体脂肪率が高い女性は体重も重い?標準体重でも分かれる脂肪と筋肉の内訳を読む

体重は標準なのに体脂肪率が高い。その数字を見て、さらに減量すべきか迷う女性へ。脂肪量と除脂肪量を比べた研究、体重が変わらず体組成が動いた食事・運動の試験から、隠れ肥満の捉え方を整理する。研究ごとに違う区分の数字、朝食との関連、体重以外に確認したい変化も読み分ける。

朝、体重の表示には見慣れた数字が出た。その下の体脂肪率だけが気になる。「体重は標準なのに、まだ食事を減らすべきなのか」。この疑問には、重さの合計と、その内訳を分けて答える必要がある。標準域の体重でも、脂肪の割合が高く、脂肪以外の組織が少ない女性は研究で確認されている。[12]

ただし、体脂肪率が高いことから、体重を減らす目標を直ちに立てるのは早計だ。標準域の体重で脂肪が多い女性を対象に、体重に有意な減少がなくても体組成が改善した食事の無作為化比較試験がある。運動を行った前後の比較でも、体重が変わらず脂肪量が減り、除脂肪量が増えた結果が報告されている。[6][14]

既存記事「体脂肪率と健康について」には健康との関係全般を譲る。ここで確かめるのは、標準体重という同じ看板の下で何が違うのか、そして変化を体重だけで採点してよいのか、という問いである。検索窓の「隠れ肥満」を、自分への悪口に変える必要はない。

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標準体重は、脂肪と筋肉の内訳まで保証しない

体格指数であるBMIは、脂肪と脂肪以外の組織を直接分ける指標ではない。標準域のBMIと過剰な体脂肪が組み合わさる状態は、研究では正常体重肥満と呼ばれる。日常語の「隠れ肥満」に近いが、見た目に隠れているかどうかを写真で判定する話ではない。体重による分類と体組成による分類が一致しない、という意味で捉える方が正確だ。[12]

スロバキアの女性を調べた横断研究では、全参加者402人のうち、BMIが標準域だったのは235人であった。その中で正常体重肥満の区分に入った女性は62人だった。対象は18.6〜65歳の白人女性の志願者であり、18〜39歳の日本の女性に、その割合や平均値をそのまま当てはめることはできない。それでも、標準域という分類の内部が均一ではないことを具体的に示している。[12]

その研究で、正常体重肥満群と比較群の平均体脂肪率は、それぞれ32.85%と24.08%だった。脂肪を除いた重さである除脂肪量は41.93kgと45.22kg、骨格筋量は22.76kgと24.79kgであった。正常体重肥満群では、脂肪の割合が高いことに加え、除脂肪量と骨格筋量が少ないという違いが見られたのである。[12]

ここで除脂肪量を、そのまま筋肉量と言い換えないことも大切だ。研究は除脂肪量と骨格筋量を別々に報告している。記録に「除脂肪量が増えた」とあれば、その項目の変化として読む。筋肉だけが同じだけ増えたと読み替えると、体重だけを見ていたときとは別の取り違えが起きる。[12]

この横断研究は、同じ時点で異なる人を比べたものだ。以前の食事制限が原因だった、運動不足が先にあった、といった個人の経緯までは決められない。自分と似た数字を見つけても、その研究参加者と同じ生活を送ってきたことにはならない。数字の役割は、内訳を調べる問いを増やすことである。[12]

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隠れ肥満を分ける数字は、研究ごとに違う

「体脂肪率がどこを超えたら隠れ肥満なのか」と検索すると、境界線を探したくなる。ところが、今回扱う研究でも区分の数字は揃っていない。スロバキアの研究は体脂肪率28%超を使い、韓国の中年成人を調べた研究では女性の区分に36%以上を使っている。中年の男女を含む韓国の区分を18〜39歳の女性にそのまま当てはめることはできない。異なる研究の人数や割合を比べる前に、誰を同じ群に入れたのかを読む必要がある。[12][13]

ポーランド北西部の18〜24歳の女性330人を調べた研究では、BMIが18.5〜24.9の参加者について、DXAという身体を画像で調べる方法を用いて体組成を評価した。そこで心臓や血管、代謝のリスクを区別する体脂肪率の境界として35.78%が示され、参加者の27.3%が正常体重肥満に分類された。[16]

この35.78%は、その対象集団と評価方法を伴った研究結果である。小数点の細かさは、世界共通の診断線であることを意味しない。別の年齢層や別の集団を扱った研究と区分が違う以上、自宅の表示をその数字に当てはめて、境界の両側に健康と不健康を振り分ける読み方は慎重であるべきだ。[12][13][16]

