連載「体型は変えられるか」全10回の第9回です。

ここまでの8回で、体型のどこが動いてどこが動かないのか、そしてその変化をどう測るのかを見てきました。残る問いはひとつです。運動の種類によって、結果は違うのか。

筋力トレーニング、ピラティス、ヨガ、有酸素運動。それぞれに支持者がいて、それぞれに「これが体型を変える」という説明があり、しばしば互いに矛盾しています。この問いは、幸いなことに比較試験で答えられる形をしています。同じ期間、できれば同じ時間や同じ消費エネルギーで、違う様式を割り付ければよいからです。

結論から書きます。除脂肪量を増やす力は筋力トレーニングが明確に優れています。一方、脂肪を減らす力は総エネルギー収支でほぼ決まり、様式による差は小さい。ピラティスとヨガについては、体組成への効果を示す根拠が弱く、試験の質にも問題があります。

体型は変えられるか 第9回 様式の比較筋トレピラティスヨガで体型は違うか|オンザショア立川店 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

同じ土俵で比べた試験

最も直接的な比較は、同じ人数を同じ期間だけ別の様式に割り付けることです。

Willis LH, Slentz CA, Bateman LA, et al. Effects of aerobic and/or resistance training on body mass and fat mass in overweight or obese adults. Journal of Applied Physiology. 2012;113(12):1831-1837.

運動習慣のない過体重・肥満の成人119名を、筋力トレーニングのみ、有酸素運動のみ、両者の併用の三群に無作為に割り付け、8か月続けた試験です。主要な評価項目は体重・脂肪量・除脂肪量でした。

結果は明快に分かれました。体重と脂肪量を減らしたのは有酸素運動と併用の二群で、筋力トレーニング単独より有意に大きい。ただし有酸素運動と併用のあいだには差がありません。一方、除脂肪量を増やしたのは筋力トレーニングと併用の二群で、有酸素運動単独より有意に大きいという結果です。併用は時間を二倍使いながら、脂肪の減少については有酸素運動単独を上回りませんでした。

著者らの結論は、時間対効果を考えれば脂肪を減らすには有酸素運動が適しており、除脂肪量を増やすには筋力トレーニングが要る、というものです。目的によって選ぶべき様式が違うということになります。

この試験の設計には、注目すべき点があります。多くの比較試験が8週間から12週間で終わるのに対し、ここでは8か月続けています。第8回で見たとおり、筋の変化が確実に現れるまでには時間がかかります。短い試験では、筋力トレーニングの側が不利に見えかねません。逆に、長く続くほど脱落と遵守率の問題が重くなります。期間の取り方そのものが、結果の見え方を左右します。

統合するとどうなるか

個々の試験では条件が限られます。統合解析を並べます。

Wewege MA, Desai I, Honey C, et al. The Effect of Resistance Training in Healthy Adults on Body Fat Percentage, Fat Mass and Visceral Fat: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Medicine. 2022;52(2):287-300.

健康な成人を対象に筋力トレーニングと無運動対照を比べた試験を統合すると、体脂肪率は-1.46%(95%信頼区間 -1.78〜-1.14)、体脂肪量は-0.55 kg(-0.75〜-0.34)でした。統計的には有意ですが、いずれも小さな変化です。

Lopez P, Taaffe DR, Galvão DA, et al. Resistance training effectiveness on body composition and body weight outcomes in individuals with overweight and obesity: A systematic review and meta-analysis. Obesity Reviews. 2022;23(5):e13428.

