夕方に脚が張るとき、運動は何を変えられるのか。短い歩行、スクワット、足首の動き、座る姿勢の切り替えを論文で比べる。座り仕事と立ち仕事で試された時間と頻度、むくみを抑えることと戻すことの違いを示し、太ももの脂肪減少とは分けて、仕事の合間に続ける方法を考える。
朝は気にならなかった靴下の跡が、仕事を終えるころには深く見える。脚の張りを感じたとき、帰宅後の運動を増やすべきか、それとも仕事中の動き方を変えるべきか。
座り仕事なら、まず候補になるのは短い歩行で座りっぱなしを中断する方法だ。平均年齢21.0歳の過体重・肥満の男性18人を対象とした試験では、45分ごとに3分歩く条件で、座り続ける条件より下腿の体積増加が小さかった。下腿とは膝から足首までの部分である。女性への効果量はこの試験では未検証で、休憩の取り方の候補として読む。[2] 立ち仕事では、足首や股関節を短時間動かす方法も試されている。[9]
夕方の張り対策は、夜の頑張りより仕事中の中断から。 今回の論文では、むくみが増える途中に動く試験と、増えた後に戻す試験で、結果の出方が異なるからだ。[2][6][7] 太もも痩せを考える連載だが、ここでは脚の脂肪ではなく、同じ日の脚の腫れや張りを扱う。
この記事は連載『太もも痩せの科学』全5回の第3回。前の回:太もも痩せの科学 第2回 スクワットで下半身の筋肉と脂肪はどう変わるか次の回:太もも痩せの科学 第4回 走ると脚は太くなるのか 女性の筋肥大の実際

座り仕事なら、短い歩行を途中に入れる
具体的な出発点になるのは、18人の過体重・肥満の男性が参加した、ランダム化クロスオーバー試験である。同じ参加者が条件を変えて試す方式で、座りっぱなし、まとまった歩行、こまめな歩行、こまめなスクワットを比較した。平均年齢は21.0歳、平均の体格指数は28.8だった。[2]
実験は8.5時間の座位を含む。こまめな歩行は時速4kmで3分間、45分ごとに合計10回行った。スクワットも3分間を45分ごとに10回挟んだ。歩行条件では座りっぱなしと比べて、下腿の体積変化が70.34ml小さく、スクワット条件では62.49ml小さかった。いずれも統計的に有意な差である。[2]
数字は実験前後の体積変化を条件間で比べた差で、座りっぱなしによる増加を抑えた程度を示す。比較の相手はいずれも座りっぱなしの条件である。[2]
仕事に取り入れるなら、休憩のたびに短く歩く場所を先に決めておく。机から離れる用事を休憩に組み合わせる、歩ける通路を確認する、といった準備なら特別な器具を要しない。研究に沿った時間の候補は45分ごとに3分だが、職場で実施できる範囲を考えて選ぶのである。[2] 合間の歩行は仕事中の静止時間を区切るために使う。ここで狙うのは、座位を連続させないことだ。
この試験では太ももの筋活動も測った。筋肉が活動していた時間が長いことと、下腿のむくみが少ないことには関連があった。[2] 筋肉を使う時間に注目した結果であり、実際に座位を中断する行動を予定に入れるのが、試験の方法に近い。
短い歩行とスクワットという身近な動作を、時間と頻度を定めて比較した点に、この試験の価値がある。[2] 仕事中の運動を「余裕があれば」から具体的な休憩へ変える考え方として持ち帰りたい。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
立つだけより、姿勢を切り替えて脚を動かす
座る時間を減らすために、ずっと立って仕事をすればよいのだろうか。20人の成人が参加したランダム化クロスオーバー試験では、動かずに座る、動かずに立つ、1分座って1分立つのを繰り返す、という条件を比べた。観察したのは20分間で、下腿に弱い電流を流して得る電気的な指標を使って、むくみに関係する変化を評価した。[4]
座り続ける条件では、電気抵抗の低下が最も大きかった。研究者は、短い間隔で座位から立位へ切り替えることが、脚のむくみを防ぐのに役立つ可能性を示している。[4] 評価したのは短時間の電気的な変化であり、姿勢をこまめに変える工夫の出発点になる。
立つこと自体と、立って動くことは分けて考えたい。60人を対象とした非ランダム化実験では、座って休む時間を挟みながら4.5時間の立位または歩行を行った。参加者には若い女性、若い男性、年齢の高い男性、立ち仕事に慣れた若い男性が含まれた。立位では下腿の腫れと筋疲労が生じたが、歩行では生じなかった。[15]
この実験では、年齢、性別、立ち仕事への慣れによる有意な影響は認められなかった。[15] 立ち仕事に慣れた参加者も含めて、静止した立位での腫れが観察された。仕事の姿勢を変えるときには、椅子の有無だけでなく、脚を動かしているかを見るのである。
