キックボクシングの体つきは骨の太さでも違う?筋肉量と骨格の寸法を読み分ける

キックボクシングを続けた人と自分の体つきを比べ、骨格の違いが気になったときに。成人女性の手首の幅、男性の骨盤幅、体組成の推定研究から、骨の寸法と筋肉量が関連することと、運動で変わることを区別する。写真や体重だけで成果を決めず、研究の対象と測定方法まで確かめる読み方を示す。

グローブを外して隣の人と並ぶと、腕の輪郭だけでなく手首の幅も違って見える。「同じ練習をしたら、あの体つきになるのだろうか」。検索した選手の写真を、自分の将来の完成図にしたくなることがある。

骨格の寸法と、脂肪を除いた体の量には関連がある。成人女性を調べた研究では手首の幅が除脂肪量や握力と関連していた。ただし、それはキックボクシングで骨が太くなる、同じ体型になるという証拠ではない。[1][8]

この記事で分けたいのは、もともと人の間にある寸法の違いと、本人の中で起きた変化だ。男性の写真を目標にする場合も、女性同士を比べる場合も、この区別が出発点になる。骨格から体重を推定する研究と、運動後の筋肉の増加を調べる研究では、答えられる問いが違う。[12]

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手首の幅と筋肉量は、同じものではない

ポーランドの農村に暮らす閉経前の健康な女性123人、年齢18〜46歳を対象にした観察研究がある。身長や体重、体脂肪などを測り、骨格の大きさの指標として手首の幅を使った。日常的な活動の代わりの指標には握力を用いている。結果は、手首の幅が体の大きさ、除脂肪量、握力と関連するというものだった。[1]

除脂肪量とは、体の重さから脂肪の分を除いた量を指す。ここで大切なのは、「筋肉だけの重さ」と同じ意味に置かないことである。若い男性競技者の研究でも、筋肉そのものの測定ではなく除脂肪量の推定を目的に、骨の幅や周径、皮下脂肪の厚さが組み合わせられている。男性競技者向けの推定方法を18〜39歳の女性にそのまま当てはめることはできない。[15]

手首が広い人ほど除脂肪量が多い傾向があっても、手首の幅を見れば筋肉量が分かるとは限らない。この女性の研究が示したのは集団の中の関連であり、ある人の手首を一定量太くすれば、筋肉が一定量増えるという関係ではない。キックボクシングを始める前後を比較した試験として読むこともできない。[1]

隣の人の前腕がしっかり見えるとき、練習歴だけで説明を終えないようにしたい。そもそもの体の大きさと手首の幅にも関連があったからだ。逆に、手首が細く見えることを、筋肉が育たない証拠にするのも飛躍になる。関連を見つけることと、その人の将来の変化を予測することは別の仕事である。[1]

研究で握力を日常活動の指標にした点にも注意がいる。握力を測ったからといって、パンチの強さを測ったことにはならない。自分の疑問が「見た目」なのか「力」なのか「技術」なのかを先に決めると、同じ研究結果にいくつもの役目を背負わせずに済む。この研究を使えるのは、手首の幅と体の量や握力に関連があったという範囲だ。[1]

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「骨が太い」と「骨が丈夫」は読み分ける

先ほどの女性の研究は、手首の幅だけでなく、前腕の橈骨とすねの脛骨について超音波を使った評価も行っている。骨の皮質部分の状態を、音が伝わる速さを用いて調べたものだ。手首の幅を測ることと、骨の内部に関わる指標を測ることを別々に実施している。[1]

前腕側の音の速さは、体の大きさ、日常的な使用の指標、生活歴の項目と関連しなかった。一方、すね側の音の速さは身長と関連した。手首の幅に見られた関連を、そのまますべての骨の測定結果へ移せるわけではない。外側の寸法と内部の評価をひとまとめにすると、この違いが消えてしまう。[1]

「手首がしっかりしているから、骨の状態もよいだろう」と写真で判断したくなるが、そこで測定対象がすり替わる。幅は幅であり、骨の状態を評価する指標には別の測り方がある。この研究でも前腕とすねで結果が同じではなかった。見える場所の印象を、全身の骨の成績表として使うことは避けたい。[1]

また、身長を調整した分析では、手首の幅と年齢に正の関連があった。だから「大人の骨格はどこも一切変わらない」と断言するのも適切ではない。ただし、年齢との関連があったことを、運動で短期間に骨の幅を変えられるという話へ置き換えることはできない。[1]