114件・4184名を統合したこの解析では、筋力トレーニングに食事制限を組み合わせた群で体脂肪率が-3.8%(-4.7〜-2.9)、体脂肪量が-5.3 kg(-7.2〜-3.5)でした。筋力トレーニング単独では-1.6%・-1.0 kgにとどまります。逆に除脂肪量の増加は筋力トレーニング単独が最も大きく、+0.8 kg(0.6〜1.0)でした。脂肪を大きく動かすのは食事制限であり、除脂肪量を守るのが筋力トレーニングです。

腹部の皮下脂肪についてはどうか。ヤリザデ(Yarizadeh)らが43件・3552名を統合した解析では、面積の減少が有酸素運動で13.05平方センチ、筋力トレーニングで5.39平方センチ、両者の組み合わせで28.82平方センチでした。ただし有酸素運動と筋力トレーニングの直接比較では有意差がありません。

目的優位な様式差の大きさ
除脂肪量を増やす筋力トレーニング明確
脂肪量を減らす有酸素運動(食事制限が最大)様式差は小さい
内臓脂肪を減らす高強度の有酸素運動順位はつくが幅は狭い
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内臓脂肪では順位が少し変わる

チェン(Chen)らが84件・4836名を統合したネットワークメタアナリシスでは、有酸素運動・筋力トレーニング・併用・高強度インターバルのいずれも内臓脂肪を減らしました。順位づけでは高強度の有酸素運動と高強度インターバルが上位に来て、筋力トレーニング単独が最も効果が小さいという結果です。しかも筋力トレーニングは男性と体脂肪率の低い群では効いたものの、女性と体脂肪率の高い群では有意になりませんでした。

ただし、様式のあいだの差は思うほど大きくありません。

Zhang H, Tong TK, Qiu W, et al. Comparable Effects of High-Intensity Interval Training and Prolonged Continuous Exercise Training on Abdominal Visceral Fat Reduction in Obese Young Women. Journal of Diabetes Research. 2017;2017:5071740.

肥満の若年女性43名を、高強度インターバル15名、中強度の持続的運動15名、無訓練13名に割り付け、12週間行った試験です。重要なのは、1回あたりの消費エネルギーを300 kJに揃えてあることです。結果、腹部の内臓脂肪面積の減少は-9.1平方センチと-9.2平方センチ、皮下脂肪面積は-35平方センチと-28.3平方センチで、両群に差はありませんでした。体脂肪率の減少も-2.5%と-2.4%でほぼ同じです。消費エネルギーを揃えると、様式の差はほとんど消えます。

ピラティスは体組成を変えるか

Cavina APS, Pizzo Junior E, Machado AF, et al. Effects of the Mat Pilates Method on Body Composition: Systematic Review With Meta-Analysis. Journal of Physical Activity and Health. 2020;17(6):673-681.

マットピラティスの体組成への効果を統合した解析です。条件を満たした10件を検討した結果、体格指数・除脂肪量・体脂肪率・腹囲のいずれについても、従来の運動や対照条件を上回る効果は示されませんでした。高齢者・成人・過体重の人に分けた探索的な解析でも、優位性は見られていません。

著者らの結論は「体組成を変える手段としては、他の訓練や対照条件より優れているとは言えない」というものです。この所見は別の記事でも扱っています。

この結果は、ピラティスに価値がないという意味ではありません。ここで測られているのは体組成だけです。体幹の筋の働き、可動域、動作の質、姿勢の意識といった別の面は、この解析の対象外です。効果が示されなかった指標と、測られなかった指標は別のものです。

yogaのレッスン前の様子生徒の足もとにあるヨガマット 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

ヨガはどうか

Chu P, Gotink RA, Yeh GY, Goldie SJ, Hunink MG. The effectiveness of yoga in modifying risk factors for cardiovascular disease and metabolic syndrome: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. European Journal of Preventive Cardiology. 2016;23(3):291-307.

