間食は退屈なほど増えやすい?ストレスとは違う手持ち無沙汰と食べる量を読む

間食の癖を治すには、空腹だけでなく退屈にも目を向けたい。実験と日常生活の追跡研究から、退屈、食べたい気持ち、実際に食べる量、食後の気分を分けて読む。ストレスとの違いや、食べれば気分が晴れるとは限らない理由を確かめ、手持ち無沙汰な時間と食べ物の置かれた環境を見直す手がかりを探る。

開けた菓子袋を机に置いたまま、夕食までの時間を持て余す。次にやることを決めるより先に、また袋へ手が伸びる。そんな間食を、すべて空腹や強いストレスのせいにする必要はない。退屈を誘発した実験では、悲しさを誘発した場合や中立の条件より、ポテトチップスを多く食べた。[1]

答えの芯は、退屈と間食の結びつきを、食前と食後に分けて見ることだ。日常生活を追った研究では、退屈の後に間食が増える関連が見つかった一方、間食後に気分が一様によくなるわけではなかった。食べたい気持ちと、実際に食べる行動にも違いがある。[1][2]

ここで考えるのは、間食を全面的にやめる方法ではなく、手持ち無沙汰な場面で袋に手が伸びる流れである。既存記事「ストレスで食べてしまう仕組みと対処法 コルチゾールだけでは語れない食欲」にストレス全般の話を譲り、退屈の前後に何が起こるかを読む。

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退屈は悲しさと同じ食べ方を生むのか

感情的摂食とは、感情と結びついた食べ方を指す。ところが、不快な感情をひとまとめにすると、退屈の特徴が見えにくくなる。退屈、悲しさ、中立の条件を比べた研究は、この違いを直接確かめた点に意味がある。[1]

この実験では、参加者142人を各条件に無作為に割り付け、感情を誘発する映像を見ながら食品の味を評価してもらった。退屈の条件では、悲しさの条件と中立の条件の両方より、ポテトチップスの摂取量が有意に多かった。しかも、その違いは最初の味見の後に現れた。単に最初から食品へ手を伸ばすかどうかだけでなく、食べ始めてからの続き方にも注目したい結果である。[1]

「有意に多い」は、比較に統計的な差が認められたという意味だ。この結果を、家庭でも一定量だけ余計に食べる、あるいは将来の体重が一定幅増えるという数字に置き換えることはできない。実験が示したのは、その場で設定された条件の間に摂取量の差が生じたことである。[1]

たとえば、帰宅後に時間が余り、袋を開けてから何となく食べ続けた場面を思い出すとよい。最初に食べた理由と、続けて食べた理由は同じだっただろうか。この問いは、実験で差が現れたタイミングに沿った振り返りである。最初の味見が同じでも、その後の量が違いうるという結果は、「口にした時点でもう失敗」という見方を取らなくてよい手がかりになる。[1]

一方、この実験から、あらゆる食品で同じ差が出ると広げることもできない。読者の台所にある物と、味を評価する課題で提示された物は同じ条件ではない。研究結果を暮らしへ移すときは、「退屈は食べ方に関係しうる」という芯を残し、食品や状況の違いまで消してしまわない読み方が必要だ。[1]

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日常でも、退屈の後に間食は増えていた

実験室で起きたことが、日常生活でも見られるか。その点では、生態学的瞬間評価という方法が役に立つ。生活の中で、その時々の気分や行動を繰り返し尋ねる調べ方である。後になって「普段どう食べるか」をまとめて答える質問とは、時間の扱いが違う。[1][2]

健康な801人を対象とする研究では、9つの研究から得られた4万件を超える回答を解析した。退屈が強いことの後に、間食が多くなる関係が見つかった。参加者の数だけでなく、気分と間食の前後を繰り返し調べた点が重要である。これは時間的な前後関係を調べた観察研究であり、原因の特定とは区別する。[2]

同じ研究では、食べ方の傾向を尋ねる質問紙が、他の多くの感情と間食の関係を有意に変えるとは示されなかった。著者らは、質問紙が食べたい欲求の傾向を捉えても、実際の間食には内外の条件が関わると論じている。「自分は感情で食べるタイプ」と答えることと、今日その場で食べたことを同じ情報にしない方がよい。[2]

