インテュイティブイーティングで体重はどうなるか 食事制限をやめた試験で動いたもの

空腹と満腹の合図で食べる直感的な食べ方と、体型を問わず健康を目指すノンダイエットの考え方。食事制限をやめた試験で体重はどう動いたのか、若い大人を5年追った研究、体への不満や体重への偏見との関係、断食を続けた側の記録までを、論文の数字で確かめる。

ダイエットをやめたら、体重はどうなると思うだろうか。

食べる量の決まりも、禁じる食べ物の一覧も手放して、体の空腹と満腹の合図を頼りに食べる。直感的な食べ方(インテュイティブイーティング)と呼ばれるこのやり方を聞くと、多くの人は、体重計の数字が少しずつ上がっていく場面を思い浮かべる。逆に、無理をやめれば自然に痩せていくと期待する人もいる。

この問いに近い試験の一つは、増えるとも減るとも答えなかった。体型を問わず健康を目指す取り組みの、手厚い形と従来の形を比べた7か月の無作為化比較試験では、肥満のある女性58人の体重もBMIも腹囲も、群の中でも群の間でも変わらなかった[15]。動いたのは、手厚い形の群の、食べることへの態度、自分の体の見方、体力、生活の質の数字のほうだった[15]。

ここでは、体重を物差しにしない食べ方が、体重と心の指標をそれぞれどう動かしたのかを、試験と長い追跡の研究から確かめる。味わいに注意を向ける食べ方の試験は「マインドフルイーティングは減量に効くのか 食べ方の変化と体重差を論文で読む」の記事に、我慢の傾向そのものは「抑制的な食べ方とダイエットの科学 我慢が先か体重増加が先か、続け方を見直す」の記事に任せる。

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空腹と満腹の合図で食べるとは、何をすることか

直感的な食べ方は、食べる量の調節を、体の生物学的な仕組み、つまり内側から来る空腹と満腹の合図に任せる考え方である[6]。体の中から生まれる空腹と満腹の感覚にもとづいて食べることと言い換えてもよい[3]。測る尺度の一つの面には、食べることを条件なしに自分に許すという項目も含まれている[18]。

この考え方が注目された背景を、2014年の総説が整理している[6]。肥満の治療では、食事と運動で体重を減らすことが第一の目標にされてきた。そうした介入で中くらいの減量が短い期間に得られる場合はあるものの、長い目で見た効果は少なくとも疑わしいと総説は書く[6]。制限の強い食事にもとづく減量は、健康や心の安らぎを損なうことと結びつく場合もあるという[6]。

そこで一部の研究者は、肥満の治療の焦点を、体重から健康そのものへ移すことを考えた[6]。その流れから生まれた枠組みの中で最もよく引かれるのが、「どの体型でも健康を(HAES)」という考え方で、直感的な食べ方はその中心に置かれている[6]。総説は、直感的な食べ方が体と心の多くの良い指標と結びつき、目立った悪い影響とは結びついていないことを挙げ、従来の減量の治療より、見込みがあり現実的な選択肢になりうると結論した[6]。

ただし、これは研究を集めて筆者が論じる型の総説で、試験の結果を統計でまとめたものではない。総説自身も、健康を中心にした介入の研究を広げる必要があると書いている[6]。考え方の筋は通っていても、体重と健康がどう動くかは、試験の数字で見ていく必要がある。

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「どの体型でも健康を」の試験で、体重は動かなかった

HAESは、体重を目標に置かず、さまざまな体の大きさの人に健康的な行動を促す取り組みである[15]。冒頭の試験は、この取り組みを手厚くした新しい形を、肥満のある女性で確かめたものだ[15]。参加者は2対1の割合で無作為に分けられ、39人が手厚くした取り組みに、19人が従来の形の取り組みに入った[15]。手厚くした群は、身体活動のプログラム、栄養の相談、考え方を深める講座の3つを組み合わせて7か月を過ごした[15]。

比べた相手は、体重を減らす治療ではなく、従来のHAESの取り組みだった。この点は読み方の前提になる。7か月の前後で、体重、BMI、腹囲、腰回りは、どちらの群の中でも、群の間でも、はっきりした差を示さなかった[15]。

