体脂肪率を増やす食事は脂質を足す?女性の過剰摂取試験で読む蓄積の違い

体脂肪率を増やしたいとき、脂質と糖質のどちらを足すべきか。男性では蓄積効率に差が出た試験と、女性では脂肪収支に有意差がなかった試験を比較する。同じ余剰エネルギーでも異なる燃料の使われ方、脂肪の種類と蓄積場所を読み分け、短期の実験を日々の食事へそのまま移せない理由を考える。

夕食のご飯を増やすか、料理に油を足すか。体脂肪率を増やしたいと思って検索すると、食べる量の話がいつの間にか「どちらが脂肪になりやすいか」の競争になる。男性を対象にした過剰摂取試験では脂質の方が余剰エネルギーを蓄えやすかったが、女性の短期試験では、脂質と糖質で脂肪収支に有意差はなかった。男性の結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめることはできない。[14][18]

したがって、女性に向けて「油を足す方が確実」とは言えない。食べた栄養素が何に使われたかと、最終的に体内へどれだけ脂肪が残ったかは、別々に確かめる必要がある。女性の試験では、糖質の利用が増える一方で脂肪の貯蔵も生じていた。[18]

既存記事「痩せ型の女性の筋トレは食事を増やすべき?余るエネルギーと筋肉の成長を読む」には筋肉を育てるための食事という問いを譲る。ここで比べるのは、同じ余剰エネルギーを脂質と糖質から摂ったときの行き先である。体重が同じように増えても、肝臓や内臓に蓄積する脂肪には違いが出た試験がある。[9]

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脂肪になりやすさを、食材の印象から切り離す

過剰摂取とは、この研究の文脈では必要なエネルギーを超えて食べる条件である。脂っこい料理を食べたかどうかだけで決まる条件ではない。人の過剰摂取を扱った系統的レビューは、300本を超える原著論文を検討し、長めの試験では摂取エネルギーと体重増加、脂肪蓄積に明確な関係があったと報告している。対象は思春期の人、成人男女、高齢男性にまたがり、18〜39歳の女性だけに絞った結論としては使えない。[7]

このレビューが含む研究期間は1日から6か月で、対象には思春期の人、成人男女、高齢男性が含まれる。体内への蓄積を考える際には、まず余剰があるか、その状態がどれほど続くかを押さえる必要がある。その上で、脂質や糖質といった食事の構成が脂肪の分布にも関わる、という順で読むと混乱しにくい。[7]

「脂質は脂肪になる」「糖質は使われる」という組み合わせは、分かりやすい。しかし、体内には食事由来の脂肪だけが流れているわけではない。脂肪収支とは、脂肪の摂取と利用の差を捉える見方である。糖質が多く使われる間に脂肪の利用が抑えられれば、糖質そのものが大量に脂肪へ変わらなくても、脂肪は残りうる。[15][18]

ご飯の皿と油の瓶を並べるだけでは、この同時進行が見えない。比較すべきなのは、食品が持つ印象よりも、食べた量、使われた量、残った量である。脂質と糖質の違いを調べた試験は、まさにそこを実験室で分けて測ろうとしている。[14][18]

また、「体脂肪率を増やす」という検索語と、研究が測った結果の名前にも距離がある。余剰エネルギーの貯蔵率を測った結果、脂肪収支を計算した結果、画像で肝臓の脂肪を調べた結果は、同じ物差しではない。研究の数字を読む前に、何の増減を示す数字なのかを確認しておきたい。[9][14][18]

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男性の試験では、脂質の余剰が多く蓄えられた

Hortonらの無作為化試験では、痩せた男性9人と肥満の男性7人に、必要量を50%超えるエネルギーを脂質または糖質から摂ってもらった。それぞれの過剰摂取期間は14日で、部屋全体でエネルギー消費を測る装置を使い、栄養素の利用とエネルギーの貯蔵を調べた。男性だけを調べた試験なので、18〜39歳の女性の貯蔵率を直接示すものではない。[14]

糖質を余分に摂った条件では、糖質の酸化と総エネルギー消費が徐々に増え、余剰エネルギーの75〜85%が貯蔵された。ここでいう酸化は、栄養素をエネルギーとして利用する過程である。食べた分がすべて蓄積するのではなく、利用する側も変化していた。[14]

一方、脂質を余分に摂った条件では、脂肪の酸化と総エネルギー消費への影響は小さく、余剰エネルギーの90〜95%が貯蔵された。両条件の差は過剰摂取を始めた早い時期に最も大きかった。同じエネルギーを余分に食べても、直後の処理が一致しないことを示した試験である。[14]

ただし、この数字を「食べた脂質のほぼ全部が体脂肪になる」と読み替えてはいけない。示されているのは必要量を超えたエネルギーのうち貯蔵された割合であり、食事全体に対する割合ではない。夕食の表示カロリーにそのまま掛ける計算式でもない。[14]