キックの練習後にすねを眺め、「骨まで変わってきた」と感じても、感覚と測定を分けておこう。骨の幅の変化を確かめたいなら、その問いに合った測定と時間を追った比較が必要になる。成人女性の集団で見つかった関連は、打撃による骨の変化量や、練習の安全性を保証する数字ではない。[1]

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骨格の違いには遺伝との関連もあるが、完成図にはならない

成人の身長に関する遺伝学研究では、12,611人を調べ、さらに7,187人で結果を検証している。ゲノム全体、つまり遺伝情報の広い範囲を調べた解析で、身長と関連する17の領域が見つかった。体幹の長さ、股関節周辺の寸法、大腿骨の長さといった骨格の要素についても関連を検討している。成人の身長を扱う研究であり、18〜39歳の女性の運動による変化を直接予測するためには使えない。[8]

この研究から読めるのは、体の縦の寸法を構成する部分にも、遺伝情報との関連があるということだ。身長だけをそろえて人を比較しても、体の各部分の寸法まで同じと仮定する必要はない。ただし研究者は、身長に関わる領域がどの部分へ優先的に影響するかについて、より大きな集団での検証が必要としている。[8]

遺伝との関連を知ると、「骨格で全部決まっている」と結論を急ぎやすい。しかし、身長や骨の長さに関する関連と、運動による筋肉量の変化は同じ問いではない。この研究の人数が多いことも、そのままキックボクシング後の体つきの予測精度にはならない。大きな研究でも、測っていない変化の保証書には使えないのである。[8]

選手の写真を保存するときは、好きな動きや雰囲気を参考にするのか、骨の寸法まで一致させたいのかを分けてみる。研究が扱ったのは身長と骨格の構成要素であり、その写真の人物に似せるトレーニング計画ではない。体の寸法に個人差があるという理解を、練習する価値の有無へ結びつける必要はない。[8]

既存の「キックボクシングに向いてる体型はある?腕の長さと届く距離を写真で決めない理由」では、腕の長さと距離の問題を扱っている。ここでは競技への向き不向きを選別せず、体つきを説明するときに骨格の寸法と体組成をどう区別するかに焦点を置く。

男性の体型変化も、体重と骨盤幅だけでは決まらない

男性を中心に、身長と骨盤の左右の幅から体重を推定する方法を検討した研究がある。文献の身体計測データと骨標本のデータを使い、年齢による寸法や体組成の違いが、推定の正確さにどう関わるかを調べている。キックボクシングのトレーニング試験ではなく、骨格から体重を推定する方法の研究である。男性中心の年齢傾向を18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには、女性での検証が必要だ。[12]

この研究では、除脂肪量は思春期から成人初期に増え、30〜40代ごろまでの経過を経て、40代後半〜50代初めに減少へ向かう一般的な傾向が整理されている。脂肪量は50代半ばまで増え、その後減る傾向がある一方、より活動的な伝統的社会では成人期を通じて減る場合もある。体重はそれらの量を合わせた結果になる。[12]

さらに、年齢に伴う骨盤幅の増加が身長の低下を上回るため、骨格寸法から推定した体重が成人期を通して増える方向に偏るという問題が示された。実際の体重の年齢変化とは形が異なるので、推定に偏りが生じる。骨格を測れば体重の中身まで一意に決まる、というほど単純ではない。[12]

男性の体型変化を検索して、若い選手と今の自分を比べるときにも、年齢と体組成の違いを忘れたくない。ただし、ここでの年齢傾向は各個人の予定表ではない。「この年代だから筋肉は必ず減る」「骨盤幅から練習の成果が分かる」と読むための研究ではなく、推定値に入り込む条件を知るための研究だ。[12]

中央線の車内で見た写真と、自宅の体重計の表示は、そもそも同じものを測っていない。体重を比較する話に、骨盤の幅や除脂肪量の話を混ぜるなら、それぞれを区別しておく必要がある。骨格に基づく体重推定にも年齢による偏りがあるという結果は、外見から数字を言い当てる自信を少し控えめにしてくれる。[12]

数字で読む骨格と体組成

123人:手首の幅と除脂肪量や握力の関連を調べた、閉経前の健康な成人女性の人数である。[1]

12,611人と7,187人:身長の遺伝学研究における最初の解析と追加検証の人数であり、運動介入の人数ではない。[8]

41人:除脂肪量の推定方法を比較した若い男性サッカー選手の人数である。[15]

91%:その選手集団の新しい式が説明した、基準測定による除脂肪量のばらつきの割合である。[15]

600人:インドネシア成人の体脂肪率推定式を開発・検証した対象者数である。[18]

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