パーキンソン病では体重が減るのか増えるのか 治療の前後と病気の進み方

パーキンソン病で痩せることと、脳深部刺激療法の後に体重が増えることは、どちらも報告されている。体重の推移、診断前後の脂肪と除脂肪量、術後の生存との関連を論文で確かめる。意図しない減少を減量の成功と取り違えず、治療の効果と体重を分けて受け止めるための読み物だ。

研究者たちは高齢者の体重を量るだけでなく、脂肪量と除脂肪量も測り、追跡の10年目まで変化をたどった。開始時に70〜79歳だった3,075人のうち、パーキンソン病の症例として確認されたのは80人。その人たちの測定値を診断の時点に合わせて並べると、診断前から続く体の変化が浮かんできた。[13]

パーキンソン病では、体重が減る経過も増える経過も報告されている。患者を追った研究には、小さな体重減少と生活上の障害との関連を調べたもの、手術の後に増加を認めたものがある。体重の方向だけで病状や治療の成否を決めると、読み違えるおそれがある。[12][16]

減量を目指す人にとっては望ましく映る脂肪の減少も、病気の経過では別の意味を持ちうる。診断前後の体の中身を調べた研究から、治療後の数字の扱いまで、本人と家族が同じ体重をどう受け止めるかを考えていく。[13][16]

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少しの体重変化も、暮らしの状態と合わせて見る

パーキンソン病の患者668人を対象とした縦断解析、つまり同じ人の時間を追った研究では、開始時と2年後の体重を比較した。平均年齢は66.1歳、病気の期間は平均5.3年だった。体重が減った人、安定していた人、増えた人に分け、症状や暮らしの機能との関連を調べている。[12]

体重変化を5%で区切ると、減少した人は22.6%、増加した人は15.7%、安定していた人は61.7%だった。減少が最も多かったが、増加した人もいた。減少の報告がある病気でも、目の前の人が増加する経過は、この研究の集団にも含まれている。[12]

研究は、もっと小さい3%という変化にも注目した。その水準の体重減少は、運動症状、手段的日常生活動作、抑うつの経時的な変化と関連していた。手段的日常生活動作とは、日々の生活を営むための、基本動作より複雑な活動を評価する視点である。年齢、レボドパ使用、開始時の症状の総合評価を考慮した後も、これらの関連は残った。[12]

ここから受け取れるのは、「大幅に痩せるまで体重を話題にしなくてよい」という考え方への疑問だ。体重の小さな動きと日常の障害が一緒に観察されていた。服が緩くなったことだけで会話を終えず、家の中や外出時の困りごとも同じ受診で伝える理由になる。[12]

5%の体重変化との関連を調べた解析では、病気の期間、症状の総合評価と運動症状の評価、日常生活上の障害、病期が挙がった。また、5%の体重減少と手段的日常生活動作との関連は、開始時の年齢やレボドパ使用、症状の総合評価の違いを調整した後も残った。体重と生活の変化を結ぶ結果は、分類の区切りを変えながら検討されている。[12]

家族が体重の話を持ち出す際には、「食べ方が悪い」と原因を先に決めず、本人の経過を聞くほうがよい。研究で比較したのは体重だけでなく、症状の評価や生活の機能を含む組み合わせだった。本人の努力を採点する言葉より、変化を共有する言葉のほうが、その測り方に近い。[12]

病気の経過と脳深部刺激療法前後の体重を調べた研究には、運動症状が現れる前の体重を調べた756人の解析もある。体重は年あたり0.70±0.03%減少し、統計的に有意だった。診断前後の脂肪量を調べた別の研究と違い、こちらは運動症状の出現を時点の基準としている。初回手術、反対側の手術、運動症状の出現という異なる節目を使い、病気と治療に伴う体重の動きを捉えた研究なのである。[16]

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診断前後に減ったのは、筋肉か脂肪か

体重が減ったという情報だけでは、体の何が減ったのか分からない。この点を詳しく見たのが、開始時に70〜79歳だった3,075人の集団を追った観察研究である。追跡中にパーキンソン病の症例80人を確認し、体組成の推移を解析した。体組成とは、体の重さを脂肪や除脂肪の部分などに分けて捉える見方だ。[13]