前述のスロバキアの調査は電気抵抗を利用する体組成測定であり、ポーランドの調査はDXAを使っている。対象だけでなく、測定の背景も違う。[12][16] 測定法の精度そのものは、既存記事「体脂肪率はどこまで本当か 家庭の体組成計とDXAのずれから数字の読み方を学ぶ」に譲る。ここでは、その値がどんな集団を区分するための数字なのかに焦点を置く。

立川駅北口の夕方、スマホに出た境界線を見て、夕食を削る理由を探す必要はない。研究の区分は集団を比較するための道具であり、そのまま今日の献立の命令にはならない。個人の健康状態を判断したいときは、体組成の記録とともに医師に相談する、という使い方ができる。

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体脂肪率だけでは、血液の状態も決まらない

正常体重肥満が注目される理由は、体型の呼び名を増やすためではない。ポーランドの横断研究では、正常体重肥満に分類された女性に、インスリンやインスリン抵抗性を示す指標の高さ、不利な血中脂質の組み合わせが見られた。標準域のBMIでも、代謝の状態に目を向ける意味があることを示す結果だ。[16]

同研究では、腹部側と腰・臀部側の脂肪の比率も調べられ、その比率はインスリン抵抗性と正に、HDLコレステロールとは負に関連した。脂肪の全身に占める割合に加え、どこに分布するかも関係する可能性がある。ただし、同時点の関連から、脂肪の分布が変われば将来の病気を防げるとまでは決められない。[16]

韓国の中年成人を扱う横断研究も、体重の分類だけでは読み切れない面を示す。背景条件を揃える統計的な手続きを行った後の対象は男女合わせて684人で、女性では正常体重肥満群と肥満群の糖尿病の有病割合が11.70%と13.20%であり、有意差はなかった。中年の男女の結果であり、18〜39歳の女性に同じ有病割合が当てはまるかは別に検証する必要がある。これは女性の正常体重肥満を、体重が軽いから常に低リスクだと扱えない結果である。[13]

一方、有意差がなかったことは、すべての女性で危険が同じだと証明したことでもない。調べたのはその時点で糖尿病がある割合であって、これから発症する確率ではない。同じ研究の男性では群間差が認められており、性別を無視して結論を移すこともできない。[13]

体重が標準だから検査を気にしなくてよい、という判断も、体脂肪率が高いから病気がある、という判断も飛躍である。体組成は健康を考える入口の情報であり、血液検査の代用品ではない。[13][16] 心配があるなら、表示された割合に自己診断を任せず、医師と検査結果を含めて確かめる方が話は具体的になる。

体重が動かなくても、内訳は変わりうる

標準体重の女性にとって、運動や食事を見直した後の評価にも落とし穴がある。体重の減少だけを成功とすると、研究で観察された別の変化を見落とす。正常体重肥満の女性50人を無作為に分けた食事試験では、同じエネルギー量でたんぱく質の配分を変え、12週間後の体組成を比較した。[6]

たんぱく質が総エネルギーの25%の群と15%の群を比べると、体重と食欲には時間による有意な変化も、群間の有意差もなかった。一方、除脂肪量の平均群間差は高たんぱく質群が1.5kg高い方向で、標準化した効果量は0.4だった。脂肪量や体脂肪率、腹囲も改善したと報告されている。体重減少と体組成の改善は、同じ出来事ではなかったのである。[6]

除脂肪量の群間差の95%信頼区間は0.01〜3.1kgで、差の推定には幅がある。[6] 平均差の数字だけを抜き出して、同じ食事なら誰でも同じだけ変わると期待しない方がよい。比較しているのは、試験で割り当てられた食事を続けた集団同士であり、個人の次の測定値を予言する数字ではない。

また、この試験で比べたのは高たんぱく質食と標準的なたんぱく質食であって、食事と運動の優劣ではない。[6] 食事の配分を考える問いと、どの運動を選ぶかという問いを混ぜずに読むと、自分が次に相談したい内容も整理しやすくなる。

数字で読む標準体重の内訳

標準域のBMIだった女性235人中62人:スロバキアの横断研究で正常体重肥満に分類された人数であり、日本の有病割合ではない。[12]

体脂肪率32.85%対24.08%:同研究の正常体重肥満群と比較群の平均値で、全員の目標値ではない。[12]

12週間、女性50人:食事のエネルギー量を揃え、たんぱく質の配分を比べた無作為化比較試験の期間と人数だ。[6]

除脂肪量の平均群間差1.5kg:その食事試験で高たんぱく質群が高かった差で、本人に約束された増加量ではない。[6]

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宮川涼 Founder

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