体重を目標にしない健康づくり 体重中立の試験で変わった体力と食行動

体重を減らすことを目標にしない健康づくり、HAES。肥満のある女性を対象とした比較試験とメタ分析から、脂質、体力、食行動、生活の質に起きた変化を確かめる。減量を目指す方法との違い、改善した項目と差がつかなかった項目を分け、自分に合う支援を選ぶ手がかりを探る。

肥満のある女性たちが、体を動かすプログラム、栄養相談、考え方を話し合うワークショップに参加した。減った体重を競う場ではなく、健康につながる行動を扱う試験だった。参加者は体力の検査を受け、食べ方や自分の体への感じ方も尋ねられた。[3]

この試験では体重に有意な変化がなくても、手厚い支援を受けた群の体力や生活の質の一部に改善が見られた。比較相手も同じ考え方に基づく支援だった。何kg減ったか以外に、何を健康の成果として数えるかを考えさせる試験である。[3]

体重を目標にしない取り組みでも、健康の評価は続く。体重中立と呼ばれる支援を、血液の指標、食べるときの感覚、動ける体力に分けて眺めると、期待できる部分と、まだ答えが定まらない部分が見えてくる。[1][16]

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体重中立は、健康につながる行動を目標に置く

HAESは、ヘルス・アット・エブリ・サイズという名称の取り組みで、さまざまな体格の人の健康行動を支える体重中立の考え方である。ここでの中立とは、体重を減らすことを介入の中心目標に置かないという意味だ。実際の試験には、運動、栄養相談、体の受け止め方への働きかけなどが組み込まれている。[3][15]

食事制限の指示を外したら、何もしなくなるのか。研究で試された内容は、その想像とはかなり違う。空腹や満腹といった体の手がかりに応じて食べること、自分の体を受け止めることを扱った集団支援もある。目標の中心を移しても、学ぶことや支援を受ける機会は残されている。[15]

一方で、HAES、ノンダイエット、体重中立という呼び名を、完全に同じ内容の治療名として扱うと読み違える。比較研究をまとめたメタ分析では、体重中立と減量の双方で定義が一定していないことが限界に挙げられた。名前だけで支援の中身を推測せず、何を行い、何と比べたかまで見ることが大切である。[6]

直感的な食べ方の詳細は、「インテュイティブイーティングで体重はどうなるか 食事制限をやめた試験で動いたもの」の記事に譲る。ここで焦点を当てるのは、食べ方に加えて運動や集団での支援を組み合わせた枠組み全体だ。体重中立の集団支援では、この二つが同じプログラムの評価項目に入っている。[3][4]

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減量を目指す群と比べると、成果の出る項目が違う

高いBMIのある30〜45歳の女性80人を対象に、体重中立と減量を目指す支援を無作為に割り当てた試験がある。BMIは身長と体重から計算する体格の指標で、この試験の参加条件は30kg/m²以上だった。両群とも進行役のいる集団の会合に参加し、介入は6か月、評価は割り当てから24か月後まで行われた。[4]

介入直後には、体重中立の群でLDLコレステロールと直感的な食行動の改善がより大きかった。LDLは血液中の脂質の評価に使われる項目の一つである。他方、減量を目指す群では、体重とBMIの低下がより大きく、食事上のリスクの低下も大きかった。ただし、食事上のリスクへの優位性は一時的だったと報告されている。[4]

長く追った結果として、全体では開始時から24か月後までに、ウエストとヒップの比、総コレステロール、身体活動、果物と野菜の摂取、自尊感情、生活の質に有意な好ましい変化があった。これは両群を含めた時間経過の結果で、介入直後に見られた群ごとの特徴とは集計の単位が異なる。[4]

会合には進行役がいて、両群とも構成されたマニュアルに沿って毎週集まった。測定には血圧、血中脂質、血糖、ウエストやヒップの周囲長、心理的苦痛も含まれている。食行動の質問だけでなく、身体面も並行して調べた設計だった。解析は、割り当てられた参加者をもとに評価する方法を採用していた。[4]

別の無作為化試験は、食事制限を繰り返してきた30〜45歳の肥満のある白人女性78人を対象にした。集団介入とその後の支援を含む開始から1年の評価で、減量群のうち完了した人では体重が平均5.9kg減った。ノンダイエット群は平均0.1kg減で、有意な変化がなかった。ただし、脱落は減量群41%、ノンダイエット群8%だった。完了者の減量値と、支援に残れた割合を一緒に見ると、体重の差だけでは捉えられない経過が浮かぶ。[15]