この区別は、仕事の空き時間にも当てはめて考えられる。食べたいと思ったが会議に入った、食べ物がなかった、逆に目の前にあった。同じ気分でも、行動に至るまでの状況を記録する余地がある。これは研究で効果が確かめられた対処法の提示ではなく、気分だけで行動の全部を説明しないための観察の仕方である。[2]

別の研究では96人が7日間、毎日4回、退屈、食べたい気持ち、間食について回答した。実験の結果に加えて、生活の中でも退屈と間食の結びつきが示された。ただし、人同士を比べると、全体に退屈が強い人ほど食べたい気持ちは有意に強かったものの、間食の多さとの関連は境界的だった。欲求が強いことと、量が明確に多いことを混同できない。[1]

無作為に条件を分ける実験と、普段の生活を追う調査には、それぞれ役割がある。前者では、退屈を誘発する条件を設定して摂取量を比較できる。後者では、生活を続けている人の気分と行動の順序をたどれる。同じ問いに別の方法から近づき、似た方向の関係が見えた点は手がかりになるが、生活の調査が示すのは日常での関連である。[1][2]

また、生活内研究の回答件数と参加人数も別物である。回答が多いのは、同じ参加者が繰り返し答えているからだ。大きな回答数は時間の動きを見る材料になる一方、その数だけ異なる人の経験を集めたという意味ではない。誰を何度調べたかを並べて読むことで、身近な経験への当てはめ方も落ち着く。[1][2]

食べたい気持ちと食べた量を分ける理由

食べ物への強い欲求は、食物渇望とも呼ばれる。古い研究だが、この欲求と気分の関係を分けて調べたものがある。女性206人の質問紙では、食物渇望と食事を制限する傾向の関係は弱く、食べ物など外部のきっかけに反応する傾向、感情的な食べ方、空腹への反応のしやすさとは強い相関があった。[9]

さらに、渇望をよく経験する女性10人と、ほとんど経験しない女性10人が、食事、気分、欲求の記録をつけた。渇望をよく経験する側では日中の退屈や不安の評価が高く、欲求の前に不快な気分が目立った。しかし食行動の違いは少なく、日々のエネルギー摂取量がやや多い傾向にとどまった。小規模な比較であり、欲求の強さがそのまま大量の摂取を意味する結果ではない。[9]

食べ物の画像への反応を調べた実験も、この距離を考える材料になる。個人に合わせて不快な感情を誘発し、食品画像への評価、食べたい気持ち、表情に関わる筋肉の反応、脳の電気的反応を測定した。感情的摂食の傾向が強い人では、不快な感情の条件で食品への評価や表情の反応が相対的に高まった。[6]

食事制限の傾向がある人には、食品に注意が向くことを示唆する脳の反応も認められたが、その違いが他の指標すべてへ現れたわけではなかった。画像を魅力的に感じること、注意が向くこと、食べたいと思うこと、実際に口にすること。それぞれは研究でも別に測られている。[6]

だから、家で振り返るときも「お菓子のことを考えた日」を「食べすぎた日」に数え直す必要はない。欲求の記録と行動の記録を分ける方が、これらの研究が扱った違いを保てる。頭の中のお菓子まで、食べた袋として数えなくてよい。[2][6][9]

質問紙で尋ねる「普段の傾向」は、特定の場面の記録とも区別したい。女性を対象とした研究で食物渇望と感情的摂食に強い相関があっても、その情報だけで、ある日の退屈から間食までの順序は決まらない。逆に、生活内の追跡で順序が見えても、その人の食べ方を固定した性格として分類する必要はない。研究の単位が違うのである。[2][9]

たとえば「退屈だった」「食べたいと思った」「食べた」のうち、どこまで経験したかを区切って振り返ると、同じ間食の悩みでも内容が変わる。欲求があったが食べなかった場面も、食べたが欲求を強く感じなかった場面も、ひとまずそのまま残す。答えを先に決めないことが、欲求を行動と区別した研究の読み方につながる。[2]

数字で読む退屈と間食

142人:退屈、悲しさ、中立の条件に無作為に割り付けた食品評価の実験。[1]

801人・4万件超:日常の感情と間食の前後関係を解析した回答規模。[2]

96人・7日間:毎日4回の回答で退屈と間食を追った生活内の研究。[1]

206人:食物渇望と食べ方の傾向の相関を調べた女性の人数。[9]

360人:退屈の変化と、退屈を理由に食べる変化を分けて比較した米国成人の調査。[10]

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