1404件から37件の無作為化比較試験が選ばれ、32件が統合されました。無運動の対照と比べると、ヨガは体格指数を-0.77 kg/平方メートル(95%信頼区間 -1.09〜-0.44)、体重を-2.32 kg(-4.33〜-0.37)動かしています。血圧や脂質にも有意な変化がありました。

ただし、この解析には決定的な但し書きがあります。ヨガと運動のあいだには有意差が見られなかったという点です。つまり、ヨガが無運動より良いことは示されていますが、他の運動より良いことは示されていません。著者ら自身も、標本の小ささ、研究間のばらつき、試験の質が中程度であることを限界として挙げています。

もうひとつ、統合の対象になったのが「体位を中心とするヨガ」だという点も押さえておく必要があります。呼吸法や瞑想の比重が大きい実践と、動きの多い実践では、消費エネルギーがまったく違います。同じ名前の下で行われていることの幅が広いため、統合した平均値が何を表しているのかは慎重に読む必要があります。様式の名前は、運動の中身を特定しません。

何が効いているのか

ここまでの所見を並べると、一本の筋が通ります。脂肪の減少を決めているのは、様式ではなくエネルギーの収支です。第4回で見たジャイェディ(Jayedi)らの解析が、週あたりの運動時間30分ごとに体重が0.52 kg、腹囲が0.56 cm減るという関係を示していました。時間が長ければ消費は増え、消費が増えれば脂肪は減ります。どの様式でこなしたかは、その次の話です。

ジャン(Zhang)らの試験が消費エネルギーを揃えたときに差が消えたのは、この理屈をそのまま示しています。高強度インターバルが有利に見えることがあるのは、短い時間で同じ消費エネルギーに届くからであって、脂肪に対して特別な作用があるからではありません。時間効率の差は、実生活では意味を持ちます。しかし「この様式でなければ落ちない」という説明の根拠にはなりません。

一方、除脂肪量については話が違います。筋は、十分な張力をかけられて初めて太ります。歩行や自転車こぎでは、その刺激が不足します。だから除脂肪量の増加については、様式の差がはっきり出ます。脂肪は量で動き、筋肉は刺激の質で動く——これが、様式比較から見えてくる整理です。運動様式と体組成の関係は別の記事にもまとめてあります。

研究と測定の限界

ここまでの比較には、いくつもの留保がつきます。第一に、運動の試験は盲検化ができません。参加者は自分が何をしているかを知っており、期待が結果に混ざります。特に自己申告に近い指標ほど影響を受けます。

第二に、遵守率の問題です。統合解析が示すのは「割り付けられた計画」の効果であり、「実際にこなした量」の効果ではありません。続けやすさが違えば、実際の消費エネルギーも変わります。研究の枠の中では監督つきで行われた運動が、日常では同じようにはこなせません。

第三に、ピラティスとヨガの試験は、筋力トレーニングや有酸素運動の試験に比べて数が少なく、標本も小さく、介入の内容も標準化されていません。同じ「ピラティス」という名前の下で、行われていることは試験ごとに違います。効果が示されていないことは、効果がないことの証明ではありません。ただし、示されていない以上、示されたかのように語ることもできません。

そして毎回の但し書きです。ここで見た効果量は、体脂肪率で1ポイント前後、体脂肪量で1 kg前後という水準でした。第7回で見たとおり、二重エネルギーX線吸収測定法の脂肪量の精度誤差でも200 g前後あります。統計的に有意な差と、鏡の前で分かる差は別のものです。様式のあいだの差は、その小さな効果量のさらに一部にすぎません。

それでも様式を選ぶ理由

体組成への効果だけで運動を選ぶ必要はありません。むしろ、体組成の差が小さいことは、選択の自由が大きいことを意味します。続けられる様式、身体が痛まない様式、生活に組み込める様式を選んでよい、ということです。楽しさや相性で決めても、失うものはほとんどありません。

そのうえで、目的が決まっているなら指針は単純です。除脂肪量を増やしたいなら、筋に十分な張力をかける種目が要ります。脂肪の総量を減らしたいなら、消費エネルギーを稼げる時間の長さが要ります。両方なら併用ですが、時間は二倍かかり、脂肪の減りは有酸素運動単独と変わりませんでした。

最後に、様式の議論が陥りやすい形について。どの運動が「体型に効く」かという問いは、しばしば優劣の争いになります。しかしここまでのデータが示しているのは、差の小ささのほうです。続かない最適解より、続く次善策のほうが、数か月後の消費エネルギーの合計は大きくなります。選ぶべきなのは、最も効くとされる様式ではなく、自分が来週も再来週も続けている様式です。

