運動習慣は子どもが生まれると減る?親になる前後の余暇と総活動量を研究で読む

子どもが生まれてから運動の予定が消えたのに、毎日よく動いている。その違和感を、親になる前後を追った研究から読む。母親と父親、余暇の運動と軽い活動、座る時間を分け、長期的には活動が回復した研究の結果と、家族の生活に合わせて運動の枠を考え直す手がかりを示す。

寝かしつけが終わるころ、朝に用意した運動着が椅子に残っている。洗濯物を干し、子どもの着替えを探し、出かける前にまた荷物を詰めた一日だ。ようやく座ったとき、運動の予定だけが今日も残っている。動かなかった日とは、とても呼べない。それでも、以前のように自分のために体を動かす時間は見当たらない。

子どもが生まれる前後には運動が減る傾向がある。変化の方向は、母親と父親、活動の種類によって異なる。研究では、軽い活動が増える一方で中高強度の活動が減る例や、運動の変化と座る時間の変化が違う方向を向く例がある。[2][7][20]

したがって、考えたいのは「親になって怠けたか」ではなく、「どの活動が減り、どの活動が増えたか」である。体重だけでも、レッスンへの出席だけでも、暮らし全体の動きは読み切れない。[7][20] 通勤日の合図の作り方は既存記事「運動習慣は家と職場で同じように続く?通勤日の合図と自動性を研究で読む」に譲り、ここでは親になるという生活の移行に焦点を当てる。

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親になる前後は、同じ人を追って考える

親と子どものいない人をある時点で比べて、親の運動が少なかったとする。それだけでは、出産前からの違いなのか、親になった後の変化なのかを区別しにくい。今回中心に読むのは、同じ人の経過を追う縦断研究である。親になる前と後を測り、子どもがいないままの人の変化とも比べる研究なら、生活の移行を考える手がかりが増える。[2][16]

親になることを扱った系統的レビューでは、妊娠・親になる前と出産後の測定がある、対象年齢15〜35歳の縦断研究を集めた。採用されたのは11研究、論文としては15本である。身体活動について、親になった人でより大きく減ったのは、女性を扱う4研究中2研究、男性を扱う2研究中2研究だった。女性の結果はそろわず、男性については扱った研究の数自体が少ない。[2]

女性では、親になった人の減少が大きかった研究と、そうした差を認めなかった研究に分かれた。そこで次に見るのは、減少の有無だけでなく、妊娠中から産後のどこを測ったか、活動を頻度と時間のどちらで捉えたかである。[2][7][16]

以前のレビューは、独立した25集団の研究を整理し、親であることと身体活動の少なさとの関連を報告した。母親は一般に父親より活動が少なかった一方、子どもの人数や年齢、就業・婚姻状況との関連は一貫していなかった。横断研究や自己申告が多いという研究上の特徴もある。[4] 親という肩書きだけで、生活の負担や動ける条件を一括りにはできないのである。

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運動の時間が減っても、軽い活動は増えうる

「運動していない」と「体を動かしていない」は、子育て中には特に分けたい言葉である。妊娠12週、産後6週、産後6か月に初めて親になるカップルを測った前向き研究では、加速度計を使って身体活動と座位行動を調べた。女性では妊娠初期から産後6か月にかけて軽い活動が増え、座位行動が減った。男性では産後6か月に軽い活動が増え、中高強度の活動が減った。[7]

同じ人の中で、活動の種類が入れ替わる。日中に何度も立って動くことと、ある程度の強さで運動することは、記録上も同じ項目ではない。この男性の結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめることはできず、女性については同じ研究の軽い活動と座位行動の結果を読む。男性で観察された変化は、「動く時間が増えたのだから運動の時間も増えたはず」という推測が成り立たない具体例である。[7]

たとえば、外出の支度や家の用事に追われた夕方を想像したい。自分では忙しく過ごしたと感じても、走る時間やクラスへ行く時間は別に確保しなければならない。この場面は研究の数字をそのまま再現したものではなく、軽い活動と中高強度の活動を分けて考えるための例だ。忙しさを否定せず、失われた運動の種類を探せばよい。

この研究では、身体活動や座位行動の変化と、体格指数であるBMIの変化との関連は認められなかった。[7] 体重が変わったから活動量が下がった、変わらないから運動は足りている、と置き換えることもできない。日常の動き、運動の強さ、体重は、それぞれ別の欄で見るほうが研究の結果に沿っている。

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座る時間が減ることと、運動が増えることは別

オーストラリアの成人2,124人を対象とするコホート研究は、約5年間の家族の変化を調べた。開始時の平均年齢は31.7歳で、男性は47.5%だった。男女を含む集団なので、18〜39歳の女性には女性別の分析結果を対応させて読む。身体活動と座位行動について自己申告の情報があるのは、そのうち1,221人である。初めて子どもを持った女性は、子どもがいないままの女性に比べ、座る時間が1日103.8分少なくなる方向の差を示した。95%信頼区間は135.5〜72.1分の減少だった。[20]

