赤い肉を鶏肉に替えれば体重は変わるのか。豚・牛・鶏を3か月ずつ食べた交差試験、赤身牛と鶏の8週間、血液の値を比べた試験、ヨーロッパ10か国の追跡と看護師5万人の食事パターンを並べて読む。白い肉の欄が空いていたレビューと、鶏胸肉を週4回食べた2群を比べた10週間の試験まで確かめる。
赤い肉を減らして鶏肉に替える。食生活を見直すときに、まず手が伸びる置き換えのひとつである。
ところが、肉の種類を入れ替えた試験と、食べ方を何年も追った観察研究は、別の答えを出している。過体重か肥満のある成人に豚・牛・鶏を 3 か月ずつ食べてもらった交差試験では、BMI も腹囲も、二重エネルギー X 線吸収法で測った体組成も、3 つの食事の間に差が出なかった。一方、ヨーロッパの 10 か国で男性 103,455 人と女性 270,348 人を平均 5 年追った研究では、肉の摂取が体重の増え方と正の関連を示し、その関連は赤肉だけでなく鶏肉と加工肉にも見られた。[3][19]
どちらかが嘘をついているとは限らない。問いの形が違う。交差試験は肉の種類を入れ替えたときの差を見て、追跡研究は食べている肉の量と体重の変化の関連を見る。観察研究の側には、鶏肉の製品の種類や量、調理や保存の方法が区別されていないという弱点も指摘されている。この違いを飛ばして「白い肉なら安心」と言うと、それぞれの研究が何を測ったのかが見えなくなる。[3][6][19]

肉の種類を入れ替えた試験では、差が出なかった
交差試験とは、同じ参加者が順番を変えて複数の条件を経験する設計である。鶏肉を扱った比較には、この形で行われたものが複数ある。[3][2]
9 か月間の無作為化非盲検の交差試験には、過体重または肥満のある成人 49 人が参加した。豚、鶏、牛のいずれかを週 1 kg までの範囲で食べる期間を 3 か月続け、その後さらに 3 か月ずつ、残る 2 種類の肉を食べる期間を経験している。ほかの食事に制限は置かれていない。食事は 3 日間の秤量記録で、エネルギー消費は活動の記録から推定した。[3]
結果は、BMI、腹囲と腰囲、二重エネルギー X 線吸収法で測った体組成のいずれにも、3 つの肉の間の差を示さなかった。エネルギーと栄養素の摂取にも差が出ていない。著者らの結論は、脂の少ない豚肉を日常的に食べることは、牛肉や鶏肉を食べる場合と似た変化をもたらす、というものである。[3]
もう一つの交差試験は、大学の 3 つの宿舎で行われた。健康な若年成人 47 人(51.6% が男性、平均年齢 19.9±1.75 歳)が、脂の少ない赤身の牛肉(ピレナイカ種)か鶏肉を週 3 回、それぞれ 8 週間、普段の食事に加えて食べている。体組成、臨床・生化学の値、食事の変数を、開始時と各期間の終わりに測った。[2]
体組成、脂肪酸の構成、心血管の危険因子のどの指標にも、どちらの食事でも開始時からの有意な差は出なかった。脂の少ない赤身の肉と脂の少ない白い肉を普段の食事の一部として食べる限り、反応は似ている、という結論になる。期間は 8 週間、対象は 20 歳前後の健康な若者という条件つきの答えである。[2]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
血液の値では、鶏も赤肉と同じ側に並んだ
体重が動かなくても、血液の値は変わるかもしれない。その問いに答えた試験が、たんぱく源を 3 通りに替えて比べている。[5]
対象は 21〜65 歳、BMI 20〜35 の概して健康な男女である。飽和脂肪酸の多い食事と少ない食事の 2 つの並行群へ無作為に割り付け、それぞれの群の中で、赤肉、白い肉、肉以外のたんぱく源を主にした食事を 4 週間ずつ、順序を無作為にして食べた。3 つの食事すべてを終えた人は、飽和脂肪酸の多い群で 61 人、少ない群で 52 人である。[5]
LDL コレステロールとアポリポたんぱく B は、赤肉と白い肉のどちらでも、肉以外のたんぱく源より高かった。飽和脂肪酸の量とは関わりなく同じ向きが出ている。上がっていたのは主に大きな LDL 粒子で、小型と中型の LDL(P=0.10)と、総コレステロールと HDL コレステロールの比(P=0.51)は、たんぱく源の違いに影響されなかった。そして赤肉と白い肉の間では、主要な評価項目に有意な差が出なかった。[5]
著者らは、この結果は植物性の食品の割合が高い食事を推す考え方には沿うが、心血管の危険を下げる目的で赤肉より白い肉を選ぶ根拠にはならない、と書いている。「赤を白に替える」という置き換えの発想が、どの指標についての置き換えなのかを問われる結果である。[5]
