プランクは体重の全部を腕で支える?手足に分かれる力とカロリーの読み方

プランクで腕が重く感じても、体重のすべてを腕だけで支えているとは限らない。手足に分かれる支え、腰や肩の働き、保持時間、消費カロリーを別の指標として読み解く。床反力を使った姿勢の比較研究と、励ましや音楽の実験から、きつさの数字を自分の練習でどう受け止めるかを考える。

マットに前腕と足先をつき、プランクの姿勢で体を浮かせる。お腹より先に腕が重い。これでは体重の全部を腕で持ち上げているのではないか。そんな疑問には、まず体を支える場所と、きつさを感じる場所を分けて答えたい。

足も床についたプランクを、腕だけで体重全部を支える運動として扱うのは適切ではない。姿勢と床から受ける力を調べた比較研究でも、プランクの保持時間の違いには、腰の姿勢や肩への要求が関係すると考察されている。腕の疲れを、そのまま腹筋の弱さに読み替える必要はない。[1]

また、腕にかかる重さ、腹筋の活動、続けられる時間、消費カロリーは同じ数字ではない。プランクを含む運動のエネルギーを調べた研究は、呼吸のガスや血中の乳酸を測っている。腕が重いという感覚だけから、消費カロリーを割り出すことはできない。[15]

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体重を支える力と、腕のつらさを分ける

ここでいう床反力とは、体が床を押すことに対して床から体へ返る力である。プランクと、座った姿勢で脚と上体を浮かせるV字保持を比べた研究では、男性10人と女性10人の姿勢および床反力を用いて、静止中の力のつり合いを解析した。見た目のきつさを採点するのではなく、体の位置と外から受ける力を組み合わせた比較である。男女を含む結果であり、18〜39歳の女性の荷重分配をそのまま代表する値としては扱えない。[1]

プランクでは、上半身側の支えだけでなく足側の支えも視野に入る。したがって、「腕がつらいから、体重全部が腕に載っている」とは判断できない。一方で、この比較研究を根拠に、誰でも体重の決まった割合を腕に載せると断定することも避けたい。研究の焦点は、プランクとV字保持で持続時間が強く対応しない理由を、姿勢と筋活動から考えることにある。[1]

日常の練習では、腕が気になる日もあれば、お腹を保つことが難しい日もある。その感覚を記録する意味はある。ただし、感覚の記録と荷重の測定は別だ。「肩が先につらくなった」は自分の状態を説明する言葉であり、「腕が体重のほとんどを支えた」という測定結果にはならない。研究でも、姿勢と床反力の解析とは別に、筋肉の電気的な活動を調べている。[1]

筋電図は筋肉が働く際の電気的な信号を捉える方法である。同じ研究では、別の男性15人と女性15人を対象に、腹直筋、内外腹斜筋、広背筋、背骨に沿う筋肉の活動を測った。お腹だけを調べず、胸側の背中や肩につながる筋肉まで含めたところに、この問いを考える手掛かりがある。この男女混合集団の結果を18〜39歳の女性だけに当てはめる際は、女性に限った比較結果と区別する必要がある。[1]

体を水平に保つという外見だけでは、どの部分がどのように仕事をしているかは決まらない。床に接する場所で受ける力と、体内で姿勢を保つ筋肉の働きは、関連しながらも違う観察対象である。この区別がないと、手足に分かれた荷重の話から、いつの間にか腹筋の効果の順位へ話が飛んでしまう。比較研究が両方を測ったこと自体が、指標を分ける理由になる。[1]

足を吊るす種目そのものの比較は、既存記事「プランクは足を吊るすと効果が増す?揺れる支点と腹筋の負担を研究で読む」に譲る。ここでは、支点を変えて難しくする方法よりも、支えの力を何の数字として読むかに焦点を置く。床で行う練習にも、数字の取り違えは起こり得る。

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腰の負担が似ていても、同じ試験にはならない

先の比較研究では、腰を曲げる方向に働く正味のモーメントに、プランクとV字保持の間で統計的な差は検出されなかった。モーメントとは、ここでは体を回転させる方向への力の働きである。ところが、V字保持ではプランクより腰の曲がりが28°大きかった。外から見た姿勢の違いは、解析でも確認された。[1]

この結果を「腰への負担が完全に同じだった」と言い切るのは行き過ぎである。差が検出されなかった指標は正味のモーメントであり、腰の姿勢そのものには差があった。ある指標が似ていたことと、体の使い方がすべて等しいことは別である。研究を読む際には、「どこが同じだったか」を、測った項目の名前まで戻って確かめたい。[1]

腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腰側の脊柱起立筋の活動にも、姿勢間の有意な差は検出されなかった。一方、胸側の脊柱起立筋と広背筋の活動はプランクの方が大きかった。お腹の活動に明確な違いが出なくても、背中側では違いが確認されたのである。[1]

著者らは、両種目の保持時間の違いは、腰の姿勢や肩への要求の違いに関係する可能性が高いと考察している。したがって、プランクが短時間で終わった人を、体幹を支える力全体が弱い人と決めつけることはできない。これは比較研究に基づく解釈であり、特定の肩の痛みの原因を診断した結果ではない。[1]

たとえばV字の姿勢では粘れるのに、プランクになると腕側が気になる場合である。この違いを、努力不足の一言で片付ける必要はない。研究が比較したのは、単に見た目の異なる腹筋運動ではなく、腰の位置や肩への要求が異なる保持課題だった。種目が変われば、記録を読む際の着眼点も変わる。[1]

ここで大切なのは、他人の記録より長いかを判定する前に、自分が何を測ろうとしているかを決めることだ。腕側の支えやすさを知りたいのか、決まった姿勢を保てるかを知りたいのか。それとも別の種目への変化を見たいのか。保持時間だけでは姿勢間の違いを十分に説明できなかったという研究結果は、測定の目的を先に置く読み方を促す。[1]

プランクの消費カロリーを荷重から計算しない

「プランク 効果 カロリー」と検索すると、時間と体重を入れて答えを知りたくなる。しかし、手足への荷重分配を調べる問いと、体が使ったエネルギーを調べる問いには、異なる測定が必要になる。姿勢の比較研究は床反力と筋活動を扱い、エネルギーの研究は酸素消費や乳酸を扱っている。測定器が違うのは、答えたい問いが違うからである。[1][15]

サスペンションという、器具で体の一部を支えるトレーニングを扱った無作為化試験では、健康な若い成人10人が、プランクを含む6種目を行った。同じ参加者が、各種目を30秒行う試行と45秒行う試行の両方を実施している。呼吸のガスを調べる装置、心拍計、血中乳酸の測定を使い、運動中だけでなく運動後のエネルギーも推定した。健康な若い成人の試験であり、18〜39歳の女性が床で行うプランクの消費量へ直接当てはめるには条件が異なる。[15]

種目全体では、運動強度の指標であるメッツは2.6〜3.7、最大心拍数に対する割合は52.3〜61.7%だった。これは試した複数種目を通じた範囲であって、床のプランク単独の値ではない。腕で支える感覚が似ていても、器具のある条件を、家のマットの条件へそのまま移すことはできない。[15]

また、この試験では種目によって生理的・代謝的な負荷に違いがあり、頭上へ動かす種目と片脚スクワットの負荷が大きかった。多くの種目では、30秒と45秒の試行で総エネルギー消費、メッツ、乳酸の差は小さかった。時間を延ばせば、すべての指標が同じ比率で増える、という単純な読み方にはならない。[15]

この研究の結果を見て、自分の床プランクの消費量を細かい桁まで決める必要はない。むしろ、消費エネルギーを知るには、種目、実施条件、測定の範囲まで確かめる必要があると受け止めたい。肩の重さをカロリーに換算する近道は、これらの測定を飛ばしてしまう。[15]

仕事帰りに短く運動した日、消費量の数字が出ないと何もしていない気になることがある。だが、保持の記録を残すことと、消費量を推定することは別の作業である。今の練習で確かめたいのが支えやすさなら、その問いに合った記録を選べばよい。エネルギー研究の数字を借りて、すべての練習に共通の点数を付ける必要はない。[1][15]

研究での総エネルギー消費には、運動後に余分に使う分も含まれている。マットの上で姿勢を保っている最中だけを切り取った値とは、集計の範囲が違う。この試験では運動後の分の寄与が、酸素を使う分や解糖系による分より大きかった。カロリーの数字を見る際は、動作の種類だけでなく、どこからどこまでを数えた数字かも確かめたい。[15]

数字で読むプランクの測定

姿勢と床反力の解析は男性10人・女性10人。筋活動の測定とは別の集団である。[1]

V字保持の腰の曲がりはプランクより28°大きかった。姿勢の違いを表す値である。[1]

励ましありの保持時間の中央値は125.9秒、なしでは97.0秒。筋電図に有意な差はなかった。[4]

器具を使った運動の試験は若い成人10人。床のプランクだけを評価した試験ではない。[15]

音楽のタイミングを比べた試験は12人。最初から聴く条件ではプランクの保持が延びた。[17]

男子大学サッカー選手17人の試験では、音楽や仮想現実による保持時間の有意な差はなかった。[20]

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