次回予告

第10回は「総括——変えられないものとの付き合い方」です。9回かけて見てきたことを、変えられるものと変えられないものの線引きとして一枚にまとめます。測定の限界、個人差、写真と鏡の条件依存、そして比べる相手が他人ではなく過去の自分であることについて書きます。

この連載の全10回

  1. 第1回|体型を決めるもの——骨格・脂肪分布・筋量
  2. 第2回|部分痩せは起きるのか
  3. 第3回|脂肪はどこに付くか——遺伝・性差・ホルモン
  4. 第4回|腹筋運動で腹囲は減るか
  5. 第5回|筋肥大の部位特異性——狙った場所は育つか
  6. 第6回|姿勢とシルエット——骨盤前傾・胸椎後弯の実像
  7. 第7回|体組成の測り方——体脂肪率という数字の誤差
  8. 第8回|見た目が変わるまでの期間——実測値
  9. 第9回|様式の比較——筋トレ・ピラティス・ヨガで体型は違うか(この記事)
  10. 第10回|総括——変えられないものとの付き合い方

出典

  1. Willis LH, Slentz CA, Bateman LA, et al. Effects of aerobic and/or resistance training on body mass and fat mass in overweight or obese adults. Journal of Applied Physiology. 2012;113(12):1831-1837.
  2. Wewege MA, Desai I, Honey C, et al. The Effect of Resistance Training in Healthy Adults on Body Fat Percentage, Fat Mass and Visceral Fat: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Medicine. 2022;52(2):287-300.
  3. Lopez P, Taaffe DR, Galvão DA, et al. Resistance training effectiveness on body composition and body weight outcomes in individuals with overweight and obesity: A systematic review and meta-analysis. Obesity Reviews. 2022;23(5):e13428.
  4. Yarizadeh H, Eftekhar R, Anjom-Shoae J, Speakman JR, Djafarian K. The Effect of Aerobic and Resistance Training and Combined Exercise Modalities on Subcutaneous Abdominal Fat: A Systematic Review and Meta-analysis of Randomized Clinical Trials. Advances in Nutrition. 2021;12(1):179-196.
  5. Chen X, He H, Xie K, Zhang L, Cao C. Effects of various exercise types on visceral adipose tissue in individuals with overweight and obesity: A systematic review and network meta-analysis of 84 randomized controlled trials. Obesity Reviews. 2024;25(3):e13666.
  6. Zhang H, Tong TK, Qiu W, et al. Comparable Effects of High-Intensity Interval Training and Prolonged Continuous Exercise Training on Abdominal Visceral Fat Reduction in Obese Young Women. Journal of Diabetes Research. 2017;2017:5071740.
  7. Cavina APS, Pizzo Junior E, Machado AF, et al. Effects of the Mat Pilates Method on Body Composition: Systematic Review With Meta-Analysis. Journal of Physical Activity and Health. 2020;17(6):673-681.
  8. Chu P, Gotink RA, Yeh GY, Goldie SJ, Hunink MG. The effectiveness of yoga in modifying risk factors for cardiovascular disease and metabolic syndrome: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. European Journal of Preventive Cardiology. 2016;23(3):291-307.
  9. Jayedi A, Soltani S, Emadi A, Zargar MS, Najafi A. Aerobic Exercise and Weight Loss in Adults: A Systematic Review and Dose-Response Meta-Analysis. JAMA Network Open. 2024;7(12):e2452185.

この記事は公表された研究の要約であり、診断や治療の助言ではありません。体型や体重が気になって食事・運動・人づきあいに支障が出ている場合は、自己流の減量を進める前に医療機関にご相談ください。関節や腰に痛みがある方、高血圧・心疾患・糖尿病の治療を受けている方、妊娠中・産後の方は、高強度の運動や新しい運動様式を始める前に主治医に確認してください。

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