睡眠時間を削って運動するなら早起き?夜更かしとの違いと翌日に出せる力を読む

睡眠時間を削って運動するとき、早起きと夜更かしでは翌日に出せる力が同じとは限らない。夜の前半と後半を削った比較研究を軸に、運動の時刻、種目、きつさと成績のずれを読む。朝なら安心と決めず、眠る時間を確保しながら予定を組み直すための判断材料を整理する。

目覚ましを早めて運動するか、帰宅後の運動で寝る時刻が遅くなるか。枕元で目覚ましを設定し直すと、どちらも「眠る時間から借りる」案に見える。しかし、夜のどこを削ったかによって翌日の成績が異なる研究がある。競技者の研究では、夜の後半を削った条件の影響が、前半を削った条件より大きい傾向だった。[5][13]

ただし、これを「早起きは悪く、夜更かしならよい」という時刻表に置き換えることはできない。睡眠不足の影響は、運動する時刻や種目でも変わる。競技者のメタ分析では午後の成績への影響が朝より大きいとされる一方、個別の朝の運動試験には成績が変わらなかったものもある。[5][14]

ここで考えるのは、朝と夜のどちらが一般に優れているかではない。運動枠をつくるために睡眠を削るとき、何を同じ条件とみなし、何を分けて判断すべきかである。持久力一般の話は既存記事「睡眠不足で運動パフォーマンスは落ちる?有酸素運動の持久力ときつさを読む」に譲り、この記事では削った時間帯と、運動まで起きて過ごす時間に焦点を絞る。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

同じ寝不足でも、夜のどこを削ったかを分ける

睡眠を短くする方法には、床に入るのを遅らせる方法と、起床を早める方法がある。前者は夜の前半を、後者は夜の後半を削る条件に対応する。ただし日常の夜更かしや早起きには、仕事、食事、移動なども一緒についてくる。研究で睡眠条件を変えた比較と、生活の予定を丸ごと変えることを区別して読む必要がある。[13]

直接の比較として参考になるのが、男性テコンドー選手10人を対象にした試験である。通常の睡眠、夜の前半の部分的な睡眠不足、夜の後半の部分的な睡眠不足を、順序を調整して経験してもらった。条件の間には36時間以上の回復期間を置き、翌日の夕方に、走る動作と回復を繰り返す間欠的な走行テストを行った。男性競技者の比較なので、18〜39歳の女性の日常的な運動に同じ差を当てはめるには検証が必要だ。[13]

測ったのは、テストで走れた総距離、最大心拍数、血中乳酸、本人が感じるきつさである。睡眠を削った両条件で走行成績は通常睡眠より低く、低下は夜の後半を削った場合により大きかった。つまり、この試験で「睡眠不足」という札だけを付けると、条件間の違いを見落とす。[13]

大切なのは、これは翌日の夕方の、競技者による間欠的な運動の結果だという点だ。出勤前の散歩、昼のストレッチ、夜のヨガまで一律に同じ差が出ると考えるのは飛躍になる。対象と課題をそろえて読むからこそ、早起きで睡眠を切り上げた日の夕方に、高い出力を当然のように要求しないという判断につながる。[13]

ここでは、夜の後半を削った条件で成績がより低かったという結果までを受け取る。そこから特定の睡眠段階の不足が原因だったと決めつけたり、「この時刻以前に起きると力が落ちる」という境界線を引いたりはしない。この比較の意味は、起床時刻を早める案にも負担があり得ると気づくことにある。[13]

日常の予定に置くなら、早朝に運動し、そのまま仕事をして、夕方にも運動する日を想像すると分かりやすい。朝の運動枠だけを見れば予定は収まる。しかし、夜の後半を削ってから夕方の運動までを続けて見ると、別の問いになる。朝に予定を達成したことと、夕方に同じ力を出せることは、同じ成績表ではない。[5][13]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

朝と午後の差は「朝なら睡眠を削ってよい」を意味しない

競技者の急な睡眠不足を扱った2024年の系統的レビュー・メタ分析は、27報の75指標をまとめている。メタ分析とは、複数の研究の結果を統計的に合わせて、全体の傾向を調べる方法である。この分析では運動成績全体への効果量は−0.56で、睡眠不足による低下の方向だった。夜の後半を削る部分的な睡眠不足の影響が、より顕著とされた。対象は競技者であり、18〜39歳の女性全般に同じ効果量が当てはまるかは別に確かめる必要がある。[5]

効果量は、測定方法の違う成績を比較するための尺度であり、そのまま低下率ではない。−0.56を「力が56%落ちる」と読むことはできない。また、走行距離、速度、技術課題などを一緒に扱った結果を、そのまま自分の運動時間に換算することもできない。数字は全体の方向を知るために使う。[5]

運動の種類別では、高強度の間欠運動の効果量が−1.57、有酸素持久力が−0.54、瞬発的な力を扱う指標が−0.39だった。高強度の間欠運動とは、強い運動と回復を繰り返す形である。同じ睡眠不足でも何を測るかで影響の大きさが違い、「今日は体力があるか」という問いだけでは粗すぎることが分かる。[5]