一方、初めて父親になった男性では、総身体活動が週123.9分減る方向の差があった。ただし95%信頼区間は週248.8分の減少から1.1分の増加までで、差がない値も含む。減少の推定値だけを切り出して「父親になると毎週これだけ運動を失う」と断定するのは行き過ぎである。対象は初めて父親になった男性であり、18〜39歳の女性の総活動量にそのまま当てはめることはできない。[20]

同じ男性では、テレビを見る時間も1日27.0分減る方向の差があり、95%信頼区間は50.6〜3.3分の減少だった。[20] この父親の結果も18〜39歳の女性の変化を直接示すものではなく、座る時間と活動量を別々に測る意義を示している。テレビを見る時間と総活動量がともに減った点が鍵だ。リモコンを置いた先には、ランニングシューズより先に洗濯かごが待っている場合もある。

この違いは、記録の見出しを決めるときにも役立つ。「運動できたか」だけなら空欄になる日も、「日常で動いた場面」「座っていた場面」「自分で選んだ運動」に分ければ、何が変わったかを書ける。これは活動を細かく採点するためではなく、次に取り戻したいものが歩く機会なのか、余暇の運動なのかを言葉にするための整理である。

父親の余暇も、出産の前後で変わる

英国の出生コホートでは、30歳と34歳の身体活動を調べた。親になることの分析対象は3,833人で、余暇の身体活動に参加する頻度を自己申告で尋ねている。子どもがいないままの人に比べ、父親になった男性では参加頻度がより低下していたが、女性では同様の関連は認められなかった。30歳から34歳の男女を比べた結果であり、父親の減少を18〜39歳の女性全体の変化にそのまま当てはめることはできない。[16]

この結果は「父親のほうが母親より運動が少ない」という順位表ではない。見ているのは、もとの水準そのものではなく、親になる前後の変化である。母親の活動水準が父親より低いというレビューの傾向と、父親になった男性の減少が大きいという縦断研究の結果は、違う問いへの答えなので、両立しうる。[4][16]

スウェーデンで初めて親になる918組の異性カップルを追った研究では、妊娠約19週から産後1年までの余暇活動を調べた。母親は父親より運動する頻度が低く、経過の中では父親の運動頻度が低下した。カップル内で活動頻度には正の相関があったが、時間とともに起こる変化の多くは互いに関連していなかった。[8]

家族として同じ出来事を経験しても、それぞれの余暇には別の変化が起きる。片方が運動を再開したから、もう片方も戻れるはずだとは考えないほうが、この結果に合う。[8] 一緒に運動する案を話す前に、それぞれが以前どの時間に何をしていたかを聞く。家族の予定表に、本人の予定が見えているかを確かめたい。

測定方法の違いにも注意したい。英国の研究が扱うのは余暇の活動に参加する頻度であり、家事や移動まで含めた総活動の分数ではない。30歳から34歳の男性で示された回帰係数は−0.234、95%信頼区間は−0.396〜−0.072だった。この値は参加頻度の尺度上の差であり、運動時間の減少率や分数への換算にも、18〜39歳の女性の減少量の推定にも使えない。[16] 数字の単位を外して大小だけを比べると、違う予定表を重ねてしまう。

対して、カップルを加速度計で測った研究は、同じ生活の中の活動を強さ別に追っている。さらに、その基準となる時点は妊娠12週であり、妊娠前のいつもの生活と同じではない。[7] 「産後は増えた」という結果を読むときも、何と比べて増えたのかまで添えたい。妊娠初期からの増加と、親になる前の運動時間が取り戻されたことは、同じ話ではない。

また、オーストラリアの分析は、開始時の活動などに加えて年齢、教育、追跡期間、ほかの生活の移行を調整した比較である。[20] 単に出産前の分数を出産後の分数から引いただけの数字ではない。日常で使うなら研究の平均を自分の予定に割り当てるより、比較の仕方を借りるほうがよい。以前と今で、同じ種類の活動を比べているかをまず確認するのである。

数字で読む親になる前後の活動

11研究:親になる前後のBMI、食事、身体活動を扱った系統的レビューの採用研究数である。[2]

4研究中2研究:女性で、親になった人の身体活動がより減った研究の数。結果は一様ではない。[2]

産後6か月:男性で軽い活動の増加と中高強度の活動の減少が観察された測定時点である。[7]

1日103.8分:初めて母親になった女性で、子どもがいないままの女性より座る時間が少なくなる方向に出た差である。[20]

918組:妊娠中から産後1年まで、カップルの余暇活動を追ったスウェーデンの研究対象である。[8]

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