追跡研究では、鶏肉も体重の増え方と正に関連した
では、観察研究は鶏肉をどう扱ったのか。10 か国の研究は、1992〜2000 年に 25〜70 歳の男女を登録し、国ごとに検証された質問票で食事を評価している。体重と身長は登録時に実測し、追跡時はほとんどの施設で自己申告だった。[19]
エネルギー摂取の推定値を調整したうえで、1 日の肉の摂取が 250 g 多いこと(約 450 kcal のステーキ 1 枚に相当する量)は、5 年後の体重増加が 2 kg 大きいことに対応していた。95% 信頼区間は 1.5〜2.7 kg である。この正の関連は男性でも女性でも、標準体重の人でも過体重の人でも、喫煙者でも非喫煙者でも観察された。年齢、性別、総エネルギー摂取、身体活動、食事パターンなどを調整した解析で、正の関連は赤肉、家禽、加工肉のそれぞれに見られている。著者らの結論は、肉の摂取を減らすことが体重の管理に役立つかもしれない、というものである。[19]
観察研究の読み方には、鶏肉のレビューが注意を添えている。観察研究の証拠が試験より一貫しないのは、鶏肉や家禽の製品の種類、食べた量、調理や保存の方法が記述も区別もされていないといった交絡の要因によるのだろう、という見立てである。[6]
もう一つの追跡は、看護師を対象にした大規模な調査に参加した 26〜46 歳の女性 51,670 人を 1991 年から 1999 年まで追っている。食事と体重は 1991 年、1995 年、1999 年に把握した。主成分分析で、赤肉・加工肉・精製穀物・菓子・じゃがいもの摂取が多い食べ方と、果物・野菜・全粒穀物・魚・鶏肉・サラダのドレッシングの摂取が多い食べ方の 2 つを取り出している。[20]
前者の点数を上げた女性の体重増加は、1991〜1995 年で 4.55 kg、1995〜1999 年で 2.86 kg だった。点数を下げた女性は同じ 2 期間で 2.70 kg と 1.37 kg である。後者の点数を上げた女性は 1.93 kg と 0.66 kg、下げた女性は 4.83 kg と 3.35 kg だった。いずれも開始時の生活と食事、期間中の変化を調整した多変量調整平均で、2 つの食べ方は逆の向きに並んだ。鶏肉は後者の側に数えられている。[20]
2 つの食べ方は、別々に動くわけでもない。果物や野菜の多い食べ方の点数を下げ、同時に赤肉や精製穀物の多い食べ方の点数を上げた女性の体重増加が最も大きく、1991〜1995 年で 6.80 kg、1995〜1999 年で 4.99 kg だった。逆の向きに変えた女性の増加が最も小さく、同じ 2 期間で 0.87 kg の増加と 0.64 kg の減少だった。これは食べ方の点数の組み合わせを比べた結果で、鶏肉だけの増減はこの研究では分けられない。[20]
数字で読む鶏肉と体重
2 kg:10 か国の追跡研究で、エネルギー摂取の推定値を調整したうえで、1 日の肉の摂取が 250 g 多い場合に 5 年後の体重増加が大きくなると推定された幅である。95% 信頼区間は 1.5〜2.7 kg。[19]
49 人:豚・牛・鶏を 3 か月ずつ、週 1 kg までの範囲で食べた交差試験の参加者数である。過体重か肥満のある中年の男女で、肥満の指標に 3 つの肉の間の差は出なかった。[3]
47 人:脂の少ない赤身の牛肉と鶏肉を週 3 回、8 週間ずつ食べ比べた交差試験の参加者数である。健康な若年成人で、51.6% が男性、平均年齢 19.9 歳。[2]
4.55 kg と 1.93 kg:女性 51,670 人の追跡における 1991〜1995 年の体重増加の多変量調整平均である。順に、赤肉や精製穀物の多い食べ方の点数を上げた群、果物や野菜、全粒穀物、魚、鶏肉の多い食べ方の点数を上げた群。[20]
42 本:鶏肉と人の健康を扱う論文 525 本を数えたレビューのうち、体重と体組成を扱っていた論文の数である。[7]
10.4% と 1.1%:閉経後の過体重の女性が 1 日 1,250 kcal で行った 9 週間の減量試験で、鶏肉を含む食事を摂った 15 人の減った割合である。順に体重、骨密度。[18]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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