この分析はさらに、睡眠不足後の午後の運動成績が、朝より不利な傾向を示した。ここから得られるのは、寝不足のまま夕方まで過ごした後の高い出力には注意を向ける、という読み方だ。起床をさらに早めて眠る時間を削ればよい、という介入を保証する結果ではない。研究で比べた時間帯と、自分で新たに削る睡眠は別の条件である。[5]

筋力と睡眠を扱った2018年の系統的レビューでも、長時間起き続ける前にトレーニングすることが、対応策の候補に挙げられている。ただし採用された17研究の質の評価は中程度または低いものだった。候補があることと、誰にでも最適な運動時刻が決まったことは同義ではない。[8]

たとえば、昨夜すでに寝るのが遅くなった場合と、明日の朝の運動のために今から起床を早める場合では、判断する場所が違う。前者は起きた後の予定をどう調整するか、後者は睡眠を新たに削る予定をつくるかという問題だ。朝の成績が比較的保たれたという結果を、後者の理由に使うと、守りたかった睡眠が予定表から消えてしまう。[5][8]

きつさが変わらなくても、出せた力は同じとは限らない

先ほどのテコンドー選手の試験では、走れた距離が下がった一方、最大心拍数と主観的なきつさには通常睡眠との有意な差がなかった。主観的なきつさとは、本人が運動をどれくらい大変と感じたかという評価である。本人の感覚がいつも通りでも、走れた距離は短くなっていた。[13]

これは「感覚を信用するな」という話ではない。感じ方と外から測れる成績は、異なる情報を持っているという話だ。息が上がる程度が似ていても、走れた距離が短ければ、同じ出力を保ったことにはならない。反対に、きつさが増えていても、その場の回数は維持できる場合がある。どちらか片方だけを合格印にしない読み方が必要になる。[6][13]

後者の例が、筋力トレーニング経験のある18〜35歳の健康な女性10人による無作為化クロスオーバー試験だ。同じ参加者が、床にいる時間を5時間とする9夜の睡眠制限と、7時間以上とする通常条件を経験した。それぞれの期間に筋力トレーニングを4回行い、運動量だけでなく、重りを持ち上げる速さも調べている。[6]

睡眠制限による総負荷量の減少は1%未満と小さかったが、下半身の複数の関節を使う種目では、セット中の平均挙上速度が最大15%遅くなった。運動後の主観的なきつさも11%高かった。同じような量を終えていても、動作の速度と体内で感じる負担は変わっていたのである。[6]

この女性の研究は、夜の前半と後半を直接比べた試験ではない。だから、早起き側だけが不利だったという根拠には使えない。一方で、睡眠不足の日の点検を「予定の回数ができたか」で終えない理由にはなる。寝不足でも予定表のチェック欄は埋まる。重りの動く速さまでは、その欄に印刷されていない。[6]

早起きで運動する人なら、起床時刻と運動開始時刻だけでなく、その日に動作がどう感じられたかも残すとよい。夜に運動する人なら、勤務後の運動を終えた事実だけで満足せず、いつもより同じ動きが重かったかを振り返る。これは研究の測定機器を再現する方法ではなく、量ときつさを分けて扱うための記録の工夫である。[6][13]

女性の試験でいう総負荷量と挙上速度は、同じものを別の言葉で呼んだ指標ではない。研究では量を示す指標の変化が小さく、速度を示す指標の変化が大きかった。この区別を生活で使うなら、運動を終えたかどうかという達成の記録に、動きの様子という観察を添える。達成を取り消すためではなく、次回の予定に必要な情報を残すためだ。[6]

女性の試験では、背中に重りを担ぐスクワットで、セット内の挙上速度の低下も睡眠制限下で最大7%大きかった。セット全体の平均速度だけでなく、繰り返すうちに速度が落ちる程度にも違いが出た。同じ回数を終えたという記録では、この途中の変化を捉えきれない。なお、下半身の多関節種目で見られた平均速度の低下は、上半身の多関節種目では認められなかった。睡眠制限の影響は、この試験の中でも部位と指標によって異なった。[6]

さらに同試験では、トレーニングに伴う総合的な負担の評価が84%増加した。これは運動後のきつさが11%高かったという結果とは別の指標である。総負荷量、動作速度、運動後のきつさ、日々の負担を並べることで、完遂した運動量だけでは見えない変化を確かめていた。対象は筋力トレーニング経験があり、月経周期が正常な18〜35歳の女性だ。これから運動を始める人の低下率を予測する数字ではなく、経験者でも量と負担の評価が分かれた結果として読む。[6]

数字で読む睡眠の削り方と運動成績

27報・75指標:競技者の急な睡眠不足をまとめたメタ分析の規模である。[5]

−0.56:運動成績全体への効果量であり、百分率の低下を意味しない。[5]

10人:夜の前半と後半を削り、翌夕の間欠的な走行を比較した男性選手の人数である。[13]

9夜・床にいる時間5時間:女性の筋力トレーニング試験の睡眠制限条件である。[6]

1%未満と最大15%:同試験での総負荷量の減少と、下半身種目の平均挙上速度の低下である。[6]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

1

2

Warning: Attempt to read property "show_author" on false in /home/c1531448/public_html/ontheshore.jp/wp-content/themes/heal_tcd077/single.php on line 165

関連記事

ご体験予約