対象が男性である点も残る。女性が自分の食事を決める際に、この貯蔵率だけを借りると、研究で確かめた人と自分を無条件に入れ替えてしまう。男性の試験は脂質と糖質の処理の違いを知る手掛かりになるが、女性向けの優先順位を決めるには女性の結果も見る必要がある。[14][18]

さらに、早い時期ほど差が大きかったという結果は、観察する日によって見え方が変わることを示す。食べ始めた直後の反応を、長く続けた後まで一定の割合で延長することはできない。研究の結論には、栄養素の名前と一緒に観察期間も付いている。[14]

女性の試験では、燃料の使い方が違っても脂肪収支に有意差はなかった

McDevittらは、痩せた女性8人と肥満の女性5人を対象に、96時間連続でエネルギー代謝を調べた。必要量と釣り合う食事に加え、必要量を50%超える脂質、または主にブドウ糖、果糖、ショ糖を加える条件を、無作為な順番で比較した試験である。[18]

糖質を余分に摂ると、初日は約100gのグリコーゲンが貯蔵された。グリコーゲンは糖質を体内で蓄える形である。その後は糖質の利用が徐々に増え、3日目と4日目には糖質の摂取と利用の収支が釣り合った。その間、脂肪の酸化は相応に抑えられていた。[18]

余分な糖質の74%は酸化されたが、脂肪の貯蔵も生じた。過剰摂取条件全体では、平均して余剰エネルギーの12%がグリコーゲン、88%が脂肪として蓄えられた。脂質、ブドウ糖、果糖、ショ糖の各条件で、脂肪収支に有意な差は認められなかった。[18]

この結果の肝は「糖質が脂肪にならない」でも「脂質と糖質は同じ栄養素」でもない。燃料の利用の仕方には違いがあったが、結果として残る脂肪の収支では明確な違いを検出しなかった、という点にある。入口が違っても出口の量が近くなることがある。[18]

糖質の利用が増える一方で脂肪の利用が抑えられたことを、セットで読むと納得しやすい。自分が食べたご飯だけに注目すると、その横で使われなくなった脂肪を見落とす。体の燃料は、皿ごとに独立して会計を済ませる仕組みではなかった。[18]

同時に、有意差がないことは、どの女性でも永久に同じ反応をする証明ではない。この試験が比較したのは限られた人数での96時間の条件である。男性の14日間の試験と食い違って見えるが、対象と観察期間が違うため、性別だけを原因にすることもできない。[14][18]

女性の試験では、脂質を余分に摂った際に脂肪の酸化は18%増え、糖質の酸化は抑えられた。男性の試験では脂質の過剰摂取が脂肪酸化に与える影響は小さかったため、燃料を使う側の反応からして両試験を同じものとは扱えない。この違いも、貯蔵率だけを取り出す前に確認する部分である。[14][18]

消費量にも目を向けたい。女性の試験では、過剰摂取で増えた消費が放散した余剰エネルギーは7.9%で、各過剰摂取条件による消費量の違いに有意差はなかった。糖質を足した条件だけで消費が大きく跳ね上がり、余剰が消えたという結果ではない。余分に食べた分と、増えた消費を区別する必要がある。[18]

痩せた女性と肥満の女性の間でも、栄養素の酸化や収支に有意差がなかったため、研究では両者を合わせて解析している。この結果を体型ごとの細かな増やし方に分け直すことはできない。検索している人が自分をどちらの体型だと思っていても、その分類だけで別の貯蔵率を選ぶ根拠にはならない。[18]

測定の対象は、食べた物の行方を直接すべて追跡した割合ではなく、摂取と酸化の差から計算した栄養素の正味の収支である。実験室で収支を丁寧に測る強みがある一方、日常の献立だけからその収支を求めるには、利用量の情報も必要になる。男性の試験もエネルギーと栄養素の収支から貯蔵量とその構成を推定していた。[14][18]

そのため、ここで使う「蓄積効率」は献立の点数ではない。食べる側が同じエネルギー量に揃っていても、利用する側がどう動くかを比較する言葉として読むとよい。脂質と糖質の優劣を決める前に、何を揃え、何が変化した実験なのかを押さえられる。[14][18]

数字で読む余剰エネルギーの行き先

男性の試験は14日ずつ。必要量を50%超える脂質と糖質を比較した。[14]

男性の糖質条件では、余剰エネルギーの75〜85%が貯蔵された。[14]

男性の脂質条件では、余剰エネルギーの90〜95%が貯蔵された。[14]

女性の試験は96時間。痩せた女性8人と肥満の女性5人を調べた。[18]

女性の過剰摂取条件では、余剰エネルギーの平均88%が脂肪として貯蔵され、条件間に有意差はなかった。[18]

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宮川涼 Founder

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