びなら教材を開く場所、運動なら予定を確認する手順、といった具合だ。これらは研究で比較して順位を付けた方法ではなく、コントロールという視点を具体化する例である。相手の成果を小さく見積もるためではなく、自分が試す対象をはっきりさせるために使う。

個人差を考える材料には、糖尿病のある234人を対象にした横断研究もある。参加者は、自分より管理状態がよい、または悪い架空の同じ病気の人へのインタビューを読み、質問票に答えた。前進や獲得を重視する傾向が高い人では、低い人より、よい管理状態の相手を見た場合の管理への意欲が高かった。対象は糖尿病の患者であり、18〜39歳の女性一般の仕事や運動への意欲に、そのまま当てはめることはできない。[4]

一方、悪化を防ぐことを重視する傾向が高い人では、管理状態が悪い相手を見た場合に意欲が高いという結果があった。ただし後者は、自己効力感が比較的高い人に限られていた。自己効力感とは、必要なことを自分にも実行できそうだという感覚である。研究は、ロールモデルを使った支援で個人差を考慮する重要性を示している。[4]

質問票で捉えたのは病気の管理への意欲である。この範囲で注目したいのは、同じ成功者の紹介を全員に渡せば同じように励ませる、という前提を見直す材料にはなる。[4]

数字で読むロールモデルとの距離

5,400件超:日常での社会的比較場面。比較した人数ではなく、集められた場面の数である。[2]

4研究:良性の羨望、賞賛などと意欲・課題成績を扱った2011年の研究群である。[15]

345人:2017年の感情と動機の研究における、2つのサンプルを合わせた人数を示す。[3]

234人:同じ病気の人の情報と管理への意欲を調べた、糖尿病のある人が参加した。[4]

70人:運動量の少ない成人を対象に、比較を含む行動支援を比べた予備的な無作為化比較試験の参加者である。[7]

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宮川涼 Founder

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