両群で、代謝に関する指標、心理面、食行動の多くが改善した。この試験では開始時に加え、3か月、6か月、1年の時点で評価している。会合への出席、脱落、支援を役立つと感じたかも評価の対象だった。体重を追うだけでなく、集団で学ぶ支援に参加し続けられるか、本人がその支援をどう受け止めるかまで調べていた。[15]

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体重が変わらず、体力が改善した試験の中身

冒頭の研究では、肥満のある女性を対象に7か月の無作為化比較試験を行った。手厚い介入の群は39人で、身体活動プログラム、栄養相談、哲学的なワークショップを組み合わせた。比較群19人も従来型のHAESの支援を受けている。体重中立と放置の比較ではなく、同じ考え方に基づく支援内容の違いを調べた設計だ。[3]

体重、BMI、ウエスト、ヒップの周囲長には、群内でも群間でも有意な差がなかった。一方、手厚い群では、運動中に取り込める酸素の最大の水準を表すピーク酸素摂取量と、立ち上がりの課題の成績が、比較群より改善した。体の大きさの変化とは別に、動作や体力の評価で差を捉えたのである。[3]

生活の質については両群で改善があり、身体的健康、心理的健康、生活の質と健康の全体的な受け止め方では手厚い群の改善が大きかった。食べ方への態度や実践、自分の体への感じ方にも好ましい結果が報告された。こうした複数の評価を並べると、同じ体重のままでも、介入を受けた時間の意味を検討できる。[3]

興味深いのは、客観的に測った身体活動量には有意な差がなかったことだ。手厚い群の多くは、活動を生活に取り入れた、あるいは取り入れる予定があると話していた。それでも、本人が語る意欲と、機器などで捉えた活動量の間には隔たりが残った。体力検査では改善があり、生活全体の活動量の測定では差がなかったという組み合わせである。[3]

この試験は、身体活動、栄養相談、ワークショップをまとめた支援の評価である。体への態度を尋ねる質問票と体型の見え方を評価する尺度でも、手厚い群は全項目で群内の有意な改善を示した。比較群の変化は小さいか、見られなかった。身体能力だけでなく、自分の体をどう受け止めるかまで検査に含めた点が特徴だ。[3]

研究を集めた答えは、全面的な優越ではない

個別の試験には好ましい結果があっても、研究全体で同じ傾向がどこまで再現されるかは別に問うべきである。2018年の系統的レビューは、HAESに基づく介入を扱う14報を集めた。心理面や身体活動、食習慣の行動面に利益が見られた一方、心血管に関する反応、体の見え方、総エネルギー摂取量には一貫しない結果があった。[5]

2020年の系統的レビューとメタ分析は、体重中立と減量の群を含む10研究を解析した。メタ分析では、個々の試験で得た群の違いを統計的にまとめて検討する。過食症状では体重中立の方法により大きい改善があったが、ほかの評価項目では有意な群間差がなかった。身体、心理、行動面の改善において代替になり得るという評価と、定義や追跡期間のばらつきという限界が併記された。[6]

さらに2024年の更新版は、過体重や肥満のある成人を対象とした10研究、19報を含めた。HAESの群では、空腹に影響されやすい傾向の低下が比較群より大きかった。一方、体格の指標、心理的な指標、総コレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、収縮期と拡張期の血圧には有意な群間差がなかった。[16]

更新版で統合した血中脂質の項目には、総コレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪が含まれる。更新版では、同じ、または比較可能なデータを報告した研究が3つ以上ある項目で統合解析を行った。検索は2022年11月までで、含まれた研究のうち6研究は2017年以降の発表だった。[16]

数字で読む体重中立の取り組み

80人:高いBMIの女性を体重中立と減量の支援に割り当て、24か月後まで評価した試験の人数。[4]

7か月:体重に有意な変化がなく、手厚いHAESの群に体力の改善が見られた介入期間。[3]

144人:HAES、社会的支援、対照の群を比較した、閉経前の過体重または肥満のある女性の人数。[8]

10研究:2024年の更新版メタ分析に含まれた独立した研究の数。これらを報告した論文は19報だった。[16]

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宮川涼 Founder

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