研究では二重エネルギーX線吸収法という検査で、体重の合計に加え脂肪量と除脂肪量を測った。測定は追跡の1年目から10年目まで、毎年または隔年に行われた。各症例で、実際の測定値と、病気を発症していなかった場合の統計的な予測値との差を求めている。[13]

その比較では、診断の約6〜7年前から総体重と脂肪量が減る傾向が見られた。ただし、差が統計的に有意になったのは診断の3〜5年後である。変化の線が早くから下向いていたことと、その時点ですでに明確な差が確認されたことを、同じ意味にはできない。[13]

追跡全体では、体重、脂肪量、体脂肪率に持続する減少傾向があった。一方、除脂肪量は安定していた。症例で失われた体重の96%は脂肪量の減少によるものだった。この集団では、主に失われた成分を脂肪として捉えることができる。[13]

除脂肪量の推移を検定した結果はP=0.16だった。P値は、差や変化を統計的に評価する際の指標で、この研究では除脂肪量に有意な変化を認めなかった。一方、総体重の減少傾向はP=0.008、脂肪量はP=0.001、体脂肪率はP<0.001と報告された。総体重だけでなく、その構成を繰り返し測ることで、減少を担った部分が見えてきたのである。[13]

比較に使った「発症しなかった場合」の値は、各症例の各年について統計的に推定された。研究者は、その予測値と実測値の差を求め、さらに診断前後の変化の傾向をモデルで調べた。単に発症者と非発症者の体重をある日に比べる設計より、いつ変化が始まり、診断後までどう続くかを重視した解析だった。[13]

体脂肪が減ったと聞くと、ダイエットの成績表なら丸を付けたくなる。しかし、この解析が描いたのは病気を持つ人の持続的な変化であり、健康のために脂肪を減らす介入とは問いが異なる。何が減ったかが分かっても、その減少を目標にするかは別に考える必要がある。[13]

脳深部刺激療法の後には、体重が増える経過がある

脳深部刺激療法は、脳の選んだ部位に電気刺激を与え、症状に働きかける治療で、DBSとも呼ばれる。レビューでは、薬だけで十分な症状の調整や生活の質を得にくい、適応のある進行期の患者に用いる治療として位置づけられている。体重を操作するための治療として選ぶものとは目的が違う。[1]

この治療の前後の体重を調べた単施設の後ろ向きコホート研究には、パーキンソン病の患者1,625人が含まれた。後ろ向きとは、過去の診療情報などを使って経過を調べる設計である。研究では病気に伴う体重の推移、段階的な手術後の変化、術後の体重と生存との関連を別々に検討している。[16]

最初の電極を埋め込んだ455人では、術後1年で体重が2.0±0.33%増えた。反対側にも電極を置いた249人では、術後3年に2.68±1.1%の増加が報告されている。初回の手術と反対側への手術で、対象人数も評価した年も異なっている。[16]

刺激する部位による違いも見られた。両側の視床下核を刺激した群と、両側の淡蒼球内節を刺激した群を6年間追うと、体重増加はそれぞれ3.03±0.45%と1.89±0.31%だった。どちらも脳内の治療標的の名前である。この比較は、標的別に術後の経過を追った結果である。[16]

治療標的は症状の特徴や認知面、歩行・バランスの問題などを考慮して選ぶ。レビューが挙げるように、患者の選択と術後のフォローには、神経内科医、脳神経外科医、専門看護師、神経心理の専門家らのチームが関わる。生活の質や認知面を含めて適応を判断する専門的な治療なのだ。[1]

体重が増えた時期を振り返るなら、手術の前から始まった変化か、術後に現れた変化かも区別したい。研究が段階的な手術との関係を調べたのは、時間の区切りを付けて経過を見るためである。現在の重さだけを術前の自分と比べるより、治療の節目と一緒に並べるほうが、この解析の問いに近づく。[16]

数字で読むパーキンソン病と体重

3%:2年の体重変化の分類に用いられ、減少が生活上の障害などと関連した値。[12]

96%:診断前後の体組成研究で、症例の体重減少に占めた脂肪量減少の割合。[13]

1,625人:病気の経過と脳深部刺激療法前後の体重を調べた単施設研究の全体規模。[16]

+2.0%:初回の電極埋め込み後1年の体重増加。455人の解析。[16]

年−2.18%:死亡前10年の体重減少。456人をさかのぼって調べた平均的な傾向。[16]

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宮川涼 Founder

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