変わったものもある。手厚くした群では、最大酸素摂取量(体が取り込める酸素の上限で、持久力の目安)と、時間を決めて椅子から立ち上がる試験の成績が、従来の群より伸びた[15]。食べることへの態度と食べ方は良くなり、体への態度を測る質問票のすべての項目と、体型の評価の点数も、群の中で良くなった[15]。生活の質はどちらの群でも高まり、体の健康、心の健康、生活の質と健康の全体の受け止め方では、手厚くした群のほうが伸びが大きかった[15]。

もう一つ、記しておきたい数字がある。手厚くした群の多くは、身体活動を日々の暮らしに取り入れている、あるいは取り入れるつもりだと答えた[15]。ところが、機器で客観的に測った身体活動の量は、群の中でも群の間でも変わっていなかった[15]。持久力は伸びたのに、測った活動量は動いていない。本人の実感と機器の記録が、別々の答えを出したことになる。

14本の論文をまとめた系統的レビューも、HAESにもとづく介入の効果を整理している[16]。心の指標と身体活動の指標には良い効果が見られ、食べ方の習慣にも行動や中身の面での変化が見られた[16]。一方で、心臓や血管に関わる指標、体の見え方の受け止め方、総エネルギー摂取については結果が一致しなかった[16]。レビューは、大きく長い試験がまだ足りないと結論している[16]。

制限をやめた試験で、体重はどう動いたか

直感的な食べ方を、食事の計画と直接比べた試験もある。肥満のある58人(84.5%が女性、84.5%が減量手術の候補者、平均40.5歳)を、一人ひとりに合わせた食事の計画を受ける群(18人)、直感的な食べ方の群(23人)、直感的な食べ方に栄養の指針を組み合わせた群(17人)に分けた6か月の試験だ[7]。参加者の平均BMIは48.3と高かった[7]。

6か月の後、直感的な食べ方の2つの群は、食事の計画の群と比べて、むちゃ食い、意識して食べる量を抑える傾向、気分で食べる傾向、抑えのきかない食べ方のいずれにも差を示さなかった[7]。体重とBMIにも、はっきりした差はなかった[7]。直感的な食べ方は、単独でも栄養の指針と組み合わせても、食べ方の大きな領域も体重も変えなかったと論文は結論している[7]。

ストレスを下げる方法と比べた小さな予備試験もある。米国ケンタッキー大学で、BMI30〜40の25〜65歳の33人を、直感的な食べ方の群と、ストレスを下げる方法を学ぶ群に分け、7週の介入と7週の追跡を行った[2]。14週の時点で、ストレスを下げる群は1.99kg、直感的な食べ方の群は0.48kg減っていたが、群の間の差は統計的に確かではなかった(P=.36)[2]。

直感的な食べ方とカロリー制限を比べた6週の予備試験もある[9]。参加者は持病のない、運動の習慣がない肥満の大人で、両群とも週3回30分の身体活動を行い、毎日の食事を記録した[9]。カロリー制限の群は試験を通して一定のペースで減り、直感的な食べ方の群は、中間の時点より終わりの時点のほうが減量が小さかったと報告されている[9]。著者は、体重の管理にはカロリー制限のほうが優れていると結論した[9]。ただし、結果を述べた数字の文は、どちらの群が多く減ったのかの向きが読み取りにくく、参加者の人数も示されていない。確かめられた結論というより、問いを立てた予備的な報告として読んでおきたい。

これらの試験のどれでも、制限をやめた群の体重が大きく増えたという結果は出ていない。

数字で読む直感的な食べ方

39人と19人:体型を問わない取り組みの手厚い形と従来の形に、2対1の割合で分けた群の人数[15]。

14本:HAESにもとづく介入をまとめた系統的レビューに入った論文の数[16]。

48.3:食事の計画と比べた6か月の試験の参加者の平均BMI。体重には差が出なかった[7]。

0.48kg:14週の予備試験で、直感的な食べ方の群が減った体重。ストレスを下げる群は1.99kgで、差は確かではなかった[2]。

1,660人:直感的な食べ方と、5年後の体重や食べ方の行動を追った若い大人の数[8]。

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宮川涼 Founder

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