机の高さを変える設備がなくても、座る仕事に短い歩行を挟む選択肢は残る。[2] 逆に、立って作業する職場では、静止した立位を短い動作で区切る方法が研究されている。[3][9] 座位と立位のどちらかを正解にするより、同じ状態が続く時間に目を向けるほうが、今回の研究群を日常へ移しやすい。

立ち仕事では、足首と膝の動きも選択肢になる
立ち仕事の合間に行いやすい運動として、足首や股関節を動かす方法がある。下肢の問題の既往がない男性10人を対象とした非ランダム化実験では、実験室の硬い床の上で4時間の立位作業を行った。各時間は50分の立位と10分の休憩で構成され、立位中に足首または股関節を2分ずつ、各2回動かす条件を、動かない条件と比較した。[9]
動かない条件での周囲径の増加率は、太ももが1.22%、すね側が1.32%だった。[9]足首を動かした条件では0.61%、股関節を動かした条件では0.80%という小さい増加率が報告された。[9] ここでの変化は、立ち続けたときの周囲径の増加を抑えた結果として読む。ただし要旨は足首・股関節運動の0.61%と0.80%がそれぞれどの測定部位に対応するかを明示していない。[9]
研究者は、長く立った後に短い足首や股関節の運動を行うことを提案している。[9] 実践では無理のない範囲で動きを入れ、痛みが出たら止める。要旨にある時間を参考に、安全に動ける場所を選ぶ。
膝を曲げる方法を比べた研究もある。健康な23〜36歳の男性13人が、1時間の立位中に10分ごとに1分の運動を挟んだ。膝曲げ、その場での足踏み、歩行、かかと上げを比べたところ、すべての条件で脚の体積は増加したが、増加を抑える効果は膝曲げが最も強く、かかと上げが最も弱かった。かかと上げでは主観的な訴えも最も多かった。[3]
著者は、太ももとふくらはぎを同時に使う膝曲げを、腫れと訴えを抑えるうえで最も有効と考察している。[3] 比較した動作の中では膝曲げが有望だった。運動を選ぶ際は、脚の動かしやすさと不快感の両方を確認したい。
仕事中に膝曲げを試すなら、安定して立てる場所と動作の余地を先に確認する。研究で示されたのは中断の時間と頻度で、動作の深さや反復回数は未記載である。[3]
短い中断は、血流の研究でも支持されている
小規模なむくみの試験を補うのが、短い運動休憩と血管の反応を扱ったメタ分析、つまり複数の研究を統合する分析である。成人を対象とした36研究、計632人の結果では、座りっぱなしに比べて運動休憩を挟むと、血流に応じて血管が広がる反応と末梢の血流が改善した。根拠の確かさは、どちらも中程度と評価された。[11]
この分析の結論では、大きな筋群を使う活動を30〜60分ごとに2〜5分行う方法が、血管を保護するうえで特に有益かもしれないとされる。[11] 座り仕事に休憩を組み込む際の幅として参考になる。血管の反応を扱う結果として参考にし、むくみへの直接の数字は下腿を測った試験から読む。[2][6]
健康で活動的な若い成人10人の非ランダム化実験でも、4時間座る間に毎時3分の自転車運動を挟むと、座り続ける場合より下腿の腫れが抑えられた。[1] その3分にはウォームアップ、短い全力運動、クールダウンが含まれる。運動の種類と強度も含めた結果である。[1]
日常の運動をしている人にも、座位の中断が研究対象になっている点は見逃せない。[1] ジムへ行く予定がある日にも、仕事中の休憩は別に考えられる。今回の主題では、運動をする日の数より先に、仕事の途中で脚を動かせるタイミングを見つけるのが具体的である。平日の休憩は、週末の運動とは別に予定へ入れたい。
数字で読む、仕事中の脚の変化
- 45分ごとに3分:過体重・肥満の男性18人で試された歩行とスクワットの中断間隔。実験では10回行った。[2]
- 70.34mlと62.49ml:座りっぱなしに比べた下腿の体積変化の差。順に歩行、スクワットの条件で測った下腿の体積差。[2]
- 10分ごとに1分:男性13人の立位実験で運動を挟んだ頻度。膝曲げが最も腫れを抑えたが、全条件で体積は増えた。[3]
- 0.90cm:健康な若い22人が2時間、大きな脚の動きを控えて座った後のふくらはぎ周囲径の平均増加。[6]
- 20.31分:同じ実験で周囲径が座る前に戻るまでに要した歩行時間の平均。ばらつきは10.87分だった。[6]
- 36研究・632人:短い運動休憩の血管への急性効果を統合したメタ分析の規模。評価項目は血管の反応と血流など。[11]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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